艦隊これくしょん 〜第0艦隊、参ります!〜 作:土居内司令官(陸自ヲタ)
Operation.45 超時空艦隊
魚釣島南東40kmを航行中の、海上自衛隊 第6護衛隊群旗艦・いずも型ヘリ搭載護衛艦〈ふそう〉――
「航空自衛隊 第201飛行隊より入電! 現在こちらに、J-15が飛行中!」
「全艦、対空見張りを厳となせ! ロックオンされたらチャフとECMを忘れるな!」
現在、第6護衛隊群のいずも型ヘリ搭載護衛艦〈ふそう〉、こんごう型ミサイル護衛艦〈なち〉、あたご型ミサイル護衛艦〈まや〉、あきづき型汎用護衛艦〈ういづき〉、むらさめ型汎用護衛艦〈しぐれ〉、たかなみ型汎用護衛艦〈ながなみ〉、あさひ型汎用護衛艦〈かげろう〉、あさぎり型汎用護衛艦〈さぎり〉の8隻は、中華人民解放軍海軍の機動艦隊が、領海侵犯しないか見張っていた。しかし、艦上戦闘機・殲-15 フランカーX2や艦上攻撃機・殲-10D ファイアーバードを有する001A型航空母艦〈山東〉を筆頭とする空母艦隊相手に、滞空時間が限られる邀撃戦闘機・F-15MJ イーグルやF-35AJ ライトニングⅡ相手では、制空権は無いに等しい。実際、現在第6護衛隊群に向かっている殲-15 フランカーX2を発見したのは、CAP(戦闘空中哨戒)から帰投しようとしたF-15MJ イーグルと、ビンゴヒュエル(帰投最低限燃料残量)ギリギリまで粘っている早期警戒管制機・E-767である。
「空母艦隊相手に、航空戦力皆無の艦隊じゃ、無力っすね」
「馬鹿、何のために『神の盾』が2隻もあると思っているんだ」
艦橋で、航海長と艦長が話す。
「しかし、こんなに霧が酷いと、見張りどころではありませんね」
航海長が、艦橋の外を見ながら言った。東シナ海ではまず有り得ない、深い霧に囲まれていた。
その時、見張り員が何かを見つけた。
「左80°に大型船!」
「大型船!?」
「対水上レーダーには何も反応が――いえ、ECMです!」
〔こちらCIC! 全てのレーダーが反応しなくなった! 大規模なECMです!〕
「艦橋よりCIC! ECCMを行え! 何のための電子戦装置だ!?」
〔了解! ECCM実行!〕
そして、航海長が見張り用デッキに出て、双眼鏡を覗く。
「……かなりでかいな。船橋しか見えないから、タンカーの類か? だとしたら、船橋の位置が前後逆だな」
「航海長! 発光信号です!」
「何!?」
見れば、謎の大型船から発光信号が出ていた。
「『ワレヤマシロ、コレヨリキカンノゴエイヲオコナウ』……はぁっ!?」
見張り員が、解読した発光信号に困惑し、航海長が口を開いた。
「山城って、あの戦艦〈山城〉か!?」
そして、艦橋の中の艦長に報告する。
「あの大型船、〈山城〉と名乗っています!」
「何ぃ!? 〈山城〉はスガリオ沖で沈んだんじゃなかったのか!?」
その頃、2機の殲-15 フランカーX2は、編隊を組んで第6護衛隊群へ向かっていた。主翼下には、4発のKAB-500 500kg爆弾がぶら下がっている。
受動警戒装置に反応、出力からしてAEW(早期警戒機)だ。
すると今度は、後方警戒レーダーに反応、後ろを取られた。
〔た、大尉!〕
「落ち着け。どうせ日本空軍(航空自衛隊)のF-15だ。こちらから敵対行動を取らなければ、連中は撃ってこない」
2機はそのまま進む。すると、後ろにいた2機の内1機が横に並んできた。1番機の陳大尉が横を見ると、そこには航空自衛隊のF-15MJ イーグルではなく、F-14D スーパートムキャットが飛んでいた。
「なっ……!?」
まさに、有り得ない光景だった。F-14はとっくにアメリカ海軍から退役しており、現在使用しているのは、イラン空軍だけである。勿論、イラン空軍機がここまで飛んでくるなんて有り得ない。
〔China Navy, this is the 0 Fleet. You are closing Japan's territorial airspace. Change your course. I say again, change your course.〕
【こちらは、日本国 海上保安庁である! 貴船は、日本国の領海を侵犯している! 直ちに停船せよ! 繰り返す、直ちに停船せよ!】
「……止まる気配がありません」
「だな、L旗掲揚!」
「L旗掲揚!」
海上保安庁の巡視船〈あまみ〉は、尖閣諸島周辺にいた国籍不明の漁船を追っていた。L旗(『停船しなければ砲撃する』の意)を掲げても、出来るのは威嚇射撃だけだし、領海スレスレを航行する、中華人民解放軍海軍の空母艦隊に逃げられれば、こちらは何も出来ない。
「霧が深いからな、決して見失うな!」
「了解!」
「上空への警告射撃準備! ビデオ回っているな!?」
「勿論です!」
「警告射撃よぉーい、ってぇ!」
「発射!」
〈あまみ〉船首の、20mm JM61バルカン砲が空へと20mm曳光徹甲弾をバースト射撃する。しかし、当然ながら漁船は止まらない。
「水面への警告射撃を進言します!」
「駄目だ! 奴らに難癖付けられるのがオチだ!」
「しかし、あの船は領海を侵犯しているんです! 国際慣習法に乗っ取り――」
「沈めて構わんと言うのか? それでは、海上保安庁が何のために――」
「船長! 前方に大型船が!」
言い争いをしている所に、見張り員が割り込んできた。
「な、何だあの大型船は――」
「対水上レーダーは!?」
「電磁妨害です! 何も映りません!」
「面舵いっぱーい! 回避しろ!」
〈あまみ〉は右旋回を行い、正面にいる大型船を回避する。漁船も同様に回避運動を取る。
「くそっ、こちらが見えていないのか? 霧笛くらい鳴らせって――」
「船長! あれは――」
「どうした!?」
見張り員が、信じられないという顔をする」
「あれは、大和型です!」
「戦艦のか!?」
「ま、間違いありません!」
そして、謎の大型船は、25mm連装対空機銃を発射した。