2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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海軍本部ほのぼの夏祭り小話


番外編5〜夏祭り〜

「「「「「夏祭りィ?」」」」」

 

 会議室にいる海賊が同時に声を上げた。

 

「おいおい、普通こういうのは海軍だけでやるだろうが……何故俺たちに言う?」

 

 相変わらず煙をふかしながら砂人間のクロコダイルが呆れ声を出した。

 

「なんだ?何の理由がある?」

 

 天夜叉と呼ばれるドフラミンゴも同じように声を出した。

 

 

 

 海軍はマリンフォードに住む、又は訪れる市民のためにワノ国で行われるという〝夏祭り〟をしよう、と計画した。

 計画をしたのはいいが問題点がいくつか出てきた。

 

「…………人員不足、だ」

 

「……。」

 

 流石の参謀のつるさんもどうにも出来なかった。部屋の端で頭を押さえている。

 

「なにぶん、〝夏祭り〟の勝手が分からない人間が海軍には多い。そこでこの海を冒険している無法者達(七武海)の出番なのだよ」

 

 センゴクがそういうとガタッと席を立ち上がった人物が1人。

 

「つまらぬ。その様な用ならば帰らせてもらおう」

 

 鷹の目のミホーク。

 数年前まで全く本部に来なかったが近年面白い人間(アホ)を捕まえ浮上率が高くなったのだが協力性は皆無。そんな彼がやろうとしないのも目に見えていた。

 

「まァまァ待つぞですミホさん」

 

 海軍本部が処置した物は一人の少女(アホ)だった。

 

「祭りを行う事でメリットがいくつか存在するしてるです」

 

 ピクリと眉を上げた。

 

「どういう事だ?」

 

 

「(かかった……!)」

 

 ニヤリとリィンはほくそ笑むと指を1本ずつ立てていく。

 

「まず一つ。市民に協力ぞする姿閲覧し、七武海の怖いイメージの払拭…──ですが、ここに居る人間はその様な事気にすること皆無ですぞりねぇ」

 

 海賊──七武海のイメージを良くしようというメリット。一言余計だが。

 

 

「二つ目。それは利益、海賊家業も稼げるものとは皆無。今回の祭りでセンゴクさん達は利益の何割かをそれぞれに働き次第で与えると言うしてるですた」

 

「……その程度ならば俺は参加しないぞ」

 

「最後までお聞きしろです。

 三つ目。様々な人間に出会う事可能なところです。宣伝している以上、どんな島からどんな猛者がやって来るか…──」

 

「……」

 

 するとミホークは黙って席についた。

 

 恐らく『参加してやる』という無言のアピールなんだろう。

 

「フフフ…リィン。それだと俺には用無い。……収入源もある、猛者に出会う必要も無い。さて、お前は俺にとってどんな利益をもたらしてくれる?」

 

「勘違い禁止!」

 

 ズバリ、とリィンがドフラミンゴに言い放った。

 

「ドフィさんは…私にイブの相手をさせたという〝貸し〟ぞ存在するしてるです、…………さて、ドフィさんはどんな〝私が求める返し〟をしてくれるです?」

 

「…………。いいだろう、参加しよう」

 

 不機嫌そうでは無く、実力に満足しているのかニヤニヤと笑いながら足を組み替えた。リィンはこっそり息を吐く。

 

「(任されてしまった以上この厄介者共を納得させなければならない…!夏祭りの出店の為にも!)」

 

 七武海の会議に参加しないリィンにとって珍しい参加は何とも不純な動機だった。食べ物は偉大だ。

 

「クロさんは、無条件に協力するとぞ信じているです」

 

 ニッ、と笑ってみせれば仕方ないとばかりに頭をかく。

 どうやら『あなたは特別扱い作戦』が効いた様だ。

 これで上手くいかなかったら『嫌いになって海賊になる可能性が無くなるぞ作戦』に切り替わっていたが、言う必要は無い。

 

「あ、ジンさんとくまさんは参加するです〜?」

「わしはいくらでも協力しよう。リィンの為じゃからな」

「不利益になる事はあるまい。協力させてもらう」

「あぁ…なんとも苦労の無き説得……。楽で好き……」

 

 ちょっぴり泣きそうになったのは秘密だ。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

『行かぬと言うたら行かぬ!』

「何故ワガママぞー!」

『嫌と言ったら嫌なのじゃ!わらわは(がん)として行かぬぞ!』

 

 まだ1番の問題児が残っていた。

 

『わらわはマリージョアに近寄りとう無───ッ!もう良い!わらわに関わるな!』

 

 

──ガチャ…

 

 

 

 

「無理の様子です」

 

 祭りの手配などを計画している頭の良い方々( クロコダイル ドフラミンゴ おつるさん )の邪魔にならない様にリィンはハンコックに電伝虫をかけたが珍しく声を全力で荒げ切られた。

 いつも切るのはリィンの方なので珍しい。これ以上関わるのは野暮かもしれない、センゴクに視線を送った。

 

「…はァ、仕方ない。女帝は不参加だ」

 

 元より期待してないのかリィンの想像よりも随分あっさりとしていた。まァ個人的にありがたい事この上ないが。

 

「リィン!」

「ほへ?」

「テメェが考えうるローリスクハイリターンの出店の内容を考えろ」

「…ドフィさんは私が脳細胞ぞ死滅するが予定か」

 

 ある程度案が無くなってしまったのかドフラミンゴが背もたれに体重を預け糸を操った。〝寄生糸(パラサイト)〟意外に糸とは考えれば強いものだなと1人リィンは納得する。

 

「ドフラミンゴ…いい子だからおやめ」

「フッフッフッ…おつるさんには敵わねェなァ……」

 

 糸で逃げられない様に腕を捕まえる。操る事は無くなったが自由が効かない。

 

「はぁ……束縛は苦手ぞりんちょ……」

 

 一言文句を言うと案を出すために口を開いた。

 

「バーベキューはどうぞ?」

「………………。」

「ドフィさん、痛い、腕、解放、願い」

 

 横でクロコダイルがため息をついた所を見ると自業自得っぷりが目に見えてわかる。

 

「私が考えるぞに、出店の内容は…────」

 

 

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガヤガヤと騒ぐ音が聞こえる。

 

 リィンは1人マリンフォードをブラブラ歩いていた。

 

 気分は祭り一色、どこか浮かれた気分の人間が多かった。

 

「(一応平和や正義の象徴なんだけど腑抜けていいのかな……)」

 

 考え事をしていると。

 

──ドスッ

 

「っぎゃう!」

 

「よォリィンちゃん」

「……出会い頭に脳天に攻撃加えるは禁止ぞ…ドフィさん」

 

 頭を抑えながら振り返るとチョップしたであろう片手をあげてニヤリと笑うピンクの鳥。

 

「リィンちょっと来い」

「っ、うわっ!」

 

 リィンの身体が浮いたと思ったらクロコダイルが抱え上げていた。

 

鳥野郎(ドフラミンゴ)、準備は出来てるんだろうな?」

鰐野郎(クロコダイル)、テメェに言われなくても完璧だ」

 

 いつの間にか(ストーカー)(ロリコン)が仲良くなってる。

 

「ちょ、変態が編隊組んで何をしでか……──うぎゃぁあ!ジィィィンさァァアーーー!ヘルプ!私誘拐され、ミホオオオオ!!」

 

 叫び声も虚しく変態2人に部屋に連れ去られた。その場を通りかかったジンベエとミホークはお互い顔を見合わせると同時に合掌したのだった。

 

 

 

 結論:七武海は仲良し

 

 

 

 

 

 

 『待って、停止、服離せ!』

 『あ?テメェがこれの着方分かんのかよ』

 『ワノ国の民族衣装をこいつが知るわけ無いだろ(わに)。さっさと剥くぞ』

 『分かる!分かるぞりぃぃぃ!っ、さっさと───出ろーーー!』

 

 

 

 ──10分後──

 

 

 

「はぁ………一気に疲れる」

 

 鳥と鰐を追い出して10分、部屋から出てきたリィンの服が変わっていた。

 見慣れない者もいるだろうが海賊の彼らには見覚えのある物だった。そして、前世を日本という国で過ごした彼女にとっても。

 

「……似合うじゃねェか」

 

「そりゃどーもです」

 

 浴衣。

 夏祭りと言えばこれに限る、とドフラミンゴが用意したらしい、が。

 

「(何でサイズぴったりなんだろう……)」

 

 1人首をかしげた。

 

「で、コレを着るぞするメリットは?」

「面白いから」

「……………っ、この、クソ海賊…!」

「まァ鳥野郎の冗談は置いておいて。ちょっと来い、アレを見ろ」

 

 リィンの手を引いて人混みを案内するとある屋台の前に来た。

 

 

「さ、〝3大将のかき氷〟……?」

 

 ネーミングセンスからして嫌な予感しかし無い。

 

「あらら、リィンちゃん随分可愛い衣装着てるじゃ無いの」

「クザンさん…売り子?」

「俺だけじゃ無くってボルサリーノとサカズキもいるよ」

 

 リィンの背が低いのとクザンの背が高いのもあって奥が見えない。背伸びをするが見えないので諦めていると一気に視界が高くなった。

 

「何じゃい、何をしに来た」

「……サカズキさん、それ私以外なる子にやるは禁止ぞです」

 

 目の前に厳ついおっさんの顔が現れた瞬間声を上げそうになった。よく我慢したものだ。

 

「──と、言うわけだ」

「どういう事ぞ」

 

 クロコダイルは視線が1周ぐるりと回ると長いため息と共に問題点を口に出した。

 

「………怖すぎて誰も近寄らない」

「あー……」

 

 確かに、と納得してしまう。

 まず大将という肩書き。市民に紛れている兵士はもちろん普通の市民でも怖くて近寄れないだろう。顔もいかつい事だし。

 

「クロさん、かき氷」

「は?」

「買ってぞ」

 

「………。」

 

 睨みつけたがどこ吹く風のリィンを見て諦めたのかクロコダイルは素直に買った。

 

「何味がいいんだい〜?」

「いちごとレモンとはわいあんぶるー?……なんというか、わかりやすいというか…───いちごさん!」

 

 小声でボソリと呟くと、顔を上げて二ィッと笑いながらイチゴ味を注文した。

 

「はいどうぞ」

「ありがとうですおじちゃんっ!思ってたより優しいです!──っ!美味しぃ〜…!」

 

 至福、とばかりにニコニコするリィンを見てその場にいる大将と鰐は思った。

 

「「「「(だれだこいつ……)」」」」

 

 少なくともこんな素直でニコニコとガキ相応の顔をする様な奴じゃなかった。

 

「お、おじさん!ぼ、僕にも一つください……」

 

 するとリィンに影響されてか、怖いというイメージが無くなったのか。子供たちがベリーを握りしめながら近寄って注文した。

 

「……。」

 

 リィンはかき氷を食べながらニヤリと笑う。人間誰か1人目が行動しなければ何かの行動を起こしにくい。

 要はリィンがその1人目になっただけなのだ。

 

 売り子の手伝いをしてもいいがそれだと〝3大将のかき氷〟にはならないだと思うリィンの気遣いだった。

 

「さ〜てと、クロさんたこ焼き行くぞでーす!」

「あ?俺もか?」

「期待してるですぞお財布さん!」

「……。」

「ぎゃあ!かき氷半分も食すするなぞ!」

 

 

 自分が久しぶりの祭りと浴衣を楽しみたかった…理由では無い、と思う。




まず感情を…ネタ提供ありがとうございます!

ハンコックさんの不参加は『天竜人をぶん殴ったルフィ』の為に本部に来たのであって『興味のある雑用の少女』の為にあの綺麗なおみ足は運びません!これは私のぽりしーです。

今現状でロリ…クロコダイルさんとリィンの認識は『手間のかかる勧誘対象のガキ』と『便利なお財布さん』という認識ですので!

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