正直私の職場ブラック過ぎやしませんかね。
途中適当な島に降りてキッドさんという人に出会ってとりあえずバテリラというリゾート地に来たのだが、辺りはもう既に薄暗く、リゾート地で楽しんでる時間なんてものは無い。
さっさと宿を探して朝に海軍支部に向かうのが妥当案なのだが。
「………。」
保護者代わりに連れて来たキッドさんが空中飛行で大分生気を持っていかれたみたいなのです。さて、どうしよう。
「あの……キッドさん…大丈夫です……?」
「説明…くらい………しろよ……」
喧嘩してた時の覇気は全く無いね。どちらかと言うと吐きがあるかな。
「……ごめんです」
初めて速く飛ぶとどうなるのか、私は彼の実験を得て資料が取れた。まァMAXスピードじゃないけど。
私はゆっくりスピードから段々速く出来る様に練習したからもう慣れたものだよ。歩く速度より飛ぶ速度の方が遅かった私が5.6年でよくここまで成長したものだ。いやー、私ったら天才。
正直風は肌を切るから痛いよ。目に風が入り込んで眼球カッサカサになるから痛いよ。
その為にマント羽織ってゴーグルを装備してるんだけど。
でもその装備だって完璧じゃないし武装色も見聞色もあまり使えないから我慢しかない。
私の武装色は自然系の人に触れる程度。ガープ中将の様に黒くなることはない。
見聞色はどうなんだろう。私自身では上手く使えてるのか分からないけど…サカズキさんが怒った時の気配は良く読める。私は巻き込まれない様にすぐに逃げる。
「……悪魔の実か?」
「そうです、実の内容は不明です」
だいぶ復活したキッドさんがポツリと呟いたので答える。もちろん悪魔の実などでは無いから嘘だけれども。
「………これからどうするつもりだ」
「宿で1晩泊まる後、支部に向けて行く予定です」
「…そうか」
本当にこの人予定も何も立てて無いのになんで付いて来たの?
「目の前がクラクラする…あと10分待て………」
本当になんで付いて来たんだろう。
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「こっちは宿無し」
「こっちも宿の空き無しです」
2人で手分けして泊まる場所を探しているのだが流石観光地。宿は満室。
つまり、私達がいきなり来て予約無しで泊まれる宿など無いという事だ。
「ヤベェ店なら空いてるけどお前みたいな糞ガキ連れて入れる訳がねェな…」
「やべーみせ?」
「………。うるせェ」
ボソッと呟いたキッドさんの言葉に反応してみたけれど頭を殴られるお返事が返ってきた。解せぬ。
「空きがあるならば行くです。正直寝たい」
「は、入れるかよ!っ、お、お前アレに…!」
「はい…?」
「…くっ、アレはアレだ。……だァァ!説明が難しいなクソが!」
顔をぼっぼっぼっぼっと赤くさせながらあーだこーだと叫んでる。
「……お、男と女がアレコレする宿だ………!」
ほほぉ。つまりあれか。
「その店はつまるところセッ…──」
「うぉおおおい!テメェ何口走ろうとしてんだよ!」
「何故、そこに泊まる事が出来るなら、泊まるですよ」
「なんでだよッ!テメェ意味理解出来てる癖になんでそういう判断になるんだよッ!──ってかなんで意味理解出来んだよ!」
「……社会勉強?」
「その勉強だけは頼むからやめてくれ………ッ!」
いや、私見た目通りの歳じゃないから。一応前世の基礎知識みたいなのがあるからある程度察せれるよ?
別にそこでいいじゃない、眠いんだし。
ヤる事が目的じゃなくて休息が目的なんだからそんなに慌てなくても……。
私は一つの仮説にたどり着いた。
「さてはキッドさん
「やめろぉぉぉぉぉお!」
肩を掴まれて揺すられる。
首、首がもげる!取れるから…!
「ゼェ…ゼェ…」
「はぁ…はぁ…」
五分経つとそこには叫び疲れて息を切らしている2人が居た。周囲に人間は……居ない。おかしいな観光地なのに。
避けられたな(確信)
「何故拒否するです!ヤらないならばいいじゃ無きですか!?」
「誰が入るか!ッそもそもテメェみたいな子供連れて入れるか!」
「この世には合法ロリというものが存在するです!」
「ンなもん存在してたまるか!あとテメェはどう考えても成人未満だろうが!」
「この、頑固チューリップ!」
「ンだとこの糞ガキ!」
いつまで経っても平行線の言い合いが続く。
正直埒が明かない。
「チッ…どこか空き家探すぞ」
「えー…空き巣です?」
「ちょっと拝借するだけだ…!つーかなんで空き家に泊まるのに抵抗あるのにアレな店に抵抗無ェんだよ……」
だってラブホはお金払うから正規だけど空き家に泊まるのは無断使用だから下手すれば犯罪じゃん。怖いよ。
ゆっくり適当に移動しながらも言い争い続ける。
だって、私海兵ですもん。警察が不祥事起こしたら叩かれるみたいに私も首が飛ぶの怖いんです。
「聞き忘れてだけどなんで支部に用事があるんだ?」
「ち、父に会いに……」
「ふーん、誰だ?」
「支部の、将校、です」
「それ結構大物じゃねェかよ…海賊志望の奴と一緒に居ていいのかァ?」
「志望ならばまだ一般人です〜…。いや、でも一般人ってどういう基準ぞ?」
っていうかそんな
「あ?何ブツブツ言ってんだ?」
「童貞さんの頭残念そう故理解出来ないですぞ、哲学です故」
「喧嘩売ってんのか、つーか喧嘩売ってるな。よし、戦争だ…!」
「まさかーー!」
キッドさんはイライラするのか自分の頭を
「…お前って少し変わった喋り方するよな」
「……」
「え、おい、なんで泣くんだよ」
ちょっと、かなり感動した。
一時前まで『凄い変わった喋り方』って言われてきたから。私頑張った。凄く頑張ったよ。
まず『ぞ』『ぞり』が封印された事が1番難しかった!なんで最初の関門なのに最終関門レベルの高さをぶっ込んで来るんだろう
「お、あれ見てみろ。あの家空き家じゃねェか?」
「どこです…?」
「海岸沿いの崖の上」
目を凝らすと赤い屋根の一軒家が見える。ガーデンは雑草が生えてるから人は居ないみたいだけど……。
「なァそこのオバチャン」
そこのチューリップはナンパしてどうする。
「あそこの家空き家か?」
「え?あァルーちゃんの所だったわねェ……」
「だった?」
「確か14.5年前だったかしら…いい子だったんだけど亡くなっちゃってね…」
確定、別のところを探しましょう。
「良し、ガキあそこに泊まるぞ」
「嫌ぁぁぁあ!」
「あそこの近くの森に猛獣が出るから地元の人は近付かないから気を付けてねェ…」
ズルズルと引きずられる。男の年上の人の腕力に敵うはず無いんだよ。くすん。
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「ヘェ…案外広いじゃねェか」
渋々入るとキッドさんがドカッと椅子に座った。
一部屋に浴室が一つ。流石に水は止まってるなァ…。
「風呂は川か………」
「お前本当に女かよ」
コルボ山に居た時は血で汚れたエース達はよく川で体を洗い流していた。私とルフィは能力者という事もあって入らせてくれなかったけれど。
「……まァいいや、俺は先に入らせてもらうぞ」
「どうぞです」
キッドさんが先に向かってくれたので安全確認出来るかな。帰ってこなければ喰われたと見て私は見捨てて逃げようと思う。
「本多いですな…」
見渡すとやはり私物であろう本棚。
航海術、天候、海、気象、この家主は航海士だったのかな……。
私は一つ表紙に航海日記と書かれてある本を手に取った。
でも本全体を水に濡らした様に文字がぼやけていて読めない。
「〝……魚の…──な─…石……───史─…〟」
だめだ。全くと言っていいほど読めない。
するとパサッと何かが本の間から抜け落ちた。
二つの
私は慌てて写真を凝視した。
「なんで写るしてる…ショタンクスさん…!」
見慣れた麦わら帽子を被った赤い髪の少年がご飯を食べながらニッと笑っている。
なんだか次に出会う時ぶん殴りたくなってくる。相手四皇だけど。
写真に写っていたのはシャンクスさんだけじゃない。宴の最中なのか、美味しそうな食べ物と一緒に真っ赤な鼻の男や…。
「ゴールド・ロジャー……!」
海賊王とそのクルー。
ロジャー海賊団だった。
「ハ、ハハハ…………」
なんだこれ、頭痛くなってくる。戦神シラヌイ・カナエもフェヒ爺もシャンクスさんも写ってる。何これ。呪いの心霊写真ですか?
『愛する子供へ』
『これを拾う人へ』
私は恐る恐る『これを拾う人へ』と書かれた呪いの手紙の封を開けた。
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可能性は限りなく低い事を最初に言っておきます
これを拾う方がどんな人物か知りません
でも一つだけ、願いを聞いてください
私には今お腹に赤ちゃんがいます。私の大切な子供が
この子の運命は私達親のせいで嫌われるかも知れません
この子はきっと私達を怨むと思います、だからこそ、私の言葉を遺して伝えたかった
でも私はきっと死ぬ。だから託させてください
私の子供がもし誰か分かるのなら……届けてくれませんか。もう一つの手紙を
でもきっと、私の子供が誰か分からないでしょう……。その時はそっと、この手紙ともう一つの手紙を燃やしてください。この世に遺しちゃだめな手紙だから…。お願いします
ポートガス・D・ルージュ
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え、待って、ポートガス?
ちょっと待ってもらおう。
・ここにある写真はどう見てもロジャー海賊団
・ポートガスという名前
・忌み嫌われる子供
これどう考えてもエースの事じゃない?
待って待って待ってお腹痛い。
「ガキ、次はテメェが入って……何固まってんだ?」
これ可能性かなり低いよね。
だって子供の名前も書いてないし父親の性を名乗ってる可能性だってあるんだから。それにエースってジジが拾って匿ってるんだからどこに居るかの検討つかないだろうしこれを見つけたのがもし海軍だったら怪しまれる。
エースがコルボ山に来たのはどう考えてもジジが連れて来た可能性が高い。ルフィや私みたいに。
だからジジ、つまり海兵に見られたくなかったって事ですよね。
海軍はルージュさんが海賊王のお嫁さんだと知らないから確かに自分の名前でひょっとしたらいけるかも知れないけどすっごい危険な賭けだよね……。ほんとに、エースを知ってる私が拾う可能性なんて限りなく低……。
──ズン…
なんだか体に重みが加わった。
「あー…子供体温ってあったけェな…」
「………キッドさん、ホールド禁止」
キッドさんの
「離すしろぉぉ!」
「暴れるなよ……ッたく。肌寒ィんだよ、暖取らせろ」
「火の中へと放り込むぞ!?」
寒いに決まってるだろそんなに濡れてるんなら。
手足もがっちり押さえつけらて身動き取れないから飽きるまでずっとこの体制か。きつい。
「あったけ……………」
もういいや、このまま考え事してやれ。
とりあえず手紙をどうするか。このまま燃やしても良いけど絶対に見つからない
天候によって進行出来る速度が変わってくるからな。
「……ぐぅぅう…ぐぅぅぅ…」
耳元で寝息が聞こえる。
「キッドさん?キッドさん眠るです?」
「ぐぅぅ………」
寝たのか。
まァ初体験であろう飛行を経験したんだから仕方ないと言えば仕方ない。きっと疲れたんだろう。
私はキッドさんの腕を掴んで体に体重をかけ押し倒し「ぐぇ…!」ホールドから逃れると川に向かった。
「どーなるんだろ………」
世界中が探し求めてる機密を手に入れてしまった私は川の水の冷たさに涙を流した。
決して現実の厳しさとプレッシャーでは無い。
セクハラです(カリファ風)
逃走中とワンピースコラボですね!!全裸待機です!