艦隊これくしょん  〜第0艦隊、参ります!〜   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

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Operation.41 鎮守府のメリークリスマス 準備編

 冬空の下の横須賀鎮守府。第2兵舎から、コートとマフラーを身に着けた吹雪と白雪が出てきた。上空には、DACT(異機種間戦闘訓練)に向かうP-51D ムスタングとFw190Tの編隊。

「今日は、降りそうだなぁ……」

 曇天を見上げながら、白雪が言った。

「雨が?」

 吹雪が返すと、白雪は首を振った。

「ううん、雪が」

 すると、2人の視界に白い物が入ってきた。思わず2人は空を見上げ、手の平を広げた。

「「……雪だ!」」

 

 

 

 横須賀鎮守府 本部棟に隣接する食堂「潮騒亭」――

 

「姉貴? 週刊誌なんて読むなんて、どうしちゃったのさ?」

 きりしまがそう話し掛けた。視線の先には、席について週刊誌を読むこんごうの姿。

「……深海棲艦の事が一切載ってない。私達は、一体何のために戦ってるのかしら……」

 こんごうが週刊誌をテーブルに投げ出し、天井を仰ぎながら呟いた。すると、隣のテーブルにいたグラーフが反応した。

「国を守るため、というより、もはや何かの使命かもしれないな。目の前の敵を倒さねば、自分がやられる。今までの深海棲艦との戦いで犠牲になった者達へのrequiem、という意味もありそうだが」

 そう言って、グラーフはお茶を啜った。

(うぅ、やっぱりニホンのオチャは苦い……)

 一方のきりしまは、グラーフの言葉を反芻していた。

「レクイエム、鎮魂歌……」

「弔い合戦、っていう意味もあるんじゃないかな?」

 肉まんを手にした瑞鳳が続き、隣の龍驤が頷く。

「弔い合戦?」

「犠牲というのは、いつだって絶えないからね……」

「うちら空母は、まさにその犠牲を毎日のように見ているからな。出撃しようもんなら、10機単位で帰ってこなくなる。その内でもパイロットが救出されんのは1人おればええ方や」

 龍驤が、テーブルに肘をついて言う。その言葉に、潮騒亭にいた誰もが言葉を発しなかった。

 

 

 

 本部棟 提督室――

「Hey, Admiral! Christmas partyはしないノー!?」

 アイオワがノックもせずに突入した。そこには、デスクの上にミニツリーを飾る笹子提督。

「いや、やろうにもクリスマスを知らないのが多くてな……」

「だったら広めればいいでしょ? That's OK?」

「隼鷹とか千歳が、飲み会と勘違いしそうなんだよなー……」

「せっかくJapan以外の人が大勢いるのよ? それに、コンゴーなら分かってくれるわ」

「どっちのコンゴウだ」

「Either.」

 

 

 

 すっかり空気が沈黙した潮騒亭に、AKY(あくまでも空気読まない)ニミッツとアドミラルクズネツォフがやってきた。

「間宮さん、頼んどいたの、用意出来た?」

「ええ。充分に」

 そのやり取りを聞いたこんごう、思わず一言。

「今度は何をしでかすつもりですか?」

「私、何かをしでかした覚えは無いよ?」

 

 

 

 雪が本降りとなり、鎮守府内のトラックのボンネットに雪が積もり始めた。

「これは、ホワイトクリスマスになりそうね」

 第1兵舎の第3戦艦室(室員・ビスマルク、アイオワ、ウォースパイト、リットリオ、ローマ、ガングート、リシュリュー)のビスマルクが、外を見ながら呟いた。すると、こたつで蜜柑の皮を剥いていたウォースパイトが反応した。

「今年も、コンゴウ(金剛)とかを呼んでジングルベルを合唱しますか?」

「そうね。この国では、クリスマスはあまり定番ではないみたいだし……てか、あなた蜜柑食べ過ぎよ」

「ふぇ?」

 1切れを口に運ぼうとしたウォースパイトの手が止まる。そのこたつの上には、蜜柑の皮の山。

「だって、ニッポンのmandarin orangeがとっても甘くて……」

「分かるけど、限度ってものを――」

「パイト、おかわり持ってきたぞ」

 大量の蜜柑を抱えたガングートがやってきて、思わずビスマルクはずっこける。

「Thanks!」

「あなた達ねぇ……」

 

 

 

 一方、本部棟 正面玄関ホールでは、金剛達が木に飾り付けを行っていた。

「こんなものですかね……」

 榛名が木を見上げる。そのてっぺんには、星形の飾り物。

「イエス! 皆サン、お手伝いありがとうデース!」

 金剛がそう言い、ホールの飾り付けをしていた皆が拍手した。

「このチョーシで、食堂もデコレイトするデース!」

 

 

 

 突然、潮騒亭が閉店した。その場にいた人は驚くも、間宮の「年末の準備に忙しいから」という言葉に、皆素直に出ていく。

 

 その厨房では――

「こんなものかしら?」

「突然駆り出されたと思ったら、この為でしたか」

「そりゃ、ちゃんと祝わないとね」

 厨房には、巨大な長方形のクリスマスケーキが鎮座していた(ニミッツやアドミラルクズネツォフ、間宮達の力作)。

「鎮守府の皆には、これで足りるかしら?」

「一応、横須賀市内と横浜市内の洋菓子店に片っ端から連絡しておきました」

 伊良湖の言葉に、ニミッツはほっとする。

「良かったぁ、クリスマス商戦なんか無い時代の日本で。食っちゃ寝担当(正規空母と戦艦)じゃあ、このサイズのが5個無いときつそうだもん……」

(珍しくニミッツさんが真面目に見える……)

 こんごう、ニミッツを見ながら心の中で一言。

 

 

 

 本部棟 第2取調室――

「久し振りだったかな? かがちゃん」

「お久し振りです、ひゅうが先輩」

 窓を背にするかがの向かい側に、ひゅうがが座った。

「それで、どうしたの?」

「単刀直入に申します。直ちに日本に帰ってきて下さい」

「え?」

「訂正します。今すぐ、元の日本に帰ってきて下さい」

 

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