2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第72話 お得意の交渉術

 シェルズタウン海軍第153支部。省略名称E-15。支部長はモーガン大佐、以下将校は無し。

 

 聞く所によればモーガン大佐は住民に対して重い税を掛けている、らしい。そして彼の一人息子であるヘルメットは虎の威を借る狐状態。

 

 

 

 

 

 お昼ご飯を食べるついでに店員さんに聞いてみればボソボソと恐れるように『気を付けて』と話してくれた。

 人員不足は分かってますが人選何とかならなかったんですかね……。

 

 ま、私には関係無いからいいか。

 

 

 しかし気を付けてね、か。全く…、むしろ私が権力という力を使えば気を付けなければならないのは向こう(モーガン大佐側)なのに。

 

 

 とりあえず難しい性格をしてそうなのは分かったから盛大にMC(マリンコード)を使わせて貰おうか。

 眼には眼を歯には歯を権力には権力を。

 

「…──…──」

「──…─………」

 

 街の人達の話し声に耳を傾けながら麦わら帽子の情報を探す。

 

「流石に、居らぬか……」

 

 やっぱり支部があるような島には寄らないかな…?

 

 会話の中で『ロロノア』とか『海賊狩り』とか聞こえて来た。どうやら例のヘルメットという七光りに賞金稼ぎが捕まってるらしい、が。

 賞金稼ぎが捕まるのはおかしい。

 犯罪を起こした場合は捕まるけど話を聞く限りそんな事件の可能性とかは浮かんでこない。

 

 ちょっと話聞いてみるかな。もしいい人そうなら海軍に引き入れて私の部下にして書類押し付けよう。潜入捜査って後始末とか書類仕事がどんどん増えていくらしいからな。釈放という恩を着せて馬車馬の如く働かせよう。

 

「レッツゴー!」

 

 海賊狩り、ロロノア・ゾロがいるという噂の磔場に向かった。捕まえるぞ私の為の生け贄ー!

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

「誰だ、お前」

 

 磔場に堂々と潜入した私は1人ポツンと佇む(縛り付けられる?)男と対面した。

 多少の殺気を見せれば私が怯むと思ったんだろうが…甘い。グラブジャムンより甘い!私はもっと怖い殺気に触れてきたから子猫が逆毛立ててる位にしか思えない。

 

「私はリィン」

「何しに来たんだ…、ここにいると七光りのバカ息子に殺されるぞ」

 

 ふいっ、とそっぽを向いて呟く言葉に私は思わず驚いてしまう。要するに『危ないから近づかない方がいい』って事ですよね。賞金稼ぎという部類に初めて関わったが思ったより優しい人間の様で一安心。

 

「人探し、の為の情報交渉と…スカウト?」

「……は?」

 

 意味がわからないと言う雰囲気が見て取れる。心做しか呆れた表情を浮かべてるのは気の所為だと思いたいです。

 

「ロロロアさんは何故ここに居るです?」

「 ロ ロ ノ ア ッ!──別にお前には関係無いだろ」

「モーガン大佐に用が存在する」

「……!」

「ろろろの…ロロさんをはりつけたがモーガン大佐の息子なれば、プライドの高い小動物がテリトリーに部外者が入るなれば、自然と出てくる」

「ロロノア、…しかしなるほどな、直接『会わせろ』つったって門前払いされるのがオチってわけか。なら自分が出向くより相手から来させようって魂胆(こんたん)だな」

「正解!」

 

 二ィッと笑えばロロノアさんは堪えきれない様にクツクツと喉から笑い出した。

 

「ハハッ、お前…ッ、変わった奴だな…!この街の連中は関わらねェ様にしてるのに…、お前は関わらないどころか呼び出すンだからよ…!」

 

「私は至って普通の真っ当な人間です」

「普通の人間は自分で普通と言わない」

 

 急に真顔で答えられると傷つく。真顔で反論は怖い、心が痛い。

 

「気が変わった」

「?」

「お前の質問に答えてやる」

 

 はて、……………私なんの質問したっけ。

 

「『私なんの質問したかな』みたいな顔をするな」

 

 バレた。

 

「七光りのバカ息子の飼ってるらしい狼を斬ったんだよ、それで捕まった」

「バカですたか」

「斬るぞテメェ!?」

 

 目的の人間が現れるまで他愛の無い話を2人でした。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「いい奴かなー、その海賊狩りって奴」

 

 相変わらず能天気な姿にコビーは思わずため息を付く。それが彼のいい所ではあるのだがどうしても不安が残った。

 

「そもそも賞金稼ぎが捕まる事自体おかしいんですよ…本当にいい人なんですかね…」

「んんっ、ままよ!なんとかなる!」

「……その自信は一体どこから来るんですか…」

 

 みょんみょん伸びながら磔場への塀を登る準備運動をするルフィを見て再びため息が出てくる。

 心配症なのだから仕方がないが、ここの支部もいい噂を聞かない。どうしょうもなく嫌な予感がするのは気の所為だろうか。

 

「おいコビーコビー!アレがロロノア・ゾロか!?2人いるぞ!?どっちだ!?」

「……2人?」

 

 おかしい、どうして2人いるんだ?

 

 もしかしたら海兵の誰かかもしれない。コビーはルフィに続きこっそり塀の中を覗いた。

 

 そこで見たものははりつけにされている男とキャスケットを被った自分より年下の少女が話しているのが見えた。

 どちらかなんて明白。名前は男名だろうに、どうしてそこに疑問を持つのか不思議だ。

 

「おおおお、お、男の人は間違いないです。か、かか、か海賊狩りのゾロですよ!」

「ふーん…」

 

 興味無さげに見えるが視線は外さないルフィの言葉を待った。

 

「入るか」

「なんでですか!?ちょ、どうして不法侵入の方向になるのか不思議でたまらないんですけど!?」

「え〜〜?でもよ〜、いつまでも進まねぇじゃん」

 

 子供のようにブーブー言う姿を見て頭を抱えたくなってくる。

 どうしてロロノア・ゾロという人間が危険だと分かっていながら近付こうとするのか…!

 

──カタン

 

 コビーの横から音が聞こえて2人は同時に音の方を向いた。

 

「しー…!」

 

「「?」」

 

 そこには少女が『内緒』とジェスチャーをしながら梯子を登っていた。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 会話の音が途切れロロノアさんが塀を見る。つられてそちらを見ると3つの人影が見えた。

 

「……」

 

 塀の中に乗り込んで来た女の子、塀から覗くピンクの頭、麦わら帽子。

 

 …………麦わら帽子?

 

「……わーお……」

 

 見覚えのある帽子に確信する。探し人見つかったじゃありませんか。もっと時間かかるかと思ってた。

 

「あ、あの!お兄ちゃん!」

 

 ズイ、と女の子が笑顔を浮かべながらおにぎりをロロノアさんに差し出す。

 

「おにぎり、作って来たの!食べて?」

「いらねェ、さっさと失せろ」

「でもお兄ちゃんずっとご飯食べてなくて……」

「良いからさっさと失せろ!ここに居たらバカ息子に…!」

 

「でもお姉ちゃんはここに居るよ?」

 

 純粋な疑問にロロノアさんは言葉を一瞬失う。

 

「アレは野垂れ死にしようが気にしねェ」

「え、酷い」

 

 予想してたより私の扱いがずっと酷かった。

 

「可愛らしさを失ったいい性格の持ち主にかける心配程無駄な物はねェ」

「ここまでの扱いは史上初」

「分かったら失せろ」

「個人的に分かって欲しく無き件について」

 

「むしろかけるなら迷惑をぶっかけるべきだと思ってる」

「やっぱり私の扱い酷く無きですか!?」

 

 く…これでも海軍ではチヤホヤされ運悪かったけど比較的好印象を保てていたと言うのに…!この人は本性を分かるのか!?獣!?獣ですか!?そうですか動物(ゾオン)系の方ですか!

 

「おいおいおいおいロロノアく〜ん…いじめはダメだよいじめは〜」

 

 後ろに海兵を引き連れた男が磔場に入って来て空気が変わった。こう見えても私は人の顔色伺う事が希望ですから空気の変化に敏感何ですよこんちくしょう!

 

「…あれは?」

 

 七光りの人だとは思うけど念のため聞くと予想通りの返事が返ってくる。

 

「……七光りのバカ息子だ」

 

 確か名前はヘルメット、名は体を表すとかこの事か…。ヘルメットヘアーお似合いですよ!

 

 するとヘルメットさんは女の子のおにぎりを地面に投げ捨てた。

 

 

「あ…!リカのおにぎり…!」

「こんな物要らんのだよ…罪人には!」

「頑張って作ったのに…ッ!」

 

 私の中で制限(リミッター)が解除された。

 

 

 

 

 ご飯を無駄にする貴様は私の敵だ。

 

 

 

 

「ねェ…」

「ん?」

「ご飯、食べる事不可能の経験は持ち合わせている?」

「……はァ?」

 

 大佐の息子程度にツテは要らん。

 

「貴方、偉い?」

「…? え、偉いに決まってる!俺はあのモーガン大佐の1人息子だぞ!?」

「ふーん……その程度」

「……なんだと!?」

 

 虎の威を借る狐っての素敵だと思いますよ。でも、この世界中を探して私の虎の威より強い人って正直いないと思うんだ。

 

「私、本部のガープ中将の孫ですが?」

「…………………はァ?」

「ガープのジジ、海軍に連なる者なら理解可能ぞり?」

「ガ、ガガガガガープ中将ォ!?」

 

 ボソッと呟けばわかりやすく動揺し始めた。

 義理の、だけどね。

 実際の親出したらきっと泡を吹くだろうな…。あ、その前に信じてもらえないか。

 

「消える、すたら?」

「嘘に決まってる!お、お前なんか親父にけちょんけちょんにされたらいいんだ!待ってろ…!」

 

 待ってろって言われて待つ人はいないと思うけど撃退には成功したよね。

 ヘルメットさんは尻尾巻いて逃げていきました。

 

 今の時間の間にこの2人を避難させなければ。

 

「おい」

「…?」

「う、あー、んー…」

 

 涙目の女の子を見ながら何かうなり出すロロノアさん。私は少し不思議に思いながらも言葉を待った。

 

「………そのおにぎり、食わせろ」

「…! お兄ちゃん…!」

「了解、あーんを希望と」

「普通に食わせろ!?」

 

 ロロノアさんは噂よりずっと優しい人みたいで女の子は嬉しそうに私達を交互に見た。

 

「はい、あーん」

「…ッの野郎…!」

 

 血管を浮かび上がらせながらも素直に口を開けるロロノアさんを見て私は察した。

 これ自由になったら私殺されるかな。

 

「…ッ、…!ッ…」

 

 ジャリジャリとした音がするけど涙目になりながら完食する。不安そうに見ている女の子が時折チラチラとこっちを見て来るのでヘラっと笑ってあげた。

 ……身近にいる人間が大人ばかりだから(背はさほど変わらないけど)年下の子見ると嬉しくなるよね!

 

「美味かった、ご馳走さん」

「…!」

 

 ぱぁっと嬉しそうに笑う女の子を見ているとずっと塀の外にいた2人組が…正確に言うとルフィが声をかけた。

 

「お前らいい奴だな!俺の仲間になんねェか!?」

 

 キミは相変わらずのマイペースで何故か涙が止まらないよ……。(※感動では無い)

 

「……うぜェ…」

「あ、さっきのお兄ちゃん!」

「よ…!」

 

 ルフィはポスッと女の子の頭に手を置いて笑うともう1度こちらを見た。

 

「俺ルフィ!海賊王になる男だ!今よ〜海賊の仲間探してんだ!しししっ、い〜奴らだな〜!」

「俺はならねェ!()()がある、俺の名を世界中に広げるって…!悪行なんかに付き合ってる暇はねェ」

「断る!俺はお前が断るのを断るぞ!」

「ふざけんな!」

 

 1歩たりとも引かない会話についていけなくなる。はー…ロロノアさんは部下に欲しかったんだけどなァ。ルフィが求めるなら、協力しようか。私はルフィの船に乗ってなるべく名前が広まらない様にするってロロノアさんと逆の野望があるけど。

 

「ロロさん、こうするが最良」

 

 ルフィとロロノアさんの間に立ってロロノアさんと交渉をする。

 

「なんだァ?つーかお前はアイツに用があるんじゃ無かったのかよ」

「正確にはモーガン大佐。でももう必要無しで──じゃなく、私はロロロアさんと交渉するです」

「ロロノア。で、交渉ってのは?」

「ロロロノアさんは剣士とお聞きすました」

「ロロノア」

「で、提案」

「…こいつ聞かねェ気か」

「恐らくヘルメットさんが保持している剣、それを私が奪う」

「………で?」

「私言う『返して欲しくば海賊に入るしろ!』と」

 

 私がはっきり言うと数拍置いて返事が返ってきた。

 

「鬼かテメェは!?」

 

 どちらかと言うと『鬼の子』かな。

 

「………………取り返せんのか」

「ルフィが頑張る」

「お前じゃないのかよ」

 

 私はぐるっと逆方向、ルフィのほうを向いた。

 

「私を仲間にしてです」

「おう、いいぞ」

 

「軽すぎですよルフィさん…彼女が悪い人だったらどうするんですか………」

 

 ピンクの髪の人が呆れながらもツッコミを入れる。はて、彼はルフィの仲間だろうか。

 

「あ、僕コビーです。ルフィさんのお、お友達、です」

 

 仲間と言わない辺り彼は一般人の様でちょっとホッとする。

 (たぐい)まれなる一般人!素敵な響き。

 

「お前ら勝手に話進めてるけどな…俺は一ヶ月はここから動かねェぞ、バカ息子と()()したんだ」

「それ、嘘です」

「…………なんだと」

「彼はそんな気1ミリの持ち合わせも皆無ぞです」

 

 いや、正直知らないけど。ハッタリかましますよ。

 出来れば海軍敵に回す前にここから出たいから時短時短。

 

()()だ。俺はお前を仲間にしてえんだ!剣は絶対取り返す、だからお前の力を貸してくれ」

()()だ。俺は世界一の大剣豪になる。俺を失望させてみろ…その時には俺はお前の船を降りる!」

 

 ニッ、と笑いながら約束を交わす2人を見てこっそり胃を痛める。

 

 有名にさせてたまるか。

 

「いよーし!剣を取り返すぞー!」

「ここで死ぬしたなれば私は逃げるぞ〜?」

「死なねェよ、俺は絶対に!」

 

 びよーーん、と腕を窓に向かって伸ばすルフィを見て不安が広がる。こいつ、強行突破しようとしてないか?

 

「ゴムゴムの〜……ロケット!」

 

──ビュンッ!

 

 腕が伸びるという不思議現象に私とコビーくん以外の2人は驚きを隠せず呆然とした。

 

「……あのアホ…」

「ルフィさん………」

 

 同時の呟き、お互い視線が合うとペコリと頭を下げた。

 

「どうも」

「あ、いえ、どうも」

 

 同じ雰囲気を感じる…泣きそう。

 

「コビーくん、は何故ルフィと共に行動を?」

「えっと、僕本当は海兵になりたくて…、なのにアルビダという海賊に雑用として働かされてて…そこでルフィさんに出会って支部のあるこの島まで来たんです!」

 

 この人も又随分と運の悪い人生を辿ってるんだな。

 

「ですからここでお別れかもしれませんが、共に行動してるんです」

「…………………コビーくん雑用経験があると」

「…? はい、一応」

「他に何の能力が?」

「得意なこと、って意味ですか?」

 

 頷けば航海術を少々(かじ)っていると答えてくれた。

 

 フフフフ、見つけた、見つけたぞ。私の雑用くん!ルフィと行動出来る精神力、目指すは海兵、雑用も出来、航海術もある、そして何より常識人!

 

 

「……私の救世主(メシア)

「はい?」

 

 スモさんに後釜を任せようとしたのにいなくなるしヒナさんはおつるさんに取られるし…、引き継ぎがまだ中途半端だったんだよー!

 

「生まれるて来てくださりまことに感謝感激ありがとうごぞります…」

「え?ええ?な、何ですか?」

 

 目に見えてわかる動揺。あァ!反応までもが一般人!

 

 ちなみにこれを各方々にやると

 調子に乗り始めたり(どこかの鳥)

 冷たい目で見たり(どこかの鰐)

 はいはいと流したり(どこかの煙)

 医務室に連行したり(どこかの檻)

 

 うん、絶対そうに決まってる。

 

「あ、あの、キミは…。どういった経緯でここに?」

「リィンです。私実はルフィを探すしていて情報を求めに海軍に来たです、そこでロロロロさんとお話したと」

「お前絶対俺の名前わざと間違えてないか!?」

 

 はりつけにされながらも元気にツッコミを入れるロロノアさん、その体力が羨ましい。

 

「でもどうしてルフィさんを?」

 

 支部の中から騒ぎの声が大きくなる。私はナイフを取り出してロロノアさんを縛り付けている縄を切った。

 

「それは私がルフィの妹故に、です」

「「妹ォ!?」」

「血の繋がりは無しですよ?」

 

 そう言えば納得した様な顔をする2人。ロロノアさん背が高いなこんちくしょう、視線の近くにいる女の子が私の癒しです。そういえばルフィも背が高くなってたな、昔は身長に違いはさほど無かったのに私は肩にも届かない。

 

 しっかしまぁ私とルフィって似てないでしょうね、ダダンにも言われたけどどちらかと言うと髪色もあってサボと血の繋がりがある様に感じるらしい。10年位前の情報だけど。

 

「アイツ、それに気付いてるのか?」

「…………正直不安、です。他の兄が完璧気付かなかったですから」

「…それって『エース』って人ですか?」

 

 驚いた、コビーくんはエースという兄がいる事を知ってるのか。

 

「肯定」

「あ、やっぱりそうでしたか。ルフィさんがちょっとだけ話してくれてたんです……まさかと思いますがあの有名な〝火拳〟じゃ無いですよね?」

 

 指名手配当初から高額、そして七武海の勧誘、白ひげ海賊団の2番隊隊長。

 世間から見るとこの程度だろうけど有名な海賊だというのは変わりないか。

 

「さァ?」

「う…気、気になる返事をしないでくださいよ!」

 

 知ったらコビーくんきっと倒れるから。

 

 

 

「ロケット!」

 

──ズザザザ…

 

 ロロノアさんの後ろに隠れていた女の子を除く3人の間に麦わら帽子が降ってきた。

 

「悪ィお前ら──」

 

「待てぇぇ!」

「親父!あいつらだ!」

「俺の基地で騒ぐとはいい度胸だな…ッ!」

 

「──いっぱいくっついて来ちまった!」

 

 軽い様子で笑う姿に頭を抱えた。

 

「ゾロ!3本あったんだけどどれがお前のだ?」

「3本共だ…、俺は三刀流だからな」

 

 ロロノアさんは刀を受け取ると抜刀し、ルフィは服についた砂を払った。

 

「初陣が海軍相手とはな」

「しししっ!」

 

「戦闘態勢かちくしょう!」

 

 どうにもこうにも避けられない事態の様なのでコビーくんと女の子を連れて端の方に移動させる。

 

「ルフィ、ロロさん、ふぁいとー!」

「「戦えよ!」」

 

 海軍は敵に回しずらいんです。

 

 

 

 ──5分後──

 

 

 

 結果:多勢に無双

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

 

「ちなみに、お前が俺に向かってやった〝交渉〟は間違いだ」

「今更何を……」

 

 お礼に、ということでおにぎりの女の子の家でご馳走になっている中ロロノアさんが話しかけた。

 

「あれは〝交渉〟なんて可愛いモンじゃねェ…〝脅し〟だ」

「か弱き乙女に向かいなんと酷い」

 

 誰が乙女だ、と脳天にチョップされる。

 痛い…。

 

「よし、改めて自己紹介といくか」

 

 ロロノアさんはクイッ、とコビーくんを見る。僕からですか!?と焦った声が聞こえるけど数秒して落ち着きを取り戻し口を開いた。

 

「ぼ、僕はコビーです。夢はか、かかか、か海軍大将になる事です…ッ!」

 

 …………………頑張れ(遠い目)

 

「海軍大将ね、厄介な敵が現れたモンだ」

「ずっと小さい頃からの夢何です、女狐さんが目標で………」

「ぶふぅッ!?」

「え、だ、大丈夫ですか!?」

「つ、続きをどうぞ」

 

 飲んでいたお茶を思わず吹き出す。まさかこんな所で自分の話題が出るとは思わなかった。

 

「あ、はい…。女狐さんは凄い人なんですよ、有名なので知ってるかも知れませんが偉大なる航路(グランドライン)のどこかにある魚人島の保護を積極的に行ったり、あ、あとここ最近ではシャボンディ諸島という所で海賊の撲滅をしたり…!僕そんな人になりたくて…」

 

 一つ言い訳をさせろ、魚人島の保護はどちらかと言うとお菓子作りの発展と保護の為でシャボンディ諸島の海賊撲滅運動はここに来る為のお仕事(イヤイヤ)ですからね。頼む、憧れないでくれ。

 2年前から撲滅運動していたけどラスト半年でセンゴクさんの指示で女狐の格好したのがまずかったか。

 

「んんっ、次は俺だな!俺はモンキー・D・ルフィ、海賊王になる男だ!好きな食べ物は肉!宜しくな!」

「コビーの聞いた後だとすっげえ薄っぺらく感じるな……」

「ルフィさんの夢はとても凄いんですけどね……」

 

 同意。

 

「俺はロロノア・ゾロ、世界一の剣豪と言われる鷹の目を倒す事と死の国まで届くくらいの名声を集める事が目標だ」

「ふぐうっ!?」

「ど、どうした」

 

 喉にご飯が詰まった…!まさかここでミホさんの名前が出てくるとは…!

 

「何故、ロロノアさんは鷹の目に…」

「ゾロでいい、言い難いんだろ。…──まァ死んだ幼馴染みと約束したんだ。どちらかが世界一になるって」

 

 頑張って、本気で。誰でもいいからアイツの興味を私から他に移して欲しかった。

 

「あ、次私ですたか。私はリィン、()海軍本部雑用。夢は静かに目立たずひっそり暮らす事と心と胃の平穏。好きな物はトマトを除く食べ物全て、嫌いな物は七武海と非常識人。よろしくです」

 

「リィンさん元海兵何ですか!?」

「ツテがありますたし…ちょっとだけ」

「先輩だ……」

 

 すると私の帽子が取られた。

 視線を向けると机に顎を付けてクルクル帽子を弄りながらこっちをじっと見てくるルフィ。

 

「やっぱり、お前『リー』だろ?」

 

 

 

 

 今、この子はなんと言った?

 

 

「俺の事、覚えてるか?」

「ルフィ………私、私、感動で涙がどぼりんこ…!」

 

 見たかサボ!エース!ウチの兄ちゃん偉い!可愛い!

 

「お話中失礼する」

 

 わたしの感動を遮ったのは海兵だった。

 

「…キミ達が実質この街を救ってくれた事については感謝している、ただ、聞く話によれば海賊だと言うじゃないか…」

 

 ピクッと反応する。ただ、誰1人として一言も喋らない。

 

「せめてもの恩返し、として本部へのキミ達の連絡は避ける……。ただ、やはりこの街に居られると困るのだ、早めに出ていってくれないか?」

 

 海兵がそう言うとコビーくんは不安そうな顔をしながらルフィを見た。

 対するルフィは大して困った様子も無くそのまま席を立った。

 

「ゾロ、リー、行こう」

「あー…先に出航準備をお願いする」

「…?」

「コビーくんの事で海軍に用事が存在」

「そっか!じゃあそっちは任せた!」

 

 私を信頼してくれているのかゾロさんは何も言わず、ルフィも振り返る事無く港に向かった。

 

「キミ達は、彼らの仲間じゃないのか?」

「半々、ですね」

 

 アイテムボックスから一つの紙を取り出し、内容を書いていく。

 

 

「…………シェルズタウン第153支部に命令を下す。こちらにいるコビーくんを雑用として迎える事、そしてモーガン元大佐の身柄を拘束し本部の船に乗せる事」

 

 全員が驚いた顔をする。そりゃ当然、こんな小娘が海軍に命令を下すだなんて名誉に関わる。

 

「モーガンの身柄の受け渡しも詳細はこちらに」

 

 紙──紹介書──を丸めて筒に入れる。大体見られたくない場合などは筒にいれると一度開けた形跡が分かるからね。

 

 受け取った海兵は驚く顔をしているが何となく察してる様子だった。

 まさか海軍大将だとは思ってないだろうけど。

 

「あなたは、一体……?」

「…雑用ですよ、人に恵まれ過ぎた」

 

 ペコッと頭を下げるとルフィ達を追って外に出た。

 

 これ以上は質問に答える事が出来ないから、この支部にモーガン大佐以外に将校はいない。

 

 

 

 紹介書にはコビーくんを私、海軍大将の直属にする事が義務付けされている。面倒はガープ中将が見てくれるから表向きにはガープ中将の部下になるだろうけど。

 

 

 頑張ってね、特に書類。

 大変だぞ〜?表立って海賊討伐に行けないんだからその分書類が回ってくるくる。

 

 

 

「リー!」

「ルフィ!」

 

 手を振るルフィが見えたので飛びつくとバランスを崩しながらも受け止めてくれた。

 

「んん〜、くっつくの久しぶりだな〜!」

「な〜!」

「よし、出るか」

 

 ドタドタと走る音が港の方に向かってやって来る。

 

「ル、ルフィさん!」

「コビー…!」

「僕達、次会う時は敵ですけど…友達ですよね!?」

「当たり前だ!」

 

 コビーくんはゴシゴシ目元を拭って敬礼をした。

 

「ありがとうございました!」

 

 その言葉は風の様に船を押す。

 

 

 コビーくんは姿が見えなくなるギリギリまで敬礼をし続けた。

 

「出航ッ!」

 

 船長の言葉で、一つ海賊団が新たに生まれた。

 この海賊が世界にどんな影響を表すのか、台風の目になるのか。

 

 ──今はまだ誰も知らない

 

 

 

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