艦隊これくしょん 〜第0艦隊、参ります!〜 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
前路哨戒任務の為、五十鈴・村雨・春雨・ひゅうが・きりさめ・ありあけが出発する。
「五十鈴に任せなさい!」
「頼りにしますよ!」
五十鈴が自信満々に言い、村雨が返す。
そしてひゅうがは、SH-60K シーホークを飛ばした。4機の対潜ヘリは12式魚雷を抱え、対潜哨戒を開始する。
「第1次攻撃隊、抜錨!」
長門・陸奥・武蔵・ニミッツ・アドミラル56・ミズーリの第1次攻撃隊が出発した。
橋頭堡確保の第2・3水雷戦隊と共に作戦海域に向かう。上空をE-2C ホークアイ2000や零式水上偵察機が飛び、敵を警戒する。
「いい天気ね〜」
ニミッツが空を仰ぐ。すると、CAP(戦闘空中哨戒)機のAV-8B+ ハリアーⅡの発艦準備を整えるミズーリが応えた。
「本当、ニミッツは昔からマイペース過ぎる。これから向かうのは実戦海域だ、東欧紛争PKFとは訳が違う」
「分かってるわよ。それに、この世界に来てからそれなりに場数は踏んでいるわよ」
「どうだか。艦載機のハイスペックを過信していたんじゃないのか?」
「ひっどーい!」
そして、ミズーリの飛行甲板からAV-8B+ ハリアーⅡが飛び立った。その横で、アドミラル56がSH-60J シーホークを飛ばす。
「ねぇ、疑問に思っていたんだけど」
陸奥が口を開いた。
「ニミッツもミズーリも、何で日本語ペラペラなの? アイオワちゃんやサラちゃんは片言なのに」
「他にも片言の戦艦が……」
『あ』
アドミラル56の一言で、今全員の頭に「デース!」が浮かんだ。
ミズーリが、イージスウェポン・システムのセルフチェックをしながら答えた。
「語学教育」
『マジか』
ニミッツが頷き、続いた。
「私も、アラビア語やロシア語が話せるよう叩き込まれたものよ……日本語に関しては、日本配属の予定があったから習ったけど、実際には北大西洋・地中海だったなぁ……日本配属は妹になっちゃったし」
「妹ですか?」
アドミラル56が尋ねる。
「ええ。レーガンちゃんよ」
「ロナルド=レーガンは2003年就役のはずですが」
「おっと失言」
「ん?」
今度はミズーリが引っ掛かった。
「おいニミッツ」
「何? ミズーリちゃん」
「一体どういう事だ? 何故レーガンを知らないふりをする?」
すると、アドミラル56が口を挟んだ。
「ニミッツさんは1980年から来たんですよね?」
「1980? ニミッツは私と共に、2019年から来たんじゃ――」
「ええっ!? どういう事ですかニミッツさん!」
アドミラル56がニミッツの肩を揺さぶる。長門、陸奥、武蔵は話についていけない。
すると、ニミッツが口を開いた。
「ごめんね、イソロクちゃん。本当はそうなの」
「じゃあ、何で――」
「皆をからかいたかった?」
そう言ったニミッツに対し、アドミラル56が一言。
「長門さん、こいつぶん殴っていいですか?」
「酷い!」
ニミッツが叫ぶ。が、ミズーリも指をパキパキ鳴らしていた。
「長門、私からも頼む」
「ミズーリちゃんまで!?」
「当然だ。さすがにニミッツの自由奔放っぷりには我慢出来ない」
長門は逡巡する。そして、結論を出した。
「帰ったらぶん殴れ」
「酷い!?」
やがて、SH-60K シーホークの対水上レーダーに反応が出た。
「サクラ2号より入電! 軽巡ヘ級1、駆逐ロ級5! 敵水雷戦隊です!」
ひゅうがが報告し、五十鈴が頷いて叫んだ。
「右舷、砲雷撃戦用意!」
やがて、目視で視認した。きりさめ、ありあけは76mm単装速射砲OTTメラーラ コンパクトを発砲、牽制弾を撃つ。
レーダーFCSによって撃ち出された砲弾は、正確に2隻の駆逐ロ級を撃ち抜いた。やがて、敵も砲撃を始める。
「撃ち方始め!」
「自動防御開始!」
村雨・春雨が12.7cm連装砲を撃ち始め、ひゅうが・きりさめ・ありあけが20mmCIWSで敵弾の迎撃を始める。
しかし、軽巡ヘ級の6インチ連装速射砲による弾幕は、20mmCIWSだけでは防げなかった。
ありあけの周りに水柱が上がる。
「きゃあ!」
「ありあけ!?」
ありあけが悲鳴を上げ、きりさめが振り返る。見れば、ありあけの左腕のヘリ格納庫に穴が開き、20mmCIWSが原形を無くしていた。SH-60J シーホークが発艦していたのが幸いだった。
「ありあけ、大丈夫か!?」
「大丈夫……至近弾とヘリ格納庫貫通だけだから……」
「でも……!」
「きりさめちゃん!」
ひゅうがが叫び、彼女の右腕の20mmCIWSが唸る。そして、駆逐ロ級の5インチ弾を撃ち落とした。
「きりさめちゃん、よそ見しない! ありあけちゃんは転舵して後退、ダメコン用意!」
ひゅうがが叫びながら07式垂直発射魚雷投射ロケットを発射する。きりさめ・ありあけは頷き、ありあけは後退、きりさめは76mm単装速射砲OTTメラーラ コンパクトを構え直す。
「雷撃始め!」
五十鈴が九三式61cm魚雷を投射したのを合図に、村雨・春雨・きりさめも魚雷を投射する。しかし、相手も22インチ魚雷を投射する。
「雷跡よ! 回避運動!」
五十鈴は面舵、魚雷の方へ向かう。が、敵の魚雷は春雨に向かう。
春雨には回避のしようが無かった。どう動いても4発の魚雷のどれかに当たる。春雨は、目を閉じた。
「TCM開始! 魚雷、ってぇ!」
ひゅうがが3発の12式魚雷を発射、きりさめも97式魚雷を2発発射する。
放たれた5発のホーミング魚雷は、4発の22インチ魚雷をアクティブソナーで捕捉、舵を切る。そして、磁気反応信管を作動させた。
巨大な水柱が上がった。4発の22インチ魚雷は、5発のホーミング魚雷で迎撃されたのだ。
村雨が、唖然とする春雨に駆け寄る。若干涙を浮かべる村雨が抱き締める中、春雨は何が起きたのか考えていた。
ひゅうがの飛行甲板に、SH-60J シーホークが着艦する。ありあけの着艦誘導装置や着艦拘束装置(ベアトラップ)が壊れたためだ。
エンジンを切り、ローターを畳んだSH-60J シーホークは、トーイングカーで艦首側第1エレベーターまで運ばれ、格納庫に仕舞われた。
「ありあけ、大丈夫?」
「大丈夫。損害は、大した事無い」
きりさめが胸を撫で下ろす。あの後、戦隊の放った九三式61cm魚雷は軽巡ヘ級に命中して撃沈し、敵の残存艦は撤退していった。
ありあけの損害は、ヘリ格納庫貫通、20mmCIWS 1基損失、後方イルミネーター損傷であった。対空迎撃に支障が出る。
その時、ひゅうがが長距離通信を受け取った。
「第1次攻撃隊、接近中。前路哨戒隊は第2・3水雷戦隊と共に橋頭堡確保を行え……との事です」
五十鈴は頷き、ありあけに尋ねる。
「戦闘は継続出来るかしら?」
「イルミネーターやられたので厳しいです」
ありあけが素直に答えた。五十鈴は推考し、指示を出した。
「ありあけは一旦泊地へ後退、艤装修理を行いなさい」
「了解しました」
ありあけは敬礼し、哨戒隊から離れていく。