艦隊これくしょん  〜第0艦隊、参ります!〜   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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Operation.12 航空戦艦VS航空戦艦

 翌日、艤装準備室にて――

「いくら何でも、戦艦相手にこれだけではね〜」

「私、お役に立てる気がしません……」

 アドミラル・クズネツォフとひゅうががそう口にした。ミズーリは16インチ三連装砲やMK41 VLS、飛行甲板を身に付けながら応える。

「大丈夫だ、現代艦の方が強い事を証明してやる」

 そして3人は、艤装準備室を出た。

 

 

 

「また演習?」

「新入りさん達の戦力評価を兼ねて、だとか」

「だったらモスクワとかあたごとか入っているでしょ? この組み合わせ、絶対日向の興味ね」

「でも、ちょうどいい演習ですよ。大規模作戦を前に、皆の鬱憤晴らしになりますから」

「無駄な弾薬や燃料を使われるのよ。それでいいの?」

 大淀と加賀が話す。その視線の先には、演習海域を映したレーダースコープがあった。

 

 

 

 そして3人は、演習海域に立っていた。雲が少し多いが、晴れている。ひゅうがにとっては2度目の演習海域だ。

「ここが、死ななければダメージも無かった事になる不思議な海域……」

 ミズーリが呟く。その横で、アドミラル・クズネツォフが早期警戒ヘリ・Ka-31 ヘリックスDを飛ばした。

「さてと、まずは航空優勢確保ですかね」

 アドミラル・クズネツォフが呟き、ミズーリが頷く。そして2人は飛行甲板を水平にした。アドミラル・クズネツォフのジェットブラストディフレクターが立ち上がり、空対空ミサイルを装備したSu-33 シーフランカーが発艦する。ミズーリの飛行甲板からも、空対空ミサイルを装備したF-35B ライトニングⅡが飛び立った。

「今回の旗艦、あなたに任せていいですか?」

「ああ、構わない」

 アドミラル・クズネツォフの提案に、ミズーリは頷いた。2人の飛行甲板では、妖精達がMiG-29K シーファルクラムとAV-8B+ ハリアーⅡに空対艦ミサイルを装着させている。

 やがて、アドミラル・クズネツォフが飛ばしたKa-31 ヘリックスDのレーダーに反応が出た。

 

 

 

「逆探に反応! やはり空中からか」

 日向が叫ぶ。伊勢は空を見るが、何も見えない。そして指示を出した。

「一応直衛隊を上げておこう。日向と私が飛ばすから、扶桑と山城は爆装待機!」

 そして、伊勢と日向が瑞雲を飛ばす。火薬カタパルトから射出された水上爆撃機は上昇、敵機迎撃に向かう。

 4人の対空電探に反応、全ての主砲に三式対空弾を装填する。

 

 

 

 Su-33 シーフランカーの遥か前方を、F-35B ライトニングⅡが飛ぶ。ウェポンベイには4発のAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルと2発のAIM-9 サイドワインダー短距離空対空ミサイルが内蔵されている。

 やがて、F-35B ライトニングⅡの赤外線索敵装置が瑞雲飛行隊を捉えた。F-35B ライトニングⅡの飛行隊長は指示を出し、BVR(目視距離外)戦闘を始める。

 12機のF-35B ライトニングⅡのウェポンベイが開き、40機の瑞雲飛行隊目掛けて48発のAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルが発射された。

 

 当然、瑞雲にはAIM-120 アムラーム中距離空対空ミサイルのかわしようが無い。無惨にも40機の瑞雲飛行隊は全滅した。

 

 

 

「やばいよ日向! 直衛隊との通信途絶!」

 伊勢の言葉は、勿論日向には信じられないものだった。

「馬鹿な、まだ接触していないのに」

「こちらの射程外から攻撃出来るのね……」

「不幸ですわ……」

 

 

 

 そして、ミズーリとアドミラル・クズネツォフから攻撃隊が発艦する。Kh-35空対艦ミサイルを2発抱いたMiG-29K シーファルクラムが8機、AGM-84 ハープーン空対艦ミサイルを2発装備したAV-8B+ ハリアーⅡが12機、AGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイルを16発装備したAH-64D アパッチロングボウが4機だ。

「これで足りるかな?」

「さあな。もしこれで足りなければ、SSM(艦対艦ミサイル)を全弾ぶっ放して逃げる」

「その40cmの巨砲で戦わないんですか?」

「14インチ(35.6cm)を大量にぶら下げた4人を相手に、16インチが6門では力不足だ」

「私がキエフ先輩だったら砲撃の手伝い出来たけど……」

「航空戦力が足りなくなる」

「それもそうですね〜」

 

 

 

 扶桑、山城から爆装した瑞雲が全機発艦する。逆探や、相手の戦闘機が来た方向から、予想される方向へ瑞雲達は爆弾を抱えて飛ぶ。

 しかしそこへ、何かが低空飛行でやってきた。

「まずい! 戦隊、右舷・対空戦闘! 撃ち方始め!」

 伊勢が叫び、4人は14発の三式対空弾を発射した。

 

 MiG-29K シーファルクラムとAV-8B+ ハリアーⅡの編隊は、艦上攻撃機の如く低空飛行、一斉に空対艦ミサイルをリリースする。

 

 三式対空弾は時限信管で破裂、大量の破片をばらまく。しかし40発の空対艦ミサイルは破片の雨をくぐり抜け、4人へ向かう。12.7cm高角砲や25mm対空機銃、12cm噴進砲の弾幕をいとも簡単にすり抜け、アクティブレーダーホーミングでロックオン、ひねり上がるようにポップアップし、4人に飛び込んだ。

 

 

 

 結局何も出来なかったSu-33 シーフランカーがアドミラル・クズネツォフに帰ってくる。ミートボール(着艦誘導信号機)視認、ランディングギアとアレスター(着艦フック)を下ろし、フラップを下げる。そして、アレスターがアレスティングワイヤーを捕らえ、機体は急停止した。

 F-35B ライトニングⅡも、エンジンノズルを下に向け、姿勢制御ファンドアを開いてホバリング、ミズーリの飛行甲板に垂直着艦する。

「さて、我が攻撃隊ではやはり力不足だったな」

「戦艦相手に、40発はやっぱり足りませんよね〜」

「最初の予定通り、SSMをぶっ放して逃げる。そして攻撃隊による波状攻撃だ」

「わーエグーい(棒読み)」

 ミズーリとアドミラル・クズネツォフは、RGM-109B トマホーク艦対艦巡航ミサイルやRGM-84 ハープーン艦対艦ミサイル、P-700艦対艦巡航ミサイルを合計50発発射、反航戦から同航戦に切り替えるべく面舵を取る。

 

 

 

 MiG-29K シーファルクラムとAV-8B+ ハリアーⅡが放った40発の空対艦ミサイルは、何故か全て扶桑と山城に集まった。

「痛いわね……」

「不幸だわ」

 大破した扶桑と山城を前に、小破の伊勢と日向は何も言えない。

 

 

 

 一方で、同航戦となり逃げるミズーリ、アドミラル・クズネツォフ、ひゅうがへと爆装した瑞雲が接近する。

「しまったCAP(戦闘空中哨戒)機を出してなかった」

「ピーンチ」

「わひゃああ!?」

 パニクるひゅうがを差し置いて、ミズーリはSM-2ER中距離艦対空ミサイルを発射する。しかし、イージスシステムは一度に15発のミサイルしか誘導出来ない。

「加勢します!」

「頼む! クズネツォフとひゅうがは取り舵! 回避運動!」

 ミズーリは右へ、アドミラル・クズネツォフとひゅうがは左へ旋回する。

「右・対空戦闘! RAM発射!」

 ミズーリから続々とRIM-116 RAMが発射される。しかし、瑞雲達は損害構わず急降下、250kg爆弾を投下する。

「くっ!」

 20mmCIWSが唸り、大量の徹甲弾をばらまく。それでも、数発の爆弾を喰らってしまった。

 

「ミズーリさん!」

「ひゅうがさん、よそ見しない!」

 アドミラル・クズネツォフがキンジャール短距離艦対空ミサイル、そして9M311短距離艦対空ミサイルで応戦する。ひゅうがもRIM-162 発展型シー・スパロー短距離艦対空ミサイルを発射する。

「クズネツォフの圧倒的弾幕を見せてやります!」

 ミサイルが使えないほど接近され、アドミラル・クズネツォフは短SAM・30mm複合CIWS コールチク 8基と30mmCIWS AK-630 6基で圧倒的弾幕を張る。

 

 旧日本海軍(特に艦爆隊)では、敵の対空砲火を「アイスキャンディー」と呼んだという。それは、対空砲から発射された曳光弾がそう見えたからだが、当時のを「アイスキャンディー」と呼ぶのなら、アドミラル・クズネツォフのそれは「光のトンネル」であった。

 

 現代艦の中で最も多く対空砲を搭載しているアドミラル・クズネツォフの弾幕は、言うなれば弾丸の壁である。勿論、瑞雲達は、ひゅうがを狙ったものも含めて徹底的に破壊される。西側の軍艦なんて目じゃねえぜ。

「よーし、一掃完了!」

 そう言うアドミラル・クズネツォフに、パラパラと瑞雲の破片が降り注ぐ。

「これが、おそロシア……」

 ひゅうががうわごとのようにそう言った。

 

 

 

 両方の第1次攻撃が終了し、日が暮れ始める。

「夜戦だね」

「大破2人、航空機全滅。砲戦で何とかするしかないか」

 4人は周囲を警戒する。既に暗くなり、あとは32号対水上電探だけが頼りだ。

 

 

 

 ミズーリから、AGM-84 ハープーン空対艦ミサイルを装備したAV-8B+ ハリアーⅡが発艦する。そして、500ポンド誘導爆弾をウェポンベイに収めたF-35B ライトニングⅡも飛び立つ。

 先行する2機のMiG-29K シーファルクラムはKh-31P対レーダーミサイルを2発ずつ装備、後続のMiG-29K シーファルクラムはKh-35空対艦ミサイルを2発ずつ、Su-33 シーフランカーは4発の500kg爆弾を抱えている。

「こっちは対艦ミサイルを撃ち切っているから、攻撃隊がやられれば40cm砲6門のみ……」

「そのために、攻撃隊全機発進だろ?」

「確かにです」

 その横で、ひゅうがもAH-64D アパッチロングボウとSH-60K シーホークを飛ばす。先程活躍出来なかったAH-64D アパッチロングボウには16発のAGM-114 ヘルファイア対戦車ミサイル、SH-60K シーホークには12式魚雷が搭載され、敵戦隊へ向かう。

 

 

 

 超音速巡航で飛ぶF-35B ライトニングⅡの赤外線索敵装置が、伊勢達航空戦隊を捉える。12機はポップアップ、伊勢達目掛け急降下する。

 ウェポンベイが開き、24発の500ポンド誘導爆弾が投下された。

 

「きゃあ!」

「痛い! 不幸だわ!」

 また何かの因縁か、F-35B ライトニングⅡが投下した24発の爆弾は、扶桑と山城に命中、轟沈判定が出た。

「奇襲!?」

「馬鹿な! 電探には何も――」

 そこで、日向の14号対空電探に、高速で飛翔する物体が映った。

 そしてそれは、日向と伊勢の対空電探を破壊する。

 

 

 

 6機のMiG-29K シーファルクラムと12機のAV-8B+ ハリアーⅡが、36発の空対艦ミサイルを一斉射、低空飛行のまま離脱する。

 

 そして、16機のSu-33 シーフランカーは8機ずつの編隊に分かれ、ダメージを受けた伊勢と日向へ急降下、爆弾を投下した。

 

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