2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第288話 割と最終兵器な自覚はある

 

 

 ルフィが箒に飛び乗った。

 広場で未だに戦っている状態なので、ルフィという大きめの戦力が抜けるのは痛手だ。

 

「ロビンさん!ジンさん!」

「なんじゃい!」

「人間の奴隷ぞ解放すてください!戦力にします!」

「任せて」

 

 解放の際、魚人海賊団にヘイトを向ける仕事ならロビンさんに任せられる。ロビンさんも意図を理解しているだろう。

 

「フカボシ王子!」

「なんだ!」

「今から船ぞ飛ばすです!しっかり捕まるように伝えるすてください!10秒前!」

 

 船を動かす理由は2つ。

 1.私が不在の状態で守れる可能性はそこまで高くない事。

 2.麦わらの一味が潰れては元も子もない為視線を分散させる為。

 

 申し訳ないけれど、万が一麦わらの一味を失うことになったら今後の計画に支障が出る。

 

 なので魚人海賊団の視線を中央からいくつもの場所に向けさせたかった。

 後、国民はちゃんと王宮兵とかに守ってもらって。『部外者に頼りっぱなしで王宮の出番無し』は国民の視線的に痛いでしょう。

 

「……2!1!」

 

 ゼロのカウントでサニー号を王宮の人達がいるところに吹き飛ばした。

 

 大丈夫、落下は緩やかにするから。

 

「行くぞリー!急げ!あれ壊すぞ」

「もちろん」

 

 シャボンに巨体を押し付けているノア。

 

「船長!リィンー!!!」

 

 するとメリー号が私の私たちの名前を呼んだ。

 

「ノアのじっちゃん!まだ生きてる!待ってる!」

「メリー……!」

「壊さないでーーー!!」

 

 メリー号の叫び声に私は頷いた。

 

「ルフィ、船は私が何とかする故に、バンダー・デッケンと。追いかけてくるであろうアーロン達をよろしくすても?」

「おう!」

 

 ビュンと箒で飛び上がる。

 案の定、アーロンとホーディは追いかけてきた。

 

「とりあえず、落下は止めるすた。バンダー・デッケンは能力者故に、空気はあるはずぞり」

「壊すんなら俺が行った方がいいと思ったけど、壊さないんならリーが何とかするしかねぇもんな。でも、敢えて俺が行く必要ってもう無いんじゃ…?」

「嫌ぞり、絶対わたし狙いでバンダー・デッケンもホーディも来るのに!?にぃには可愛い妹の護衛ぞ!」

「可愛い!でも、それはそれ。これはこれ」

 

 そんなルフィを無視して箒で上昇する。

 護衛(ルフィ)が落ちようとしたら首に海楼石取り付けるから。

 

 それがわかっているのかルフィは大人しくくっついていた。無理だよ、ホーディを1人で相手にするの。私、シキに『クレイジーちゃんは体術のセンスはあるけど相性悪いから』って言われて結局あまり体術は鍛えられてないんだから。

 

 

 二重のシャボンを潜り抜け、手持ちのバブリー珊瑚でお互いをシャボンで包んだ。

 

「リー、やることは」

「1.バンダー・デッケンを船から追い出す。2.アーロンとホーディの撃破&船から追い出す」

「わかった。船から追い出すの優先だな」

 

 私の不思議色の覇気は有機物には効かない。と、思い込んでしまっている。なので船に居る有機物はひじょうに邪魔だし、この後の対処をさせないようにする必要もあるし、とにかく3匹を片付ける必要性はある。

 

 ノアの上は予想通り空気があって、バンダー・デッケンはノアに乗っていた。手元に電伝虫を持ち合わせていたので、恐らくそれで国内放送をジャックしていたのだろう。

 

「俺と!しらほしの仲を邪魔するな人間め!」

「しらほし姫様をお前みたいなロリコンに渡すわけぞなきでしょバーーーーカ!!!」

「リー、そこか?」

「だってこいつ絶対おっさん!海賊故にとか、種族とか、そこら辺はどうでも良きですけど!こんな一方的にデッドオアマリッジ仕掛けるするおっさんが私と変わらぬ歳の姫様に求婚など、身の程ぞ知るしろ!?」

「個人的な恨みも入ってないか?」

 

 サー・クロコダイル(46)のことは今はどうでもいいでしょ!

 

「あなたの能力はマトマト!ですが残念無念また来世、この船はルフィが落下を止めさせていただきますた!」

「俺?」

「一体誰をマトにすたのか分かりませぬが、ルフィがいる限りこの船はしらほし姫様に向かうことは、ない!」

 

 私はドーンと声を張り上げた。

 

「なにゆえこんな悲しきことをしたのです!まだ、やり直せます!今すぐ投降すて、罪を改めるのです。……大丈夫、ちゃんと謝りましょう」

 

 ホーディとアーロンが甲板にやってきたのをいいことに、私は言葉を続けた。ちなみにルフィはいっぱい首を傾げている。

 

「許されないことぞしますた。魚人族の未来を、邪魔しますた。でも、きちんと罪を認め、頭を下げ、罪を償うために今すぐこんな馬鹿げたことぞやめましょう!」

 

 虫唾が走るほどの綺麗事を。

 

「私たち、友達じゃ無きですか!人間と魚人は、友だちになれるじゃなきですか!私とジンベエ(・・・・)さん、私としらほし姫様達はもうずっと、10年以上も前から友達です。だから、手を取ってください。これから先、私たちは貴方達を排除しない。だからゆっくりでいい、戸惑ってもいい。未来を共に……歩きましょう。本物の、太陽の下で」

「──ふざけるなァ!」

 

 アーロンが反発した。

 

「お前らが俺たちを!タイガーの兄」

「きゃああああ!」

 

 アーロンの恨み節を上塗りするかのように私は金切り声のような悲鳴を上げた。

 

「……はぁ、はぁ」

「「「「??」」」」

 

 何故か1人で叫んで息を荒らげているので全員不思議そうに首を傾げた。

 

「ルフィの船には、優秀な航海士がいます。アーロン、貴方が支配していたココヤシ村の犠牲者です。貴方は彼女を奴隷のように、金集めと村人の反発を抑えるための犠牲にした!彼女の母を、彼女の目の前で……!私はそれを聞いた瞬間、そんな悲劇の連鎖を生み出すたこの海を恨みますた!」

「はぁ、何を今更……」

「でも、私は!私に何度傷つけられようとも!貴方達と生きる未来を!諦めぬです!はああああ!」

 

 息んで、懐から眠り薬を取り出し。

 ──バンダー・デッケンが持っていたでんでん虫に嗅がせた。

 

「ぷつ、つー……つー…………つー………」

 

 眠り始めた電伝虫を目の前にして、私は汗を拭う。

 

「ふぅ、苦労すた」

「「「「1人で何やってんだおめー!」」」」

 

 私は箒に飛び乗り顎をしゃくりあげた。

 

「えぇ?何って、救済?」

 

 救世主も楽じゃないね。

 『人間が魚人族を友と呼び罪を犯した者でも救いの手を差し伸べた』という絶好の人間好感度アピールを国内放送ジャックされた状態で利用しないわけが無いでしょう?

 

 リィンとして話すだけでいいのだから、下手に変装しないで済む分、アラバスタで起こった後始末より楽なもんだねぇ。

 

「魚人海賊団側に手を取り合う気は皆無、さぁルフィ!やっておしまいぞり!私弱き!無理!」

「兄ちゃんな、リーのそういうとこどうかと思う」

 

 勝てば官軍、負ければ賊軍。それは結構!

 でも賊軍同士なら最初に勝敗を決める!より多くの人間の心を射止めた方が、より大きな権力者を射止めた方が官軍になる。

 

 材料は情報と準備と、そしてパワー!

 ……後半のパワーの割合がこの世界ではデカすぎるんだよ本当に。

 

 今回は不足気味の情報と全くしてない準備と、圧倒的なパワーが出揃っていたのでガッツリ勝たせていただきます。

 

「ひれ伏せ、王の凱旋ぞ」

「がいせんって、うまそーな名前だな」

「確かに〜」

 

 もしかしたら人生初となる、兄との共闘はこんな感じで緩く始まった。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 ぷつ。つー、つー、つー。

 

 眠りにつくようながざごぞとした音と共に国内放送が切られた。

 

 

「リィンのやり方だわ」

「可哀想に」

「あーあ、リィンを敵に回すから」

「相変わらずえげつない」

「酷いことするわ」

「なんだか、アラバスタを思い出すかも」

「俺ァウォーターセブンのロビンだな」

 

 

 麦わらの一味が口々に感想を述べる。胸に抱くのは此度敵対した魚人海賊団の面々への哀れみである。

 南無。成仏してくれ。

 

「リィンさん、悲鳴を上げてましたけど大丈夫なんでしょうか」

「絶ッ対平気だぞ」

 

 まだリィン歴が浅めのブルックが心配するがチョッパーは容赦なく判断を下した。

 

「普段、リィンはわしのことを『ジンさん』と呼ぶんじゃが、恐らくわざと『ジンベエ』という名前を使ったんじゃろう…………。頭脳労働派の七武海と頭脳戦を出来るだけあるわい」

「ふふ。親分さんのネームバリューは魚人島では大きそうだもの」

「それは照れる。が、ちょっと、うーん、なんというか」

 

 利用されるのを嫌っている訳では無いし、リィンに名前を利用されている状況にほんのりと薄ら暗い喜びも芽生えている。それは否定しないが、なんとなく納得いかない。

 

 後が怖くて。

 

 利用された噂がリィンの手によって脚色を加えられ独り歩きさせられないかという不安が大いにある。なんせロリコダイルアラバスタ革命事件の真相を目の前で聞いていた身なので。

 あの時は酷かった。ドフラミンゴから聞いた話にくすりとは笑ったが、己の身に降りかかれば恐ろしくて仕方ない。

 

「もしかしてサー…………クロコダイルのことを考えている?」

「うん?なんじゃお主も知っておったか」

「当事者だもの。私もサーと一緒にビビのこと貶めてたのよ」

「それは……。よく無事だったな?」

「ほんとそう」

 

 牙を向かれなくて良かったと今でも思っている。

 ロビンとリィンの戦略や戦術は、その色が多少違えどレベルは似たような物。だからこその同族嫌悪。思考回路の理解者にしてライバル。

 ロビンは圧倒的な本の知識が。リィンは圧倒的な経験が。年齢差もあって、お互い同レベル。

 

 ただ、ロビンはどうしてもリィンと戦いたくない理由がある。

 

「あの子、親分さんも含めて伝手が凄いのよ」

「あーーーー」

「個人と相手をするなら別に構わないんだけど、巻き込み事故で世界規模レベルの敵対を経験しそうでものすごく怖くって」

「分かる」

 

 めっちゃ分かる。

 

 言葉一つでどれだけ動く人間がいるだろう。

 己もその中の一人に入っていることを自覚しながら、ジンベエは同意した。

 

「その巻き込み癖のリィンが、たった2人で、そして舞台を絞っている状況がね、とても恐ろしいわ」

 

 多人数の動員を得意とするリィンが『少人数』かつ『不利な海中』に身を置いている。

 この2年間の期間で、一体どんな進化を遂げたのか。見えてない状態でもこれだけは分かった。

 

「恐ろしいわ……」

 

 これが──敵対する海兵(・・)だと言うのは。

 

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