艦隊これくしょん 〜第0艦隊、参ります!〜 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
早朝の提督室に電話が鳴った。
笹子提督は布団から這い出て、寝巻きのまま机の上の受話器を取った。
「はい、横須賀鎮守府 笹子」
〔笹子か!? お前、浦賀航空隊を昨夜出撃させたか!?〕
「中将殿、朝っぱらから何なんです? 昨日は敵機動艦隊の迎撃と通常の哨戒任務しかさせてませんが」
〔戦略偵察航空隊の話によると、南鳥島の北西20kmにある深海棲艦泊地が昨夜の内に壊滅したらしい。それも、島が丸ごと消える量の爆撃だ! それに、所属不明の航空機が突然現れ、突然消えたという目撃情報もある! 証言からすると、ジェット機らしいんだが、ジェット機を使っているなんてお前の所か、厚木航空隊か、ドイツかアメリカくらいだ!〕
「あそこまで、橘花改やMe262、P-80では航続距離不足ですよ。行く事は出来るが、帰ってこれない。最も、空技廠が研究している、橘花改に空中給油機能を付与する事が出来れば、一〇〇式空中給油機を随伴させて帰ってこれますが」
〔お前の所のジェット機なら、その必要は無いだろう?〕
「でも、昨日は泊地攻撃の指令は出していません。その島なら、近々上陸隊を付けた空母艦隊で襲撃させる計画を作っていましたが……」
〔じゃあ、一体誰がやったって言うんだ? いや、これは愚痴だ。とにかく、調査会を開いておくから、何か情報があれば教えてくれ〕
「了解しました」
「悪いわね。空軍の投入をさせちゃって」
〔プライズの姉貴をああさせた野郎を許せないのはあたしも一緒。つーか、いい加減帰ってこいよ。フォードの奴とペンタゴンがビービー泣いてるぜ?〕
「フォードちゃんか。でも、私はエンタープライズちゃんと交代するんでしょ? なら、帰らなくていいじゃない」
〔最新の航空戦艦を道連れにしやがってよ〕
「……カールもこっち来れば? 楽しいわよ?」
〔話題ずらしが露骨過ぎんだよ……とにかく、そっちに行く気は無いからな〕
「可愛げの無い妹だこと」
〔しっかりしてねぇ姉貴が言うな。ま、出来る限りの手伝いはするさ〕
「ありがとう、私の妹。そういや、あの半島どうなった?」
〔感動シーン台無しじゃねぇか……とにかく圧力掛けてるだけだよ。よっぽどの事がねぇと軍事攻撃はしない腹だぜ、ホワイトハウスは〕
「そう。私の分まで頑張りなさいな」
〔ミズーリさんの分もな〕
通話を終え、ニミッツはスマートフォンをポケットに仕舞う。
ふと、視線を感じると、そこにはこんごうがいた。
「ニミッツさん、今誰と話していたんです? カールって事は――」
「そう、妹の1人のカールビンソンよ」
朝食を食べ終わり、自由時間になった。というのも、予定されていた敵泊地攻撃が突然中止になったからだ。
散歩がてら、赤城は歩く。
「……あら?」
赤城の先には、サイドテールの相方の姿。しかし、袴姿で無く、ひゅうがのようなセーラー服を着ていた。
「加賀さん、洋服なんて珍しいですね。ひゅうがちゃんから借りたんですか?」
そう話し掛けると、その少女は振り返りながらこう言った。
「あなた、誰ですか?」
第一正規空母室(室員・赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴)――
「加賀ー!?」
「加賀さんはいるー!?」
テレビ(白黒)を見ながらくつろいでいた加賀の所へ、伊勢と足柄、清霜がやってきた。
「ドタバタうるさいわね」
加賀が溜め息をつきながら言うと、3人は一斉に口を動かした。
『加賀さんが2人いるー!?』
「私はクローンじゃないのよ。加賀という名の艦娘は私1人だけよ」
「でもさっき、セーラー服着た加賀さんが記憶喪失になってた!」
清霜の言葉に、加賀は目をパチクリさせた。