艦隊これくしょん 〜第0艦隊、参ります!〜 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
4人の撃った31発もの砲弾の内、19発が戦艦タ級に命中した。
「命中、撃ち方待て。戦艦タ級、傾斜開始、轟沈確実!」
「よしっ!」
長門がガッツポーズをし、陸奥とミズーリがハイタッチする。その流れで、陸奥は武蔵ともハイタッチした。
「あの、まだ軽巡と駆逐艦と瀕死の空母がいますが……」
『あ』
アドミラル56の言葉で全員思い出した。
直ちに副砲を準備する。敵駆逐艦を捉え、ミズーリは127mm単装速射砲MK45 mod2を発砲する。長門や武蔵も、14cm砲や15.5cm三連装砲で軽巡ヘ級や駆逐ロ級を蹴散した。
艦対艦ミサイルで敵哨戒隊を騙した後、第2次攻撃隊はサブ島泊地へ向かう。
あさぎとこんごうは、自動航跡記録装置やジャイロコンパスで現在地を推測する。だいたい泊地から250kmくらいだ。
こんごうは、陸軍 戦略偵察航空隊が命懸けで撮影した上空写真を取り出し、そしてあさぎと頷き合った。
「北上さん、先制攻撃を開始しますわ」
「えっ、まだ泊地に近付いて――」
『後甲板VLS開口、トマホーク攻撃始め!』
あさぎ・こんごう・きりしまがRGM-109H タクティカルトマホーク巡航ミサイルを計90発発射した。夜の闇を、ロケットブースターの炎が明るく照らす。
「うわっ、眩しっ!?」
川内が驚く中、90発のタクティカルトマホークはロケットブースターを切り離し、水平飛行に移って主翼を広げた。
トマホーク達はINS(航法慣性装置)で針路を調節しながら超低空飛行、サブ島泊地へ向かう。
一方、サブ島泊地では輸送艦隊が補給物資を降ろしていた。弾薬や燃料が降ろされ、地上の燃料貯蔵庫や倉庫に仕舞われる。
そこへ、低空飛行から一気にポップアップしたRGM-109H タクティカルトマホーク巡航ミサイルが飛んできた。燃料貯蔵庫や倉庫が炎上し、輸送ワ級が傾斜する。
「よっしゃもういっちょ」
きりしまが、弾頭から送られてくる映像を使い、トマホーク達を誘導する。敵泊地に90発もの巡航ミサイルをお見舞いし(最近アメリカが似たような事をしたような……)、効果は的中だった。敵泊地は大混乱に陥っているらしく、200km離れていても、対空砲火の光が見える。さながら1991年のクウェートのようだった。
「あぁ、夜戦したかった……」
川内が落ち込む中、あたごが何かを探知した。
「ヤバ、潜水艦のスクリュー音!」
「敵潜!?」
あさぎは考え、北上に進言する。
「北上さん、対潜戦闘はきりしまさんとあたごさんに任せ、残りは泊地に突撃すべきと思いますわ」
「……分かった。あさぎの言う通りにしよう」
そして、第2次攻撃隊は二手に別れた。
あたごはSH-60K シーホークを飛ばし、潜水艦を監視する。きりしまも、パッシブソナーで魚雷を警戒する。
「潜水艦は何隻?」
「ざっと……4以上だ」
あたごから発艦したSH-60K シーホークは、FLIR(前方赤外線索敵装置)で潜水艦が浮上しているのを探知した。その映像は、あたごに中継される。
「間違いねぇ、敵潜だ。距離4000m」
「近っ!?」
きりしまが驚く。そしてあたごは、127mm単装速射砲MK45 mod4を構えた。
「この距離だ、のこのこ顔出してる間抜けな潜水艦なんか主砲で沈めてやる!」
きりしまも127mm単装速射砲OTTメラーラ コンバットを構える。赤外線スコープで潜水ヨ級を捉え、主砲を向ける。
「右・対潜戦闘、主砲攻撃始め!」
2門が同時に発砲、潜水ヨ級が沈む。
「よっしゃ!」
「待って、確か潜水艦は……」
きりしまの言葉に、あたごははっとする。そして、2人のパッシブソナーが何かを捉えた。
「まずい! 魚雷接近!」
きりしまが叫び、面舵を取る。あたごは取り舵だ。
2人はかろうじて魚雷をかわした。
「野郎共! これでも喰らいやがれ! 右・対潜戦闘、CIC指示の目標、魚雷発射!」
あたごが2発の12式魚雷を、きりしまも1発の97式魚雷を発射、反撃する。
放たれた3発のホーミング魚雷は、急速潜航で離脱を図る3隻の潜水ヨ級の音を捉える。機雷対処として安全深度を超えて潜る潜水ヨ級に直撃、起爆した。
「棚ぼただけど、夜戦だ夜戦だー!」
すっかりハイテンションの川内が、14cm単装砲を撃ちまくる。その横で、こんごうも127mm単装速射砲OTTメラーラ コンバットを撃つ。あさぎから発艦したSH-60J シーホークが投下した照明弾で、敵のシルエットが浮かび上がり、雷巡北上が九三式61cm魚雷を射出しまくる。
川内とこんごうの弾幕で、重巡リ級が黙らせられる。その隙に近付いた川内が、至近距離で九三式61cm魚雷を重巡リ級にぶち込んだ。
こんごうも、艤装から89式5.56mm小銃を取り出し着剣、駆逐ハ級を蹴散らす。
「ざっとこんなもん?」
北上が、魚雷発射管に九三式61cm魚雷を再装填しながら言う。こんごうやあさぎはレーダーで、川内は目視で索敵するが、残敵はいないらしい。
「じゃ、帰るか。連絡送っといて」
「えー。もっと夜戦したいのにー」
ぶつくさ文句を言いながら、川内はトラック泊地へモールス信号を送った。
加賀・赤城・大和・アドミラルクズネツォフ・ピョートル・モスクワの第3次攻撃隊が進む。アドミラルクズネツォフからSu-33 シーフランカーが発艦、戦闘空中哨戒に向かう。
「お、第2次攻撃隊よりモールス信号。『我敵泊地ヲ奇襲セリ。敵輸送隊ヲ殲滅ス』ですって」
アドミラルクズネツォフが報告し、加賀が頷く。夜間のため、電探や見張りを総動員して周囲を警戒し、敵機動部隊を倒しに向かっていた。
中々敵に出会わない。暇を持て余したように、赤城が弓を弄ぶ。そして、第2次攻撃隊とすれ違った。
12人はそれぞれ敬礼、第2次攻撃隊はトラック泊地へ、第3次攻撃隊は戦場へと向かった。
朝になった。
「うーん……」
ニミッツが唸る。そして海図と周りの地形を見比べ、また唸る。
「おかしい……何度もシミュレーションしたり、ジャイロコンパスの規整もちゃんとやったはずなのに……」
「どうした?」
長門が尋ねる。ニミッツが、信じられないという顔で応えた。
「ナビゲーション、間違えたっぽい……」
「夕立ちゃんのように……えぇっ!?」
陸奥が驚いた。
「つまり、サブ島へは行けないという事か」
「では引き返そう」
武蔵の言葉に頷いたミズーリが引き返そうとする。が、長門が止めた。
「待ってくれ」
『?』
すると、長門のお腹がグルグルと鳴った。長門は、顔を赤らめながら言う。
「その……腹が減って……」
「あらあら。早吸ちゃんを呼ぶ?」
すると、ニミッツが手を叩いた。
「燃料あるよ?」
「え?」
そしてニミッツは、腰の艤装からやたらと長いストローを引っ張り出し、長門に差し出す。
「原子力空母は、随伴艦への燃料補給を行えるの。ほら、イソロクちゃんも」
「あっ、はい!」
アドミラル56も、ストローを長門に差し出した。長門は2本のストローから、勢い良く燃料を飲み込み、飲み干した。
「うわぁぁ……」
長門の飲みっぷりに言葉を失うアドミラル56の横で、ニミッツがトラック泊地へモールス信号を送った。