2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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回想会です


第297話 出会いの物語

 

 私が海軍に初めて来たのは4歳の頃。割と昔のことなので記憶があやふやで、小悪党程度の話を覚えてないから原因は不明だけど大怪我を負っていた。

 

 背中にはざっくり傷があり、より悪いことに武器には毒が塗られていたというのが当時の記憶だ。まー、過去に飛ばされた時にも同じような位置で斬られてるからあんまりエピソードとしての強さはないんだけどね。

 

 

 毒は時々ふらつくくらいだったのだけど、怪我が大きすぎて2ヶ月は絶対安静、っていうのがアラバスタのお医者さんの診断結果。

 

 

 だから血液が足りないのか傷によるのか毒なのか分からないけれど。

 私は人知れずぶっ倒れることが多かった。

 

 

 

 

 

 

「あちゃまボン……」

 

 頭と背中が激しく傷んで、熱っぽさから地面にベショリと倒れ伏した。冷たくてヒンヤリする。

 

「背中、ビリビリ」

 

 掃き掃除と拭き掃除をしていたので幸いなことに床は綺麗。とはいえ、時間帯の影響もあり人通りも少なく私を起こしてくれる人は居なかった。

 

 

 

「……ったく、うるせぇな」

「うるさいのはどっちよ。ヒナ驚愕。だいたいスモーカー君が早く準備しないからでしょ」

「あーもう、うるせぇって」

「早く少将のところに行くわよ」

「あいつ嫌いなんだよな……。しかもクソ女も」

「スモーカー君!」

 

 ガヤガヤと人の声が聞こえてきた。

 

「だいたい、あなたは勤務態度が悪いから私にも階級で負けるのよ。スモーカー中尉?」

「俺は別に地位に興味無……──子供?」

 

 私が倒れているのを見た男女が驚きの声をあげた。

 

「こど、こども!?」

「おい、大丈夫か?」

「びゃい……」

「良かった。意識はあるのね」

「スモーカー君、誰かに頼んで医務室に連れて行ってもらうように命令を」

「いや、俺が連れていく」

「正気!?あなた降格どころか首も寸前なのよ!?せめて私が行くべきだわ」

 

 男の人に持ち上げられ、お姫様抱っこされそうになるのを必死に押しとどめる。

 

「嫌がんな」

「違っ、背中、背中、傷、存在」

「……?抱え方を変えればいいのか」

 

 うつ伏せ状態で持ち上げられた。

 

「ヒナ、あの野郎になんかいっとけ」

「スモーカー君!」

 

 

 

 ==========

 

 

 

「助かったよスモーカー君」

「この子は雑用か?」

「ああ。ちょうど1週間くらいまえかな?ガープ中将が連れてきたんだよ。背中に大きな傷と致死量の毒が付着していてね」

「はぁ!?」

「安静にしているはずなんだけど、なーぜーか、動き回るからねぇ?」

「うぎゅ、不徳の致す所ですぞ……。感謝感激雨ザーザーですぞりんちょ。腹ぞ切って詫びますです」

「君が切ってるのは腹じゃなくて背中」

 

 先生に怒られる。うぐぐ、ツッコミレベルが高いよォ。

 

「熱もだいぶ高いし、抗生剤効いてないし、傷開くし、グルッグル巻きにしておくから」

「まぁ、俺はもう行くから」

「ありがとね、あのままだと本当に危なかったから」

「ありがとう、ごじゃります……」

 

 私がお礼を言うけど、なんか首とか言われてたことを思いだして苦い顔をする。それに気付いた男の人は簡単に私の頭を撫でた。

 

「気にすんな。ガキは甘えてろ」

「プギュンパ」

「???」

 

 

 

 なので、私はドクター命令で部屋に戻ると見せかけて彼を追いかけて行った。

 

「──スモーカー中尉、一体遅刻は何度目だ!」

「少将、今回はスモーカー君は人命救助をしていたので……」

 

 ぽやぽやする頭で聞き耳を立てれば、部屋の中で怒号が聞こえてきた。

 言い争うの男女2人ずつ。計4人。内、2人は私のことを助けてくれた2人だった。

 

 遅刻はダメだよ。そりゃ上司怒るよ。

 そんなことを思いながら聞いていると、その考えを否定する様な言葉が聞こえてきた。

 

「チッ、だいたいよぉ?てめぇが集合時間を誤って俺だけに伝えたり、休日に呼び出したり、無茶苦茶な司令ばっかりするからだろうが。なんだって俺にそんなに目の敵にしやがる?」

 

 あ、そりゃ上司が悪い。

 

 それより、上司の地位が少将ってところが気にかかる。中尉って割と下の方だよね?

 

「あぁ、そうか」

 

 私を助けてくれた人はふと心当たりを思い出したのがそんなことを呟いた。

 

「そうだっなぁ、てめぇの愛人の、副官のクソアマは。ごほん、失礼、少佐様は俺にフラれたんだったか?そりゃ目の敵にするわな」

「貴様……っ!」

「スモーカー中尉!少将に失礼よ!だいたい私がどうしてあんたなんか!?」

「はぁ……スモーカー君……あなたって人は……」

 

 これだから職場内恋愛ってやつは拗れるんだよ。

 言い争いはエスカレートしている。男の人は日頃から態度は悪いものの上司の理不尽さに潰されかけているのがよく分かった。

 

 メンタル面じゃなくて、組織面でね。

 もちろん地位も何も無いただの雑用以下の私が出来ることは何も無い。うん、何も。

 

「ごほん。もし、私と彼女に泣いて謝罪を……あぁもちろん土下座だ。それをするのであれば降格のみでこの場は見逃してやろう」

「断る。反吐が出るな」

「……余程海軍に居たくない様だね」

「てめぇらみたいな腐った奴らの下に居るくらいなら海軍なんざ辞めてやるよ」

「スモーカー君!」

 

 正義感が強すぎるがあまりの発言にちょっと待ったをかけたい為、私はコンコンと扉を叩いた。

 

「誰だ!」

「お邪魔しますです!」

 

「……さっきの」

 

 私を見て驚く2人を無視して上官に話しかけた。

 

「だいいちゅ、だい、いち、雑用部屋所属、リィンです!この度、すみょーか、すもっ、か、彼に救命ぞされですた。ありがとごじゃりますぞり!」

 

 私がぺこりと頭を下げると少将は微妙な顔をしていた。遅刻の証拠がやってきたのだ、怒れるまい。

 

「素人質問で恐縮ですが」

 

 私は手を挙げて少将に質問をした。

 こ、こちとらガープ中将の孫だぞ!到着してから元帥と大将にもお目通りしたくらいなんだからな!ふん!う、怖い。

 

「彼の普段の行動は上官による命令が原因との事が多きようですし、司令を出すに当たって原則上官の少将も責任を負う必要ぞありますが、具体的な責任行為は何ですか?」

「は?」

 

 軍事規定に、上官は下士官の責任を負う必要があり、命令であれば必ず責任を分けなければならないというものがある。

 命令であるなら尚更、部下だけの責任へと押し付け無いようにっていうルールだったはず。パラッと見ただけなので全部は頭に入ってないんだけど!

 

 部下が勝手にやらない限りは責任を持たなければならないってことはだよ。時間変更だったりそう言う命令には上官も責任とらなきゃ行けないんだよ。

 

「それに、人材は財産ですが、私事ぞ一致する命令等はハラスメントですぞり。しかもなんですたっけ、愛人?って、へー、少将指輪装着済み!愛人少佐は指輪無しですぞり?もしかして、不倫ですか?」

 

 私は強がって微笑んだ。

 目が怖いよぉ。

 

「ご教授願うますです!」

 

 教えて偉い人!いや教えてエロイ人。

 不倫たよね?

 

 なんて煽り気味で言っていたら少将は私の言葉が聞き取れなかったのか都合が悪かったのか分からないが無視をして押し寄せようとした。

 

 私ね、こういうの嫌いなんだ。

 

「あう!!」

 

 私は押された拍子に背中から思いっきりぶつかった。背中の傷に痛みが走ってツンっと体全体が痛みを訴える。

 

 理不尽な力を振るうのが大人の特権だと思うなよ……!この人は私を助けてくれたんだから、恩返ししないといけないんだよ!

 

「うっ」

「大丈……!」

「うわぁああーーーーん!たす、たしゅけてーーー!!!うぎゃぁぁぁぁああああん!!!」

 

 天よ割れろと言わんばかりに大泣きする私の声量にびっくりしたのか部屋の中の4人は全員驚いた顔をする。

 

「ころしゃれるーーーー!!うわあーーーん!!パパぁーー!ままあーー!!──じじーーーー!!」

「黙れ!!」

「あばあぁぁぁぁ!!!」

 

 防音設備なんてないこの場所。声はもちろん外に響く。

 

 少将はうるさい私を殴りつけようとした。

 

──ゴン!

 

 私を庇ってくれたのはスモーカー中尉だった。

 ぽたぽたと血が流れる。

 

 どんな力で殴るつもりだったのか分からないしもしかしたら寸止めするつもりだったのかもしれないけど、大人の頭から血が出る程の威力。

 ただでさえ弱っている私が受けたら、一発で死んだかもしれないと気付いて……さらに大声を上げた。

 

「ジジーーーー!たしゅけてえええっ!」

「──リィン!!!」

 

 ジジは私の予想通り駆けつけてくれた。

 

 室内の惨状を見て混乱する様子。

 私はスモーカー中尉と駆け寄ってくれたヒナ少佐の腕や体をぎゅっと握った。

 

「ジジっ!この2人が、リーの友達殺そとする!リー、怖き!たしゅけてぇぇえ!」

「殺そ!?この程度で殺せるわけが」

「リーのこと庇うしゅたの!でも、ゴツンって!リーも背中!痛い痛いでっ!すもしゃんも、血がいっぱいで、死んじゃうっ!」

 

 秘技・虎の威を借っちゃおう。

 

 混乱した様子のジジだったが、背中に滲む血を見たのか不倫将官に怒りを滲ませて近ずいた。

 

「……貴様らか、わしの大事な孫を傷付けたのは」

「「ぎゃーーーーー!!??」」

 

 この世の中、地位で勝てなくても汚い奴が勝つんだよ。

 

「流石に少し切れただけだし死なないからな?」

「うん。でも私なら死ぬすてたです。ありがとうごじゃります」

「うわ、冷静。もしかして演技?ヒナ困惑……」

 

 

 

 

 

 

「ガープ中将に友達って言ってたんだろ?なら友達でいいじゃねぇか。ンな堅苦しい言い方すんなよ」

「そうよ。少佐だなんて呼ばなくていいわ。スモーカー君が辞めるの止めてくれてありがとう。ヒナ感謝」

「はい!スモさん、ヒナさん!」

 

 後日七武海と女狐という虎を手に入れたのできっちり己の権威でやり返したのだけど。これが彼らとの出会いだったなぁ。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「うーん、懐かしい」

『まさかあの事件がまだ可愛げがある方だったとは思ってもみなかったけどな』

 

「…………なんて話してるんだよ」

 

 盗み聞きをしていたローさんが合流した。

 やっほー。思っていたよりお早い到着で。

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