2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第63話 七転び八転び

「ただいまご帰還でごぞりますー!」

 

 サボ様のお通りだー、と時代劇風に食べ物の香りがする方へ向かうと後ろからゴンと鈍い音がした。

 

「恥ずかしいからやめろ女狐」

 

 音の正体はサボの拳と私の頭から。

 なんで皆私の頭叩いたり殴ったりと痛め付けるのが好きなんだろう。

 

「おかえりサボ君リィンちゃん」

 

 私にも声をかけてくれた人を向くと女の人。

 

「えっと、ただいまです……コアラ…さん?」

「…! 覚えてくれたの!?」

 

 名前は覚えてるけど顔は覚えれてません。

 

 コアラさんが夕食の席に案内してくれたのでそこに座ると目の前にコアラさん隣にサボが座った。

 流石にこの2人には警戒されているよね。

 

 

「いただきまーす!」

「いただくです」

 

 海軍の料理も美味しいけど革命軍の料理も美味しいな…。でも一番美味しかったのは白ひげ海賊団の4番隊隊長のサッチさんが私の好みドンピシャだ、結婚しよ。

 

「サボさんこの子どうしたんですか?」

「ん?……拾ったから送り届ける最中だ」

「へ〜、そうなんですか。どこまで?」

偉大なる航路(グランドライン)!さっさと飯を食え」

「は、はい!」

 

 革命軍の一員が私の事をサボに聞きに行った。まァドラゴンさんの隣にいれるような人たちに挟まれてるんだから気になるわな。

 

「サボさん、無愛想は嫌うされるですよ?」

「余計なお世話だ」

「お世話係になるです」

「年下の奴に世話されてたまるかよ…ほら、口。ソース付いてる」

 

 サボが口元を拭ってくれるとニヤリと笑った。

 

「誰がお世話係になるんだろうなァ〜?」

「ぅぐ…!」

 

 お世話対象にお世話されるんじゃお世話係になれない!

 

「なんだか兄妹みたいだね。2人は」

 

 コアラさんがニコニコ笑いながら声をかけるとサボは一瞬で表情を変えた。

 

「やめろ、こいつはあくまでも敵だ…」

「ですと、コアラさん」

「え〜?でもサボ君ってリィンちゃんと居ると全然雰囲気違うんだけどなァ〜…」

 

 違う。兄妹じゃない。

 少しだけその言葉に浮かれたけどサボにとって違うんだよな。

 

「きっついなァ…………」

 

 ボソリと呟くと頭を振る。

 大丈夫、サボが記憶を戻すまでが勝負だから。

 

「サボさんサボさん。電伝虫の番号交換したいです」

「は?俺と?女狐が?」

「ダメですか?」

「ダメというより無理だろ、お前が誰だと思ってんだ」

可憐(かれん)なる少女ぞ」

「どこがだ…ッ!」

 

 再び脳天に鈍い音と痛みが伝わる。痛い。待って痛い。この野郎私の脳細胞が死滅したら責任とって脳細胞増やしてもらうからな…!

 

「………………ほらよ」

「へ?」

 

 目の前に千切られた紙が放り投げられた。

 

「……交換したいっつったのはお前だろ」

「サボさん優しきぞ、私嬉しきぞ〜!」

「うるせえ女狐」

 

 イライラしながら座るサボとニコニコしながら座るコアラさんとご飯を食べていると1人の男の人が新聞を持ってやって来た。

 

「あの、サボさんこれ」

「ん?──新しい手配書か…指名手配当初に8000万は高いな。こいつがどうした?」

「どうやら指名手配当日に海軍本部に七武海のスカウトがあった様で」

「ブフッ!?」

 

 七武海のスカウト!?なんで!?空きの席は残り一つ、そこはエースがもしも海賊になった場合の為に開けておいてくれると…。

 

 よーし落ち着こう。

 まず日付けと年齢の確認だ。

 

 私とエースの歳の差は4歳と10歳だから6歳差。私は今10歳で+6歳だから6歳差だと16。但し、エースは正月が誕生日で私は春が誕生日(仮)。

 今の日付は?………1月20日。

 

 つまり1月1日に誕生日を迎えたエースは17歳になって───。

 

「……………………サボ、さん…。それ、誰です…?」

「は?えっと、〝火拳〟ポートガス・D・エース……」

「…………………フルネーム…ッ」

 

 

 

 ==========

 

 

 

 処刑台に一人の男が居た。

 その男は泣きそうな顔で叫んだ。

 

「なんで来たんだよ…!親父!ルフィ…!」

 

 彼の周りには屈強な海兵が居て、近付く事すらままならない。

 

「センゴク…俺の愛する息子は無事なんだろうなァ……!グララ…──ちょっと待ってなエース…!」

 

 

 

 

 

 

 画面越しで見ている様な、そんな気持ちになる。

「(どうして……エースは白ひげさんをオヤジと呼ぶの…?)」

 

 

 

 

 

「俺はエースの弟だ──ッ!」

 

 麦わら帽子を被った男は恐れる事無く駆け抜けて行く。

 鷹の様な目をした男、煙に変わる男、敵わない敵を一人で駆け抜けた。

 

「助けに来たぞ!」

「ルフィ…ッ!」

 

 まるで台風の目。

 

 味方とも言えない海賊達と共にエースが繋がれた処刑台に真っ直ぐに向かって行く。

 

 

 

 

 

「(これ、なんの夢だろ……。早く覚めてくれないかな)」

 

 

 

 

 

 夢は次々と情景を変えた。

 

 炎のトンネルが爆炎の中現れる。

 

「エース───ッ!」

 

 歓喜が起こった。エースはルフィの服を掴み、ルフィは誰かを掴んでいる。

 

「お前は昔からそうさルフィ──無茶ばっかりしやがって!」

「エース〜〜〜ッ!」

 

 

 

「(エースは、何故炎を噴出している……これじゃまるで悪魔の実の──)」

 

 

 

 

 

 

「ごめんな…ルフィ。ちゃんと助けて貰えなくてよ……すまなかった!」

「お前絶対死なねェって言ったじゃねェかよ!エース!」

「そうだな…サボの件と……お前みたいな世話のかかる弟がいなきゃ、おれは生きていようとも…思わなかった…。誰もそれを望まねェんだ、仕方ねェ…!」

 

 胸にポッカリと黒い穴が開いたエースは喧騒の中ルフィにもたれ掛かり弱々しい声で呟くように言葉を紡ぐ。

 命を、意思を、伝える様に。

 

「──そうだ…。お前いつか…ダダンに会ったらよろしく言っといてくれよ……死ぬとわかったらあんな奴らでも懐かしい」

 

 震える体でエースの傷口から流れる血を止めようと手を添えたルフィ。顔は青く、血塗(ちまみ)れだった。

 

「心残りは……一つある。お前の〝夢の果て〟を見れねェ事だ」

 

 命が終わる。

 それは誰の目から見ても明らかで─エースは最後の力を振り絞る様に声を出した。

 

「オヤジ…みんな…!そして、ルフィ……。今日までこんなどうしようもねェおれを…ハァ…ッ、鬼の血を引くこの俺を…!」

 

 ポロポロ、涙が零れながら。

 

「愛してくれて……ありがとう!」

 

 

 

 

 

 

 

「(なんだよこれ……こんな悪夢見たくない、なんでエースが死ななきゃならない?)」

 

 

 

 ジュッ…、と音を立ててビブルカードが燃えた。

 

 

 

 

「(訳が分からない、何もかもが…全て…──)」

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「目が覚めたか女狐」

「サ、ボ………」

「さて、少し聞かないといけない事がある」

 

 体を起こせば再びベットの上。

 私ここに来て倒れすぎじゃないですかね…。

 

「海軍が指名手配当日に七武海勧誘とは異例過ぎてる、こいつはなんだ?」

 

 ぺラッと手配書を片手にベットに腰掛けたサボが睨んだ。

 

 さっきの夢の整理はさせてくれないわけですか。

 

「この部屋に、は……」

「俺とドラゴンさんしか居ねェ」

 

 部屋を確認すると確かに2人しか居なかった。ドラゴンさんはベットの側で椅子に座っている。

 

「エースは……あー……うーん……」

 

 どう答えよう。海賊王の子供だと素直に言ってもこの2人なら言ってもいいと思うけど、エースに怒られないかな。

 

「……私の兄故に、七武海推薦を私から…」

「…お前兄貴が居たのか」

「はいです」

 

 ふーんとつまらない物を聞くようにサボが相槌をうつ。

 

「本当にそれだけか?」

「へ?」

「七武海は影響力のある海賊。海軍大将の兄という肩書きは確かに影響するかも知れないが手配してすぐ勧誘されるとは思えない」

「ハハハ……サボは頭いいぞりね」

 

 かわいた笑いがこみ上げてくる。

 何この人頭良すぎて怖い。

 

「で?」

「か…」

「か?」

「か……海賊王の…息子」

 

 ポツリと呟けばこいつ何言ってんだという様な顔をされた。

 

「お前何言ってんだ?」

 

 はいドンピシャー!思ってた事当てられたー!うーれしーいーー!(※嬉しくない)

 

「生まれ、てきて………」

「サボ?今何を申した?」

「え?は?いや、何も」

 

 

「大将リィンがこんな所でこの異常事態に本部に連絡せずに居てもいいのか?」

 

 ドラゴンさんが致死量の攻撃を胃に与えた。グサーッて来るね!ホント!

 

「良く無きですぞりんちょ……………」

 

 涙ながらに電伝虫を取り出すともう何度目だろうか慣れた番号にかけた。

 何故だか涙が止まらない…。

 

『こちら元帥、MC(マリンコード)と名前と階級を述べよ』

MC(マリンコード)04444リィン大将ぞ、です」

『……口調はどうした。なぜ戻ってる』

「泣きそうなる事態により口調にまで頭が回転せずです」

『気持ちは分かる、安心しろ。──今奴は七武海のジンベエと戦って丸二日目だ』

「私、もう1度倒れる許可願い………」

『だめだ』

 

 制止の言葉を聞かずに頭と目の前が黒く染まりぷつりと意識を失った。

 なんだよ…くそ兄貴。常識人のジンベエさんにまで迷惑かけやがって…!

 

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 ──海軍本部マリンフォード──

 

「海軍は出動無しィ?」

 

 サボとドラゴンさんにさっさと別れを告げて急いで海軍本部に戻れば予想外の命令が下された。

 

「何故です」

「お前の連絡を貰って──きっとお前の事だから倒れたんだろうが、一大事が起こった」

「………一大事」

 

 聞きたくない聞きたくない。聞きたくないですお願いします。

 名前もモロバレしてしまったし手配書も出てしまった今もうめんどくさいので聞きたくないですやめてください。

 

「……スペード海賊団船長ポートガス・D・エース及び船員は白ひげ海賊団に入った」

「………傘下、では、無く?」

「白ひげ海賊団に入った」

 

 なんだろう。目の前がぐるぐる回る。

 それって火拳を捕まえれば白ひげさんところを敵に回すって事になりますよね?

 

 戦争?

 

「過去最大級に混乱…」

「ジンベエは魚人島外れの魚人街で怪我の療養中、そして…奴が海賊王の息子だと言う可能性が(五老星)でじわじわと広がっている」

「ですたら捕縛を致すべきです?」

「まァ…まずは敵情視察だな。火拳の強さなどは未だ未知数だからな……」

 

 ため息を吐きながら一つ、提案する。と言うかごり押す。

 

「ほとぼり覚めるしたなれば私白ひげ海賊団に訪問して火拳の捕縛しても良きです?捕縛ならずとも敵対意識をぶん投げるしても?」

「……お前は火拳に何か怨みでもあるのか」

 

 とりあえず2年くらい前に手に入れたルージュさんの手紙も渡さないといけないし、サッチさんのケーキ食べたいし。好み過ぎるし。あ、あとエースの顔も見たいし。

 

「…………それなりに働いてくれたら構わない、元々担当は女狐だと決めていた事だしな」

 

 ただ、他の大将さん達が納得してくれるかが問題。その為に手柄を持たなければ。

 

「働くしたです」

 

 1枚の写真を取り出した。

 

「……誰だこれは」

「革命軍トップのドラゴンさん」

「そうか……。…え?は?ドラゴン?革命軍?」

「いかがです?私ちゃんと働くしたですぞ?」

 

 どえらい情報を手に入れてしまったと胃を痛めてる姿が印象に残った。

 もちろん私はドヤ顔。

 

「あ…1つ疑問」

「なんだ」

「マリンフォード湾に、そう、例えば()()()()()()(まさ)る程の防護璧の様なる物は存在するですか?」

 

 夢の中で巨大な怪物…確かオーズと呼ばれていたかな。彼が倒れて壁が出てなかったのを覚えてる。

 そしてその壁がグラグラの能力でも敵わなかったのを。

 

 白ひげがグラグラの実の能力者なのは知っていたから。

 

 

 

 嫌な予感がしてあの夢に起こった事を調べようと思ったのはつい数時間前。

 やっぱりあの夢は非現実的だが当てはまる所が多い。

 

「なぜ知っている?教えてなかったはずだが…」

 

「偶然ですぞ…」

 

 とても嫌な予感がした。

 

 




次回は番外編挟みます。
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