2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第327話 誰の敵か、誰の味方か

 

 ルフィはサボと合流直後、追いかけてくるドフラミンゴの追っ手を簡単に掻い潜った。

 

 地面に潜り込むように出入り口が防がれ、追っ手は行く手を阻まれた。

 

 そうして土の中に既に出来てある通り道を抜けると、あっという間に王宮に辿り着いたのだった。

 

「リー!」

 

 彼らの妹は囚われていた。

 居なくなったことは気付いていたが、リィンの顔色は心無しか、いや、はっきりと視認できるほど青い。

 

 ルフィとエースは必死に手を伸ばし妹を奪い返そうとする。

 

 ──しかし。

 

 

「ピーカ!邪魔者共を追い出してダグラス・バレットを止めろ!」

 

 

 ドフラミンゴの命令により、王宮は何やら変貌し巨大な兵士と変わった。

 

 

「うわあああああ!」

「くっ……!」

 

 ルフィ、エース、サボ。そしてローはピーカに振り落とされ王宮の真下まで落とされた。

 

「ちぃっ!折角の抜け道が……」

 

 一番混乱している最中で、最大の攻撃チャンスに違いなかった。

 ドフラミンゴとクロコダイルが揃っており、人質としてリィンが居たとしても。

 特にローには絶好のチャンスだった。

 

 しかしその手を打てなかったのはひとえにリィンの存在があったからだ。

 

 人質に取られている状況。

 合図待ちのリィンの指示。

 

 ローは難しい顔をした。

 

 

 

「……それより、だ」

 

 リィンの元に戻らねばと憤慨するルフィとエースの首根っこをサボが捕まえた。

 

「革命屋、お前がおもちゃになっていたとはな」

「あぁ。俺はおもちゃの解放のため、それから革命軍の参入を隠すためにわざと捕まり記憶を消させた。正直トラ男が心配だったけど、リーがいるから巻き込まれるのはほぼ確実だろうと思って」

 

「俺!俺本当に忘れてて、サボ、サボ〜〜っ!」

「思い出した時めっちゃ肝冷えたからな!?」

 

 冗談抜きで忘れるのだ。

 記憶の齟齬もなく、今考えればおかしいと思える記憶も、何も疑問には思わない。

 

「俺、めっちゃ怖い!」

 

 ルフィが半泣きの状態でサボに泣きつく。

 妹と兄でしっちゃかめっちゃかになっているルフィはもうどうすればいいのか分からなかったし鼻水でぐちゃぐちゃだ。

 

「怖かったなぁ、ごめんなぁ」

「──で、あれを聞いてもいいか?」

 

 ローが指さしたのは頭上。明らかに絵本とかに出てくるタイプの巨大生物達が岩石を纏って戦っている姿だった。

 時折パラパラと石が降ってくるのだ。時折砂も混ざっている。

 

「あ、あれうちの仲間だな」

「火拳屋の……?」

 

 エースの言葉にローは不思議そうな顔をする。

 

 それもそのはず。

 まだ、ダグラスのことは公になっていない。脱獄という汚点を知らしめる訳にはいかないため、政府が言い淀んでいるのだ。

 

 若い海賊なら尚更あの化け物を知らずしても仕方ない。

 

 

 余談ではあるが、ピーカは本来であればドレスローザの地形を丸ごと変貌させることが出来る。王宮だけ、花の大地だけ、工場だけ。外敵が来ぬように地形の有利をすぐさま作ることが出来た。

 

 しかしながら彼には余裕が無かった。

 ダグラス・バレットやモーリーを相手にそれ以外の地形をどうにかする意識が割けないのだ。

 

 

「ダグラス・バレット。通り名は弾丸。かつての海賊王のクルーでインペルダウンの最下層で拘束されていた人物だ。頂上戦争の脱獄騒ぎの折に脱獄し、今ではスペード海賊団の一員。無論危険性は高く、政府も注視している」

 

 サボがなんてことない顔をして解説する。もちろん、リィンからの情報リーク有りだ。

 

「そんなヤバいやつがドフラミンゴと敵対してる、のか。火拳屋の手腕ってことか」

「いーや?」

 

 今度はエースは不思議そうな顔をした。

 

「バレットはもちろん俺もだけど、誰の指図も受けないタイプだと思ってるぜ。バレットのこと物理的に押し止められるのは今のとこウタくらいだけど」

 

 それでもいるにはいるんだ、と流石にちょっと引いた。

 

「それよりドフラミンゴだ!」

 

 ルフィがガバッと王宮を見上げたその時。空中にプツッと映像が浮かんだ。

 

 

『──ドレスローザの国民達、及び客人達』

 

 声だ。ドフラミンゴの声が国にひびきわたる。まるで恐怖の象徴のように。

 

『別に初めからお前らを恐怖で支配しても良かったんだ』

 

 国では、パラサイトで暴れ回る民がいた。だからこそ、だから、分かってしまった。

 10年前のあの夜、リク王がドフラミンゴに操られていたのだと。身をもって理解した。

 

『外への連絡は出来ない。外部からの助けは来ない。そしてこのカゴの中では、殺戮が行われる』

 

 ドフラミンゴは三つの選択肢を用意した。

 

 一つはこのカゴの中にいる人間が全て死に絶えること。

 

『俺の命をとればこの恐怖のゲームは当然終わる』

『だが。もう一つだけゲームを終わらせる方法がある……。今から俺が名前を取るやつら、全員の首を取った場合だ』

 

 一つ一つの首に、懸賞金をかけるとドフラミンゴは宣言した。

 

 ドンキホーテファミリーに楯突くか、金を稼ぐかの二者択一。

 

 

『星1つに1億ベリー、払おう』

 

 特にコロシアムから開放された選手たちは沸き立った。

 

「何言ってんだあの鳥……」

「だなっ!」

 

 そして空に手配書が映し出されて行く。

 

 

 海賊麦わらの一味船長〝麦わらのルフィ〟

 ★★★

 

 革命軍参謀総長 サボ

 ★★★★★

 

 スペード海賊団船長〝火拳のエース〟

 ★★★

 

 ハートの海賊団船長〝死の外科医〟トラファルガー・ロー

 ★★★

 

「お、サボが高ぇ」

「まぁおもちゃを解放したのは俺だからな」

 

『次は──』

 

 ドレスローザ元国王──

 

 そうしてドフラミンゴがリク王の顔を表示させた瞬間の事。

 

 

 

──ブツンッ

 

 電伝虫を上塗りされ、突如別の男が空に表示された。

 

『あーあー、マイクテス、マイクテス。んんっ、ど〜〜も皆様!こちら録画映像となります。1度しか流れませんので、必ず、耳と目をかっぽじってよ〜〜〜〜〜〜〜く、お聞きくださいね』

 

 そこには緑髪にサングラスをかけた派手な男が映っていた。

 

『私はギルド・テゾーロ。この世界最大のカジノを経営している……まぁ、所謂、大金持ちってやつですよ。皆様、もしや今、【賞金】などという言葉に心惹かれませんでした?しますよねぇ!いいものですよ、お金』

 

 テゾーロ。

 ルフィも知った顔だった為、酷く仰天した。

 

「あー!あいつ!」

 

 1度、してやられた男だ、否応がナシに覚える。

 

『さてさて出された賞金は1億か2億か。まぁそれくらいだと予想しておりますが……皆様、もっとお金、稼ぎたくないですか?──そうでしょうとも!やはり金こそが、全て!』

 

 

 

 

 

 

 

 ドフラミンゴは突如届かなくなったでんでん虫に怒りをぶつけた。

 

「テゾーロッッ!あいつ、あいつ!!」

 

 今がチャンスと言わんばかりにドフラミンゴの弱点を突いた。

 リィンの身動きを封じたまでは良かった、テゾーロは何を企んでいるのか分からないが。

 

 ただ、ドフラミンゴと敵対した事は確かだ。

 

「なぜ繋がらない!なぜ……『録音などという手で俺の手を読んでいる!?』」

 

 リアルタイムの映像ではなく、録画録音なのは背景から見て取れた。

 そこには鳥かごなどない夜が世界が広がっているからだ。

 

 

『ドンキホーテドフラミンゴの討伐の暁には、10億ベリー。最高幹部に5億ベリー。それから幹部も3億ベリー用意しましょう。どうでしょう?皆様の復讐も果たせ、金も稼げる、最高のエンターテインメントッ!どの選択肢を取れば良いか、わかりましたね?』

 

 イラつく笑みだ。この映像が流れるから、我先にと逃げ出したに違い無い。

 

『なお、この映像は機密のため1分後に爆発されます。いやー、言ってみたかったんですよね、この言葉。()()()()。それでは皆様、どうぞグランテゾーロを、よしなに』

 

 

 

 

 

 

「…………なーにがおこってんだ?」

「本当に分からん。本当に何が起こってる」

「あのテゾーロ?てやつ、ルフィの知り合いなんだろ?」

 

 ルフィが首をかしげ、ローが首をかしげ、エースも首をかしげた。

 まるで世間的に言われている4兄弟の様な姿だ。

 

「テゾーロは、昔からドフラミンゴを嫌っている。それだけは確かだ。因縁と言うと、過去にドフラミンゴの持っていた実を盗みだし、今の能力がある。敵対関係なのは確かだな」

 

 サボの解説。

 3人はホーンと納得したような姿を見せた。

 

「とにかく今はドフラミンゴだ」

 

 サボが空気を切り替えるように話題を出した。

 

 

 ふと、ローはシーナの姿が見えないことに気付いた。

 何をしているのか、どこで企んでいるのか。

 今となっては分からないが、ローは王宮を目指す事に変わらない。

 

「そうだ!今すぐドフラミンゴの──」

 

 ルフィが決意を固める。

 そしてサボは、衝撃的な言葉を口にした。

 

 

 

「ドフラミンゴの……──()()()()()()ようにしないと、な」

 

 サボの目的はドフラミンゴを倒すことでは無い。

 

 ルフィやエース、そしてローと共にドフラミンゴの元へ向かったのは、倒すためでは無かった。

 

 

 

 

 リィンの行動を阻害し。

 ドフラミンゴの行動を邪魔しないように。

 

 ドフラミンゴが自由に動けるように。

 

 

 敵を──王宮に近寄らせない為に。

 

 

「ルフィ、エース。俺の事、信じてくれるよな」

 

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