2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第32話 誰だ昨日の敵は今日の友とか言った奴

 

 サボが私達の元から居なくなった。

 

 

 海賊旗を掲げて海に出たところを天竜人が銃で撃ったらしく、船は海に沈んだ。勿論、サボも。

 

その失ったものは私達兄妹にはあまりにも大きすぎて、それぞれが色々とショックを受けていた。

 

 

 まず私はと言うとあの時の熱がぶり返してドグラに運ばれ未だ布団から出られずにいる。熱だけならまだしも傷が開いてしまって、情けない。

 

 ルフィは一日中泣き続けていた。風邪っぴきにとって辛い所業だよ。頭がガンガンする。

 

 エースは『サボの仇を取りに行く!』って暴れるものだから少し前まで木に縛られていた。

 

 

 

 そんな中届いたのは手紙。

 

 サボが出航前に出した手紙だった。

 

 

 

 ==========

 

 

 俺の兄妹へ

 

 お前ら火事で怪我してないか?リーは体調大丈夫か?

 心配だけど無事だと信じてる

 

 お前達には悪いけど3人が手紙を読む頃にはもう俺は海に出てる──

 

 

 色々あって一足先に旅立つ事にした

 

 行先はこの国じゃないどこか

 俺は強くなって強くなって海賊になる

 

 誰よりも自由な海賊になって、また兄妹海で会おう!

 広くて自由な海で必ず!!

 

 

 ──それからエース

 

 俺たちはどっちが兄貴かな

 

 長男2人弟1人妹1人

 

 変だけどこの絆はおれたちの宝だ

 

 ルフィはまだまだ弱虫で泣き虫で

 リィンはまだまだ弱くてヘタレだけど

 

 俺たちの大事な弟妹だ

 よろしく頼む!

 

 

 ==========

 

 

 所々シワになってる。きっとエースも泣いたんだろうな…。孤独を救ってくれた最初の兄妹だから。

 あとヘタレは余計だ。

 

 

 

「小娘、生きてるか〜」

「生きてるぞ」

 

 フェヒ爺が心配して来てくれた。流石に風邪っぴきに訓練を強制して来ないので願ったり叶ったりってところだけど。

 

「安否確認ご苦労ぞり…」

「昨日よりはだいぶ楽そうになったな……」

「エースとルフィは…」

「あいつらはもう少しで帰ってくるさ」

 

「………放置して来るぞ致したのか」

 

 フェヒ爺の動きが止まった。

 2人を置いて先にこっちに来たパターンか。

 

「ま、まぁそこは置いて、だな…お前これからどうするんだ」

「……!」

 

 どうすると言われても。私が今まで通り、と思っているとは考えて無いんだろう。

 

「ちなみに、俺はまだお前らの修行途中だが、旅に出る。お前らを見てて昔の仲間に会ってみたいと思った……お前らの成長を見るのも良いがな」

 

 フッと笑ったフェヒ爺。意地悪な笑みじゃなくて優しい笑み。

 四六時中この笑顔だったらいいのに。

 

「私は、兄の助けとなるぞ」

「助けに?」

 

 私、実は結構兄共の事が大好きみたいだ。今回の一件でよく分かった。ブラコン?言いたきゃ言え。

 海賊となる兄を少しでもいいから助けたい。

 

 だから───

 

「──海軍に入るぞ」

 

「ほぉ、またあいつらの海賊とは全くと言っていい程正反対だな」

「だ か ら 、ぞ。表の道にて援護をする、いざとなるならばその地位捨てる覚悟ぞ」

 

 同じ海賊に入るのはリアルタイムで助けれるかもしれないけどここは海軍だ。

 

 海軍に入るにあたって利点がいくつかある。

 

 まず海賊行為のもみ消し。それなりの地位を手に入れれば情報が巡ってくる。だからなんとかなるはず。何もしないよりましだ。

 そして討伐。海賊を討伐しそこねた、と言える。裏からこっそり逃亡ルートを用意していればな。

 あとは探索。サボを探す。情報の巡る場所に居ればもしかしたらサボ生存の確率として証拠になるかもしれない。

 

 サボだって大事な兄だ。彼の生存を信じる。藁をも掴むなんとやらだとかそんなのだけど。

 

 

 そして最後。海賊と違い、海軍に四六時中狙われること無く安定した収入を稼げて安全。いや安全かどうか分からないけどこのまま追われるよりはいいと思ってる。万々歳。

 

「この国には海軍の支部が無ェぞ。どうやって入るつもりだ?つっても…お前の事だから何か考えてあるんだろう?」

 

 フェヒ爺、フェヒ爺、知ってる?私まだギリギリ4歳。赤ん坊と言っても過言ではないと思うんだけど。

 赤ん坊にどれだけ頭脳があると思ってるの?期待しすぎ。

 

「──ある」

 

 でもその期待に答えるのが弟子、だから。

 

「そうか、それならいい……」

「あの、よ。お前の母親の事なんだが……」

「?」

「どこに居るか知ってるか…?いや、お前も会えてないことくらい分かるんだ。でも今その情報を一番持ってるのはお前くらいしか居ないんだ。まさか死んでたりはしないよな…?」

「生存は、するしてるとぞ思考」

「そ、そうか……」

 

 ん?フェヒ爺は私のお母さん(仮)と何か関係があるのか?戦神は海賊王のクルー。じゃあフェヒ爺は…?

 

「っ、」

 

 するといきなりフェヒ爺がその場から飛び去って入り口を睨みつけた。何?何事?

 

「リィン!じいちゃんが遊びに来…──」

 

「───なんでここにいやがるんだ拳骨野郎っ!」

「……それはこっちのセリフじゃフェヒターっ!」

 

 ジジこと海軍中将ガープ。私の義理の祖父。まあ本人は『儂が本当にじいちゃんだぞー!』っていう感じで本当の孫のように接してくてるから養子だと思ってていいのかな。

 

「知り合い…?」

「「敵じゃ/だ!」」

 

 あ、海軍中将と元海賊ですもんね。どこかで出会ってる可能性だってあった訳か。

 

「くそ拳骨!お前はどうしてここにいる!」

「なんじゃ!孫の顔を見に来たらいかんのか!」

「孫……?モンキー・D・ガープ。猿、猿、まさかルフィか!?」

 

 その連想の仕方はちょっと可哀想な気がする。

 

「リィンもじゃ!」

 

「はぁ!?んなわけが……っ、まてよ、お前、エースも引き取ってるよな、ロジャーの子を!───まさか、こいつの母親は、あいつはインペルダウンに……っ!!」

「…っ、それがどうした!儂は海兵じゃ!当たり前じゃろう!」

「くそが……っ!!テメェ…!」

 

 

 あの、風邪っぴきの前でドタバタ騒ぐのやめてもらえません?

 

「丁度いい!お前さんもインペルダウン送りにしてやるわい!」

「あぁ!?俺を殺れるとでも思ってんのか能無し!」

「なんじゃと!?」

 

──ドンッ!

 

「煩い」

「「………はい」」

 

 足で地面を1度思いっきり踏んで音を鳴らせば2人のジジイは固まった。

 

「……リー、表情消えてる」

 

 おかえりエースルフィ。

 

「げ、じ、じいちゃん!?」

 

 ニッコリ出迎えをすればエースには視線を逸らされるし、ルフィはジジの存在に目を見開いた。

 

「エース、ルフィ、2人とも席をどっこいしょするぞが正解」

「席を外せ、な。了解了解」

 

 エースは何も言わず、いや、細かに私の言葉を訂正して去っていった。余計なお世話だバーーカ!!

 

「ジジ!私 海軍 入る!」

「リ、リィン……」

 

 あ、なんか凄いうるうるしてる気がする。

 

「フッ…」

 

 感動したと思ったら隣にいるフェヒ爺にドヤ顔しだした。

 

「…海賊なんかよりも海軍の方が良いに決まっておるじゃろう?」

「…………………」

 

 なんか入る理由が海賊になる兄の為にとか思ってるからジジがなんか可哀想に見えてしまう。なんかごめんね?

 

「……お、おう、そうか」

 

 フェヒ爺もどうやら私の同じ思考回路をお持ちのようで。

 

「よし!じゃあ早速行くぞ!」

「え?」

 

 ガシッと小脇に抱えられるとそのままズンズンアジトを出る。

 ってちょっとぉ!?まだエースにもルフィにも言ってないんですけど!!

 

「あ!テメェ拳骨っ!」

「フェヒ、フェ、フェヒ爺!エースら、に海にぞお出かけ参る、と、伝言お、お、お頼み申…うぎゃぁぁ!!」

 

 いきなり走り出さないで下さい私を抱えたままで!

 

「1時間だけじゃと言われておるのにもう結構経ってしもうた…ボガードに叱られる!」

 

 しっかりしろよ英雄。

 そんなことを考えてたら木より高く飛び上がった。え、飛び上がれるの?人間が?

 

 ジジって悪魔の実の能力者だったりするの?飛行系の。超人系(パラミシア)

 

「さァ急ぐぞリィン!」

「無理だのぉおおお!!!た、たか、たかい、高いいいい!!」

 

 

 生まれて初めて到達した高さは私に恐怖を与えるだけだった。周りの景色?見る余裕はありませんでした。

 ……これがまさかトラウマになるとは。いや、当然だな。

 

 

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