2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第313話 アリの巣にアルミを流し込んで型取りしよう

 

 ドフラミンゴは帰ってきたベビー5とバッファローから預かった手紙を読んでいた。

 

 

──

 

拝啓 ドンキホーテ・ドフラミンゴ様

 

今頃わたしが何を企んでいるのか分からなくて混乱していることでしょう。

まず、簡潔に情報をご説明させていただきます。

もう既に私が把握しているのをご存知でしょうが、まず一言。

 

 

よくもスパイ入れてやがったなてめぇ

 

 

──

 

 

「筆圧濃いな……」

 

 黙ってヴェルゴを海軍に入れていたことに対して、どうやら未だにご立腹らしい。

 書き言葉は標準語なんだとということに気づいてちょっと笑ってしまったドフラミンゴは、気を取り直して続きを読み進めた。

 

 

──

 

 

細かくは明日の朝刊を見てもらうのが一番手っ取り早いのですが、あなたの大事なシーザーは、麦わらの一味が誘拐しました。

返して欲しくば、大人しくくたばってくれると幸いです。交渉?そんなシャバいことはしませんとも。

 

まぁ返す時、ドフィさんの身はクロさんみたいに不名誉で着飾られてるかもしれませんが。

 

愛を込めて──

 

 敬具 リィン

 

 

──

 

 

 

 

「……今からパンクハザードに向かっ、ても、無意味か」

 

 リィンがこの手紙をベビー5経由で送ってきた、ということは海軍も海賊も逃げるのに充分な時間を稼げたから、だ。

 つまり、海軍──特に、よりにもよってスモーカーに手の内は知られてしまったと見ていい。

 

 ドフラミンゴは襲い来る激痛に顔をゆがめた。

 

 怒る時間すらもったいない。

 

「カイドウ、海軍、麦わらの一味、それにロー。考えただけで頭が痛くなる……」

 

 初手に出遅れた。

 パンクハザードでヴェルゴとモネ、そしてシーザーを油断で失った。

 

 ローだけなら正直、監視のモネだけで充分対応策が打てた。ローは狙いも分かりやすく、ローの打つ手も比較的読みやすい。

 

 だが、リィン相手じゃ荷が重い。

 予想外の手を打ってくる女が相手なら、ヴェルゴであろうとキツイ。

 

「どうするつもりだ……。このままだとカイドウに睨まれるのは俺だけじゃすまねぇぜ……?」

 

 もちろん麦わらの一味だとてそう。

 逆に麦わらの一味と手を組む可能性を視野に入れたが、最大の顧客を失うことや、麦わらの一味と手を組んでいるのがローだと考えれば……可能性はほぼ無に等しいだろう。

 

「まてよ」

 

 リィンはパンクハザードで妙な動きをしていた。

 

 シーザーを上手く使って、どうやら麦わらの一味を罠にはめようとしていたらしい。シーザーの話だ、嘘ではないのだろうが。

 

「まさか麦わらが潰れるのも覚悟の上か……?」

 

 海兵、海軍大将として考えれば、分からなくもない。だが、リィンとして考えれば少々不自然だ。

 

 少し考え込むドフラミンゴは、顔を上げた。

 

「……………そうだ」

 

 一言つぶやいた後、ドフラミンゴは電伝虫を取り出した。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「──はーい、じゃあ改めますて状況と作戦説明〜!ローさんよろしく」

「俺かよ」

 

 甲板には麦わらの一味、シーナ、はっちゃん、そして錦えもんさんとモモの助が雁首揃えて座っている。

 そしてそのそばにシーザーが転がっている。かろうじて手当はされているものの、ボッコボコだ。

 

「らから、俺じゃなくて全部リィンがやったんだって!」

「いい加減にして!私の愛しのリィンがそんなことするはずないでしょう!?」

「そーだぞ!お前リィンにひでーこといっぱいしやがって!カルテ寄越せ!!」

 

 私愛好家のナミさんと現在の主治医のチョッパーくんがゴリゴリに怒り散らかしているからだ。

 

 私はそんな彼らに『ぴえん……やっぱり私は貶められる……』って呟けば烈火のごとく怒りは再熱する。

 

 1部、怪しげな視線を向けてくる人が居ないわけじゃないけれど、シーザーはそもそもクソ野郎なので発言はまず信じて貰えないのだ。

 

「……まず、俺と妹屋は共にドフラミンゴに並々ならない恨みつらみがある」

 

 ため息を吐き出したローさんは説明を始めた。アラバスタでドフラミンゴと出会ったことがある初期メンツは苦々しい顔をした。

 

「はい。ご存知の方はご存知、どちゃくそにストーカーです」

「始まりは個人と個人の同盟だった。が、今回麦わらの一味と協力関係を結ぶことになった。──ちなみに敵は七武海だが、その後ろに四皇が控えている、よろしく頼む」

「おう!」

 

「よろしくじゃねーだろ!」

「頼むじゃねぇよ!」

「いやぁ!七武海だけでもお腹いっぱいなのに四皇ですって!?嫌な予感はしてたけど!」

 

 ウソップさん、チョッパー君、ナミさんがルフィの笑顔に悲鳴ツッコミを入れた。

 

 ルフィは悲鳴が上がったことに不服そうな顔をする。

 

「俺、四皇は全部ぶっ潰すつもりなんだ」

「えっっっ」

 

 これには私も流石にびっくり。

 

「ちょっっっ、と、まつ、まつすて飲み込めぬ」

「ゴックンしろよ〜」

「赤子じゃねぇんだよこの麦わら帽子男!」

 

 私そんなの聞いてないってぇ。

 四皇、全部?カイドウはともかく、ビックマムも白ひげも赤髪も全部……?えっ、そんな、世界中のヒエラルキーがめちゃくちゃに変わってしまうことが確定して起こるの?そもそも赤髪海賊団は麦わらの一味にとっても友好的な海賊だから最高影響力を与えて起きたいのに。

 

 えーん!

 そんなのないよォ!全部相手にするなんて!

 

 ガチ泣きしてたら珍しくゾロさんが肩を叩いてくれた。

 

「あーあリィン泣いちゃった」

「ルフィ、決定する前にせめて俺かリィンに相談くれ」

「──まぁ私も個人的に四皇1人潰す予定なのですけどね?」

「急に裏切んな」

 

 ゾロさんに叱られた。やだなぁ、暴力なんて野蛮な力で四皇潰すつもりはありませんよ。

 私には私の戦い方があるので、快く、四皇を一席快く開けてもらうだけですって。

 

「話を戻す。パンクハザードでシーザーを誘拐したわけだが、俺は『SAD』という薬品を作る装置を破壊した」

 

 ローさんをあえてカメラに映さなかったから、シーザーやドフィさんに気付かれるタイミングが遅くなった。初動の勝ち。

 

 一呼吸置いて、ローさんはそもそも海賊の組織について話し始める。

 

「新世界にいる大海賊達は大概海のどこかにナワバリを持ち、無数の部下たちを率いて巨大な犯罪シンジケートのように君臨している。とにかく、今までとは規模が違う。傘下ばかりで、ドフラミンゴの顔すら拝めやしないだろう」

 

 はい。と手を上げた。ルフィと私だ。

 

「俺も魚人島をナワバリにしました!」

「麦わらの一味の半数はドフィさんの面を拝みますた」

「──そこの兄妹に関しては一旦無視をする」

 

 ローさんは視線を背けた。

 

「だが、あくまでも裏社会」

 

 海軍に目をつけられないように、そういう犯罪者たちは闇取引をしている。

 ローさんの言うことはガチでその通りで、海軍はその道に通ずる人しか裏側を見ることができない。私は、革命軍との繋がりがあるからその片鱗を見ているけど、複雑に絡み合ったアリの巣は中々全貌が分からない。

 

「その中で、もっとも信頼と力を持っているのがドフラミンゴ。別名ジョーカーだ」

 

 薄々察していたひとも多く、特に派手に驚いた様子は見えない。だけど、次の言葉には驚く人が多かった。

 

「更に今、ジョーカーにとってもっとも巨大な取引相手が四皇、〝百獣のカイドウ〟」

「んな!?」

 

 よりにもよって最強生物と名高いカイドウだ。

 ワノ国を拠点としているカイドウの名前に、錦えもんさんは驚きの声を上げ、モモの助は竜に化けた。

 あー、変身の制御が上手くいってないんだね。

 

 ……それにしても、竜なのかなぁ。

 

「どうした?」

「いや、なんでもござらん!続けてくれ」

 

 不思議そうな顔をしたローさんは話を更に続ける。

 

「百獣のカイドウはジョーカーから大量の果実を買い込んでいる。人造の動物系悪魔の実『SMILE』だ」

「人造!?そんなことができるのか!?」

「あぁ、だがもうそうはいかない」

 

 視線の先にはシーザーがいる。シーザーはちょっと照れたように頬を染めた。気持ち悪いね。

 

「えー、すげーな!お前が悪魔の実の元を作ってたのか」

「──ベガパンクの発見した血統因子の応用だ」

「なんだ、すげーのベガパンクか」

「なんだと貴様!」

 

 そうなんだよねぇ。すごいのベガパンクなんだよ。

 

 私はウンウン頷きながらローさんのわかりやすい説明を聞いた。標準語ありがたいなぁ。説明丸投げ出来るのありがたいなぁ。

 

「で、俺たちは薬品の製造元であるシーザーを誘拐したから、七武海にも、四皇にも睨まれるってわけか」

「……そうだな」

 

 ローさんが少し曖昧に頷いた。先程までの饒舌さとは打って変わった反応の真意を察したのは私だけだろう。

 

 本来、ローさんは麦わらの一味との交渉カードに『四皇を引きずり下ろす策がある、そのためにドフラミンゴとカイドウをぶつけて、両陣営の力を削ぐ』と、出したかったはず。

 

 しかしそれを阻止したのは私だ。

 

 だって、七武海と四皇の衝突なんて、ドレスローザが焦土になる可能性高すぎるもん。

 

 まぁもちろん、ローさん的には『そういった説明』をしておいて『麦わらの一味をスケープゴート役にして、ローさんは死んでもドフィさんをぶっ潰し、後々の処理(四皇)を麦わらの一味に押し付ける』って計画だったんだろう。そこまでは考えかねない。だって海賊だもん。

 

「で、これからどうするんだ」

「……どうしようなぁ」

「は!?」

 

 ゾロさんの言及にローさんは空を仰いだ。

 

「お前っ、ここまで企んでおきながらなんてこと抜かして」

「(じっ)」

 

 そしてその視線を私の方にむけた。

 

「……。悪ぃ」

「やめてくれませぬ!?まるで私が悪きことすたみたいな!」

 

 麦わらの一味も麦わらの一味で『こいつが介入したんなら仕方ねぇな』みたいな顔してる。ぐぬぬ、げせぬ。

 

「というわけでここからはバトンタッチだ」

「はーい、説明変わるますた。リィンちゃんです」

 

 私は笑顔で宣言した。

 

「──まず、このメンツじゃドンキホーテファミリーに勝てません」

「……そうなのか?」

「はい。まぁ、あくまでも2年前の麦わらの一味なら、ですけどね。……実は相性がすこぶる悪きです」

 

 不安そうな顔をした彼らの士気をギリギリ下げないフォローを入れておく。

 

「ドフィさんと四皇をぶつけようかと思ってるです」

「は……!?」

 

 私はピースではなく、三本指を出した。

 

「故に、まずここで色々話を聞くすたシーザーは死守せねばならぬです。最悪、麦わらの一味が分断してでも。私とサニー号が別の箇所にいるすても連絡手段はあるです。もしその場で、捕獲しきれぬと思えば撤退すてください」

「なるほど、同じ人物を狙う外敵がいるからこそ、俺たちで無理に仕留めようとしなくてもいい、ってわけか」

「はいです」

 

 私の注意事項にゾロさんが納得したような表情を見せる。ローさんはめちゃんこ複雑な顔をしている。潰された説明を私がひきうけて、さぞかし複雑な感情をお持ちだろう。

 

「本来は、シーザーの身柄を対価に交渉すて、七武海の除籍とドレスローザ国王の座を降りることを要求すべきなのですが……」

「なんと、ドフラミンゴさんって方、国王だったんですか?」

「が、ってところで止まるの怖ぇな」

 

 ブルックさんとフランキーさんはドフィさんとの接触が無いため、素直な反応が返ってくる。私は、頭痛と胃痛がして眉をしかめた。

 

「ドフィさん、実はめーーーちゃくちゃ権力がありますて。それこそ、政府や五老星ぞ大きく動かすが可能の権力。故に、そう言った示談金みたいな交渉を権力ゴリ押しで解決出来てしまうですよねぇ」

 

 天竜人のパワーってやつ。

 これが死ぬほど厄介極まりない。

 

 だから私はドフィさんに最初から交渉の余地を与えたくないのだ。

 

 

 

 

「では作戦の説明といきますね」

 

 私の真剣な表情につられて、一同はゴクリと唾を飲んだ。

 

「作戦は──無計画!これです!」

「これです!じゃねぇだろ!」

「やだぁウソップさん、ケースバイケースというものがあるではなきですか?まぁまぁ、安心すてくださいよ。私が適度に指示ぞ出しますし」

 

 ケラケラと笑っていれば、ウソップさんが冷ややかな目で私を見た。

 

「リィン……なんかこの二年間で変わったな?」

「えっ、どのようにです?」

「度胸がついたっていうか、ルフィに似てきた」

「え……。普通に嫌ですぞ」

「リー!失敬!俺に!」

 

 私は、次にドンキホーテファミリーの幹部達の能力について説明していった。

 

「これは正確では無いかもしれませぬ。一応参考までに。そして、ドフィさんも『私が能力を把握していることを把握している』状態ですから、何かしら対策を打つすてるかと思いますが、悪魔の実は変えようも無きです、説明しますね」

 

 ほとんどが悪魔の実の能力者だから、能力の概要を説明するだけでも把握しやすいだろう。

 

 と、いうわけで私が把握している幹部全てを吐き出した。

 ローさんにドン引きされました。

 

「…………妹屋と敵対するのだけは極力しないようにする」

「ハートの海賊団もちゃーんと把握すてますよ。過去に接触すた海賊団は、まぁ、ほぼそれなりに」

 

 特に最悪の世代は、私が無理矢理担当に収められただけあって多方面から情報は集めているよ。船に乗ったこと自体はほぼ無いので、あくまでも客観的な情報収集ばかりだけど。

 

 さてさて、今のところはこんな感じ

 

「あー。ロビンさん、サンジさん、ビビ様、ローさん、それから……んー、フランキーさんと、ブルックさんもかな。少しお話あるです、個々でお時間ください」

 

「やだ、怖い。このタイミングでの呼び出し、めちゃくちゃ怖いわ」

「……なんの無茶ぶりだ……?場合によっては内なる乙女が出てきちゃいそうなんだけど……」

「すっごく、嫌な予感がしているわ」

「妹屋、待て、心の準備だけさせてくれ」

「アゥ、スーパー!不穏だぜ!」

「ヨホホホ!苦労の予感がします!もう心臓がバックバクです!私、跳ねる心臓ないんですけど!」

 

 全体的に失礼がすぎる。

 

 なお、私の話を聞いた6人は、頭を抱えていた事をここに記しておく。

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