2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第287話 未来を変えるイレギュラー

 

 

「うわぁ、ルフィちん達すごいね」

 

 リィンの宣言通り、下で構えていたアーロンは麦わらの一味に向った。

 その隙を伺ってケイミーとパッパグ、そしてフカボシ以外の王族が竜宮城から降りて来た。

 

「海賊もですけど、国民の皆様も誰1人としてこちらを見ませんね……」

 

 王族達は派手な体躯をしている。

 しらほしやネプチューンなどは物理的に目立つ為、決まって視線を集めるのだろう。

 

 普段であれば向けられる視線が無いことに違和感を抱くが、それも仕方ないと広場に視線を向けなおす。

 

「仕方ないわ。国民の誰もが、広場での戦いを注目しているもの」

「俺たち魚人族の未来は、今麦わらの一味にかかっているラシド〜」

「悔しいけど、おいらたちじゃあんなに戦えない!」

 

 あえて、だろう。

 ネプチューンはそういう守り方なのだと言うことが理解出来た。

 

 中央に陣取る麦わらの一味は良くも悪くも派手な戦い方をする。重要人物のホーディも頭に血が上っているようで、リィンばかり狙っている。

 一体どうしたのだろうか。

 

「陛下…!」

 

 そんな事を考えているとネプチューンに話しかける人物が現れた。

 

「確か、アーロンの妹の」

「シャーリーです」

「シャーリーさん!」

「ケイミー、あんた陛下と一緒に居たのかい?」

 

 ケイミーの勤め先であるマーメイドカフェの店主であり、魚人島の占い師であるマダム・シャーリーだ。

 

「兄のこと、申し訳ございません。1度ならず2度までも王家を裏切る真似を……」

「良い。シャーリー、お主は何も気にせんでいいんじゃもん。アーロンの罪はアーロンのもの。シャーリーが気に止める必要は無いんじゃもん」

「……。そう、いっていただけると、思っていました。ただ許しが欲しかっただけです」

 

 シャーリーは尚更謝るように頭を下げた後、本題に移った。

 

「私が趣味で行っている占いの話で、少々」

「……!お主の占いは無視出来ぬな」

 

 予言とも取られるほど正確な占いの腕を持つシャーリー。大航海時代の幕開けなど大きな出来事を言い当てたことが何度もある。

 

「内容は『魚人島を麦わら帽子を被った人間が滅ぼす』というものでした」

「なんじゃと……?」

「マダム、ルフィちん達はそんな人じゃ無いよ」

「私はあのボーヤ達と会ったことが無いからどんな人間なのかは知らないから、いくらケイミーの言葉だったとしてもあのボーヤ達がそんなことするはずない、とは断言出来ない」

「そんな……!」

 

 ケイミーのショックを受けた姿を見て、彼女を落ち着かせるようにシャーリーは優しく微笑む。

 

「ですが陛下、あくまでも占いは占いです。頂上戦争で海軍が勝利し、白ひげが死ぬ未来も見ました」

「それはいつか来る未来ではなく確実にあの戦争でなのか?」

 

 シャーリーはこくんと頷く。

 そして優しい笑顔のままシャーリーは続ける。

 

「ここ最近、それこそ10年程。多く占いが外れるようになりました。……王妃様の、死亡すら」

 

 ネプチューンは目を見開く。

 もちろん他の王族達だってオトヒメを見た。

 

「滅ぼされないかもしれないし滅ぶかもしれない。ですが、それに準じる未来は起こる。戦争は間違いなく起こった。でも、結末が変わった様に」

 

 そういったリスクという意味でシャーリーは伝えたのだと言う。

 

 ただ、ネプチューンはその外れ始めた占いにひとつ心当たりはあった。

 

「シャーリー。君の占いに──女狐が見えたことはあるのか?」

「女狐って、あの白装束の仮面を被った海軍大将ですよね?」

「うむ」

「…………占いでは、見たことは」

 

 無い。

 思い出しながら告げたシャーリーの言葉にネプチューンは自然と笑顔になった。そして女狐がリィンだと知るオトヒメも、その笑顔につられて察した。

 

「(占いを変えたのは、君か)」

 

 たまたま占いに出ずに暗躍していただけなのかもしれない。

 ただ、何となく。本当に勘に近い本能だ。

 

「シャーリーありがとう。君のおかげで、未来が見えたんじゃもん」

「変わらない未来を抱え込むのは辛かったでしょう。もう、大丈夫ですよ」

 

 1人ではなかった。変わらない未来を見るのを苦しむ人間が、シャーリーの心を人知れず救って居た。

 シャーリーは人間の友人をそっと思い浮かべた。

 

 その瞬間、魚人島に影が差し込んだ。

 

 ノアだ。魚人島の空を覆い被さる程の巨大な船が魚人島に向けて動いている。

 

「なん、です!?」

 

 

 

──キィー……ン…………

 

 国内放送が大音量で繋がるような音が聞こえる。

 

 

『バーーーホホホホ! 俺様はぁ! バンダー・デッケン9世! この船をォ! 魚人島に向けて投げたぁ!』

 

 恐らくノアの中に居るのだろう。

 バンダーの声が魚人島全土に響き渡る。

 

『しらほしぃ! ずっと好きでした! 島を潰されたくなければ、結婚してくださぁーーい!』

 

 

 

 

「えっ……と。その距離じゃ私のお返事の声って届きませんよね?」

 

 しらほしの困惑した声。

 

 お前のツッコミどころはそれでいいのか?

 

 

 

 ==========

 

 

 

 バンダー・デッケン。

 竜宮城に飛ばされた人間曰く、マトマトの実の能力者で。触れた相手を的として物を飛ばすことが出来る能力なのだと言う。

 

 悪魔の実としては詳しく知らなかったので、ベガパンクの作った携帯で調べてみた。

 

「能力消滅は当たるか能力者の意識喪失のみか」

 

 姿が見えないとは思っていたけど、こんなに大きな物を投げられたら普通対処出来ないよ。

 

 しかも、ノアの方舟は『的』が誰であるか分からない。

 

 魚人海賊団系統かもしれないし、王宮の兵士たちかもしれないし、国民か王族か、人間か。

 的を動かして魚人島から逸らすことも出来ないだろう。

 

 

 

「──リー!」

 

 ルフィの声に振り向いた。

 にっしっし、といたずらっ子のような笑顔を浮かべた男に私は地面に降り立つ。

 

「行くぞ、リー。上舵だ!」

「了解ルフィ!」

 

 兄妹の共闘開始だ。

 

 

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