2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第315話 嫌がらせに余念の無い種族

 

「へぇ……ここがドレスローザ。初めて来たな」

 

 焔が灯る。

 

 

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 盤上の駒をドフラミンゴは小さく進める。

 

「リィンちゃんはシーザーを連れ去った。そしてこの島に上陸するのであれば目的はひとつ──」

 

 コロシアムの地下にあるスマイル生産工場。

 

「と、見せかけて。……俺の醜聞狙いだ」

 

 スマイルや裏稼業を刺激するのも目的のひとつであるだろう。多人数を稼働させることを得意とする彼女のやり口だ、カイドウを動かすことも確実に視野に入れている。

 

 まずは、カイドウ対策だ。

 リィンであれば四皇でさえ(・・・・・)動かせる。

 

 いい意味でも悪い意味でも信頼できる。リィンなら、絶対動かす。

 

「どうするの、若」

「──リィンちゃんは、シーザーを奪われることを避ける。なぜなら、カイドウに狙われる対象を俺にしたいからだ。今のシーザーを奪われ工場が無事の状態は、カイドウに粛清を食らうのは麦わらたちより俺だからだ」

「工場が破壊されても、シーザーさえ取り返せば『我々よりローや麦わらの方が標的になる』ということ」

 

 リィンなら大物でも動かすという信頼がある。情報もまだ微かなものしかない。それでも、いやだからこそ、ドフラミンゴはその対策に一手打つことにした。

 

「まずは、リィンちゃんが手を打てなくしよう。あの子は必ず、目くらましの囮を放つ」

 

 この国で1番、ド派手で、目立つ場所へ。

 

「俺は──シーザーを取り戻す」

 

 

 

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 ドレスローザの海岸にて、私たちは上陸していた。

 

 

「でっけー島!」

「声がでけぇよ馬鹿野郎!聞こえたらどうするんだ!」

 

 服装は船に残る組以外はドレスとスーツだ。太陽が眩しくてクラクラしそうだけど、気合いを入れ直して立つ。

 

「さて、船番組にビブルカードを渡しておく……」

 

 ローさんはナミさんに手渡した。

 

 組み分けをここで説明しておこう。

 

 

・シーザーの監視&船番

 ブルックさん、ジンさん、ナミさん、チョッパー君、メリー号、ビリー、モモの助くん

 

 

・コロシアム&陽動役

 ルフィ(私)、ロビンさん、ビビ様、ゾロさん

 

・侍捜索&工場破壊

 ローさん、フランキーさん、ウソップさん、錦えもん

 

・補給班

 サンジ様、カルー

 

 

 途中で入れ替わりだったりあるからあくまでも上陸組は3班ともそこまでばらばらにはならない。

 

 

「こえーよォ……こえーって!」

 

 怯えるビビり組3人が肩を寄せあっているが、私はここから話せる機会が少なくなるのでシーザーに話しかけた。

 

「そういうすればシーザー、私お前に聞きたきことがありますてね」

 

 キョトンとしたシーザーの眼前に私はブレスレットを見せた。

 

「この毒、見覚え無きですか?」

 

 複数種類の毒をブレスレットにしたオーパーツみたいな技術。

 それを見たシーザーは顔を輝かせた。

 

「おおー!それは俺の送った毒じゃァないか!なんだ、海軍に送っていたから届いてないと思ってたが、届いてたのか!リィンが海軍を辞めたと知ったのは、ちょうど2年前の戦争の寸前だったからなぁ」

「はい、ご丁寧に、私の同期の元雑用が加工して送り届けるすてくれました」

「ほう?」

「でもまぁ、犯人分かるすたので良かったです。大分力入れぬと割れぬとこが難点ですけど」

 

 本当に使えるんだよなぁ。私は別に毒使いじゃないから多人数相手や強敵相手のデバフとして有用過ぎるんだよ。

 

「良きですか、船番はジンさんがいるゆえに並大抵の幹部には勝てると思うです。でも、搦手で来られるとすっっごくまずき故に、頑張ってシーザーを渡さぬようにすてください」

「やだよォ!怖いよぉ!」

「リィン、こちらは任せい」

「えぇ。任せますた。……シーザーより仲間を優先すてくださいね」

 

 私は小さくジンさんに言うと、心得ているとばかりに頷いた。ジンさんは、私が最初に行うドフラミンゴ対策だ。

 

 

 

 

 

 

 上陸し、街に入った途端。私は目を疑う光景を目にした。

 

「なっ、何ですこれぇ!!??」

 

 胃がキリキリと痛む。

 街のそこら辺に銅像が立っていたのだ。

 

 ただの銅像なら良かったよ、ええ!

 

「これはひどい」

「本当に酷い」

「残酷な男だなー……リィンの嫌のことをとことん知り尽くしてるって感じ」

「しかもこういうのって、作るのに時間はかかるから2年前から計画されててもおかしくないわ」

 

 その銅像は『おいでませリィンちゃん』と書かれた──私の銅像だった。

 

「ほんっっっっとに。最悪」

 

 大きい声を上げれるはずもなく、私は膝から崩れ落ちた。

 

「こんなっ、破壊すてやる!!」

「馬鹿、目立つような真似をするな!」

 

 ガンガン叩くもとんでもなく固くて壊れそうにもない。

 私が半泣きになりながら殴っていると、下手に視線を集め始めたからローさんが慌ててとめた。

 

「銅像重き……」

「そりゃそう」

 

 私がしくしく泣いていると、あっけらかんと何も気にしない男が1人。

 

「よし、俺先行ってくる!」

「待て待て待て待て!おい麦わら屋」

「ローさん口だけじゃ聞かぬですって……」

 

 ルフィが一足先に行こうとするため、バタバタとそれを追いかける形になった。

 ローさんに、ルフィの手綱は早すぎたよね。

 

「はー、泣きそう……。嫌がらせに余念ぞなき」

「お前とそんな変わらないだろ、性格の悪さ」

「失礼ですぞゾロさん」

「あぁ悪い、お前の方がたち悪かった」

「本当に失礼ですぞね!?」

 

 サンジ様とカルーは別行動なので、ルフィを追いかけずに別の方向へと向かうことになった。サンジ様はともかく、カルーは授業期間をこの国で過ごしたこともあって地理に覚えがあるため少し安心だ。

 

 ちなみに、シーナとはっちゃんもこの国に到着した直後さっさと船を降りて仕事に向かっていった。

 

「俺はな、コロシアムに行きたい!」

「ご存知ご存知……。すみませぬ、私がルフィについて行くですから」

 

 案の定、お腹すいた〜!と飯屋に直行したルフィ。多分お腹が空いてたら力も出ないだろうし、諦めて腹ごなしも兼ね食事をすることにした。

 

 コロシアムに興味津々なルフィは、目を輝かせている。

 

「どんなつえーやつがいるんだろうなぁ!」

 

 ワクワクした表情に、一味の視線は私に向く。『お前が下手に漏らしたせいだぞ』と。

 

 そうなんだよ。私が情報を漏らしたんだよ。

 

 私が、ね。

 

「責任取って、ルフィのお目付け役するですからぁ」

 

 私はルフィを操作するためついて行くことが決定している。

 

 本来なら目立つのは嫌なんだけどね。

 渋々だよ、渋々。

 

「それにしても、本当におもちゃがそこらじゅうにいるのね。ただの観光ならどれほど良かったか」

 

 ビビ様の感想に頷く。

 

 街の様子は穏やかで、物騒な同盟とドフィさんの疑惑が書かれた新聞を読んでいるのか読んでいないのか、特に変わった様子も見られなかった。所詮疑惑程度だし、七武海を辞めたと言ってる訳では無いのだから、騒ぐほどのものでも無いとは思う。

 

 あの新聞の目的は、別に民意を動かそうとしている訳では無いからね。

 

「この大人数で動くにはリスクがある、さっさと動こう」

 

 喧騒の中で小さくローさんが案を出した。

 

「そういえばよ、海賊島だっけ?ジンベエから聞いた話によるとローと女狐が手を組んで制した、とか言ってたけど。実際どうなんだ?」

 

 ゾロさんが口を開いたのは修行期間で起こった事件のことだった。

 ただの雑談だったから、ローさんは答えるのを辞めようとしたのだけど、援護射撃を出す。

 

「あぁ、それ私も気になるすてました。実際何が起こるすたのです?」

 

 私があえて問いかければ、ローさんはすんっっっごい複雑な顔をして見ていた。

 

 ローさん(と、サンジ様)視点、彼女は本物の女狐だからね。そして私は影武者で、辞めた女狐。

 

 私が未だに海軍に所属していることを知ってるのはロビンさんだけだ。

 

「あー。あれは、ちょっとした手違いで。そもそも女狐は事後処理で呼ばれただけだ。……新聞ではさも女狐が俺と協力したように書かれていたがな」

「なるほど?流石は昆虫食い、人の手柄を取るのがお上手で」

 

 私が賞賛すると、無駄に視線を集めてしまった。

 

「ゴホン。とにもかくにも、連絡手段はお持ちですね?私はコロシアムにいるですけど、どうにでも連絡は取れるゆえに。その場その場で臨機応変に対応しましょう」

 

 私がそう言えば、全員が頷いた。

 何かあれば私に連絡する、とその認識が伝わった。

 

「俺たちは先に、色々探してくる。せいぜい気を付けろよ」

 

 ローさんを主導に、地下探索組が店を出て行った。

 腹拵えもそこそこだったが、それに文句を言うメンツは地下組には居ない。

 

 食事処に取り残されたのは、ご飯を食べるルフィと、ゾロさん、ロビンさん、そしてビビ様だを

 

 もっぐもぐと食べ進めるルフィの隣で最近ハマっているキノコを食べる。はー、胃が痛くて泣きそうだけど、この国のご飯は美味しいなぁ。

 流石は人形と情熱と美食の街、1つ1つの料理がハイクオリティだ。

 

 

 しばらくすると、店の奥で騒ぎがあった。

 何が起こっているのか、喧騒の中ゾロさんが見て答えた。

 

「盲目の爺さんを相手にギャンブルで小金をむしり取ってるな」

 

 その言葉に私も目を向ける。

 そこにはルーレットをしているドフィさんの部下らしき人達と……──イッショウさんがいた。

 

 あの野郎なんでギャンブルやってんだよ!!

 

 キリキリと痛む胃。

 聞き耳を立てれば、わざとカモにされているとしか思えない、お粗末な芝居をしていた。

 

「次こそ、次こそ白でお願いしやす」

「……。残念、黒だ」

「くっ、それなら有り金全部を」

「残念、また黒──」

 

「──白だぞ。やったじゃん、おっさんの勝ちだ」

 

 ルフィの割り込み声が聞こえて来た。

 ヒュッと喉の奥が小さく鳴る。

 

「これは親切にどうも……」

「あーいいよ、見たまま言っただけだ、よかったな!」

 

 ルフィに邪魔されたやから達は武器を抜いてルフィに襲いかかろうとしていた。

 

「──こらぁいけねぇ!お兄さんちょっとどいてておくんな。その人ら、地獄へ落ちて貰いやすんで」

 

 イッショウさんが刀を抜いたその時、私は急いでルフィの服を掴んだ。

 

 回収だ、回収!

 

「おっ?」

「コロシアム、時間!」

 

 私はルフィを言いくるめ、他の3人に視線を向けると慌てて着いてきた。

 

 ルフィの手を引っ張って店の外に出て、ある程度進み、人があまり来ない建物の陰に隠れて大きく息を吐いた。

 

「──ゲホッ!あー、久しぶりに走るすた……」

 

 普段ほうきに乗ってる人間に走らせるなんて無茶をせないで欲しい。

 

「リィン、あいつは知り合いなのか」

「……ちょっと微妙なところです。でも、あの人の正体はご存知」

 

 ゾロさんの疑問に答えると、息を整えつつ私はその場の人に答えた。

 

「海軍大将、藤虎。新しく登用された海軍大将です」

「へー?あいつが」

「気付くされて、なければ良きですが」

 

 ロビンさんが不安そうに私を見た。

 

「ドフラミンゴは海軍をやめてはない。サーの時みたいに、七武海と敵対してくれる海軍の方が稀、よね?」

「ゲホッ、はいです。海兵は皆七武海のこと基本嫌いですけど、それはそれとして規律故に、七武海と対立はせぬです」

 

 息を整えたら、ビビ様が追加で私に問いかけた。

 

「ローさんもまだ七武海のようだけど、それは上手く活用できないのかしら」

「無理でしょうね。ルーキーの七武海と、国王の七武海ということ時点でも、海軍における七武海の優先度はドフィさんの方が高い」

 

 まあもちろん。

 七武海(ドフィさん)より女狐(わたし)の方が海軍を動かせるので、問題ないのだけど。

 

 

「では、私とルフィはコロシアムの受付に行くです」

「俺も行きたかったんだがな」

「ダメです。ゾロさんには、外で二人の護衛!」

 

 迷子にならないように手綱よろしく、とビビ様に視線を向けたら、力強く頷かれた。一番大変な役目を任せてごめんなさいビビ様。

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「……それにしても珍しいな、リィンもコロシアムに行くだなんて」

 

 目立つことが苦手なのに。

 ウソップの呟きに反応したのはローだった。

 

「聞こえてないのか鼻屋」

「な、何がだよ。俺はなんも聞いて」

 

 事前に作戦は、行き当たりばったりとしか何も伝えられてない。

 そう否定しようとしたらローは無言で首を横に振った。

 

「そうじゃなくて、コロシアムの」

 

 ローは中央のコロシアムを見て言った。

 

「──コロシアムの優勝賞品が、シラヌイ・カナエの悪魔の実だって、そこらじゅうで話題になってるぞ」

 

 歩いていて聞こえなかったのか?

 ローの言葉に、その名前がリィンの親の名前だったことを思い出した。

 

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