Sword Art Online Re:βoot   作:mimitab_

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8.

2024年、2月。

アインクラッド 第39層 アールーン

 

時はシグがセクハラ事件を起こした時まで遡る。アイスはフィールで単独で行っていたレベル上げに休止符を付け、前にタクと行ったケーキ屋に足を運んだ。相も変わらず、この店は男女のカップルで溢れているがマイペースな彼女はそんな雰囲気など気にしないで1人席に着いた。しかし耳には周りの会話が入ってくる。

 

「バレンタイン、楽しみにしててね」

「義理チョコぐらいならあげる」

「現実世界で、俺10コ以上貰ったことがあってさ」

「SAOのチョコレートってどうやって作るんだろ・・・」

 

バレンタイン。

その言葉にアイスは耳をピクピクさせた。

 

 

 

Sword Art Online RE:Generation

第8話「女の子のキモチと男の子のキモチ」

 

 

 

アインクラッド 第50層 アルゲート

ギルドホーム

 

新設したホームには名ばかりの広いキッチンがある。何故名ばかりなのかと言えば『β』の人間は誰も料理をしないからである。そのキッチンに全女性陣4人が集まっていた。召集をかけたのはアイスである。

「昼12時。キッチン。集合」

短いテキストだったが、アイスの召集なぞ初めてだったので、みんな興味津々で集まった。

 

「で?」

キッチンに仁王立ちで立つアイスにノースが促した。

「チョコ食べたい・・・です」

「え?アイちゃんが食べるの?」

ヒートが言う。

集まった3人は薄々分かっていた。この季節に女の子だけキッチンに集合。バレンタインのチョコ作りだろうと。だから、アイスの為に作る気は更々無い。

「要は、ハル君たちにってことですよね?」

ニカが言う。

「違います。私が食べます」

「アイちゃん、やっぱ変なコ」

「チョコって言うけど、誰か作れるの?」

ノースが3人を見渡すが、誰1人肯定しない。

「現実世界では作ったことあるけど、ここでは剣を振るうのみだからなー。調理スキルなんて鍛えてないよ」

「え?意外」

ヒートの発言にニカが驚いた。

「意外ってどういう意味だー」

ヒートがニカの頭をグリグリする。

「え、いや、痛い!いや、あの、ヒートちゃんはチョコ作るよりも男子に混じってサッカーボール蹴ってるイメージが!」

「それもやってた」

 

「私は無理だなぁ。現実世界でも焼きそばぐらいしか作れない」

ノースが自分で言って情けなくなったのか溜め息を吐いた。

「私は少しだけレベル上げてますけど、レベル高くないとすぐに焦げて悲惨なことになっちゃうんですよね」

ヒートから逃れたニカが残念そうに言う。

「物は試しです。材料は買ったのでやりましょう」

急にアイスがフライパンを取り出して言った。

「アイちゃん、いきなりフライパンは使わないと思う」

ヒートが呆れながら冷静にツッコミをいれた。

 

 

アインクラッド 第39層 アールーン

葉っぱ屋「Smorkin Torch」

 

シグが経営する回復薬、薬草専門のショップである。そこに今日はハル、タク、ムニの3人が遊びに来ていた。目当ては前回シグが戦闘で用いた煙幕手榴弾の製造である。試作品と言っときながら絶大な効果を発揮したその武器に需要を感じたメンバーが製造過程を見に来たのだ。

 

「お前、ホントに器用だな」

タクがシグの手際を横で見ながら感心する。

銃器という武器のジャンルは、この世界ではかなり異質な分類に分けられる。『剣の世界』と謳われているのに銃を使うのは邪道であるといった意見が多く、使用人口はかなり少ない。その理由の一つに購入費が半端なく高いというものがあり、そして金の問題は一丁維持するだけでも常につきまとう。毎日念入りに手入れをしないと戦闘でジャムを多く起こす上、耐久性の低いモノだと水滴や泥が付着しただけで動作不良になることもある。だからこそ、サービスが開始してからも未だに銃器を使っているプレイヤーは、本物の銃好きと言えた。

維持費に金はかかると言うが、それでも銃器には剣には無いメリットも存在する。それは知識と技量があれば、ある程度の改造が施せるというものだ。だからこそ、シグは手榴弾を煙幕グレネードに改造することが出来た訳だが、これは全員が出来る訳ではなく、先述通り、銃を愛してやまない彼だからこそ出来る業だろう。

「そう?」

「うん、凄いと思うよ。何で教えてくれないのさー」

ハルが口を尖らせる。

「シグ、これ入れていい?」

作業台に向かうムニがシグに確認をする。意外だったのは、ムニも手先が器用だったということ。シグが分解した手榴弾に手際よく薬剤を詰めていく。細かい作業が出来るようレベルをあげている彼の意外性に全員驚きであった。

 

「そういや、さっきホームのキッチンに女の子たちが集結していたけど」

ハルが、ふと思い出して言った。

「何だ、バレンタインってやつ?」

この中では一番年上なのに、少し期待を膨らませるタクが反応する。

「あいつら料理のレベル上げてたっけ」

ムニが作業の手を止めて言った。

「・・・それなんだけどさ。お前らは男だから言ってもいいと思うから言うけど。僕チョコ作ったんだよね」

シグが薬草を刻みながら言う。

「え?」

3人の野郎共が同時に反応した。

「いや、僕この前問題起こして女の子たちに迷惑かけちゃったじゃん?そのお詫びにさ。甘いもので釣るわけじゃないけど・・・」

「シグ!俺には?」とタク。

「僕の分は?」これはハル。

「俺には迷惑とかない訳?」ムニが身を乗り出す。

「え?いや、お前ら男じゃん」

「バレンタインは男がチョコ貰える日だろ?ほら、出せ!出せ~」

タクが机をバンバンと叩き出したじろぐシグ。

「というか毒味だ!毒味!作ったの出せ!」

ムニが作業用の包丁を振り回す。半ば強引にシグの手を取りウィンドウを開かせストレージからチョコらしき物がラッピングされた可愛い包みを取り出した。

 

そして、その結果。残る空箱。もとい残骸。

 

「うめぇ!」

「美味しかった!」

「ご馳走さん!」

「お前ら・・・」

残った空箱を手にワナワナ震え始めるシグ。その姿を見て固まる3人であった。

 

数秒後。

そこにはシグの前で土下座する3人が。

「つい、出来心で・・・」

「ごめんなさい」

「すんません」

「はぁ。いいよ、もう。材料はまだあるし・・・」

「俺らも手伝うぜ」

「どうせ毒味役だろ?」

「いやいや、俺は昔ハルと2人だけでツルんでいた時は交代でメシ作ってたんだぜ?店で食えるほど金に余裕がなかったし、こいつβテスターだから外出を凄ぇ嫌ってさ」

「懐かしいね~。最初は酷かったね。タクが肉を焦がしまくってさ」

「あぁ?お前だって似たようなもんだったろ。お前が最初に作った蛙のスープ忘れたとは言わせねぇぞ」

ハルとタクが当時の思い出に花を咲かせた。

「そういや俺が2人に会った時は、メシ3人で作りあってたよな」

ムニが言った。

「そうだったそうだった。ムニが作る猪のバーガー!あれ美味かったよな!」

タクが言うとハルが頷く。

「2人に会う前はソロで、βテスターだったもんだから街や人の輪に入りづらかったからね。キャンプセット購入してフィールドの安全圏で調理してた」

「あぁ、そうそう。それで、その匂いにつられた僕らに会ったんだよね。あの時か。初めて会ったの」

ハルが言う。

「何だよ、みんな料理出来んじゃん」

シグが笑った。

「ムニ君に会ってすぐオヤジさんに会ったからね。食材持っていけば何でも料理してくれるし」

ハルが言った。

「そうだな。美味いもん作ってくれる人が現れてから俺ら作るのやめちゃったな」

タクが相槌を打つ。

「じゃ、作ろうぜ久々に!」

ムニは乗り気だ。

「ここじゃ設備ないから、ホームに帰ってからやろうか」

シグが提案し、みんなが同意した。

 

 

アインクラッド 第50層 アルゲート

ギルドホーム

 

キッチンは戦場であった。料理道具は散乱し、得たいの知れないドス黒い液体(恐らく溶けたチョコレートもどき)が床に飛び散り、オーブンからは煙が上がっている。

「ヤバいよね・・・」

ノースが周りの凄惨な光景を見渡して一言呟いた。

「これ、何に使うつもりだったの?」

ヒートがアイスが用意した食材の中から大きい魚を持ち上げて困惑しながら聞いた。

「ダメです!また焦げました!」

ニカが煙がモクモク立ち昇るオーブンを開けて叫ぶ。

「うん。知ってる」

その姿を見ずにノースが言う。

アイスだけは黙って謎の物体をこねている・・・かと思えば、いきなり食材の中から葉っぱを取り出して刻み始めた。あまりにも一心不乱すぎて誰も声をかけるタイミングが掴めない。

 

「なんっじゃ、こりゃぁぁ!?」

扉を開けてキッチンに入ってきたムニの声に飛び上がるノース、ヒート、ニカの3人。何しろ煙が室内に立ち込めているので誰も扉が開いたことに気付かなかった。

「け、けむっ」

煙草製造で煙に慣れているシグでさえ咳き込む。

「わわっ、男子たちは入ってきちゃダメですよー」

ニカが慌てて4人を中に入れまいとするが無駄な抵抗である。

「お前ら・・・それは完成間近なのか?」

タクが聞くとアイスを除く女性陣3人は黙って首を横に振った。

 

キッチンは綺麗に片付けられた。得体の知れないアイスの完成品を目にした張本人のアイスは「食べたくない」と拒否したがノースが無理矢理口に流し込み片付けられた。

「お前ら、無理はするなよ」

タクが諭す。

「いきなりハイレベルなモノ作ったらダメだよ」

ハルが優しく笑う。

「いいじゃん?挑戦する気があるってのはさ」

「別に怒ってないよ。ただ面白くてよぉ」

ムニの言葉にタクが笑い出す。アイスを除いた女性陣3人は恥ずかしそうに俯いた。

「ハル。やろうぜ」

シグがハルに声をかける。

「オッケー。みんな、男女ペアのチーム対抗戦でいこう!4組で一番美味しいモノを作った人が勝ち!どう?」

ハルが立ち上がり両手を広げて提案する。

「甘いもんじゃなくてもいいのか?」

ムニが質問した。

「いいよ。もうすぐ夕食時だし!じゃ、タク!隊形指示よっろしく!」

「まっかされましたー。うーん、こりゃ悩んじゃうな。でも決めました。ムニとノース。たまには違う連携が見たいぜ。ハルとヒート。シグとニカ。俺とアイスでいこうか!食材はアイスがわけ分からんモン沢山買ったんで何かしらあるだろ。じゃ、戦闘もとい調理、開始!」

 

「よし、ノース!肉焼こう肉!」

「さっきアイスが猪の肉買ってたよ」

「それ焼こ!付け合せはこの野菜でいいや。切って切って」

「でも私がやると、形不揃いになるし・・・」

「構わん構わん。食えば同じ同じ」

何事も楽しむことを本業とするムニの姿に自然と表情が解れるノース。彼のこういった姿勢には何度も救われてきた。

「お肉焼いてどうするの?」

「ステーキ、ハンバーグ、パンがあるならバーガー。どれにする?」

「ハンバーガー食べたいな」

「いいね!SAOでの俺の得意料理だね!」

ムニが早速調理に取り掛かる。ノースも彼に急かされて野菜を切り始めた。切った野菜は全て歪な形をしていたが、ムニはそれに対して何も言わず、調理レベルが低いプレイヤーでも簡単に作れるレシピを肉を焼きながら教えてくれた。

 

「ヒートさん、何にしよっか」

「アイちゃんがデッカい魚買ってきてたよ」

「あぁ、これね。でかっ!重っ!」

「どこで手に入れたんだろね」

「お店でこんなの見たことないなぁ」

「焼く?煮る?蒸す?」

ヒートはやる気満々だ。

「ムニ君が肉焼いてるから、僕らは煮てみようか」

「いいね。和風で決めちゃおう!」

「じゃ、まずは切り身にしてっと」

ハルが包丁で魚を軽く突いた。SAOの料理はシステム化されており、切る、焼く、煮るなど非常に大雑把な作業しか選択できない分、プレイヤーの熟練度によって完成度が異なる。

「お、ハルちゃん、上手いね」

「タクと2人でいた時は交代で料理してたんだ。でも基本的にタクが肉料理、僕が魚料理することが多かったかな」

「へぇ。私も負けてらんないなぁ」

「ヒートさんも上手いじゃん」

2人でニコニコ笑いながら調理を進める。

 

「お前な、前衛的な現代アート作ってるわけじゃねぇんだぞ」

アイスの奇怪な行動に早くもタクがツッコミをいれた。彼女が何を作りたいのかは一目瞭然であるが、問題は選ぶ食材のセンスである。何故、ここで苦味のある葉を刻もうとしているのか理解に苦しむ。

「芸術は爆発です」

「ヤメなさい。食い物爆発させてどーすんだよ。今度は俺がお前の口にねじ込むぞ」

アイスはチョコ作りがどうしても諦めきれなかったらしい。恐らく昼12時に女性陣で集まった時からずっと食べたかったのだろう。ならば、その夢を叶えてやるのが年長者の役目かなとタクは心の中で思う。作業台の上に乗ったチョコレート板のような物を手に取った。この世界には現実世界と同じ食材は存在しないが、味が同じものは勿論存在する。今手に持っているチョコレート板は「ダークビーンズ」という豆を加工したものらしく、アイテムとしても使用することが出来、効果は体力を少し回復する程度のものだ。苦味と甘味が丁度よく、プレイヤーの中では簡易的な食事やおやつ感覚で食されているものだった。

「いいか?お前はこのチョコ板を刻め。ほら、斬り刻むの得意だろ?」

「馬鹿にしていますか?」

「いや、褒めてる」

 

「魚が余ってるな」

シグは食材を選びながら少し距離を開けて隣に立つニカの顔を見た。思えばセクハラ事件から一言もマトモな会話をしていなかった。

「シンプルに刺身にでもするか。前にこの魚で食ったことあるし」

ニカは言葉を発さない。

「うん。そうしよう」

最早、独り言に近い。

「・・・刺身で、いいかな?」

1人でブツブツ喋っているのが寂しくなりニカに返答を求めるが返事はない。寂しさが切なさに変わり始めた、その時。

「シグさん!」

「うぇ!?何?」

急に名前を呼ばれ、変な声が出てしまった。

「私・・・ごめんなさい」

「え?何が?」

「この前の洞窟でドラゴンに襲われた時、私シグさんに助けてもらったのに、私その後も失礼な態度をとってしまって」」

「あ、ん?あ、いや・・・」

頭を下げられ戸惑うシグ。

「それに、シグさんは全員が逃げるまで残ってくれて、更にあの絶体絶命の状況から1人の力で抜け出して、凄くカッコよかったです」

頭を上げたニカは涙目になりながらもニコリと笑う。

「え・・・あ、ありがとう」

その表情に見とれてしまい言葉が詰まり照れてしまう。

「いや僕こそ、この間はごめん。本当に」

「もう気にしていないから大丈夫ですよ。あれは、あの時のシグさんが悪いわけで今のシグさんは悪くないです」

「・・・それ、結局僕じゃん」

「そうですよー」

クスクス笑いながら責めるニカの言葉に怒りは全く感じられない。むしろ全力でからかいにきてくれている。

「あ、お刺身ですよね。賛成です!」

シグの独り言はちゃんと聞こえていたようだ。

「でも、お刺身といったら醤油ですよね。こんな世界にあるんですか?」

「それがあるんだなぁ」

そう言ってシグは自身のストレージから密閉された透明の小さな容器を取り出し、小皿に中身の液体を垂らしてニカに勧めた。

「え、何コレ!?凄い!醤油です!懐かしい~」

指につけて舐めたニカが感嘆の声をあげる。

「ふふーん。崇めなさい」

「はい、すごいすごーい。シグさんが作ったんですか?」

「そう。アビルパ豆とサグの茎とウーラフィッシュの骨とクルタ草の筋を使ったの。でも残念ながら僕が考えたわけじゃなくて、原案は血盟騎士団のアスナさん。この前攻略の時に知り合って教えてもらったレシピに少しアレンジ加えただけ」

「へぇ。でも凄いです」

シグとニカの間にわだかまりはもう無かった。2人は会話に夢中で知る由もないのだが、その様子を見ていた『β』の残りのメンバーたちは顔を見合わせガッツポーズをするのだった。

 

食卓に料理が並ぶ。そしてそれをみんなで囲んだ。ムニとノースが作ったハンバーガーと茹でた野菜が人数分皿に盛り付けられる。辛党のムニはアルクスパイスを振りかけないと完成ではないと言うがノースが全力で阻止した。パンからはみ出た肉はかぶりつきがいが充分ある程大きい。グレービーソースは非常にまろやかで食欲をそそる匂いが鼻につく。ハルとヒートが作った魚の煮物もいい感じだ。ありあわせの食材で作ったにも関わらず、あっさりと味つけされた調味料が坂に上手く染み込んでいた。魚が大きすぎて煮物だけでは余ったので、2人はスープも作っていた。その温かさが身体中に浸透する。シグとニカの刺身も好評だ、何よりも醤油がいい。懐かしい日本の伝統的な味に全員の手が止まらない。そしてデザートにと出されたのはタクとアイスによるチョコクッキーとプリンのような茶碗蒸しのような物体。

「見た目はアレだが味は保証する。俺が味見したし、なんせ甘いもんに目がないアイスが作ったからな。プリンは・・・形としては酷いが結構美味いぞ。まぁ、出来るまで失敗作が山積みだけど」

タクが説明する。

 

メンバー全員で食卓を囲むのは『β』の伝統的な習慣だ。これがあるのとないのとでは、1日の終わり方が違う。やはり夕食をみんなで囲んだ時の方が、ギルドが家族のように思えてくるのだ。

8人は、チーム対抗戦であることなんて忘れていた。笑い声が絶えない時間が続く。

 

 

「ニカちゃん」

夕食を終え、時間も遅くなったので全員で仲良く片付けを終え自室に戻ろうとしたニカはシグに呼び止められた。

「これ」

そう言って彼が取り出したのは可愛くラッピングされた小さな箱。

「本当は女の子全員分あったんだけど、野郎共に全部食われちまった。でもニカちゃんにはどうしても渡したくて急ピッチで作ってみた。ちょっと形崩れたけど、もし良かったら」

「あ、ありがとうございます。大事にとっておきますね」

「いや、耐久値、明日きれちゃう」

「あれ。じゃあ、大事に食べます」

「あ、あぁ」

屈託の無いニカの笑みにシグはまたもや照れてしまう。

 

シグは彼女の笑顔が好きだった。こんな世界に囚われても、ニカはこんなにも可愛く笑うことが出来る。もう二度と彼女の笑顔を失くさないと心に堅く誓うのだった。

 

「おやすみなさい」

「あぁ。おやすみ」

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