艦隊これくしょん 〜第0艦隊、参ります!〜 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
16対189の演習は、日本のみならず世界中の首脳達や将軍達に衝撃を与えた。「未知の技術を持つ艦艇に、10倍以上の戦力を当てても無意味」という結果に、世界中の国々は共同で新兵器開発に乗り出したのだった。
横須賀鎮守府――
「じゃ、行ってくるけん。留守番任せたで?」
浦風率いる第17駆逐隊が、船団護衛のために出発していった。
「いってらっしゃい!」
「気を付けなよ!」
陽炎型の仲間や通りかかった艦娘が見送った。
そして、船団を付きっきりで守っていたA-6E イントルーダーとS-3B バイキングは、第17駆逐隊の到着と共に鎮守府へ帰投する。
横須賀鎮守府から伸びるトンネルをくぐると、浦賀飛行場に出る。羽田空港 D滑走路のように桟橋構造の滑走路や、市街地を買収して作った格納庫等が並び、今も哨戒飛行のために一式陸上攻撃機が飛び立った。
ニミッツは散歩がてら浦賀飛行場を歩く。翼を畳んだ零式艦上戦闘機や烈風と共に、F-14D スーパートムキャットとSu-33改 シーフランカーが並んでいる。サイズが違い過ぎて、ニミッツは思わず笑い掛けた。
ふと、一番端にある格納庫がニミッツの目に止まった。大半のジェット戦闘機なら余裕で入りそうな大きさだが、扉が閉じられていた。ほとんどの格納庫の扉は、航空機の出し入れが頻繁なために開けっ放しになっているのだが、1つだけ閉まっているのには違和感を感じる。
ニミッツは格納庫に近付き、扉を少しだけ開いた。
そこには、1機の戦闘機が置かれていた。単垂直尾翼、垂れ下がった水平尾翼、後退角の付いた巨大な主翼。エアインテーク側面と主翼には日の丸、しかし機体には緑茶迷彩が施されていた。
丸みを帯びた胴体を見て、ニミッツは機体の名前を口にしていた。
「マクドネルダグラス F-4 ファントムⅡ……」
「はふぅ……もうやだ働きたくない……」
「鈴谷ったら、飽きっぽいですわね。そもそも、これは立派な任務ですわよ?」
「何だって重巡が船団護衛なんてしなきゃなんないの? 軽巡や駆逐の仕事じゃん?」
「鈴谷、わたくし達は元軽巡ですわよ?」
「そうだけどさ……」
鈴谷と熊野は「最上型」と書かれた部屋に入った。部屋の中にはタンスや二段ベッド、そしてちゃぶ台と白黒テレビが置かれていた。
「ただいまぁ」
「ただいまですわ」
「おかえりー」
「お疲れ様ですわ、すずやん、くまのん」
「三隈姉ぇ、すずやんって止めてよね」
「では……すずん?」
「何か金属っぽいからもっとヤダ」
ちゃぶ台でせんべいを頬張る最上の隣に熊野、その向かいに鈴谷、さらにその隣(つまり最上の正面)に三隈が座った。そして、三隈は全員の前にティーカップを置いた。
「今日はくまりんこ特製ジャスミンティーですわ♪」
「「おおっ!」」
早速鈴谷が一口飲んだ。
「三隈姉ぇのジャスミンティーは癒やされるねぇ……」
「疲れが吹き飛んでいきますわぁ……」
執務室――
「提督、行けませ――っんん! こんな、昼間に――」
「ちょっとだけちょっとだけ。こんなうなじを見せつけられたら――」
その時、ドアがノックされ、提督と鳳翔が慌てて離れた。
「提督、ちょっとお話が」
それはニミッツだった。
「な、何か用か?」
「浦賀飛行場端の格納庫にあった、ジェット戦闘機について。あと――」
ニミッツが執務室の空気を嗅ぐ。
「ナニかしてました? 匂いからして、前戯の最中だった、とか?」
提督と鳳翔がビクッとなる。
「冗談です。お2人の関係は周知の事実ですから」
「「え?」」
鳳翔の頬がみるみる赤くなる。
「南方海域から帰ってきた翌朝、実は私の偵察機が――」
「――――!?」
「で、皆泣いたり騒いだり狼狽えたりはやし立てたり。隠す必要は無いって事です。仕事中は勘弁ですが」
『………はい』
何故かお説教状態。
そこへ、大淀と陽炎が飛び込んできた。
「「提司督令っ! 第17駆逐隊が行方不明にっ!」」
「まぁまずは落ち着――何だって!?」