2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第338話 自己採点は大事だよね

 

「ハッピーバースデードフィさーん!」

「…………俺の誕生日10月な」

「んなこたどうでも良きなんですよ!いやー、清々しい朝ですね!」

「夜だが?」

 

 私はセンゴクさんを連れてニッコニコでドフィさんを出荷ゴホンゴホン、収監した船にやってきていた。

 人払いと監視?もちろん月組で固めてますとも!

 

「うふふ、うふふふ!ぐぇヘヘヘヘ!!」

「………………笑い方が悪魔のそれ」

 

 静かな夜だ。星は輝き月も明るく未来を照らしている。なのにお前は檻の中。

 

 

 

「……。いつから企んでた?」

「6歳」

「ろっ……!?」

 

 ドフィさんはギョッとしたのか、サングラス越しに私の方を思いっきり見てきた。

 

「始まりはドフィさんに誘拐された時ですたね」

 

 確か出先から帰ったばかりのタイミングで、元七武海の音楽好き男フリッツ・ヘイヴが殺されて新しい七武海が現れた、という情報をキャッチした瞬間に誘拐されたよね。

 

 そして誘拐されて私はあの時だけドレスローザに上陸した。

 

 国の真実に対してある程度の考察が出来ていたし、イブを使って幹部の戦闘能力も最初っから把握出来ていたのは後に有利に働いたと思う。

 

「あの時のお前に一体何が出来たんだ?」

 

 センゴクさんがおかきを食べながら聞いてくる。呑気だなぁ。

 

「なぁんにも。せいぜい、ギロギロの実の能力者が居ることの把握くらい。お互い正体もご存知ありませんですたけど」

 

 複雑な立場そうだなと思っていたけど、王女様とは思っても見なかったな。

 

「そこで私は逃げ出す時──最大の協力者を得たです」

 

 ヘイヴに扮したドンキホーテ・ロシナンテ。後の名無しのピエロ、シーナであり、今回はドフラサンゴというトンチキな格好をしてくれた人物だ。

 

「その後同じく協力者を得ますて──」

 

 

 ==========

 

 

 

「──そこでリーはシーナとテゾーロといったドフラミンゴと敵対する目的がある人物を仲間に引き入れた」

「はぁい、それが俺と」

「わ・た・し」

 

 隠れ家にて、サボは残されている麦わらの一味を相手に説明をしていた。

 自分が聞いている範囲とはいえ、大雑把な内容は知っている。それに違っていたらどちらかが訂正するだろう。

 

「じゃあシーナって大分リィンと古い付き合いなわけか。……そういや親が一緒だとかどーだとか言ってたが」

 

 ゾロがシーナに顔を向ける。

 グラン・テゾーロにてリィンとシーナ、あとついでにドレークが同じ親代わりだったと知った。特にシーナに関してはドレークも正体を知らないようで、年代が違ったことは容易だ。

 

「……。お前らがまとめて元海軍関係者とか、世も末だな」

「マジか!?アゥ、相〜〜当〜〜に、イカれてるぜ!」

 

 海兵だとは思えないのだが、残念ながら海軍関係者であることは濃厚だ。シーナは仮面の下でニコニコ笑った。

 

「まっ、何はともあれ?俺はドンキホーテ・ドフラミンゴをお巡りさんとしてきーっちり止めて平和に貢献する義務があって……」

「そして私が──ドフラミンゴの主催するオークションで売る気のなかったこのゴルゴルの実を、何百人もの屍の上で手にしてしまったばかりに奴に命を狙われることになった可哀想な人なんですよ」

 

「お巡りさん、悪人よ」

「俺そんなやつ見えない」

「つごーのいい耳してんなー。リーに似てる」

 

 都合のいい耳なので意気揚々と無視をした男が一人。彼はそこから続きを話出した。

 

「テゾーロと共に活動し始めて、何かに使えると思って『ドフラサンゴ』という男を作り出し、少しずつ目撃情報だけを作っていった。これが大体六年くらい前だったかな。元々それよりも前に『ドフラミンゴどうって潰す〜?』とは計画してたんだけど」

「ですねぇ。私の仕事は資金源、グランテゾーロの経営がメインでしたから、対ドフラミンゴの裏工作は殆どシーナが行っていましたよ」

「俺、超有能」

「おかげさまで」

 

 ここでウソップがスっと手を上げる。

 

「まるでドフラサンゴって人間が存在してないみたいに仰っておりますがぁ……シーナはドフラミンゴのお兄様じゃ無かったんですか…………?」

「え、全然」

「全然!!!???」

 

 驚く姿を見て鼻で笑うと、真実を教えた。

 

「ドフラサンゴはあくまでも架空の人物で実在しねーーんだなぁこれが」

「えっ、じゃあなんでドフラミンゴは放送で……」

「それは置いておき。──俺達はちまちまとドフラミンゴの悪事も暴いて言った。そして計画が確定したのは三年前。本格的にドフラミンゴ♡バイバイ作戦の下準備を始めたのは二年前だ」

 

 ドフラサンゴは架空の人物だ。

 断罪のための正義のヒーロー。なぜロシナンテという実在する亡霊ではなく、架空の人物を作り出したのか、その理由は後に説明するとして。

 

 シーナは肩を竦める。

 

「いやぁ!麦わらの一味完全崩壊はこちらとしても作戦を練るのにちょ〜〜ど良かったんですよねぇ!」

「酷い人だわ」

「そう」

 

 本当にそう。

 作戦の詳細はシーナとテゾーロが考えたとはいえ、麦わらの一味完全崩壊に関しては考えた人がド畜生なのでどんどん言ったってください。

 

「その間、俺はドフラサンゴとして本格的に活動した。資金はふんだんにあるから、武器商人としてサンゴマーク付けてこっそり色んな所へ無償で支援する、と」

「へぇ?そりゃまたなんで?」

「ぽっと出のヒーローより、噂があったヒーローの方が信じられやすいんだ。だから匿名でもサンゴと言う特徴だけ付けて、劣勢にある戦争国や海軍に支援を回った」

「海軍にまで?」

「んまぁ調べた感じ怪しいからって使ってないみたいだけどな。どこぞの誰かさんのせいで……まじでなんで無視してるんだよ女狐……あれ絶対忙しすぎて処理が大変だから使えるような調査と手続きする手間省いたろ……まぁ『善意で送りました』って実績は得たからいいけど」

 

 想像の通り、手続きと調査が面倒だったのだ。リィンとしては送り込んだ正体が分かっていたものの、兵備部の暇が無さすぎたのとフォローに回る暇が無かったため、今もまだ倉庫の一角に眠っている。

 

「そこから証拠集め──証拠作りをこいつらはやり始めた」

 

 サボがドン引きするような表情で、いや非難するような視線を二人に向けた。

 

「ドフラミンゴが犯罪者なのは分かりきっているが、闇のブローカージョーカーとしての犯罪は規模が大きすぎるため取引しているという情報だけだ」

「ジョーカーとしての最大手はカイドウだったからな」

「そうなんだ。二年前の時点でその化け物を呼び覚ます予定は無い。だからそれ以外の証拠を作り始めた」

「まずこの写真」

 

 ドフラミンゴとドフラミンゴがBLしてる姿の写真だった。

 

「──貰っても!?」

「いいぜ、つっても俺だけど」

「は!?これシーナの変装なのか!?」

「そうそう。俺がドフラミンゴに見えるように、伸ばしてた髪の毛も切って、あとはサングラスしてるからサングラスだけでも全然似てるもんだろ?」

「……似てるも何も、そっくりだ」

 

 勢いよく立ち上がったビビに写真を手渡した横で、ローがその写真を見て嫌そうに眉を顰める。普通にめっちゃ似ているのだ。

 

「リーみたいに体格をしっかり知ってる人間が見りゃ偽物だって分かるけど……偽物と断定する証拠は無いし何よりおもろいから『真実はさておきこっちの方が新聞映えするし噂がしやすいから』とこちらが真実になってく。こいつらは人の心理を突いてこの証拠を作成してる」

「……なんで2人居るんだ?」

「それはまぁ。クロコダイルの元部下にモノマネが大得意なオカマがいて」

「あぁ……………………」

 

 よく知ってるロビンはちょっと頭を抱えた。

 

「あとは調査資料もちゃんと調べたやつに上増しして……。それから現地での協力者は絶対必要だったからトンタッタ族の手を借りに交渉にも向かった」

「それでやけに協力的だったのか」

「そう言うこと。工場でスマイルの生産に協力させられているトンタッタ族の救出が交換条件だったけど、ドフラミンゴが失脚さえしてしまえばどうとでもなるからな」

 

 サボはその言葉を聞いてビビをちらりと見た。

 

「その間、トンタッタ族からドンキホーテファミリーの1人、ヴァイオレットがリク王の娘、ヴィオラ王女だということを把握した。しかもリーの情報から彼女がギロギロの実、要は情報収集能力の高い能力者だということを把握していた為、渡りに船だ」

「そーそー。俺が一方的に手紙を書いて机の上においておくだけ。『この手紙に気付いたら街で踊る時の薔薇をピンクにしてください』とか、そういう些細な、偶然と言い訳効くような感じの返事をお願いしたってわけだ」

 

 テゾーロは二人の説明にニコニコと頬を上げている。ぶっちゃけドフラミンゴがこれから遭う目を考えたらもう楽しくて楽しくて仕方ないのだ。

 リィンの兄という存在が嫌いではあるけど、そんな事に目をつぶってもいいくらいにはこの失脚にガチであった。

 

「リィンは2年間お前らのとこ居たって言ってたけど、あいつには何させてたんだ?」

 

 ゾロの質問に正確な答えを言えない3人は、嘘では無い説明を始めた。

 

 

「リィンは捏造証拠の活用方法の下準備ってところだ。それからローの能力調査に、あ、あと海軍本部に潜り込んで海軍資料をちょっと修正したり」

「お巡りさん!犯罪です──」

 

 

 

 ==========

 

 

 

「で、私は2年間の休止期間中にドフィさんの能力対策としてベガパンクに海水鉄砲の作成依頼。それから海軍本部にて大規模能力者戦の想定訓練」

「割と限定的ではあるが、海水鉄砲の戦略は今後も使えそうだったな?」

「そう!頂上戦争みたいなのがまた出ることぞ考えるしてますてね!」

 

 キャッキャとドフィさんとセンゴクさんに私の苦労を語っていく。

 

「いやぁ、協力的に探すてもらった証拠とかを、ちゃーんと正式なものにするために海軍側からの根回しは必須でしたからね!海兵でよかった!」

 

 私の2年間の仕事は資料や証拠を使う方法。そして国民達の対策だ。

 シーナ達がドフラミンゴという個人に取り掛かっているので、私は大勢側の動きや守り方を思案していた。

 

「新しく海軍大将も来ますたし、私は守りの大将ですから、国民は守らなきゃですぞ!」

「こんな攻撃的な性格しておきながら」

「私こんなにも平穏を愛する保守的な人間なのに」

 

 守るというか、生き証人を増やすというか。

 死者は絶対出したくなかったので、臆病とも言えるほど守りに固めた。

 

 海兵に死者が出るのは仕方ないかなと思っていたし、国民の死者がないだけでも伝説にはなる。そう、ドフラミンゴ以外のことで私は『話題』をつくりだしたかった。

 

 もっと言えば、海軍本部内で語り継ぐ伝説を作り出したかった。

 

 死者ゼロ名という伝説は一番最初の前例として今後の海軍に語り継がれて行く。その時に付いてくるのは必ずドレスローザの悲劇。

 

 つ、ま、り。

 

「──今後永遠とドフィさんの話題はついてまわる!!」

「ひでぇ!!!!!!」

 

 何が酷いものか。

 

「ドレスローザにしたお前の数々の所業の方が酷いだろ」

「ごめん全然納得出来ない、己がクズな自覚はあるけどリィンちゃんの事を同格だと思ってるから酷さに違いはないと思うんだ俺」

「…???犯罪者に人権はなきですぞ???ゴミを処理するために燃やしたって善行ぞり???」

「曇りなき眼」

 

 風化させやしないからなドフラミンゴ。

 あの手この手で、『公式情報』をお前には纏わせる。

 

 クロさんのはビビ様が絡んでたから、憶測や推測や噂話の方をメインにした。

 けど、お前の場合は公式だ。

 

 

「で、お前が2年間でやったことはそれ以外にあるのか?」

「んー。まぁあるっちゃあるですけど、ドフィさんに直接関わるすることではないので割愛しますね」

 

 間接的に関わることがあるけれど、今この場では蛇足というもの。

 

「そこから私は麦わらの一味に戻り、まずは魚人島に向かい王家に恩を特売します」

「アーロンやホーディのことか。国から報告は来ているのと、スモーカーからも報告が来ている」

「その詳細も割愛しますが。対価としてひとつの事を求めました」

 

 元々救世主という恩を返してもらうつもりでお願いごとをしようかと思っていたのだけど。いい具合にさらに恩を売れたので、お願いごとがしやすかった。

 

「それは?」

「──ドレスローザ近辺の海域に、ネプチューン軍の偵察を向かわせて欲しい、と」

「っ!!!!!」

 

 ドフィさんは一瞬息を飲んだ。

 

「偵察だけなのか?」

「はい。国家間の争い事にはしたくなかった故に……協力といえば協力だけど、協力ではない、みたいなポジションにすたかったです」

 

 正直言うと死者ゼロ名を目指していたので周りの人間を巻き込む事をしたくなかったと言うか。

 水中での争いが広げられたとして、その戦力が耐えられる範囲かどうか分からなかったのだ。

 

 ドレスローザ内が死者ゼロ名でも、協力した他国の軍隊に死者が出れば、責任を負うのは私だ。

 伝説として不足がある。

 

 

「その後本当に偶然パンクハザードに出ますたが、あれは良かった。ほんっとーーーに良かったです」

 

 私は運が悪い方だけど、偶然運が良かったよね。

 幸運だった。

 

「分かりやすい被害者と、シーザーがゲット出来たですから」

「…………パンクハザードは偶然だったのか?」

「はい。偶然です。本来であればシーザーは不要で、スマイルという餌は使用しないつもりですたから」

「何故だ?俺の弱点と分かりきってるだろ」

「分かりきってるから、ですぞ。だってそこを警戒するでは無きですか」

 

 結果的に活用することになったけどね。

 

「本来は、ベラミーを誘き寄せて『人質』」になってもらう予定ですたが、シーザーがいたので急遽餌を変えました」

「……チョイスが分からねぇな。何故だ?」

 

 ベラミーとはドフィさんの傘下の海賊。

 でもシーザーがいるからシーザーでいいやと思ったのには理由がある。

 

「『ドフィさんの陣営ではある人物』で、『ドフィさんのファミリーではなく』、『ドフィさん相手に私たちを売る人間』が条件ですたよ」

 

 最適な人質が出てきたのでそちらにシフトチェンジしただけであって、別にシーザーじゃなくても良かったんだ。

 

「その人物からもたらされた情報は信じても、人物自体は信じられぬでしょ?」

「……そうだが」

「だからドフィさんはその『人質』を隔離すると思ったですよ。──抜け道がある客室に」

 

 王宮は抜け道が多いからねぇ。

 

「…………であれば、その人質を必死に奪い返せば、ドフィさんは『人質からもたらされた情報』を真実と思うでしょう?」

 

 私がニッコリと笑みを深めれば、ドフィさんの口はまさか、と動いた。

 

 

 

 ドレスローザの情報戦は、全てそこから始まった。

 

「私の今回の武器は情報です。貴方がなまじっか情報収集能力も差し手としても一流だから、罠に嵌めるのが楽しくて複雑ですた」

「リィンちゃん…………お前……全部っ!偽の情報だったな!?」

「麦わらの一味復活寸前からドレスローザ上陸まで、ドフィさんを貶めたくてワックワクで眠れませんですたよ」

「まるで旅行前の子供みたいな無邪気なテンションで悪意しか無い作戦を考えんな!」

 

 仕事で忙殺されていたのは違いないんだけど、本当に楽しくて眠れなかった。

 

「その偽情報とやらは一体?」

 

 センゴクさんがおかきを私に渡すので、賄賂を受け取った私はお茶を入れることとした。

 

 

 さて、1個ずつ解説していこうか。

 

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