「は?」
素っ頓狂な声が山奥のアジトにこだました。
「だーかーらー、テメェらの妹はくそ
フェヒターは何度目かの説明をした。
「もう1回説明頼む」
エースは何度目かの説明を要求した。
「だから!(リィンが)海軍に入る(と言った)から拳骨野郎が(傍から見たら)誘拐(するように連行)したんだよ!」
「じゃあ(将来海賊になる)リィンは(ジジイに無理やり連れられて入る事は無いけど)海軍に行ったって事なのかよ…!」
「そうだよ!!」
説明が面倒になったフェヒターは言葉足らずだが説明をもう一度した。そして幸か不幸か、エースは面倒くささがピークに達した説明を聞き入れてしまい、リィンの意思でなくガープの意思で連れ去られたと勘違いしてしまった。
果たしてこの勘違いが将来どうなるか分からないが。
「クソジジイ………っ!」
恨みが募る。
ルフィはよく理解してないようで首を傾げるだけだった。
「リーはどこだ?」
「…聞いてなかったのかよ」
「テメェもな」
エースがルフィに呆れると人の事言えねェぞとばかりにフェヒターが口を挟んだ。
「リーはジジイに連れていかれたんだよ。ここには居ない」
「……え?」
「だぁぁ!テメェらウゼェ!」
「うっせーよフェヒ爺!」
「ちなみに!ここを去るのは小娘だけじゃ無い!俺も海に出る!」
「「どうぞどうぞ」」
「──殺すぞ……」
シスコンは
「俺たちの修行はどうするんだ?」
「勝手にやってろ、覇気のやり方は教えたはずだ。出来るようになれ」
ルフィの問いに不機嫌そうに答えた。もっとも、教えたと言うが『ああやってこうだ!』とか『ぐーんとやってぐっ、とする』とか、口が裂けても上手いと言えない教え方だったが。
「ひっくり返された世界を見て回るってのもいいかも知れねぇからな……」
「「?」」
立ち上がりホコリを払うとエースとルフィを見下ろした。
「いいかエース、海賊王はスゲェ男だ。なんと言ったって俺が惚れ込んだ男だ。鬼の子だなんて忌み嫌われるかも知れねぇが…誇りに思え」
「……っ!?」
「俺はロジャーやレイリーや、小娘の母親のカナエと旧い付き合いだから良く知ってる。あいつら程、付き合ってて気持ちのいい奴らは居なかった……───忘れるな、お前は
エースは目を丸くした。
「フェヒ爺…って、一体何者なんだ…よ……」
「───ロジャー海賊団戦闘員〝剣帝〟カトラス・フェヒター」
フルネームで名乗るのは初めてか、と思いながら口にした。
自分で捨てた嫌いな名前ではなく、自分の大切な名前を。
「海賊王の……!!」
2人が仰天した顔をするものだからフェヒターはドッキリが成功した、と笑った。
「じゃ、俺は行くな。また海で
「おう!」
「…ん!」
ビブルカードは捨てた、
「(カナエの事も伝えねェとならねェな…
面倒かける女だ、昔も今も変わらず。
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「行ったな……エース」
「………3人とも勝手に置いていきやがって…」
「おれ…寂しい……」
「馬鹿か、俺がいるだろ」
「うん…」
「また海で
「でもサボは………──いや!びっくりさせる!3人に!」
「おう!」
海岸を眺めながら拳を掲げた。遠い海の向こうにいる師と兄弟に見えるようにと願いながら。
「待ってろよ……17になったら絶対追いついてやる…っ!」
原作で1年半かかったルフィが半年、ましてや幼少期で覇気を覚えれるはずも無く、覇気というものがある。という認識だけで師と別れを告げました。
フェヒ爺はここで一旦離脱。