2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第282話 人間はダーツではありませんおもちゃです

 

 

「アーロンのアニキ!」

 

 とある場所、とある時間。

 薄灰色の肌をした魚人がアーロンに声をかけた。

 

「ついにやるんですね、魚人島を制覇するための計画を!」

「ホーディ、随分嬉しそうだな」

「あぁそうさアーロンのアニキ。俺はあんたの野心と行動力と過激なとこを尊敬してんだ。そんなあんたと一緒に、腑抜けたネプチューン王を引きずりおろし、あんたが玉座に座って、人間を海の底に引き摺り落とすなんて。最高だ」

 

 ホーディ・ジョーンズは幼い頃からアーロン達から人間の海賊を打ち破った武勇伝をよく聞かされていたため彼を尊敬していた。彼の右腕になれたらと思っていた。

 しかし2年前、麦わらの一味に敗れたという話を聞いて失望した。力だけが取り柄で、脳無しで不器用だという評価を下した。

 強さだけは認めているが、世界を制覇する為には頭脳が足りてない。

 

 だから、新魚人海賊団とアーロン海賊団が手を組んだら。自分が策略を立て、アーロン達を手足のように使い、2番手として裏で操れば。

 

「たとえ命を削っても、どれほどの犠牲を払っても!俺は人間への復讐を果たすんだ!世界を手に入れてやるんだ!」

 

 アーロンはそんなホーディを見て鼻で笑った。

 

「(世界はそんなに甘くねぇ)」

 

 井の中の蛙大海を知らず。

 まさにホーディは魚人街という閉鎖空間で育ち己を強いと勘違いした男だった。

 

「ネプチューンを引き摺り下ろすのは決定事項だ。俺は、ずっと。ジンベエの鼻を明かしたいと思ってたんだよ」

 

 未だにネプチューン王に重宝されている己の兄貴分への劣等感は、存在を消さなければ癒えない。

 

「バンダー・デッケン3世、あれを引き込んだのはお前の手腕だ」

「もちろん」

 

「バーホホホホ……!9世だ馬鹿め!」

 

 デッケンが片手の手袋を外して奴隷とされた人間を連れてやってきた。

 

「おォデッケン。俺の勧誘は断った癖に、いい度胸じゃねーか」

「対等の同盟だからだ!フライング海賊団の船長が俺、バンダー・デッケン9世様!……の、ハズだ」

「自分で分からなくなるんじゃねぇよ」

 

 かつてアーロンはデッケンの能力に目をつけ、アーロン海賊団へと誘ったのだが断られた過去がある。故に不服ではあるが、能力は惜しい。

 

「アーロン海賊団、新魚人海賊団、フライング海賊団。三つの海賊が同盟を組んで王族をめっためたにする。面白い話だ。だがきさまら忘れるなよ!俺のしらほしを殺すんじゃねぇ!運命の出会いをこれからする………ハズだ」

「つまり会ったことも無いと」

「悲しいことに……周りの護衛が煩くてしらほしに触れたことがねぇ。護衛、しか。なぁ?」

 

 だが、とデッケンはホーディをみた。

 

「麦わらの一味って奴らが王宮に連れていかれたと聞いたが……?」

「麦わら…………!」

 

 アーロンはにやりと面白そうなものが転がり込んだと笑みを浮かべる。この2年、アーロンはインペルダウンを脱獄してからもう二度と麦わらの一味に敗北しないように鍛え上げた。

 

「ハチ……さんが、確か人質になったと言っていたな。普通に考えて、王宮が『海賊を歓迎』するはずが無いだろ?」

「バホホホホ!何を馬鹿な。そんなことあるわけがねぇ、ハズだ」

「それはそうだ」

 

 まさかそんなことが常識的に考えて普通天地がひっくりかえっても少し考えただけでもあるわけが無いし深く考えたとてあるはずがない。普通なら、常識的に、絶対。

 

「シャーーーッハッハッハッ!海軍にも喧嘩を売れる麦わらの一味ならどうせ、今頃リュウグウ王国の兵士と戦ってるだろう!俺たちの代わりにリュウグウ城を占拠していたりしてなぁ?」

「ジャハハ……。アーロンさんも冗談が上手い」

 

 

 3海賊団の同盟。海を制覇する魚人達による海賊団は海で敵無しだった。

 

 そして彼らは馬鹿では無い。

 念入りに練った戦略もある。

 

「さぁバンダー・デッケン!お前のマトマトの能力で!奴隷の人間どもを王宮の兵士に向けて投げろぉ!」

「バホホホ!王宮に伝言を頼むぜ?『魚人海賊団同盟が、広場を占拠している』となぁ?」

 

 広場にて。

 圧倒的な武力を前にして兵士が倒れ伏す。

 

 なお、アーロンは王宮前でひと暴れするために待機している。

 

 広場にいる人質は、王族を引きずり出すネタにしては上等だろう。

 

「ジャハハ……、皆が大好きな王様や王妃様の死に様を、国民に見てもらおうじゃねぇか」

 

 

 彼らの計画は完璧だった。

 

 ──戦術で勝負するときは相手の戦術のレベルを計算に入れる、ということが抜け落ちて無ければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんか音聞こえませぬ?」

 

 世界でも上位に入る悪巧みの擬人化みたいな悪魔が、ふと顔を上げた。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 ある程度話し終えた頃のこと。

 閉ざされた竜宮城の外壁に砲弾がぶつかるような激しい音が聞こえた。

 

「聞こえたな……」

「なんの音だろ。砲弾とかとまた違う」

 

 ジンさんと私たちが王族監視の元計画を話し合っている中から聞こえてきた嫌な音。聞いたことが無いようなあるようなと考えてからのごうおんだ。

 

 ちなみに監視の元って言うのは『海賊が勝手に話し合ってるだけなので!』っていう名目で王族達が内容を理解出来ちゃうとっても素敵なお話である。

 

「──大変です陛下!壁に、ぼろぼろの人間が!」

 

 うーん?

 

 焦って報告するテロリストの連絡に、私たち(過剰戦力の図)は目を見合わせた。

 焦る必要、ある?




敵を見誤ったな。
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