艦隊これくしょん  〜第0艦隊、参ります!〜   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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Operation.14 トラック泊地

 日本海軍 連合機動艦隊がトラック泊地に入港する。

「ドックは空いているか!?」

「被害の大きいのから入れろ!」

「鋼材足りんぞ! 何やっている!?」

 技師達が慌てて艤装の修理に掛かる。そして、被害を受けた艦娘達は入渠させられた。

 

 トラック泊地は、初日から大慌てだった。

 

 

 

 そのドタバタが収まり、作戦会議が開かれた。

「起立!」

 大淀の声と共に艦娘達が立ち上がり、敬礼する。

「着席!」

 一斉に椅子に座る。そして提督が壇上に上がった。

「今回の作戦は、深海棲艦の勢力を一気に後退させるチャンスだ。深海棲艦の西太平洋における戦線拠点3ヶ所、これを多国籍共同部隊で一斉に叩く。我々日本海軍は、ここ南方海域、サブ島を奇襲する」

 そして、提督は手にしていた巨大な写真を広げ、黒板に貼る。

「大淀、そっち貼ってくれ」

「はい」

 そして、提督は指示棒を手にし、写真を示した。

「これは、陸軍の戦略航空偵察隊の撮影した上空写真だ。母港は南西の湾、山頂には電探がある。陸上機は確認されていないが、水上機はいるだろう。少なくとも、2個機動部隊と3個水雷戦隊が確認されている。他にも補給艦隊がいる。我々はこれらを可能な限り殲滅、最優先は基地機能の破壊と補給を断つ事だ。よって、サブ島空襲は波状攻撃を行う。人選は――」

 

 

 

「今夜はよろしくお願いします」

「気にするな、イソロク」

 トラック泊地 第1仮眠室には、長門・陸奥・武蔵・ミズーリ・ニミッツ・アドミラル56がいた。彼女達は第1次攻撃隊として組まれたのだった。

「夜戦の出来る空母とは、非常に便利だな」

「あらあら、頼り過ぎは駄目よ?」

「分かっているぞ、陸奥」

 武蔵と陸奥が話す。その隣では、ミズーリがF-35B ライトニングⅡとAV-8B+ ハリアーⅡを整備していた。

「熱心ね〜、ミズーリちゃん」

 布団に入り、作戦海域周辺の地形を頭に叩き込んでいるニミッツが言った。

「当然。何せ命を懸けているからな」

 AV-8B+ ハリアーⅡにロールスロイス製ペガサス ターボファンエンジンを差し込むミズーリが、さも当然と応えた。

「ずっと気になっていたが、プロペラの無い飛行機なんて珍しいな」

 長門が、ミズーリの手にあるAV-8B+ ハリアーⅡを覗き込みながら言った。すると、ニミッツが布団から這い出てきた。

「ジェット機よ。まさに時代の申し子! 数多の戦争で重大な役目を担った技術革新よ!」

「ふむ。第0艦隊の皆はそれぞれ違う機を搭載しているようだが、何が違うんだ?」

 長門の質問に対し、ニミッツは靫から数本の矢を取り出し、飛行機に変化させて見せた。

「これが、私に積まれているF-14D スーパートムキャット、F/A-18F スーパーホーネット、A-6E イントルーダー、EA-18G グラウラー、EA-6B プラウラーよ」

「……何が違うんだ?」

 まず、ニミッツはF-14D スーパートムキャットを持ち上げた。

「これは、ノースロップ・グラマン F-14D スーパートムキャットと呼ばれる艦上戦闘機。勿論爆装出来るけど、基本は制空任務ね」

 ニミッツがF-14D スーパートムキャットを置くと、彼女がいつも腰にウエストポーチ感覚で着けている艤装から、トムキャット・パイロット妖精とトムキャット・RIO(レーダー邀撃士官)妖精が出てきて、F-14D スーパートムキャットに乗り込んだ。

『2人!?』

 長門と陸奥と武蔵が驚く。普通、艦上戦闘機は1人だからだ。

「このトムキャットには、300km先の敵機を探知出来る強力なレーダーが積まれててね、その操作の為にもう1人乗るの」

「300……」

「圧倒的アウトレンジね……」

「さすが、未来の空母……」

 3人は言葉を失う。が、武蔵が口を開いた。

「だが、見つけても機銃は届かないだろう?」

「機銃じゃないけど、届くわよ?」

『えっ』

 そして、ニミッツは赤いジャケットを着た妖精達に指示を出した。すると、妖精達はニミッツのもう1つのウエストポーチから、台車に載ったあるものを持ってきた。

「それは?」

 陸奥が指差すと、ニミッツはひょいと持ち上げた。鉛筆のような物体に小さな羽が付いたそれを、ニミッツは見やすいよう顔の高さまで持ち上げる。

「AIM-54 フェニックス、トムキャットに搭載する空対空ミサイル、つまり噴進弾よ」

「戦闘機に噴進弾?」

「伊勢さん達に積まれているから珍しくないと思うけど……これは250km先の敵機を追い掛けられる特殊な噴進弾よ。まぁ、これは演習用模擬弾だけど」

「250!?」

「そんなの一方的じゃない!?」

「こちらはどう立ち向かえと!?」

 3人が口々に言う。ニミッツは考えるが、

「無理ね」

 3人はガクッと倒れた。

 

 

 

「隣うるせー……」

 あたごが呟く。

 第2仮眠室では、第2次攻撃隊の北上・あさぎ・こんごう・きりしま・あたごがいた。

「何か戦艦も嫌いになってきた……」

 北上が独り言を言う。ちなみに、本来川内もいるのだが、彼女は「夜は眠れない」と言って外に出ている。

 やがて、ジェット機の音が聞こえ始めた。隣の第1仮眠室で飛ばしているらしい。

「……300!?」

「……前、大……を襲ったのも、このハー……」

 長門と武蔵の声が聞こえる。とても夜間に出すボリュームではない。

 北上とこんごうがゆっくり起き上がる。そして、北上は九三式61cm魚雷を、こんごうは97式魚雷とRGM-109B トマホーク艦対艦巡航ミサイルを持ち上げた。

 2人は部屋を出る。途中、空気を読まず安らかに眠るきりしまを踏んづけながら。

 

 

 

「え、電探に映らない!?」

 長門が驚く。その先には、F/A-27Cを持ったアドミラル56がいた。

「ええ。ステルス技術と言って、正確にはレーダーに映りにくいように作られているんです。勿論距離が近ければ映りますが、その距離では既に対地・対艦ミサイルでドッカンです」

「私のF-35B ライトニングⅡも同様だ」

 アドミラル56がステルス戦闘機について解説する。

 すると、襖が勢い良く開けられた。そこには、魚雷と巡航ミサイルを手にした北上とこんごうがいた。ついさっきまで寝ていたため、2人とも浴衣である。

『静かにしろ』

 そして2人は、魚雷と巡航ミサイルを第1次攻撃隊に向けた。

 

 

 

 ひゅうがが1人、波止場の縁に座り、海を眺めてぼんやりしていた。月明かりで波がキラキラ光る。ひゅうがの傍らでは、2型迷彩服を着た妖精達が、AH-64D アパッチロングボウを整備していた。海賊対処のため、陸上自衛隊 第3対戦車ヘリ隊を借りていたのだ。彼女は4機搭載していたが、内1機は演習で島風に撃墜されたのを補充するための鎮守府製の機体だった。明石や夕張、秋津洲の並々ならぬ努力により、オリジナルと同じ性能を保っている。しかしテイルには、本来あるべき機体調達番号が無い。これは元いた世界の機体ではない、という風にひゅうがには見えてしまう。

「いせ、いずも、かがちゃん、ひえいさん、くらまさん……」

 彼女は、妹と後輩と先輩の名を呟く。もしかしたら、もう二度と会えないのかと不安がよぎる。

 とそこへ、日向がやってきた。片手には「霧島」と書かれた一升瓶があった。

「日向さん」

「どうした? 眠れないのか?」

「まあ、そんな所です」

 日向がひゅうがの隣に座った。そして、一升瓶から液体をおちょこに注ぎ、くいっと呑んだ。

「日向さんも呑むんですね」

「隼鷹にポーラ、那智ほどではないが、よく伊勢や大和、長門や金剛達と呑んでいるよ」

 ちなみに彼らの間では、隼鷹・那智・ポーラは「三大泥酔艦」と呼ばれている。

「ひゅうがも呑むか?」

「あまり呑み慣れてませんが、1杯」

 そしてひゅうがは、日向からおちょこをもらって1杯呑んだ。

「……芋焼酎ですか?」

「ああ。この間、霧島がお土産にくれてな。まだ残っていたから持ってきたんだ」

「慰安旅行じゃなくて、立派な作戦行動なのに……」

「気にするな。ここでは、戦果を上げられれば違法行為が無い限り許される」

「私が想像していた日本海軍とはだいぶ違いますね……」

「そういえば、海上自衛隊とは一体何なんだ?」

 ひゅうががぴくっと反応する。海上自衛隊の成り立ちを、彼女達に話してはならないような気がずっとしていたからだ。自衛隊という組織は、彼女達の犠牲の上に成り立っているからだ。

 そんなひゅうがの俯いた顔を見、日向はひゅうがの頭を撫でた。

「いや、辛いのなら話さなくていい。私の質問が悪かった」

「日向さん――」

「ひゅうが、明日は前路哨戒任務がある。早く寝た方がいい」

「――そうですね」

 そしてひゅうがは立ち上がり、AH-64D アパッチロングボウと迷彩服妖精達を手に載せた。

「では、おやすみなさい」

「ああ、おやすみ」

 

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