2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第35話 振り回されっぱなしは辛い

「…………」

 

 目の前に書いてある言葉をよむ

 

 

 ──マリンフォード──

 

 

 ふふふ、ここ、こここそが海軍本部。1週間程の長旅を経て、やっと到着しました。

 

「………リィンちゃん、無理しない」

「はい………」

 

 ゲロ酔い状態で。

 

「さあリィン!センゴクの元へ行くぞ!」

 

「中将!あんたは無理させない!!!」

 

 

「ドーバンさんが優しき…………」

「ドーパンです」

「ドードパ……──パンさん」

「諦めたんですね」

 

「あの、センゴク、とおっしゃるお方は私の記憶の奥底より目覚めし言葉に元帥なる立場と同調と予感するぞ………いかがぞり??」

 

 

 

 

「────その予感、的中です」

 

「運命は私ぞ殺害する気大振りでござんすた」

 

 なんでセンゴク元帥に会わないといけないの!?え、新兵全員が会えるような人じゃないんだよね!?なんで!?

 フェヒ爺の海兵上層部人員把握用紙には海軍トップは元帥って書いてあったよ!?

 

 くそ、用紙を見直しておくんだった。ジジに襟首(えりくび)つかまれる前に。

 

「後は任せたぞドーパン!」

「少しは後処理手伝ってくれたっていいでしょうに!!」

 

 私も不憫(ふびん)だと思うけどドーパンさんも不憫(ふびん)だと思うんだ。

 

 

 

 ==========

 

 

 

「邪魔するぞ!」

「ガープ…貴様はまたどこをほっつき歩いていた!」

 

 大仰(おおぎょう)な扉にビビっている私を尻目に大きな音を立ててジジは入っていった。あの、私の心の準備期間は無いんでしょうか。

 

「………その子は?」

 

 部屋の中には3人の人間がいて、真ん中の椅子で座って書類を手にしてる人がギロリとこちらを睨みつけた。

 その視線の鋭さに思わずすくみ上がる。

 

「リ、リィン、とぞ、申され、ました!」

「─────リィン…?」

 

 (いぶか)しげに眉を寄せるかもめの人

 え、何、挨拶間違えた?挨拶どころか言葉も怪しさ満点だけど。

 

「センゴク、こいつを海軍に入れたてやってくれんか」

「っ、何故!」

「本人の希望じゃ」

 

 センゴク元帥と思われる人が再び視線をジジから私に移したので震えながら答えた。

 

「はいですぞ!海軍にぞ入りて大事な物を保護したいぞと思考した故に希望致されますたです!」

「お前さんは…───」

 

「また随分と可愛らしいお嬢さんじゃないのよ…」

 

 仮にも上司──元帥であるセンゴクさんが海軍トップだからそれ以上は居ない──の話を中断する勇気ある無謀(むぼう)な声が室内にいる人間に聞こえた。

 

「……クザン…、珍しくここに居る(仕事をしてる)と思えばそれか」

「いいじゃないのセンゴクさん…──お嬢さん、覚悟は出来ているのかい?」

 

 青を基調としたスーツを着る大男がのらりくらりと立ち上がり私の目の前にやって来た。

 覚悟…それはもちろん。

 

「完了済みぞです」

 

「不思議な喋り方をするねぇ〜…誰に教えてもらったんだい?」

 

 黄色を基調としたスーツを着たまるでヤのつく職業の様なデカイ人が視線を合わせる。

 

「さんぞ──」

「ボルサリーノとクザンはちょっと黙っちょれ!のおセンゴク!!いいじゃろ!?」

 

 私の言葉を遮るようにジジが大声をあげた。

 

「ガープさん質問の邪魔をしないでくれますかぃ〜?で、誰に教えてもらったんだい?」

 

「え、と、幼き兄に、ぞ」

「さんぞ……、って言いかけてなかったかい?」

「………3ぞ年上の兄…と6年上の兄、とぞ申すと思考するしたぞり」

 

 本当は山賊って言いかけたんだけどジジの反応からするに言っちゃ駄目っぽそう。横目で見ると安堵(あんど)したように息を吐いてた。

 

「へぇ…そうかね〜……?」

 

──コンコン

 

「失礼するよセンゴク、──ほらあんたも早く入らないかサカズキ」

 

「じゃがおつるさん。他の奴らがはいっちょるでは無いですか」

 

「丁度いい2人とも、聞いてはくれないか」

 

「…?失礼します」

 

 

 

 

 会話を聞く限りこの場にいる人間って、

 

 元帥センゴク

 中将ガープ

 

 それと

 大将サカズキ

 大将クザン

 大将ボルサリーノ

 

 中将つる

 

 で、合ってますか?なんで私到着直後にフェヒ爺のメモに書いてあった最重要海兵の大部分と鉢合わせないといけないんでしょうか。あとどうでもいいけど平均身長高いね。見上げるこちらは首が痛いよ。

 

「このガキは…」

 

「海軍入隊希望者、じゃ」

「まだ若いのに目標がしっかりしてて偉いねぇ…」

「ガープ中将が連れてきたからもっと破天荒(はてんこう)かと思ったけど、案外まともな子供じゃないのよ…」

「クザン!儂に喧嘩を売ってるつもりか!」

「ガープあんたはちょっと黙ってな!」

 

 そしてなんでこんなに仲悪いの?

 

「それで、どうしてセンゴクさんは反対な顔をしてるんですかい〜?」

 

「貴様らは知らんから胃が痛くならんのだろうな!この子はな、この子の親はな…───」

 

「よせセンゴク!……リィンの前じゃ」

 

「───…、はぁ…。黒髪の年齢詐欺師の娘だ」

 

「「「「ああ……」」」」

 

 ねぇ一体私のお母さんは何をしたの?戦神って人で合ってるんですよね?

 

「まぁいいじゃないか、この子はここに入ろうって言うんだ……罪じゃならないだろう?」

「いや、それは分かっているんだが………」

 

 

「それともなんだい…あんたがカ──」

「──分かった!これ以上言うな!………リィン、1つ聞こう」

「はいです!」

 

「リィン、お前さんの目標はどこだ」

 

 目標?なんだ、じゃなくてどこ?地位って事?

 

 よく分からないから誤魔化しますよ、うん。

 

「目標は守り抜くだけの地位を得る事のみ、様々なる力から守るだけの!目指すは上、中途半端なる地位は守るどころか傷つける故に!」

 

 下からも上からも圧力かけられてたんじゃ守れない。下だとツテを作るだけ作ってすぐに地位を捨てれる、つまり逃げれる。

 上だと責任を伴う反面自由が効く。権力に守られるんだ。

 

「……………合格だ」

「へ?」

「入隊を許可しよう…」

 

「あ、ありがとうごじょります!」

 

「子供に戦闘はまだ望まないから雑用として動いてくれ、ドーパン大佐に案内と説明を頼んでおくから従うように」

 

 雑用バンザイ!安全バンザイ!ありがとう!!

 

「はいっ!!」

 

 元気に挨拶したのに何故か微妙な顔をする海軍上層部面々、何故だ。

 

「元気、うん…元気だな……」

「げ、元気なのはいいことだよぉ〜……」

「…うるそうて堪らんわい…」

「は、ははは……」

 

 解せぬ。

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「………」

 

 リィンが部屋から出た後、残った面々は真剣な顔をしていた。

 

「五老星に報告するべきか…?」

 

「確かカナエさ…戦神とは繋がりがあっとったはずじゃ…、それが妥当(だとう)じゃろう」

「敵ならばどれほど楽だった事か…」

「いや、それでもあんたは揺れたねセンゴク。何だかんだとあんたは甘いんだ」

「……」

 

 各々、ロジャー海賊団と関わりのある者ばかり、特に戦神 不知火叶夢には。

 

「……謎に包まれた女の娘、か」

 

「すまんが儂は高い地位につかせ、武力はまだしもせめて権力で守るべきじゃと思うちょる、恩があるもんでな…………」

「珍しいんじゃねェかサカズキ…。俺は逆だ、いくら〝あの人〟の娘でも本人次第………、見極めるべきじゃねェの?」

 

 相変わらずこの2人は対立する。それはこの場の誰もが思った、能力もそうだが根本的な性格からして馬が合わないんだろう。

 

「ちょっと落ち着きなあんたら、全く、だらしないねェ…一人の女に大の男がこうも振り回されるとは………」

「あ、リィンは悪魔の実の能力者じゃぞ」

 

「「「「っ!?」」」」

 

「ガープ……大事な情報をどうしてこう黙っている……!」

「儂とて最近気付いたんじゃ!──…実の内容は不明らしいが風を操ると言っておった………。先日も箒を操り掃除しておる所を目撃したわい……」

「箒…単独行動も可能かもしれんな……。クザンの様に」

 

 センゴクがじろりとクザンを向けば後ろめたい事があるのか肩がはねた。

 

「ちょ、ここでそれはやめましょうよ……」

 

 ヒエヒエの実の能力者である彼は自転車で偉大なる航路を往復出来る程の能力を持っている。その能力は彼のサボり癖故に脱走の手伝いをしているが。

 

「使える能力か……」

 

 今の大海賊時代必要な正義の要である海軍。戦力はあるに越したことは無いがまだ幼き少女、身を守る術を身につけるも他者を傷つける術を身につけるも本人の希望次第だが、幼いあまり正しい判断が出来るか不明……。問題点は多数ある。

 

「……はぁ………」

 

 先を思う元帥は深いため息を吐いた。

 

「まあ、これで少なくとも成人までに将校につくってことかねぇ……」

 

 つるがセンゴク同様、ため息と同時に呟いた。能力者は戦力確保の為に入隊から5年以上10年未満の間、または成人までに将校につくという決まりがある。

 

 立場を保護して能力者を守ると言えば聞こえは良いが実際は手のひらを返されて海賊に堕ちない様に立場に縛り付けるだけだが。

 

「火種……」

 

 ぽつりとガープが思い出す。

 

「火種?」

「リィンと始めて会うた時…リィンが火種を発生させたんじゃ………。(カナエ)にそんな事は出来んことは儂ら十分に承知しておるはずじゃろう……、あの場に居たのは戦神(カナエ)と儂と赤ん坊のリィンだけ」

「風だけじゃないってわけかい…?」

 

「恐らくのぅ…」

 

 これはまた更に厄介。

 

 

 センゴクは密かに胃を痛めた。

 




海軍の人達の口調がわからないマン…(ダメなやつ)

海軍の悪魔の実の能力者保護のルールは私が勝手に決めました。捏造万歳!

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