2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第295話 毒と出会い

 

 先行して建物を出たら、この島に居ると予想していた通りローさんが居た。

 そしてこちらも同じく予想通り、盗聴の追っ手としてスモさんが居た。

 

 だってほら、錦えもんさんの切り口ってどう考えてもオペオペの実。

 

 ローさんがいなければわざとちゃんと捕まって黒幕と状況を判断しようと思っていたけど、ローさんがいるならいいや。

 クルーが居ないから単独だろうし、潜入してるならキャプテン大好きマン達が誰かはそばにいるだろう。

 

 

 『麦わらの一味達』『海軍』『ローさん』の名目や目的はそれぞれだ。

 

 

 『麦わらの一味』はこの島から子供を連れて出たい。

 

 『海軍』は海賊を捕らえる。

 

 そして『ローさん』は上記2組を追い出したい。

 

 

 この中で最優先はローさんの言い訳だ。海軍を追い返そうと思ったんだけど、麦わらの一味と海軍のせいで両方潰し合いが始まって……。

 と、言い訳をさせたい。

 

 だからローさんが海軍にどれだけダメージを与えても、海軍が引けない撤退できない理由が欲しかった。

 

「え……?え?」

 

 それがたしぎさんの誘拐に繋がったのだ。

 

 現時点のスモさんの部隊のメイン将校はスモさんとたしぎさん。スモさんを失うと海軍は痛手なので、見捨てられないくらい人質としての価値がありつつ麦わらの一味達の話を聞いても問題ない人材を狙った。

 後者の理由を重視するのであればもちろん月組でも良かったんだけど、将校では無いからね。

 

「ごめん、本当に何が起こってる?」

「あー、まあ、私の持ってる情報があまりにも多き故の判断故に、この対処です一旦、避難ぞしましょう」

 

 少し離れた場所に洞穴があるためそこに避難させる。素足で薄着の、着の身着のままじゃ逃げられない服装をした子供たちの対処が先だ。

 

「流石に巨人サイズの冬服とか、リィン持ってないわよね!?」

「そんな流石に……」

「そうよね」

「持つすてますけど」

「持ってんのかよ」

 

 ポイポイとアイテムボックスから取り出す。数足りるかなー?

 足りなかったらどうしよう。

 

「量が業者……」

「リィンちゃんなんでそんなに持ってるの?サイズ、誰とも被らないのに」

「なんでって……」

 

 私はちらりとジンさんを見た。

 

「む?儂にも合わんぞ?」

 

 シャークとか、バットとか、セラフィムって基本的に体格の大きい子供服が必要だし、成長速度えげつないからサイズ展開多めに買っただけだ。

 もーどんどん合わなくなってくるから、今ベガパンクにサイズ変更可能な衣服の発明をお願いしているところ。

 

「拙者の力は必要無かったでござるな」

「錦えもんさんは、何かの能力があるですか?」

「よくぞ聞いてくれた、拙者、妖術の使い手である。小石や葉を頭にのせ、拙者が妖術を使えばたちまち衣服が現れる、というものだ!」

「はよ言え!」

 

 ゴツン、とナミさんが錦えもんさんの頭をぶん殴った。

 

 出入口に雪の塊を積み上げ、かまくらのようにして中で火をたく。私は雪だるまみたいに何重もの服を着た。想像以上に寒いです、ここ。

 

「リィン、どこに行くんじゃ?」

 

 私が帽子とゴーグルまでつけて露出した箇所を極端まで減らすと、ジンさんが首を傾げた。

 

「船の回収と迎えですぞり」

「まっ、待ってください!堕天使!」

「あ、たしぎさんは人質故に、大人しくすてて下さいね。心配ですたらジンさんの傍に。ジンさん、たしぎさんお願いするです!」

「任せい、ほらたしぎ、こっちの方が暖かいぞ」

「人質ってなんでしたっけ?」

 

 すごく不思議そうな顔をしたたしぎさんを置いて、分かりやすい位置に魚人を置いて目印にして、私は空へと飛び立った。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「はーい、回収終わりますた」

「お疲れ様です!いや、めっちゃ助かった……」

 

 麦わらの一味、大集合である。

 

 

 まずはマグマエリアに向かっていたルフィ達を迎えに行った。マルコさんとビスタさんは眠らされる前にちゃっかり逃げていた様で、ルフィ達と一緒にいたのは手間が省けて助かった。

 マルコさんとビリーがいるので、空中飛行にて回収だ。

 

 続いて探しに向かったのは船。サニー号をアイテムボックスに仕舞い、その帰り道でブルックさんを拾えた為回収。

 

 なお、錦えもんさんの下半身はルフィが、上半身はブルックさんが回収していたようで、ここで無事全身が繋ぎ止められた。

 

「はい、それでは説明ターイム」

「ちょっっっと待てリィン」

「なんですウソップさん」

「その電伝虫、どこに繋がっている?」

「どこって、スモさん」

「お前お前お前お前ーー!」

 

 私が説明の手間を省くために取り出した電伝虫に文句を言い始めた。

 ローさん、電伝虫スキャンしなかったんだね。まぁ、海賊側に人質いるから下手なこと出来ないって結論なんだろう。

 

 

『てめぇらうるせぇ!黙ってろ!』

『うおおーーんたしぎちゃーーん!』

『リィンちゃーーん!』

 

 電伝虫の向こう側でなんとやかましい事か。

 

「細かくはローさんに聞いてみなければ分からないのですが、現状私の把握してる範囲ぞお知らせしますね」

 

 空気を切り替えて説明を始める。

 たしぎさんは未だに困惑している中、ジンさんの隣に座っていた。慣れて欲しい。これが女狐のやり方です。

 

「まず、このパンクハザードには麦わらの一味の同期の王下七武海、ローさんが利用してます」

「敵?味方?」

「私的には味方です」

「これ七……」

 

 はっきりと区別つけることはできないけど、個々で打倒ドフラミンゴの同盟を結んでいるからローさんとは協力関係だ。

 エースを救ってもらった恩もあるし、世間ではルフィ達と兄弟だと思われているし。

 

「で、この島の、子供たちぞ誘拐すた黒幕ですが」

「リィン、ちとすごすぎんか?何故ここで黒幕が分かる?」

「あー、ではちょっと後ほど理由は説明しますね」

 

 ジンさん視点だと確かに情報は足りていないから判断ができないだろう。

 

「黒幕の名前はシーザー・クラウン。端的に言うとクズです。彼はガスガスの実の能力者で、人体実験や兵器開発を主に生業とする科学者です」

『聞き覚えがあるな』

「元々海軍科学班所属で、ベガパンクの部下として活動すてますた。4年前のこの島で起こるすた実験の事故で、退職。その後賞金首として名前を馳せますたが、現在はとある海賊の後ろに隠れるすてひっそりと活動中です」

「とある海賊ってのが気になるねい」

 

 スモさんとマルコさんが電伝虫を繋ぐのはアラバスタ以来か。そう考えるとすごく不思議な縁だな。

 

「で、ローさんは恐らく。とある海賊狙い故に、シーザーの仲間になるすたフリをしてる、っていうスパイ活動中ですね」

「なるほど、それで」

「さて、普段であればこれ以降は説明せぬのですが、動機として必要であるため私がなぜシーザーが黒幕だと判断すたのかの説明をします」

 

 私は全員の顔を見、そしてチョッパー君とマルコさんに最後に視線を合わせるとにっこり笑った。

 

「私が元海軍雑用なのはご存知ですよね」

『俺たちの!同期だぜ!』

「ありがとうです月組。……実は私、幼き頃から耐毒実験すてますて」

「は?」

「特別毒は効かぬのですが。最初は毒の耐性がどれくらいなのかを判断する実験、だったのですが、いつの日からか『どの強さで毒が効くのか』『毒耐性持ちを毒殺する実験』などにシフトチェンジすていきますた」

「はぁ????」

「チョッパー君に没収された酔い止めありますよね」

「う、うん。体に良くないものが沢山入ってたやつ……ってまさか!」

 

「──私は、雑用の時代シーザーの実験体ですた」

 

 あのマッドサイエンティストが主治医だなんて終わってる。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 12年前──

 

 

「かがくはん?」

「そう。リィンちゃん胃薬も効かないって言ってるでしょう?強くしてもいいんだけど、一度どのくらいの強さまでなら常用していいのか把握してくるといいよ」

 

 海軍本部の医務室で、何度目か分からない胃痛を訴えると、主治医になっていた先生が紹介状を書いてくれた。

 

「それに君、トリカブトも効かないみたいだし」

「えぇ!?私いつの間に摂取完了ぞすてますたですぞろりんちょ!?」

「なんて?」

 

 後ほど知ったが、海賊と繋がりがあった海兵が嫉妬に駆られて私の食事に混ぜていたらしい。

 ただ、真意は分からない。どの道死んでしまっているのだから、真相はどうでもいいだろう。

 

「海軍、危険……」

「センゴク元帥には許可もらってるから」

 

 当時もう海軍大将になっていたから上長という人が居なかった。センゴクさん、胃痛持ちだから名前出たんだろう。

 

 箒で行くと、驚かれたが能力者の中では空を飛んだり単独行動出来る人も少なくないことから、すんなりパンクハザードに入ることが出来たのだった。

 

「はじめましゅて、リィンっていうです。誕生日不明故に4歳か5歳か把握不可能です。えっと、カルテ?を所有すて飛行すてこちらに到着しますた」

「言語下手クソだな」

「うぎゅっ!」

「シュロロロロ!まぁいいだろう!要件は胃薬の効きにくさ、だったな。赤子に言えたことじゃないが馬鹿みたいに常用していたらそれこそ効かなくなるもんだ!」

 

 シーザーとはそこで出会った。

 

「ほう、おもしれぇ!この前に毒を受けてから毒耐性が他の人間と比べて頭おかしいくらい高い!」

「そうなのです?」

「いや嘘だ!これは重大な病気が隠れているかもしれねぇな……!治療してやろう、定期的にここに来ることだ!」

 

 合法的なサボりという事でよろしいかな。

 普通の子供ならごまかせただろうが、体が危ないと嘘ついているのは分かった。

 

 けど、当時の私は小心者の中でもトップクラスに正直。断れなかったのだ。ぐすんぐすん。決して私に効く胃薬を開発してくれないかなっていう下心があった訳では無い。ないったら無い。

 

 

「さぁ注射をするぞ〜痛くないからな〜」

「ドクター」

「シーザーでいい」

「シーザー!」

「呼び捨て」

「視界ぞ回転クラクラする」

「効いたか!これは効く、と」

「あ、回転消滅」

「なんだと!?」

 

 時には注射。時には空気。時には経口。

 摂取しているのは薬ではなく毒だということは分かっていた。最初は怖かったけど、私にとって効く範囲と効かない範囲がわかっていたら生存確率が高くなるのは知っていたから。

 

 

「──おかしい!なんかどんどん毒耐性上がっている気がするんだが!?」

「ぶっちゃけるすたね?」

 

 8歳くらいになれば既に毒投与してますよ、と暴露された。

 

「シュロロロロ!上に正式な許可取ったからな!貴様は貴重なサンプル!お前の毒耐性のデータは血清とかな、毒物開発とか、色々役に立つんだよ!」

「次はどの毒です?」

「海王類にも効くと言われる物を3種類ほど取り寄せた!どこまで耐えれるか見物だな!」

 

 

 

「──なぜ効かん?」

「それを患者(?)に聞くですか!?」

「おかしい、あまりにも効かなさすぎる。初期症状としてあった目眩や吐き気も次第に無くなって来ているだろう!?」

「だから!それを!解明するの!シーザーの仕事!」

 

 わざわざインペルダウンから取り寄せた毒が効かなかったのでお察しだ。インペルダウンから脱獄する時はその保証があったから大いに助かった節がある。

 

「(くそ、なら常用だ……!)ところで、毒は効かないが薬にはまだ耐性が低いから、毒で強靭になった身体なら強めの酔い止めでも効くだろう」

「えっ!」

「数年かけて開発した超強力な酔い止めだ!胃薬はまだ待て。副作用があればすぐに報告しろ」

「イエッサー!」

 

 

 

 

「──お前を毒殺したい」

「うわぁ…………」

「どこまで耐えられるかな、じゃなくてもはやいつ殺せるかな、という域に来ている」

「その割には段階ぞ踏むすて毒投与しますぞね?」

「そりゃそうだ!俺にもポリシーがある!最初から最終兵器を取り出すのは科学者として敗北を認めたようなものだ。せめて新しい毒を作るとか」

「科学者の精神よく分からぬです。殺害だけじゃなくて睡眠とか麻痺とか、私、そっち系はどれくらい耐性あるです?」

「それは調べてなかったな……調べるか」

 

 

 

 

 月に1度、多い時で2度。わんちゃん七武海よりも会う頻度は高かったように思える。

 おかげでほとんどの毒が効かないことが分かったので、毒を武器に戦うことが出来ている。

 

 助かったし、便利だったけど、それはそれとして不服極まりない。

 

 

 

「シーザーが行方不明?」

「あぁ、心当たりは無いか?」

「場所はちょっと分からぬですけど、どうせ海賊の庇護下にいると思うですよ。四皇や七武海辺りが狙い目ですね!」

「ふむ」

「ブローカーとしての名前があるのがドフィさんで、悪徳商人の名前があるのがクロさん故に、どちらかと言うと七武海だとドフィさんかと」

「まてまてまてまて」

「あとは四皇で言うすると、白ひげと赤髪以外?彼ら、私の毒耐性実験の医師の名前ぞご存知済み故に。多分気に入らぬと思うですぞ」

「海賊と!プライベートな!付き合いをするな!」

「いや別にプライベートでは無きですって」

 

 ゴリゴリプライベートだったけど、センゴクさんへ目的を漏らしていないこともあって『情報かすめ取るために警戒心少ない様子を演じてるんですー』と言い訳をしておいた。

 実際、賞金首になっているから海賊に族を売るようなものだ。

 

「まぁ、お前はシーザーのお気に入りだったから、もし連絡が来れば報告をするように」

「もちろんです。あのド変態マッドサイエンティストは世のためにならぬですし」

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

「ま、以上が私の、聞くも涙語るも涙の私の人体実験録です」

「そんな……!いやいや泣くリィンちゃんにそんな酷いこと!」

「おれ、おれ、ゆるせねぇ!!!」

「昔聞いた名前だと思ったら、やっぱリィンだったかよい」

「シーザー、ぶっ潰そう」

「おうとも」

「そんな……マスターがそんなひでぇ事を……?」

 

 ごめんシーザー、ちょっと煽りすぎたかも。

 大人しくくたばってね。

 

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