2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第335話 積み重ねた点を無理矢理線にする

 

 皆さんこんにちは!

 

「う゛ぅうううぅぅ………」

 

 絶望に打ちひしがれたドフィさんを作り上げることに成功したリィンちゃんでぇす♡

 

 

 

「くっ、ドフラサンゴおぉおお!!」※ノリノリ

「お前は終わりだ、ドフラミンゴ!」※ノリノリ

 

 

 今私はシーナと一緒にチャンバラをやっていて、その画角の外れに唸っているドフィ(私の体)が居る。

 

 

 

 ねぇねぇドフィさん、貴方入っている私の体ってね、実はすっごくボロボロなんだよね。

 テゾーロの金で拘束された非力で体調不良役満の体。どうやったって破れないでしょう?私でも無理だもん。

 

「これは、俺が己の体にかけた呪いだ。唯一の血縁となったお前を倒すために入念に準備をした呪い。俺は今ここで、お前の能力でさえも取り込んで倒す」

「やめろおおおお!」

 

 ドサリ。

 

 私はドフィさんの体で倒れた。

 

「──また、つまらないものを切ってしまった」

 

 ドフラサンゴと自称したシーナはカッコつけた顔をして見下ろし、電伝虫に向かって宣言した。

 

「ドフラミンゴは、打ち倒した。ドンキホーテファミリーは大人しく投降しろ。お前たちは許されない事をした。だが…お前たちはドフラミンゴに利用されていた被害者でもある。この国の、世界の為に、お前たちは贖罪し続けるのだ」

 

 

──ぷつ。つーつーつー。

 

 電伝虫が切れる音。

 無言の時間がすぎるけれど、ここで倒れたフリはまだ辞めない。

 

「ロー、俺の弟がすまなかった。お前がこの結末で満足いくのかは分からないけど」

「いや………………ちょっと引いてる……悪いかなり引いてる……」

「ん゛ーーーーーっ!!」

 

 ドフラミンゴもそうだそうだと言っています。

 

「電伝虫は……──完全に切れた。見聞色で周りに人もいない」

「よっしゃ〜〜、疲れた〜!」

 

 おそらくシーナの凪は既に発動している状態だろうから、私たち4人の空間の音は漏れないはず。

 

 だから私はドフィさんの体を使って腕をのばした。

 

「身長高くて視界が違う状態故に激しき戦闘は無理ですたから、大きい動き無しで良きですた」

 

 一旦終わった〜!!

 

 今、私は心から晴れやか。私は己の胸に手を当て込み上げてくる達成感を自覚しながら感動に目を伏せた。

 

「ちょ、待って待ってリィン、その姿面白すぎるから写真撮らせて」

 

「可愛くっ撮ってぞり♡」※ドフラミンゴボディ

 

「ゴパ!!!!!!だーーーーははははははは!!!!!ごぼっ、おえ、ふひひひひひひひ!!!!」

 

 シーナが過去一気持ち悪い笑い声出して瀕死になっている。

 私はノリノリでポーズを決めた。

 

「──にゃんっ」

 

「ぎゃーーーーーきもちわりーー!!!!!!」

 

 写真撮るどころでは無いのかシーナはひっくり返って足をバタバタさせている。

 

「…………見るに堪えないから戻していいか?」

「待つすて待つすて」

 

 まだドフィさんの体を封じてないから待って。

 

 ローさんは体調不良詰め込んだみたいな顔で私たちを見ていて、ドフィさんは私の体で無事死亡なされていた。

 

「ところで、そのドフラサンゴとやらはピエロ屋か?」

「ご明察〜」

「まぁまぁ、答え合わせはまだ後にすてくださいね。まだまだやることは盛りだくさんですから」

 

 まだ後始末というか、後片付けというか。それが残っている。

 というか私の中での本番はそれなのだからあともうひと踏ん張り頑張らなければならない。

 

「嫌だな〜……自分の体戻りたくないな〜……もういっそ糸で自分の体錬成させてやってみる?」

「作ろうとするんじゃない」

「いやんっ、いじわりゅ」

「パァン!!!!」

 

 笑いの勢いが激しすぎてか、シーナの口の中から破裂音みたいなの聞こえたんだけど大丈夫そ?

 

「シーナの今の顔もドフィさんそっくりなんですからやめてくれませぬ?」

「うげ……めっちゃ嫌だわ……」

 

 私とシーナはほのぼのとしている。

 

「これがドフラミンゴとの決着とはな」

 

 積年の恨みがあるのは知っているけれど、ローさんの脱力感は傍から見てもよく分かる。

 

 

 

 呆気ないと言えばそれまで。

 

 瓦礫に塗れた国も無いし、激しい戦いも無い。

 血と汗握るような死闘も、危機的状況からの脱出も、生きるか死ぬかの瀬戸際も、必殺技も、死者も、分かりやすい勝敗も、何も無い。

 

 人の心を動かすような物語もなければ、スッキリする結末もない。

 

 

「…………これが現状考えうる中で、最善だった」

 

 死闘に勝る成長は無いと言うけれど。

 私は海兵として、そしてリィンとして、必要最小限の犠牲にしたかった。

 

 一歩間違えたら取り返しのつかない場面とか、死人がでるだとか、そういうリスクは取りたくない。取るべきは圧倒的な戦力と策略で全てを押し込む事。

 奇跡や火事場の馬鹿力を作戦に組み込むべきではない。海兵(わたし)はそういう手を取ってはならない。

 

 まぁ最善がこれとかいいながらも本当はもっと早く解決出来たかもしれない、でも。

 

 ──ドフィさんを地獄に叩きのめす方が大義名分より優先だから……!

 

 

「──ドフラミンゴの顔で決めゼリフ言うのだけはやめてくんね?」

「フッフッフッ、この世の中は全て俺のもんだげす」

「ぼはっ!!!語尾やめろ……っ!!!」

 

 ゲラゲラ笑うシーナを尻目に、アイテムボックスから海楼石の鎖を取り出す。さぞこの部屋に仕込んでましたってのを装いながらね。

 

「この場に非能力者が居ないのが心底憎い」

 

 全員能力者だもん。

 私は己の手で海楼石の錠を嵌めようと触れ──

 

「っ!?」

 

 かくんと、全身から神経が抜けたみたいに崩れ落ちる。まるで手足が痺れて感覚が無いようにぐにゃぐにゃとした感じ。

 

 能力者の体に海楼石がどれほど効くのか、私はここで初めて身をもって体験することとなる。

 

 あぁ、これは無理だわ。

 歩く事は何とかなりそうだけど、握ったり暴れたりするのは並大抵の精神力が無いと無理そう。

 

「っ、大丈夫か?」

 

 明らかに初めて海楼石に触りましたと言わんばかりの反応をしてしまった。

 ドフィさんの体なのに胃がキリキリし始めた。

 

「……人によって海楼石の効きって違うですぞねぇ」

 

 誤魔化しましたよもちろん。

 感心したフリをして、私は手を後ろに回す。

 

「シーナ、鍵かけるすて」

「おっし、頑張る」

 

 シーナは苦戦しながらも何とか海楼石をドフィさんの体に装着することが出来た。

 

「……っ、テゾーロ」

「はいはい、お呼びですかな」

「準備は」

「いつでも」

 

 ひょいっと顔を出したのはテゾーロ。

 放送が始まった段階でテゾーロは後始末用で私たちの所へ来る算段だったから、やはり居ると思った。

 

「じゃあローさん、私とドフィさん戻しても良きですよ」

「良かった、いつまでもグロ映像を見たくなかったんだ。〝シャンブルズ〟」

 

 ぐわんと入れ替わる。

 私の体にはあまたの体調不良が残っているけれど、海楼石よりマシな気がして何とか耐えた。

 

 金属音がして、私の体からテゾーロの金が消えていく。

 

「ひっ、ひでぇよリィンちゃん……俺表歩けねぇよ……うっ、なんだよ己の体に興奮するって…マリオネットはそういう技じゃねぇよ…誰だよドフラサンゴ……幼児趣味じゃねぇよ……」

 

 チリツモったツッコミがブツブツと飛んできている。The戦意喪失と言った感じ。

 

 私は自分の身体に付けられていた海楼石を楽々取外した。能力者じゃないことのアドバンテージが大きすぎるなあ。

 

「嫌だなぁドフィさん」

 

 私はクスクスと笑みを浮かべた。

 

「──私の本領はここからですぞ?」

 

 材料は揃った、食材にも出来た、あとはもう、煮るなり焼くなり揚げるなり、自由にし放題!

 

 もう、その布石も手順もぜーーんぶ作成済み!あとは改悪したっていい!

 

「ふふふふ、あーっはっはっはっ!」

 

 あっ目眩。

 私の体調が最悪すぎる。

 

 でもドフィさんが私の身体に入って場面をめちゃくちゃにされるリスクがある以上、耐えられない体にしておかないといけなかったから。それと海楼石への違和感削減。

 

「最悪、ほんとに最悪……リィンちゃんの鬼…悪魔……ドS……」

「なんとでも言うがいいですよ。今からお前はさらに死ぬ」

 

 海楼石の鎖を取り出して更にぐるぐる巻きにしていく。

 

「さてと。ここには海軍がドフィさんの亡骸を回収しに来るでしょうし。我々はとっとと退散しますか」

「なんかもう本当に訳が分からないうちに全部終わってる、非常に怖いし困る」

 

 混乱したローさんをテゾーロに任せ、私とシーナは次の仕事に向かう準備をした。

 

「あぁそうだドフィさん」

 

 私はドフィさんの絶望しきったような顔に思いっきり心からの笑顔を浮かべた。

 

「すっごく、楽しい!」

「このっ、クソアマ…………っ!この場で言うことにしちゃ質が悪いぜ……っ!?」

 

 本当に本当に楽しいんだもん。

 今からこの余裕綽々だった男の頭の先からつま先まで全てに悪評という悪評を身につけさせ、口から出る言葉を呪詛に変え、醜く、汚く、プライドもつばさもボロボロに砕けて地面にたたき落とされるそのさまを。

 こんなにも間近で見られるどころか。

 私が!手を下し!私が石を投げ!煽動し!仕留めあげる!

 

 最後の最後まで美味しく楽しく調理するのだ。

 

「料理は苦手なんですけどね」

「……?」

 

 でも毒を作るのは大得意。

 ドフィさんがドンキホーテ・ドフラミンゴとして到底生きられないような、2度目の人生歩みたくなるような状態にするの。

 

 あー、本当に楽しい。

 

「あの……妹屋……?」

「何ですローさん」

「その、程々に?」

「………………さぁシーナ行くですぞ」

 

 知らん知らん、手加減なんて言葉は私の辞書には存在しないからね。仕方ないね。

 

 

「ここからはスピード勝負ぞり」

 

 全ての後始末をつけに行こう。

 まずはこの国の……──王族からだ。

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