リィンの届けた書類の話をしよう。
リィンが
海軍のトップ元帥を無視して、だ。
赤い封筒は『世界を揺るがす可能性のある封筒』
新米のリィンは知らずともその受け渡しを目にしてしまったボルサリーノや受け渡し張本人であるセンゴクはコング総帥からの通達があるまでピリピリとした雰囲気へと
コング総帥は、その封筒を開き。一つの可能性、いや、ほぼ確定した証拠に悩まされた。
「ポートガス・D・ルージュ、コイツは……間違いない…。隠れ家だ」
バテリラの、ある空き家に今頃になって目撃情報が入った。証拠は未だ見つからないが、家探しの許可を求めて来たのだ。
そして。もしかしたらポートガスに…。
「……こちら本部、
『…──聞こえます』
「……………家探しを許可する。危惧しているアレが確実と判明した場合連絡を寄越せ」
『……はい!』
電伝虫で指示を飛ばせば静かに椅子に倒れ込んだ。
「ロジャー………!」
死んでからも自分を悩ますのか、と。
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コング総帥というセンゴクさんより偉い人から呼び出しがかかった。
心強い事は私だけじゃ無くて同位の3人と上司センゴクさん。そして中将からおつるさんとジジという濃いメンバー。
私がいる必要あるかな。
「コングさん…いきなりこんな濃い面子集めてどうしたってのよォ」
眠っていた所を大人では無く私が起こして無理やり引っ張って連れて来たクザンさんが欠伸を噛み締めながら険しい顔をするコングさんに視線を送った。
「単刀直入に言おう…───海賊王の子供が生きている可能性が出た」
「「「「!?」」」」
「「「っ!」」」
口から出た言葉に思わずギョッとする。
なんで、バレた!?
ジジを見るとあからさまに動揺してる。センゴクさんは一瞬で元に戻ったが青くなった。他の人達は未だに驚いた顔をしているから、ひょっとしてセンゴクさんはエースの存在を知っているのか?
人の顔色を伺うことが得意なので私だけが周囲の様子の変化に気付けたのかも知れない、コング総帥はどうか分からないけど。
「あの、可能性、とは?」
「リィンが届けてくれた封筒、アレにポートガスの情報が入っていた。まさか敢えて人の多い所に隠れるとはな…。まァそれでだな、リィンが帰ってきた後家探しを行った。するとこれと言って重要な情報はなかなか手に入れれなかったが、生活していたであろう形跡と死亡したという情報を手に入れたんだ……」
私が運んだあの封筒がエースの痕跡になった…?嘘でしょう?
と言うか家探しの前に手紙回収出来て良かった!これがあったら察しのいい人は海賊王に子供がいるという証拠になるでしょう!?こわっ、何これ怖っ。
私が一人動揺しているとおつるさんが追加で声をかけた。
「つまり、今になるまで情報が発見出来なかった事を見ると子供がいて、それを逃がしてる可能性が高いって事かね?」
「あァそうだ。君たちも──リィン以外だが──、勿論知っての通りあのお転婆娘はロジャーと随分仲が良かった。つまり…可能性が高い」
ロジャーの子を生した可能性が、と付け足すと部屋に沈黙が起こった。
まだエースの事は知られていない。可能性だけだ。大丈夫、大丈夫。
「もしも、生まれた子供を取り上げた助産師が居れば…時期を確認する」
……ずっと不思議に思っていた事がある。海賊王が捕まった日とエースが生まれた日がおかしいんだ。
下品な言い方だけどヤった時期と産まれた時期のタイムラグがどう考えてもおかしい。なんで間が一般的な妊娠期間の10ヵ月以上も空いてる?
可能性として考えられるのは、エースは海賊王の息子では無く別人の息子。もう一つとしては…胎内に居る期間が長かった。
「…──ィン─…リィン!聞いているか!?」
「あ………、ごめんなさいです。聞いてませんですた……」
「顔色が悪いぞ……どうした」
コング総帥が訝しげに眉を歪める。
「わ、私…えっと………──」
「どうした」
「──あ、戦神の娘だから……気になって」
「っ!?じいちゃんはそんな事一言も教えて無いぞ!?」
「……自白ですよ?ガープ中将」
これで確信した。
私の母親が戦神だと言う事を。
「じいちゃんと呼ばんかぁぁぁぁ……!」
え、気にする所はそこなの?
「ガープ中将うるさいです」
「センゴク!お主の影響か!リィンが反抗期じゃ!」
「私には反抗期では無いとは思うんだがの……」
ゴホン、とコング総帥が2人の漫才が始まる前に咳き込んで止めた。
「とにかく、ポートガス・D・ルージュに関連する人物や情報を発見した場合最重要事項として…そうだな、センゴクに任せる」
「はっ…!」
「………頼んだぞ」
「「「「「はいっ!」」」」」
部屋を出ると張り詰めた空気が四散した。誰が付いたのか分からないがため息の音も聞こえる。
「……私はこの面子と揃うは危ない故に雑用部屋に戻るです、ありがとうございますた」
「あァ、ちょっと待てリィン」
「………? 何用ですセンゴクさん」
「別件で話がある。ガープ貴様も来い」
「嫌じゃ!」
「………ガープ中将、仕事ちゃんとしないは嫌いです」
「それも嫌じゃ……」
とぼとぼとセンゴクさんの後ろをついて行くジジを見て、これなら大丈夫だと安心する。
「そういやリィンちゃんは雑用から移動しないのかね〜?」
「リノさんの言うもイイと思うたですが、雑用の方が自由が効くです」
「う〜ん…それでも後6年だからねェ……少しでも上げておいた方がいいと思うけど…」
あと6年?一体なんの事だ?
「まァあっしの事は気にしないで、引き止めて悪かったねェ」
「あ、いえ、ありがとうございますです!」
リノさんが遠回しに「早く行け」と言ったので素直に従ってダッシュする。
別件とか言ったけど、今この状態だとエースの事だとしか思えない。
「はァ…」
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「一つ質問だリィン──知っているな?」
〝何を〟
とは決して言わない、多分私を試しているのと周囲に聞かれた時のための保身だろう。
「はい、知ってるです。察するのもあるのと、ショタが………」
「ショタ?」
「あ、シャンクスさんの事です。我が兄の可愛さに殺られたショタンクスさんです」
「………………奴は一体何をした」
勿論誤解だと信じているが、彼には戦神の情報を黙っていた事と黒歴史を掘り出した事と魚人島に連れていかれた事と休息なしの船旅に付き合わされた事とお菓子を食べられた怨みが存在する。
誤解されればいいと思う。
「……私は正直、胃が痛い」
「………………私もです。黙っていた事が知れれば首が…首と首が……」
「そうか?なんとかなるじゃろ!」
「ガープは黙っていろ!」
「中将は黙るしろです!」
やっぱりセンゴクさんは私と同じタイプなのかもしれない。今度お給料入ったら胃痛薬プレゼントしよう、うん。
「どうするです…」
「現状は黙っていよう。……もし露見すれば立場により対応を変える」
「それは、海賊の場合は…───」
「容赦せん」
私がもし海賊の道を選んでいた時の恐怖が目に見える……。良かった、自己保身の為に海軍に入って。
と言うか私はコレをなんとかする為に入ったんじゃないか!頑張ってもみ消すぞ、せめて、名乗る名前が「エース」のみであれるように、なんとか頑張ろう。
「あの、提案です」
「なんだ?」
「もし海賊になった場合。空くがしてる席の七武海に勧誘してです」
「強さ、にもよるが……。構わないか」
「あと、担当は女狐がいいです」
「お前がか?」
「容赦はするないです!お願いです…!」
本当は容赦しまくるんだけど。
私の願いが通じたのかセンゴクさんはふぅっとため息を吐いた。
「良いだろう」
正体がバレてはいけない私が対応する事によって必然的に1人だけの対応になってくるからある程度態度を崩しても大丈夫なはず。もちろんそれはその場からエース逃がしやすくなるな。
私初めてこの地位に感謝するわ……。最重要機密に。
「話はまとまったか?」
ニコニコとどこからか取り出した煎餅をボリボリ食べるジジを見て無性に腹が立ってくる。
「……。センゴクさん、
「私にも分からない……。……お互い苦労するな」
「私よりセンゴクさんの方が苦労するです。頑張るしてです上司さん」
「胃が……胃が…………!」
ジジってアイテムボックス使えるのかな、とか思い始めるくらいには疲れた。