艦隊これくしょん  〜第0艦隊、参ります!〜   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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Operation.15 サーモンへ

 前路哨戒任務の為、五十鈴・村雨・春雨・ひゅうが・きりさめ・ありあけが出発する。

「五十鈴に任せなさい!」

「頼りにしますよ!」

 五十鈴が自信満々に言い、村雨が返す。

 そしてひゅうがは、SH-60K シーホークを飛ばした。4機の対潜ヘリは12式魚雷を抱え、対潜哨戒を開始する。

 

 

 

「第1次攻撃隊、抜錨!」

 長門・陸奥・武蔵・ニミッツ・アドミラル56・ミズーリの第1次攻撃隊が出発した。

 

 橋頭堡確保の第2・3水雷戦隊と共に作戦海域に向かう。上空をE-2C ホークアイ2000や零式水上偵察機が飛び、敵を警戒する。

「いい天気ね〜」

 ニミッツが空を仰ぐ。すると、CAP(戦闘空中哨戒)機のAV-8B+ ハリアーⅡの発艦準備を整えるミズーリが応えた。

「本当、ニミッツは昔からマイペース過ぎる。これから向かうのは実戦海域だ、東欧紛争PKFとは訳が違う」

「分かってるわよ。それに、この世界に来てからそれなりに場数は踏んでいるわよ」

「どうだか。艦載機のハイスペックを過信していたんじゃないのか?」

「ひっどーい!」

 そして、ミズーリの飛行甲板からAV-8B+ ハリアーⅡが飛び立った。その横で、アドミラル56がSH-60J シーホークを飛ばす。

「ねぇ、疑問に思っていたんだけど」

 陸奥が口を開いた。

「ニミッツもミズーリも、何で日本語ペラペラなの? アイオワちゃんやサラちゃんは片言なのに」

「他にも片言の戦艦が……」

『あ』

 アドミラル56の一言で、今全員の頭に「デース!」が浮かんだ。

 ミズーリが、イージスウェポン・システムのセルフチェックをしながら答えた。

「語学教育」

『マジか』

 ニミッツが頷き、続いた。

「私も、アラビア語やロシア語が話せるよう叩き込まれたものよ……日本語に関しては、日本配属の予定があったから習ったけど、実際には北大西洋・地中海だったなぁ……日本配属は妹になっちゃったし」

「妹ですか?」

 アドミラル56が尋ねる。

「ええ。レーガンちゃんよ」

「ロナルド=レーガンは2003年就役のはずですが」

「おっと失言」

「ん?」

 今度はミズーリが引っ掛かった。

「おいニミッツ」

「何? ミズーリちゃん」

「一体どういう事だ? 何故レーガンを知らないふりをする?」

 すると、アドミラル56が口を挟んだ。

「ニミッツさんは1980年から来たんですよね?」

「1980? ニミッツは私と共に、2019年から来たんじゃ――」

「ええっ!? どういう事ですかニミッツさん!」

 アドミラル56がニミッツの肩を揺さぶる。長門、陸奥、武蔵は話についていけない。

 すると、ニミッツが口を開いた。

「ごめんね、イソロクちゃん。本当はそうなの」

「じゃあ、何で――」

「皆をからかいたかった?」

 そう言ったニミッツに対し、アドミラル56が一言。

「長門さん、こいつぶん殴っていいですか?」

「酷い!」

 ニミッツが叫ぶ。が、ミズーリも指をパキパキ鳴らしていた。

「長門、私からも頼む」

「ミズーリちゃんまで!?」

「当然だ。さすがにニミッツの自由奔放っぷりには我慢出来ない」

 長門は逡巡する。そして、結論を出した。

「帰ったらぶん殴れ」

「酷い!?」

 

 

 

 やがて、SH-60K シーホークの対水上レーダーに反応が出た。

「サクラ2号より入電! 軽巡ヘ級1、駆逐ロ級5! 敵水雷戦隊です!」

 ひゅうがが報告し、五十鈴が頷いて叫んだ。

「右舷、砲雷撃戦用意!」

 やがて、目視で視認した。きりさめ、ありあけは76mm単装速射砲OTTメラーラ コンパクトを発砲、牽制弾を撃つ。

 レーダーFCSによって撃ち出された砲弾は、正確に2隻の駆逐ロ級を撃ち抜いた。やがて、敵も砲撃を始める。

「撃ち方始め!」

「自動防御開始!」

 村雨・春雨が12.7cm連装砲を撃ち始め、ひゅうが・きりさめ・ありあけが20mmCIWSで敵弾の迎撃を始める。

 しかし、軽巡ヘ級の6インチ連装速射砲による弾幕は、20mmCIWSだけでは防げなかった。

 ありあけの周りに水柱が上がる。

「きゃあ!」

「ありあけ!?」

 ありあけが悲鳴を上げ、きりさめが振り返る。見れば、ありあけの左腕のヘリ格納庫に穴が開き、20mmCIWSが原形を無くしていた。SH-60J シーホークが発艦していたのが幸いだった。

「ありあけ、大丈夫か!?」

「大丈夫……至近弾とヘリ格納庫貫通だけだから……」

「でも……!」

「きりさめちゃん!」

 ひゅうがが叫び、彼女の右腕の20mmCIWSが唸る。そして、駆逐ロ級の5インチ弾を撃ち落とした。

「きりさめちゃん、よそ見しない! ありあけちゃんは転舵して後退、ダメコン用意!」

 ひゅうがが叫びながら07式垂直発射魚雷投射ロケットを発射する。きりさめ・ありあけは頷き、ありあけは後退、きりさめは76mm単装速射砲OTTメラーラ コンパクトを構え直す。

「雷撃始め!」

 五十鈴が九三式61cm魚雷を投射したのを合図に、村雨・春雨・きりさめも魚雷を投射する。しかし、相手も22インチ魚雷を投射する。

「雷跡よ! 回避運動!」

 五十鈴は面舵、魚雷の方へ向かう。が、敵の魚雷は春雨に向かう。

 春雨には回避のしようが無かった。どう動いても4発の魚雷のどれかに当たる。春雨は、目を閉じた。

 

「TCM開始! 魚雷、ってぇ!」

 ひゅうがが3発の12式魚雷を発射、きりさめも97式魚雷を2発発射する。

 放たれた5発のホーミング魚雷は、4発の22インチ魚雷をアクティブソナーで捕捉、舵を切る。そして、磁気反応信管を作動させた。

 

 巨大な水柱が上がった。4発の22インチ魚雷は、5発のホーミング魚雷で迎撃されたのだ。

 村雨が、唖然とする春雨に駆け寄る。若干涙を浮かべる村雨が抱き締める中、春雨は何が起きたのか考えていた。

 

 

 

 ひゅうがの飛行甲板に、SH-60J シーホークが着艦する。ありあけの着艦誘導装置や着艦拘束装置(ベアトラップ)が壊れたためだ。

 エンジンを切り、ローターを畳んだSH-60J シーホークは、トーイングカーで艦首側第1エレベーターまで運ばれ、格納庫に仕舞われた。

「ありあけ、大丈夫?」

「大丈夫。損害は、大した事無い」

 きりさめが胸を撫で下ろす。あの後、戦隊の放った九三式61cm魚雷は軽巡ヘ級に命中して撃沈し、敵の残存艦は撤退していった。

 ありあけの損害は、ヘリ格納庫貫通、20mmCIWS 1基損失、後方イルミネーター損傷であった。対空迎撃に支障が出る。

 その時、ひゅうがが長距離通信を受け取った。

「第1次攻撃隊、接近中。前路哨戒隊は第2・3水雷戦隊と共に橋頭堡確保を行え……との事です」

 五十鈴は頷き、ありあけに尋ねる。

「戦闘は継続出来るかしら?」

「イルミネーターやられたので厳しいです」

 ありあけが素直に答えた。五十鈴は推考し、指示を出した。

「ありあけは一旦泊地へ後退、艤装修理を行いなさい」

「了解しました」

 ありあけは敬礼し、哨戒隊から離れていく。

 

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