ハロウィン。
それは1年に1度お菓子を大量ゲットする最高の日。
ハロウィンなる者が存在すると知ったのは8年前の6歳…大体私の繁忙期だ。
海賊女帝に呼ばれたと思ったら四皇ダブルパンチで城に上がってやっと戻ったと思ったら新しく入ったドフィさんに誘拐されて、と。よく頑張ったな私。
この世界のハロウィンは前世のハロウィンと少し違う模様で、仮装をして『トリックオアトリート』と言ってお菓子を貰うところまでは合ってるがその後お菓子をくれた相手に1回お礼の一貫としてキスを送るそうだ(場所はどこでもいいらしい)
海兵の皆さんは忙しいからハロウィンを出来なかったけどドフィさんが来てからは毎年会議の後にお菓子を持参してハロウィンを開いてくれる。私がお菓子好きだからか、そうだろう。
今年は麦わらの一味での開催、気合を入れてお菓子を貰わなければ…!
「いや、違うけど」
「…なん……だと………ッ!?」
ちょっとした被り物をしたウソップさんから無情にも伝えられた言葉に唖然とする。
「8年間ずっとこうだとばかり…!」
「騙されたな」
ポン、と肩を叩く姿に少し苛立ちを覚える。
「ハハッ…リィンちゃん。ハロウィンは普通に『トリックオアトリート』って言ってお菓子を貰う、それで基本終わりだよ」
サンジ様が苦笑いを焼いたお菓子を並べる。くそう、いい匂いじゃないか。
「オメー一体誰に騙されたんだ?」
ふと昔を思い浮かべる。
鳥『お菓子貰ったらキスが常識だぜ?』
鰐『おー…確かにそうだったな』
リ『へ?そうなのですか?ふーむ、文化が少しばかり違うぞですなぁ。どこでも宜しき?』
鰐『キスする場所に意味があるからな』
リ『ほう…──と言うよりそれは誠に事実ぞです?』
鳥『もちろんだ…なァ鷹の目?』
鷹『ん?何の話だ?』
鳥『ハロウィンでお菓子を貰ったら女子供はキスを贈るのが定番だろ?』
鷹『あァ…そうだったな……男同士でやっても気色悪いだけだ』
リ『男色とやらですね』
鰐鳥『『なんで知ってんだよ』』
「……奇抜ファッションと将来ハゲ男…と甘党」
「は?誰だそりゃ」
落ち込んで居ると隣に座ってボリボリお菓子を食べだした。私にも寄越せや。
「……………今年は、離れ離れ」
そう、私の隣には愉快な動物の海賊じゃなくて仲間。あのバ海賊とは別々。
つまり──
「…───お菓子が貰えぬ代わりにイタズラが可能、と」
「いや何怖い事言ってんだよ」
ハハハー!そうかそうか、その手が合ったか!
………今日から私がジャックだ…、悪魔(の実の能力者)を手に取って(私が)地獄に落ちないように契約させてやろうじゃないか…!貰うは火の
大丈夫…この数年で何に使えるか分からない脅迫材料はたっくさんあるんだから…。たとえバレたとしても大丈夫。
お前ら痛い目見せてやんよ。
「ルフィ…、少し、席を外す……」
「ん??おう!」
「いや待て待てどこ行くつもりだ!?お前は一体その3人に何をしようとするつもりだ!?」
「いってきまーす」
「行くな行くな行くな!逃げろ誰かわからないけど奇抜ファッションと将来ハゲ男と甘党!」
ハーッハッハッハ!……覚悟しろよ野郎共。
今あなたのもとに堕天使が向かいます…私を混乱の日々へ追い込んだタチの悪い人物と同じ名前の私が…!
ついでにセンゴクさんに奢ってもらおう。
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ハロウィン当日という事は毎年定例会議…。その終了を狙う…!
私は気配を断つのが大得意ですから見聞色にも引っかからないはずさ…!!
『……──……』
『──…─……………』
『…………─………』
ふむ、会議室(ここ数年で本部からマリージョアでの回数が多くなった)にいるのはセンゴクさんに大将からはクザンさん、中将で毎度変わらずおつるさんか……。まずまずといった所だ。
問題の王下七武海の面子はクロコダイルドフラミンゴミホークジンベエ……ターゲット発見。
会議をしている間に下準備はさせてもらう。
私の甘い物センサー発動!
【甘い物センサー:それはシックスセンスを全て活用し未知を越えた探知能力(甘味限定)である】
ふむ、流石にミホさんは甘党なだけあって服の下に隠してあるか…。だがどうやらクロさんとドフィさんは持ってない模様。
しめた、遠距離型アイテムボックスを使えば楽勝じゃないか。(普通に使うだけ)
今は気配を断つ方に集中してるから会議が終わった後に一人ずつ命れ…ゴホン、お願いをしないとな。
さて、罠でも仕掛けますか!
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会議が終わればミホークはすぐに帰る。リィンが海軍を抜ければ毎度の事だった。
七武海同士のコミュニケーションは取るものも残る利点などありはしない。
そこを狙う小狐が1匹。
「(ミホさんへの目的は嫌がらせ程度でいい…ハッハッハ、定番中の定番だろうが喰らえ!)」
リィンは元々無機物を操作出来る。
彼女が動かした物とは……。
『トリックオアトリート』
そう書かれた紙だった。
「ハロウィンか?と言うより誰がこんな事を……」
『ちなみにさっさとくれないと強制イタズラだゾ☆』
「どうしてそうなる…!誰かわからんがとりあえずこれでも………ん?」
『残ねーん!イタズラ決定でーす!』
懐を探しても何も見当たらない事に気付いたその時。紙が全てミホークの元へ飛んで顔面を塞いだ。
「な!」
慌てて剥がすがそれだけでは終わらない。
「っ!?」
──ブワッ
上から降ってきたのは胡椒。
「(その名も胡椒爆弾ファースト)」
「ゲホッ!な、一体どこか…」
──べチョッ
「…!」
そして顔面にぶつかったのはパイだ。パイ投げというよりパイ飛ばしだが胡椒に気を取られてしまったミホークは簡単に引っ掛かった。
「(うわ…ミホさんって戦闘以外で処理能力を超えるとフリーズするんだ…)」
殺気や悪意のある気配を人より何倍も察知出来るのが剣士という者だがそれ以外…例えば殺気の無いイタズラなどは気付きにくい。ミホークもその内の一人だった。
「っ、え、た、鷹の???」
その場を偶然通りかかった海兵に驚かれてるが本人は気付かず呆然としたまま。
「…プッ」
──ズバンッ!
「っ!」
「外したか……。次は仕留める」
どうやら何かが企んでいるという事は察せれたのであろう。ミホークは愛剣を抜いて斬撃を飛ばした。
「(やばい殺される!ガチだ!)」
物陰に隠れていてもコンクリート打ち抜いて飛ばされてきた殺気と斬撃にリィンはヒヤリと汗を流しこれ以上は無理だと判断し脱兎の如く逃げ出した。油断は禁物、心に強く刻み込み次の
ここまでの学習能力の無さに同情は不要だろう。
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「なーぁー鰐くんよぉー」
「……」
「うわ…お前その『メンドクセェ話しかけんな』って目やめてくんない?」
「メンドクセェ話しかけんな奇抜ファッションマン」
「口でも語るなよ!」
「(こいつら本当に嫌いだ海の屑共!)」
傍から見れば仲良しとも思えなくない鰐と鳥のやり取りにその場に居た仏は苛立ちを募らせた。
「つーかテメェはとっとと消えろよ563敗野郎」
「カチーン…ンだと白ひげに突っかかって行ったはいいがコテンパンに負けて覇気まで使えなくなった雑魚くんヨォ?」
「あ゛ァ?よほどその口開けなくして欲しいみてぇだな」
「(小学生男子か…!)」
そっと頭を抱えたのも仕方無い。
「2人とも早く帰らんか…!お前らが帰らんと私も戻れないんだぞ…?」
仏の仮面を被り殺気を隠さずに伝えた。『さっさと消え失せろゴミ屑共お前らが居ると主に破壊的な意味で不安なんだよコラ』と。
「まぁまぁ落ち着けよお義父さん」
「誰がお前の様な堕ちた海賊の義父なものかそんなに殺されたいか」
センゴクの殺気が膨れ上がり思わず2人は怯んだ。何がここまでさせているんだ、と。
「…どっちかというとおとんだろ」
「…あ、そうだったな」
「そういう問題では無い…!」
何だかんだと面倒味のいいセンゴクは仏の異名も掛け合わされ影で彼を良く知る人物からは『おとん』と不名誉な名でこっそり言われていた。もちろんセンゴク自身はクザンの報告により知っているがどうにも納得出来なかった。もっとも、クザンも呼んでいる事は知らないが。
「(リィンが賞金首になって胃を痛めてると言うのにこいつらは…!)」
これ以上穴を開けるな!と叫びたい。心から叫びたい。
最近また医務室に世話になったばかりだというのに上がポンポン胃痛で倒れてたら世話ないというもの。こんな上司だと知られたら下は付いてこない…!
「いい加減に…」
しないか。そう言葉を続けようとした瞬間顔の横を何かが驚く程のスピードで通過した。
「っ!」
「ギャ…ッ!」
悲鳴を上げた七武海の2人を向くと思わず固まった。いやいやいやいや、どうしてここに泥団子が飛んでくる必要がある??
どう考えても子供の遊び場とは違うぞ?と。
「クソッ、目に入りやがった…!」
「どこの誰だァ…こんな事しやがったのは」
サングラスをかけているドフラミンゴだけは目が潰されて無いだろう。サングラスを外し周囲に目を向けようとしたその瞬間。
──ゴッ…!
「…」
サングラスが割れた、正確に言うと顔面に向かって石が飛んできて見事的中したのだ。
「(えげつない………)」
追撃、とばかりに泥は目に向かって飛んでくる。
「殺してやる…!」
クロコダイルがそう呟いた途端視界が一瞬にして変わった。真っ赤な霧に囲まれる。
その時白いコートを着た誰かがセンゴクの腕を引っ張った。
「だ…」
「…!」
誰なのか聞こうとした瞬間口を塞がれる。これでは質問することも出来ないが振り向いた
その仮面は狐の面であったからだ。
「(なんでお前がここにいる!リィン!)」
ある種胃が助かったのは事実だがお前仕事はどうした。
「「ぎゃぁぁぁッ!」」
「!?」
赤い霧に包まれた2人の悲鳴に思わず振り返る。本当に何をしたこの小娘は。
「まずあの霧はなんだ」
少し離れればセンゴクは狐面のリィンに命令とも取れる質問をした。
「トウガラシの3倍の辛さ……トウガラカラシを煮詰めて濃くなるした液体を霧状にしてばら蒔いたのみです」
嗚呼…石が当たった程度でえげつないとは自分は随分緩い脳みそをしているものだ。……本当にえげつないのはこの子供本人だ。
「何故そのように遠い目をしてるです」
「(多分どこかで教育を間違えた、七武海討伐か?それがいけなかったのか?それとも遠距離配達か?)」
一難去ってまた一難。とはちょっと違うが結局身の回りには自分の胃痛の種しか無いのだな、とセンゴク悟ってしまった。
こえを大にして叫びたい、本物の悪魔はここにいるぞ!と。
ジャックどころか魂を取りに来る悪魔となった少女はにこやかに言葉を紡いだ。
「イタズラとお菓子どちらが宜しき?」
「お菓子で」
お強請り?それはもはや脅迫だ。
海賊思考に染まってしまった娘を憂いて今日も元帥は胃を痛める。