2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第310話 グロテスクな映像は未成年NGなので

 

 ルフィがピンク色の竜を肩に巻いて、正確にシーザーの居場所まで辿り着いた。

 見聞色、だいぶ鋭いみたいだね。

 

 C棟D棟共に順調にR棟へ集結しつつある。

 

 子供たちの体力がやばいけど、その分他のメンツが代わる代わるサポートと戦闘を繰り返し傷1つつけないようにしている。

 特に魚人達。彼らのやる気がすごいな。

 

「シーザー……!」

 

 ルフィの怒りまじりの声に、私に向けられているわけじゃないのに怖くてちょっと震えた。

 怒らせちゃダメな人がいると思うんだ。そいつです。割と敵でも嫌いな人間があまりいない全方位善良型のルフィを怒らせたら、だめです。

 

 ……スパイの私はそっと遠い目をした。

 

「おいリィン助けろ!天才のシーザー様がボコボコにされげふっ!」

「俺のリーを見るな!触るな!気安く呼ぶな!」

「ほぎゃーーー!!!!部下!俺の可愛い部下よ!!!ぼべぶ!?」

 

 シーザーの可愛い部下なら、私がC棟とD棟に向かわせたんだから居ないに決まってるでしょ?

 

 モネさんも意識喪失。ヴェルゴも戦闘は厳しい怪我。

 

 今気付いた?

 孤立無援になってた事に。

 

「にぃに……。怖き……!」

「今俺が一言も喋らないくらいにぶん殴ってやるからな!待ってろ!」

 

 ピンクの竜がはわわ、と恐ろしいものを見たかのようにルフィから距離を取った。

 ルフィが肩に巻いてたくらいなんだから敵じゃ無いだろう。

 

「おいでおいで」

 

 ピンクの竜はそろりそろりと近寄る。

 

「お、おなご。ルフィは大丈夫なんでござるか?」

「あれ、侍さん?」

 

 ワノ国の言葉遣いだ。

 私の言葉に、竜は嬉しそうな顔をした。

 

「いかにも、侍とは拙者のことである!よくわかったでござるな。こんな、面妖な姿であるというのに」

「錦えもんさんが光月(・・)モモの助君を探すすてたんです」

「なんと。それはお手数をお掛けした。おなご、お主はまだ幼子であろう、拙者が守ってやるからな!」

 

 はは、足元にしがみついてた小童が偉そうに。

 

「ありがとうです!でも私、モモの助君の2倍は生きるすてるですよ」

「でもおなごであろう?」

 

 おでんみたいに成長したら守ってちょうだいね。

 私はモモの助の頭を撫でて彼を抱っこした。

 

「では私にくっついて守るすててね」

 

 ルフィの暴力が止まらないので殺す前にストップしなきゃな……。やれ!そこだ!アッパー!ふぅ!私のにぃにったら最高だね!

 

 

 

 

 

「──何、してんだ?」

 

 ぴくぴくと震えるシーザーを尻目にローさんが見下ろした。

 

「あ、おかえり。ローさんと、アーロン?」

 

 ルフィがシーザーをボコボコに決めた後、一足早くC棟の人達がR棟にやってきた。

 アーロンがD棟に向かって行った後、D棟の面々も合流出来たのだが、何故か戻ってこなかった。

 

「何持ってきたです?」

「SADの破壊と、トロッコを持ってきた」

「トロッコ。あぁ、子供たち載せるですか」

 

 ローさんの答えに納得すると、私の足元に縛られたヴェルゴ中将がもがっと動いた。動くな、椅子になっとけ。

 

「んんー!んんん、んん゛ー!」

「なんて?」

「さぁ!」

 

 猿轡と、亀甲縛りにされている背中で手足を結ばれている姿がヴェルゴ中将の現在の姿である。

 スモさんが運んできてくれたのだ。

 

「誰か都合よく悪魔の実持ってませぬ?」

「無いだろ。何する気だ」

「海楼石で封じるです」

 

 ヴェルゴ中将の何が厄介かって、非能力者なところなんだよ。海楼石で封じても硬いだけであまり無力化出来ないというか。

 

「…………あのヴェルゴを紐1本でここまで無力化できるのか」

「当然。青キジだって無力化余裕ぞり!」

 

 人体って思っているより脆いよね。

 私は力がないから、相手の力を奪う他無いんだよ。

 

「ところでよ、SADってなんなんだ?」

 

 フランキーさんが子供たちを抱え、持ってきたトロッコに載せながら質問をした。

 

「……簡単に言えば、悪魔の実を作るための材料だ。シーザーは人造悪魔の実をドフラミンゴに渡している」

「ほー?」

「で、おそらくその悪魔の実を食べるすたのはモモの助君です」

 

 お腹が減ったのか、ヴェルゴに座っている私の膝の上で干からびた蛇の抜け殻みたいになっている。

 

「モモの助ーーー!!」

「ち、父上……」

 

 息子(君主)が突然竜になっていたらそりゃ驚くだろう。私は突撃してきた錦えもんさんの顔面を制しつつ、とりあえずトロッコに乗り込むように皆んなに声をかけた。

 

「あ、ヴェルゴ中将とモネさん、それにシーザーも載せますぞ」

「置いてけよ、邪魔だろ」

 

 ウソップさんの嫌そうな顔に私は首を横に振った。

 

「──活用方法ぞあるです」

「だから置いてけって言ったんだよ!元いた場所に返してきなさい!!」

 

 野生動物じゃないんだから無茶言わないでよ。

 

 

 ……それにしても。

 ヴェルゴ中将はそろそろ、ローさんと私たちが手を組んでいるのがわかっただろう。SADの話で大きい反応を見せていたし。

 

 ヴェルゴ中将にローさんが敵対していると悟られないようにしたのにはいくつか理由がある。

 ひとつはもちろん油断を誘うためだ。味方に対する警戒心は敵よりも少ない。きちんと中将の実力があるのだから、警戒するに越したことはないだろう。

 そしてもうひとつ。──ドフィさんに知られるのを数日遅らせるためだ。

 ドフィさんは私の『また後でね』という言葉で私たちに注目するだろう。だけど、私たちは組織ではなく単なるひとつの船の上。情報を入手するのは非常に難しい。

 

 私を最大限、警戒して貰わないとならない。

 私の一挙一動をドフィさんは警戒する。

 

 

 もう、歯車は動き始めた。

 

 パンクハザードに来た時から考えていたのは、本当に関わりたくなかったけれど『これでドフィさんの逆鱗に触れる事が出来る』という事だ。

 これまで私に服薬()指導をしてくれていたから巻き込まない作戦を作ってたんだけど、シーザーが転がり込んだのだから、ねぇ。

 

 シーザーが居なくても、その後ろにいるカイドウには睨まれていた。というか──。

 

「おなご?」

 

 モモの助が小さく顔を上げた。

 

「とりあえず、脱出ぞします。出口に向かいましょう」

 

 トロッコに乗ったことを確認して、私もほうきに飛び乗った。

 

「スモさん、欠けは?」

 

 走り始めるトロッコと並走して飛びながら、スモさんの横に行った。

 

「ねぇよ、おかげでな」

 

 誰一人、犠牲は出てないらしい。

 どうやら元囚人達だけみたいだった。子供たちを保護したら確保しておきたいけど。

 

「誰か風で出口のガス払えるか?」

「えー!?そんな特殊能力者簡単に……」

「「「「「──リィン」」」」」

「全員私指名!?他におらぬのです!?」

 

 特に麦わらの一味の人たちは、声を出さない人も私の方を見ていた。

 他にも行っていいでしょう風くらい。ゾロさんの斬撃とか。

 

 みんな休憩モードに入っていたので、しぶしぶ私が先頭に出た。

 

「すごーい、お姉ちゃん魔女みたい!」

「飛んでるー!やべー!」

 

 子供たちの楽しそうで脳天気な声を聞きながら、私は光さす出口向かって風を起こそうと集中した。

 

 が。

 

 

「……マルコか」

「遅かったねい」

 

 タンカーの前でマルコさんがお帰りと言いたげに手を軽くあげた。

 ビスタさんのゆっくりとした言葉もそのはず。

 

 毒ガスは出口に蔓延しておらず、その代わりと言っちゃなんだけど男女が倒れ伏していた。

 

「っ!バッファロー!ベビー5!」

「なんだトラ男。知り合いか?」

「いや、敵だ」

 

 マルコさんが上空を飛び回っていたんだろうな、という事は分かっていたから何してるんだろうと考えていたけど、どうやら出口を守って差し向けられた敵を無力化してくれていたみたいだ。

 

 はー良かった。

 

「リィン、サニー出してよ、サニー!」

「はいはい」

 

 メリー号の頼みでサニーと、ついでに海軍の船も保護していたので取り出す。

 

「なんだあのたしぎちゃん誘拐した子供……なんも無いところから海軍の船を出しやがったぞ……?」

「それが!」

「俺たち!」

「月組の誇る!」

「天使です!!!!」

 

「ハイハイ天使天使」

 

 私は月組の言葉を流してサンジ様に向かっていった。

 

「サンジさん、この研究所の食料ぞ奪うすてきたのですが」

「女神か?」

 

 ご飯食べたいな。

 多分、子供たちもお腹空いてるだろうし。

 

 おそらくその訴えが伝わったのだろう、サンジ様は早速大鍋を取り出し初める。

 

「リィン、大丈夫かよい?」

「バッチリですぞマルコさん」

「だいぶ大変はことになってたみたいだけど……」

 

 マルコさんは状況を何も掴めていない。海軍と簡単に手を組んだ事とか、子供のこととか。でもまぁ、とりあえず今回はひと段落ついたのでバッチリという返事をした。

 

「……悪いけど、今回はうちは巻き込まれてやれないからな」

「ビスタさん」

 

 おそらく白ひげさんの容態がかなり悪いのだろう。私はそれを分かっているので頷いた。

 

「分かるすてます。今は」

「い、いま?今といったか?今とは?」

「ただ、伝言をお願いします。『お友達連れて遊びにいきますね!』『ところで光月ってご存知?』って」

「「……っ!?」」

「イゾウさんが近くに居るすてもいいですぞね〜」

「ちょ、ちょっと待て、なんで知っ、いや、親か!?いやそれよりなぜ」

 

 それでは無視します。

 私は海楼石に縛られたモネさんと、普通に縛ったヴェルゴをズルズルと引き摺って海軍側の目の前に置いた。

 

 

 

 

「全員注目!!」

 

 私の声には海賊海軍共に届く。

 純正の海賊が海軍に指示を出すのはよろしくないだろうから、私が指示を出させてもらおう。

 

「私たち麦わらの一味とローさんは同盟ぞ組みますた。標的は天夜叉」

「いや狙いは四皇の……」

「ローさん」

 

 四皇はもちろん視野に入れているけれど。

 

「私の同盟はドフィさん。でしょ?」

 

 あくまでも、私がローさんと手を組んでいるのは打倒ドフラミンゴ同盟だからだ。

 

「海軍は、その同盟について報告を」

「は?」

「報告を」

 

 海賊の人間がそんな報告頼むなよ、って顔してる。

 

「そして、アーロン達」

 

 私は奴隷達に指示をした。

 

「お疲れ様ですた。今からお前たちは──海軍の船に乗りまぁす♡」

「「「よっしゃあ!!!!」」」

 

 おい。喜ぶなよ。

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