「馬鹿なのですかねぇ」
つんつんと倒れ伏した、人間をツンツンと突く。
えー、リュウグウ城に突如降って沸いたボロボロの人間達ですが、本当に酷い有様で。怪我もしていたし食事物まともに取れていないのか衰弱。壁に激突したということもあって死にかけの状態。
これで負けろと言う方が難しい。
多分、私1人が純粋な体術勝負を仕込み無しでしたとして、勝てないわけがないレベル。
ワンチャン、麦わらの一味と王宮側でトラブルがあって敵対していたのであれば目的は果たせたかもしれないが。
「何者……だ……」
息も絶え絶えに人間の海賊が人間の私達に問う。 パッと見で分かりそうな気はしてるけど、そんなこと考えられる余裕も無さそうなので、私は親切におしえてあげた。
「私の船長ね、麦わらのルフィって言うですよ♡」
「麦わら……!?」
「いやじゃ無ければ、同じ人間のよしみで助けるすてあげましょうか?ここで王族襲撃の罪で処刑されるはお前たちとて不服でしょうぞり」
「……?」
「……???」
「?」
「なんて言った……?」
「くそ言語!!」
不思議語に戻せばこれだよ。まだ軽い方だぞこの言語!
「ロビンさん!説明!」
「私に頼むのね。……貴方達が死刑になりうる罪をおかしてるのは分かるわね?この子が言いたいのは、その状態の貴方達を助けてあげれるかも。ってこと」
「この状態から入れる保険があるのか!?」
「えぇ。貴方達が素直にお話してくれたらね」
ロビンさんが視線を私に向けて伝えたいことが合っているのかと確認をしてくる。
流石ニコ・ロビン。私の目論見も全部把握しているみたいだ。やりやすいけど、敵対すればやりにくい相手だなぁ。
「さぁ、貴方達は何の目的でここに来たの?」
にっこり笑顔で問いかけた。
ロビンさんの脅しは海賊にとって救いの女神の様な提案だったらしい。
忠誠心の欠片もなかったただの使い捨ての道具である海賊達はその提案に一も二もなく頷き、魚人海賊団の企んでいる事を吐いた。
曰く、『ネプチューン王を引きずり下ろし魚人族を世界が統べる』『人間を使って連絡廊を下ろしアーロン海賊団を王宮に乗り込ませる』『広場を占領して王族を処刑する』
ばっっっっかじゃねーの?
海の中じゃ魚人族は強いかもしれないけど陸に上がればただの魚よ?
「アーロン、なんて愚かな真似を……」
でもこれ、アーロンが企んだ感じじゃないな。アーロンは海軍支部を口封じにして諸島の島一つだけで満足していて、人間一人が奴隷のようにしているのを見ていただけの男。
大それたそこをする度胸は無いと思っている。
アーロン、割と現状把握が得意なタイプでしょうし。脱獄にも抵抗せずに協力した所から『悪巧みの才能はないけど環境に適応する判断が上手い』という印象を受ける。
ここで変なプライドをもって抵抗すれば馬鹿な目にあう、という最悪を避ける能力があるんだよね。
こんな泥舟に乗るわけが……。
「あ、そうか」
「リィン?どうしたの?」
「いや。多分海賊と王宮がここまで仲良くすてると思うすては無いのでしょうね。私が救世主と言うされた人物だと知らぬ様ですし」
普通衝突するよね。
特に『アーロン一味を打ち破り海軍本部や世界政府に喧嘩を売った麦わらのルフィ』だから。他の海賊がどうかは分からないけど、アーロンは確実にルフィの友好的じゃない部分を知ってる。
勝算があるように思っちゃったのかな。
「──つまり、広場に対処するために向かわないと行けないけど、道の先でアーロンさんが待ち受けているという事ね」
ロビンさんが纏めるとネプチューン王や王妃は険しい顔をして、しらほし姫様はアワアワと顔を真っ青にした。
「国民が危険に晒されているのであれは、私は喜んで前に出ますわ」
「ダメです母上!相手の思うつぼです!」
「兄上の言う通り!」
「そうですお母様……」
ネプチューン王は悩んだ表情をしている。
「陛下。僭越ながら策があります」
「む、どうしたんじゃもん」
「まずアーロン海賊団が待ち構えている、というのが厄介な点。これではこちらから魚人島本土に迎えませぬよね?」
「そうじゃな……」
ところで、魚と海って言うと何が思い浮かぶ?
個人的には──
「私達が引き付けて広場に叩き下ろす故に、一緒に王族1人、囮になってくれませぬ?」
──釣りかなって、思うんですよね。
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アーロン一味は連絡廊の下で人間の奴隷から伝わって出てくるであろう王族を待っていた。
もし伝わっていなくとも、行き来をするのにこの場は通らなければならない。
「アーロンさん、ハチのやつどうしますか?」
「さてな、生きているかも分からないが。ジンベエのアニキがいるなら無事だろうよ」
クロオビがアーロンに問いかけると、過激ながらも仲間に優しいアニキの事だ、と簡単な予想を立てる。
「それにしても、ほんとにホーディを信じていいの?チュッ♡」
「信じてるさ。今はな」
まるで嘲笑う様に。
アーロン一味の目的は王家……では無く。王家に未だに重宝されているジンベエの抹殺。
邪魔な王家をホーディがつぶしてくれるなら手間が省ける。望む未来?大義?復讐?そんなものは関係ない。ただ、そろそろきちんと兄弟喧嘩をしたいと思っているのだ。死を持って決着をつけたいと。
「ジンベエのアニキを殺した後は、また
ココヤシ村での生活はアーロンにとって不服はなかった。退屈ではあったが、嘲笑われ見下され差別され、そういう汚い世界から目を背けられた。汚い世界を作ることで己への差別を『恨み』に変えていた。魚人だからとかではなく、アーロンだからと。
戻りたいと切望するほどでは無いけれど。戻れればいいと思っている。考えるのは、苦手だ。
「俺たちはアーロンさんに着いて行く。たとえそれが地獄だろうと」
「チュッ♡そういうことだアーロンさん。それに麦わらの一味がもしいるならちょうどいい。この2年間隠れるしかなかった奴らが、俺たちに敵うわけがあるめぇよ」
「シャーッハッハッハッ!」
ふと、海の中に気配が飛び込んで来たのがわかった。アーロン達はそちらに視線を向けると目を見開き口を開き、驚愕の色を顔に染めた。
「な、船が空を飛んでる!?」
何故か外海からシャボンを突き破ってふざけた船首の船が魚人島に飛び込んできた。場所は連絡廊と近いとはいえ、連絡廊は降りていない。
あの分厚いシャボンを突き破る勢いと、空から落ちてどうするんだという衝撃と。
そして船に捕まる人物の姿を見てさらに驚く。
「麦わらに、ジンベエのアニキにフカボシ!」
目的のジンベエと王族が船に乗っている。
なんで空?
というかシャボンで浮かばせるみたいな装置も何も付いてないが!?
「ギャアアアアアア」
船から悲鳴が勢いよく遠のいて。
呆然としていた一味はハッと我に返る。
「やばい!追え!あの方向は広場だ!王族が一人いるなら何かしらの方法をとられ兼ねない!」
それが第一王子なら尚更だ。
魚人海賊同盟は王族を広場で処刑する目的がある。何とかなる範囲とはいえ、それが崩されたら計画失敗の責任を押し付けられかねない、と。
「ジンベエのアニキも居るんだ、追うぞ!」
ちらりと金色の髪をした少女と目が合った気がしたけれど。気の所為だ。