2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第308話 ドジっ子警報発動

 

 ドフィさんから電伝虫が来た段階で、D棟には大きく動きがあった。

 

 ヴェルゴ中将がスモさんたちの方へ向かったのは把握している。なので、私は月組に向かって『敵が来るよ』というメッセージを送っていた。

 

「シーザー、モネさんは無事かな?」

「ん?モネは……」

 

 D棟ではスモさんがヴェルゴ中将の攻撃を防いでいた姿を確認した。

 ローさんもその場にいるし、一味も何人かいる。

 

「……、だよねぇ」

 

 スモさんは私の部下だ。スモさんはヴェルゴ中将を圧倒して戦っている。

 

 

 

 

 遡ること2年前。

 戦争の余波がまだ世界中に広がっている中、そして私も過去から帰ってきてすぐ、私はスモさんの移動の前に彼を呼び出していた。

 

「よ、スモーカー」

「……だからスモさんだろって」

「そうですた」

 

 私は移動の指令書をスモさんに渡しつつ、ひとつの忠告をしたのだ。

 

「幽霊の証言しかない疑念を、私の言葉を、信じれる?」

「言え。全部信じてる」

 

 即答してくれた瞬間は本当に嬉しかった。

 

「──G-5のヴェルゴ中将は、天夜叉の部下なんです」

「ドフラミンゴの、か」

「はい。間違いは、無いです。約12年前、ミニオン島で元海軍将校のディエス・バレルズが拠点にしていた場所で海軍とドンキホーテ海賊団抗争が起きますた」

「ディエス……」

「そこでの死者にドンキホーテファミリーの幹部、コラソンの死亡が確認されました。当時の指揮役、センゴク元帥により海軍は撤退」

「そこにヴェルゴが居たってことか?」

「はい。──海軍側に」

 

 ピクリと眉をひそめた。

 

「コラソン、本名をドンキホーテ・ロシナンテ。ドフィさんの実弟であり、海軍の将校でした。機密文書を海兵に渡そうとしたところ、運悪くその機密文書を拾ったのはヴェルゴです。故に、ドフィさんにスパイだとバレた」

「……つまり、ヴェルゴがロシナンテの死因の一つだと」

「ご存知で?」

 

「……ロシナンテは、俺の少し年上で先輩だった。あの若さで海軍将校になるのは凄まじい才能だったが、ドジで、急に海軍を辞めたと聞いていた」

「──リィン、ロシナンテの仇はそのヴェルゴってことだよな?」

 

 ひとつも疑わず信じてくれたスモさんに感謝しつつ。根拠が殺された者の証言しかないので、理由が言えないのをモヤモヤした。

 本当になんで信じてくれたんだよ。

 

「証拠を探してください。最大限警戒してください。そして──」

 

 

 

 

 

 画面の向こうのスモさんは混乱する海兵に指示を出している様子で、時折サンジ様やビスタさんが援護をしている。

 

「う、ら、ぎ、っ、た、か?」

「何の話だ?」

「いーや、なんでも」

 

 ヴェルゴ中将が動かした口がそう言った気がする。

 

 ふんふん、海賊と手を組んで中将に襲いかかる。まるでスモさんが裏切ったかの様に見えるだろう。

 

 残念ながらここにドフィさんの自白を確保した海軍大将がいるので、ヴェルゴ中将はほぼ無意味なことをやっていると言っても過言では無い。

 

「……そういえばシーザー」

「なんだ?」

「ローさんの心臓ってどこあるです?」

「ん?それならここにあるぜ?」

 

 シーザーはドクドクと脈動する心臓を懐から取り出した。わーお。めっちゃ心臓。

 どういう仕組みなんだろう。血液循環とか、この膜がアイテムボックスみたいになっているのかな。

 

「ちょっと借りるすてもよき?」

「いいぞ」

「えいや!」

 

 ぎゅっと握りしめたら画面の先のローさんが心臓を押さえて崩れた。

 

「あ、痛覚あるんだ……」

「なーーーーーにやってんだお前!!???」

 

 ローさんの心臓だったのは申し訳ないけど、気になってたんだよね。ずっと。

 この四角い膜はなんだろう。剥せるのかな?

 

「ばっ、おまえ、リィンさん!?何怖いことしようとしてる!?」

 

 アイテムボックスには入るのかな?

 

「あ、入った」

「何した!?何したァ!?消えたが!?心臓消えたが!?ローは生きてんのかぁ!?」

 

 姿を見た感じ生きてるよね?

 変な感じは無いって事は、アイテムボックスに入ってても私以外は取り出せないし、文字通り命握れるってことだよね。

 

「シーザー、ローさんに電伝虫繋ぐすて」

「お、おう」

 

──ぷるぷるぷるぷるがちゃ

 

『なんっっだシーザーてめぇ!心臓握りやがったな!?』

「いや俺じゃ」

「ローさん!シーザーからローさんの心臓奪いますた!」

「ホントにどこやったんだリィン!?」

 

 シーザーの否定をかき消して私はシーザーのほっぺたをむぎゅっとおして喋れなくする。

 

『ロー、誰と話して……』

「ローさん交渉です。そこにいる、中将一人。貴方の大っ嫌いな人の心臓と交換です!」

 

 スモさんの声が聞こえたってことは、向こうにこちらの指示もしっかり伝わってるはず。

 ちゃりと電伝虫を切ると、シーザーは不思議な顔をしていた。

 

「どういうことだ?」

「ローさん、スモさんのこと大嫌いって言ってたです」

 

 嘘だ。

 ローさんはシーナを殺したヴェルゴが憎いはず。

 

「故に、『中将の心臓』と言えば必ず……」

 

 そう、必ず。

 

「スモさんの心臓を取って……あれぇ!?」

「なんでヴェルゴの心臓取ってんだあのガキ!」

 

 ──ヴェルゴ中将の心臓を取ってくる。

 

「あちゃー。ドジっ子発動すた」

 

 これが必殺。ドジっ子発動(故意)してスモさんの心臓取るはずが中将ってところに注視しすぎてヴェルゴ中将の心臓を取ってくる作戦。

 

「ドジっ子っっっっ!!」

 

 シーザーがひっくり返った。

 

「ジョーカアー……俺もう……このガキ共嫌だァ……」

 

 私はまぁ契約は契約、ということでヴェルゴの心臓を遠距離からアイテムボックスでパックン、とけす。

 

 ローさんが返しちゃわないようにね。

 

 突如消えた心臓に、場は戦闘とかそっちのけで大混乱の気配が見える。

 

 ふん、たかが海軍中将一人。守りながらとは言え、麦わら側の戦力は過剰。あと五人欲しい所だけど。

 まぁ、見たかった範囲は見れたかなぁ。

 

 

 

 

「シィーーーザァーーー!!!」

 

 ほぅら、主人公のお出ましだもの。

 




久しぶりに日間ランキング乗りました。ありがとうございます
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