2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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パンクハザード編
第292話 人権のない捕虜とは奴隷とも言う


 

 魚人島でのあれやこれも終わり、麦わらの一味は後半の海へ旅立つことになった。

 ホーディ達はどうやらドーピング薬を常用していたせいで、玉手箱を空けた浦島太郎のように老け込んでしまったらしい。

 姿は見に行ってないのでどんな感じなのか分からないが、語り継げる経験もなく凝り固まった価値観の力無い老人に利用価値は無い。おもちゃがひとつ壊れたと思って放置した。

 

 

 さて、そんなわれわれの出港間近。魚人島で後半の海専用の記録指針(ログポース)を貰い、救国のお礼として食材の数々を頂いた。金銀財宝より目下食料だよね。

 

 白ひげ海賊団の代表ときちんと話し合い、ナワバリの正式な譲渡を超平和的に解決したあと、私はこういう提案をしたのだ。

 

「もし良ければ海上まで一緒に行くですか?」

 

 ルフィもマルコさんに懐いていたのでそれを後押しするように提案をしただけだ。あとは勝手にルフィが引っ張ってくれる。

 

 2人でも来れたということは2人でも帰れるということなのだけど、人の良い麦わらの一味は友好的な海賊を危険に晒すことはしない。というわけで、ふたりが乗ってきた船をサニー号に格納し、乗員が2人増えました。

 

 もちろん2人だけではなく……。

 

 

「なんで俺が麦わらの捕虜なんかに……!」

「おのれ……、下等種族が!」

「こんな侮辱的なことがあってたまるめぇよ……チュッ♡」

「──お前らは黙らんか!この面汚し共が!」

「にゅ〜……!4人とも落ち着いてくれ」

 

 アーロン一味の幹部、アーロン、クロオビ、チュウ。この3人は捕虜になった。

 仲間に正式加入したジンさんと客人のはっちゃんが加わり、麦わらの一味の一時的な人口密度は大分膨れ上がっている。

 

「なぁナミ!お前からも言ってくれよ、我らが測量士よ。お前は俺たちの仲間だろ?」

「……私の『仲間』って言葉を軽々しい言葉にしないでちょうだい。ジンベエ、ハチ、見張り頼むわね。私シャワー浴びてくるから」

 

 クウイゴスの木片を数個船から出して上昇させている。ナミさんはさっさと船内へ移動してしまった。

 

「なー、やっぱこいつら捨ててこうよ。ナミ嫌がってるんじゃねぇか?」

「え……………………同情するくらいこき使うすてから捨てますよ?」

「怖っ!リィンさん怖っ!モリアの時も思いましたけど、人権侵害大得意ですね」

「犯罪者に人権は無きですぞり……?」

 

 何を不思議なことを言っているんだろう。善良な人や海賊には迷惑かけてないつもりだけど。

 

「その心底不思議ですって顔、ほんとリィン」

「ウソップさん?」

「リィンちゃん、食材の保存手伝ってもってもいいかい?」

「は〜い。奴隷ども!行くですよ!」

「「「誰が奴隷だ!」」」

 

 奴隷欲しいと思ってたんだよね。

 こいつらは能力者じゃない分海楼石が効かない。下手な縄も解いてしまう。

 だから私はめっちゃ力の入りにくい縛り方をしている。無理に力入れようとするとあの、関節外れる方法で。だから3匹の縄を引っ張ると私は厨房に引き寄せた。

 

「リィン……流石にそれはよい……」

「マルコさん」

「はい」

「この3匹は私が責任を持って教育するので、口、出さないでくださいます?」

「…………分かりました」

 

「凄い、両方流暢な標準語だな」

 

 ビスタさんがドン引きしていた。げせぬ。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「今から5分以内に1口サイズに全部切り分けるしろ」

「なんで俺がそんなことを!」

「あっ、別にいいですぞ?やりたくなければやらずとも。それだけ無能って事ですし、穀潰しは穀潰しらしく愛嬌だけで乗り切ってくださいね」

「リィンちゃんもしかしてペットのこと穀潰しって言ってる?」

 

 私はアーロン達に『命令に従わなければろくでもない目に遭う』という事をこの船にいるうちに仕込むつもりだ。

 

 ペットだなんてそんな。

 せいぜい船に住んでるネズミくらいなものだよ。非常食。

 

「で、サンジさん。生鮮食品達どう処理するですか?」

「うーん……。冷蔵庫足りないしな。肉類は凍らせても野菜類が微妙な所だけど」

「じゃあ保存用の木箱を綺麗にすて、私が凍らせましょう。野菜類は少し鮮度ぞ悪くなりますが、フリーズドライ……乾燥させるすて保存期間長くしましょ」

「出来るのかい?」

「もちろん!」

 

 魚人3匹は労働を嫌がっている。

 私は早速縄を解いて……口の中に私が気まぐれで作ったお菓子(数ヶ月前の物)を入れ込んだ。

 

「ーーーーーーっ!!!!????」

「おえっ!ゲボ!」

「チューーーーッ!!?」

 

「お前らが作業しなければ、私の愛情ご飯が主食になりますぞ?もちろん副菜もこれ」

 

 私のダークマターは体内に取り込むと卒倒する。ただまぁ時間経過で劣化しているため、口の中に入れるだけで大分な被害になったようだ。

 

「小娘何を食わせた!」

「リィン様。デショ?」

「はぁ!?」

 

「手足が、アーロンさん、手足が痺れて来て……!すぐに吐き出したというのに……!」

「この世の終わりを見た気がする……なんて前衛的な味なんだ……」

 

 真っ青な顔をしてガクガクと震える3匹に、私は追加の指令を放った。

 

「あと3分」

「チィッ!」

 

 いやいやながらもアーロン達が作業し始める。

 

「で、サンジさん。野菜の乾燥の試作でも作るすてみますか。キャベツで行きましょう」

 

 調理ではなく乾燥なので毒物にはならないと思うのだけど、物は試し。ダメになったらその時考えればいい。

 

「うん、無駄にならない程度に頼むよ……」

「……じゃ。砂漠(デザート)風」

「ん?今なんか技名凄い適当じゃなかったか?」

 

 私の手が触れた食材から水分が失われ、ミイラ化に成功した。

 

「一瞬で!こんなキレイに乾燥するのか……!」

「はいです。七武海のクロさんが人体を乾燥させて殺すていた技を再現しますた。私も使えます!試してみましょうか?」

「それ、え、人体にって事?」

「3匹も2匹も変わらぬかと思うすて」

「「「ビクッ!?」」」

「やめてあげて。それより野菜に水分を戻すのって水につけるんでいいかな?」

「……はぁい。ひとまずやってみますか」

 

 人体には使えないんだけどね、私の技。

 脅し程度だよ。

 

 サンジ様が乾燥野菜を水に付け、しばらくするとぐんぐん水分が吸収され、次第に元の姿に戻って行った。

 切り干し大根とかそういう奴じゃなく、一瞬で乾燥させたのが原因なのか分からないが生鮮食品と捉えてもいいほど。

 

「…………革命だね」

「……私もそう思うです。あ、革命と言うすれば、サンジさんおかまどうなったです?」

「しらほしちゃん見たら治ったよ」

「良かった……!」

 

 美女をぶつけるのが正解らしい。余計なことしてくれたなイワンコフさん。

 

「あ、3分」

「お、終わるわけねぇだろ?そもそも包丁を持つのだって俺たちは経験がほぼねぇんだから、チュッ♡」

「はい?それ、私の命令と関係あります?」

 

 理不尽の権化になろう。

 この3匹にとって、恐ろしくて逆らえなくて逃げ出したいのに逃げ出せない存在に。

 脱走してもいいよ。脱走したら、私、すぐに捕まえるから。海兵としての性ってやつかなえへへ。

 

「──リィン!大変だよい!白い竜(ホワイト・ストローム)に巻き込まれる!」

 

 マルコさんが慌ててキッチンに入り込んできた。

 

 10分やそこら目を離しただけでどんなトラブルを引き起こすんだ甲板の人間共は。

 

「ちっ、命拾いすたな」

 

 アーロン達に吐き捨てると、マルコさんに続いて出る。

 

 白い蛇のような渦があり、もう巻き込まれる寸前。船から縄が伸びていて、どうやら縄の先に海獣がいるから余計引っ張られているらしい。

 

 

「あーもう、ホントやだ」

 

 とりあえずもったいないので深海魚は船に取り込もう。

 

「ジンさん、操縦を」

「……まさかとは思うがリィン、この渦に乗るつもりか?」

「出来るでしょう。ジンさんと私と、ナミさんなら」

 

 船に乗り込み切らないだろうけど仕方ない。

 サンジ様にさっさと切り分けて貰って、私はめいっぱい集中した。

 

「ナミさん、指示!」

「まずこの渦を避けようって選択肢は無いの!?」

「我らの愛しの船長が、ロビンさんの説明ぞ聞くすて『ワープ海流』って期待すてるですよ!?船長命令が出る前に覚悟ぞ決め……」

「船長めいれーだ!リー!突っ込め!」

「…………ほら」

 

 あのね、これ。

 ロジャーもやってたんだわ。

 

「おいよせ麦わら!下等生物が海でどうにかできるわけないだろ!」

「やってみなきゃわかんねぇ!」

「やって失敗したらそれまでだろうが!いいか、こういう渦は魚人族でさえ避けるんだよ!」

「そうだぜ麦わら〜!アーロンさんの言う通りだ、早く避けろ!」

「──俺の仲間なら出来るよ」

 

 無自覚なのか自覚しているのか、遠慮なく信頼をぶつけてくる。

 

「ジンさん、ようこそ未来の海賊王の船へ」

 

 操舵が上手いの知ってるから、頑張ってね。

 私は箒に乗ってスタンバイした。

 

「……本音は?」

「ルフィの選ぶすた指針の真ん中、あそこはすっごく嫌ぞり!対処法が無き!」

 

 だって航路の先にあるライジン島だけは嫌!

 だって雷が降り注ぐ島だよ!?数人ならともかく、この人数を相手に雷対策するのって私しかいなくない!?それなら博打でいいからライジン島の航路外に行くほうがいい!

 

 治安のいいミストリア島に行けなくてもいいから、せめてリスキーレッド島にしたかった!滞在困難な島だけは絶対嫌!あとライジン島は記録指針(ログポース)溜まるのに1年くらいかかる最悪な場所なんだよぉ!

 

「デッドオアデッドがデッドオアアライブになるのであれば、私はこの渦を喜んで乗りこなすです!」

「リィンも苦労しとるんじゃな」

 

 最初の航路を私が調べてないわけが無い。

 拒否の姿勢を保てば、ジンさんは諦めた。

 

「全員、船にしっかり掴まれ!」

「おでまだ死にたくないいぃいい!」

「帆を下げて!リィン、真ん中に固定して!」

「承知です。ジンさん、大雑把にサポートするですから、渦の真ん中にするにはどっち方向に船ぞ進ませますか!?」

「便利じゃなお主!?」

 

 ワタワタと混乱する船内で、ほぼ初見の3匹や白ひげ海賊団は呆然としている。

 

「普通は、安全な航路を選ぶのが船長と航海士の仕事なんだけどねい!?」

「リィン……お前は常識を知ってんのかい……」

「マルコさんビスタさんうるさい!」

 

 集中を乱そうとするな。

 幸いにもジンさんの操舵の腕だけでわりと何とかなりそう。

 

「おぉ……俺の仲間ってほんとにすげーな」

「「「「「言ってる場合か!」」」」」

 

 ルフィがイレギュラー5人に叱られている。

 

「正面ぶつかる!」

「避けます!」

 

 ジンさんの素早い反応に私は一気に渦の外へと船を動かした。

 急な上昇に皆の体が吹き飛ばされたけど、シャボンが割れたり船が大破するよりはマシでしょう。

 

「うわっ!」

 

 渦を抜けたその先は巨大なクジラの群れだった。

 一行はクジラの群れの海流に乗る。

 

「あ、そういうすれば」

 

 ここまで結構な距離を移動したのだからもう魚人島の出口からは遠く離れているだろう。

 

「良かったですね、あのまま素直に海上に上がらなくて」

「うん?どういうこと?」

 

 ビンクスの酒をBGMに私が漏らせば、皆が私の言葉に首を傾けた。

 

「海上では海軍本部の中将達が後半の海に入るすた海賊を捕まえる為に、いっぱい待ち構えていますたから」

 

 ちなみに海上に出ても燃え盛る海だったので、ちょっと災厄度合いで言ったらライジン島と変わらなかったのかもしれないかな。

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