明日、投稿できないかも!
では、どうぞ。
瞼が上がる。目の焦点が一瞬ずれるが、すぐに合い、視界が回復する。
体内時計でしか分からないが、今は恐らく朝四時、日の出前だ。
いつも通り刀を金庫から取り出し、ぐっすり眠っている二人を起こさぬように、外へ出る。自分が音を出さなくとも、ドアや扉の軋む音は消しようがない。今度直しておこうかな…
外へ出ると、眠気を吹き飛ばしてくれる、少し冷たいくらいの夜風。それを受けて、私の一日は始まると言ってもいいだろう。
寝起きで鈍る体を、とある神様が
それが終わるとランニング。刀は抜かずに出せる全力で走る。大体20K程だ。
帰って来ることには、汗が頬を伝い滴る程体は体が温っている。
そこから、剣の鍛錬が始まる。流れは
『素振り100回→剣舞約二分→架空戦闘5戦』の3セット。
此方は一本で行う。それを終えると今度は二本で
『ノンストップ連撃三分→剣舞二分→架空戦闘3戦』の2セット。
これが終わるころには朝になっており、大体六時半頃、ベルも起きて来る時間帯になる。
日が出たことで涼しいくらいになった風を、少し操作して、上がった体温を落ち着かせる。
それを終えると朝食だ。用意は消去法で私となっている。
用意が終わると、ベルがヘスティア様を起こす。毎回『朝チュンか!』と叫んでいるが、全く意味が
始めの内は朝食にも気合を入れて作っていたが、最近では、面倒になってきた為、かなり手を抜いて、時間が掛からず手間もかからないチョー簡単シンプル料理にしている。それでも『美味い!』と言うのだから問題ないのだろう。
食べ終わった後の片付けも基本私がやっている。ベルは偶に手伝ってくれるが、ヘスティア様は全く手伝う気が無いらしい。その証拠の絶賛だらけ中だ。
片付けが終わった後は、予定に沿って動く。予定がない場合は鍛練をしたり、暇つぶしに誰かに会いに行く、と言った感じだ。
今日は予定が一つ決まっている。まぁ、すぐ終わることになると思うが。
* * *
余談
「おはよう、リリ」
「ひっ……ベ、ベル様でしたか…」
「どうかしたの?大丈夫?」
「は、はい…今日は大丈夫みたいです…」
「?」
* * *
と言う訳で、その用事を済ませに来ました私です。
現在正午少し前、【黄昏の館】正門に続く道だ。
今日は、アイズと報告会をする日となっている。だが、アミッドさんの言うことが確かならば、アイズは今ダンジョンに居るはずだ。まぁ、帰ってきているかもしれないし、何かあったとしても、門番の人に言うっ決めてるからな。
正門にはやはり門番が居た。今日は一人じゃなくて二人だが。
片方がヒューマンの男で、もう片方が
何やら雑談でとても盛り上がっているようで、二人は仲睦まじく笑い合っている。その空気を壊すのも憚られたので、盗み聞…ごほん、近くで
「アキ、やっぱりベートさんがボコボコにされた噂って本当なんっすかね」
「さぁ?でも、最近トレーニングが激しくなったらしいわよ。偶にファミリアの誰かと模擬戦もしてるらしいし」
ほぉ~頑張ってるんだね~あの駄犬。努力は良いことだ。
「そういえば、そのボコボコにした相手が、Lv.1の冒険者らしいよ」
「マジかよ⁉Lvの偽装とかじゃ?」
しません。そんなこと絶対しませんよ。
「ううん。確かだって。あっ、そういえば、今日のその冒険者が此処に来るらしいよ」
なんで知ってんだよ!いや、アイズが事前に言ってたのか。
「それどこ情報っすか⁉」
「アイズさんから言われた。そして伝言も頼まれたわ」
ほらね、やっぱりそうだ。
「へ~いつ頃来るかはわかってるんすか?」
「多分、あと少しで来るわよ。正午って言ってたし」
これは、ベストタイミングでは?そうだよね?と言う訳で。
「呼ばれて飛び出てこんにちは」
「「……っ⁉」」
あれ?反応が予想以上に悪い。なんかキャラに合わなことやってみたのが悪かったのかな?ていうか、お二人方が戦闘態勢に入ってるし。
「そんなにピリピリしなくても、襲ったりしませんから、安心していいですよ」
「
ちょっと待て、この人たちも間違えるのかよ。アイズから聞いてるんじゃないの?教えられてないの?教えといてよアイズ…慣れているとはいえ、結構心にくるんだよ…
「ちょっと前からですよ。えっと…アキさん?」
「アナキティ・オータムよ。まぁ、アキでいいわ」
「ありがとうございます。それと、武器を納めてくれるとありがたいのですが…」
「それは、まだ無理そうね。
あれ?呼ばれて飛び出てって言ったんだけどな…
「わかりました。では、名乗らせていただきます。私は【ヘスティア・ファミリア】所属。Lv.1、シオン・クラネル。先程言っていた、アイズの伝言を受け取りに来ました。あと、勘違いしているようなので言わせていただきますが、私は男です。もう一度言います私は男です。もう間違えないでくださいね」
要求されたこと+必要なことを言った私に、何故か二人は唖然としていた。なんか驚くようなこと言った?
「…アキ、この人の言うことが本当なら、ベートさんをボコボコにしたのも…この人ってことになるんじゃ…」
「そうね…勝ち目は完全にゼロよ」
訳は分からんが、とりあえず武器を納めてくれたので良しとしよう。
「それで、クラネルさん。
「はい。そうですよ」
「分かったわ。アイズさんからの伝言は、『ごめんなさい、今週は無理』よ。意味は分かるかしら」
なんか告白後の返事みたいだなおい。そうじゃないことは分かるけど。
「えぇ、伝えて頂き、ありがとうございました。
「いいのよ。これが私たちの仕事でもあるのだから。あと、聞きたいことがあるんだけど、いいかしら」
「いいですよ。伝言を伝えて頂きましたし、答えられる範囲の事なら」
「じゃあ、聞かせてもらうけど、アイズさんとはどんな関係なの?」
うっわ~超絶答えい
っとずれてしまった。関係か…友人…知り合い…顔見知り…ライバル…姉弟…いや、言うなら姉妹か。ダメじゃん…
う~ん……わからん。でも答えられなくもない…
「曖昧な回答で良いですか?」
「それで構わないわ」
「私とアイズは、定義上は家族と言っても過言ではなく、現在は、友人ではありませんが、顔見知りと言うほど仲が悪いわけでもありません。知り合い、と言う言葉だけでは表したくはありませんし、顔立ちが似ていると、とある人も言っていた所為か、姉弟、と言うより姉妹に見られることがある関係です」
「なんすかそれ…曖昧どころか、意味わかんないじゃないっすか」
「当たり前です。言ってる私も半分以上何言ってるかわかりません」
「……つまり、表現不能なほど複雑な関係と言うこと、かしら」
「いえ、それほど複雑ではありませんよ」
いや、一から語るとなると、かなり複雑なのか?
「まぁいいわ、ありがとう。全く訳が分からなかったけど」
「はい、それでは」
あ、協力者って表現方法があったか。
* * *
時は行き過ぎ三十分後、本当に暇になってしまったので、なんとなくバベルに居る草薙さんに会いに来た。ベ、別に、バベルに向かえば偶々帰って来るアイズに遇えるなんて思ってないし…
そんな私の心情など、今はどうでも良いのだ。実際空振りだったし…
「うんで、今日はどんな用件だ?」
「あ、今日は暇だったので何となく来てみました」
「おい、暇だったらここに来るって…ダンジョン行けよ」
いやだって…ダンジョン行って低層でリリと遭ったら嫌だし気まずいし…ん?
「あれ?草薙さんって私と会うのがそんなに嫌だったんですか?ならキレイさっぱり消えますが」
「その必要なねーよ。というか消えるな。俺の刀を使えるやつがいなくなる」
なんだよ、逆に気に入られてたじゃん。
「あ、そうだ。刀の使い心地はどうだ?」
「刀ですか。そうですね…一言で言うなら」
まぁ、これが絶対的に適当な表現だろ
「チートです」
「おいちょっと待て、人の刀をそんな風にいうなよ」
「いえいえ、こうとしか言いようがありません」
「……まぁいい。んで、刀にはどんな名前を付けたんだよ」
「テキトーですよ」
「ちゃんとつけろよ可哀相だろ」
いや、私にネーミングを任されても、センスの欠片もないし…
「んで、どうなんだよ」
「まず、非殺傷ですが、『黒龍』と『青龍』。どっちがどうだかは態々言う必要はありませんよね。そして、煉獄には『紅蓮』、補正には『雪斬繚乱』と言う名前を付けました」
「『雪斬繚乱』の意味がまったく理解できんが、まぁいい。んで、使い心地はどうだよ」
「最高の一言です」
「嬉しいこと言ってくれんじゃねーかよ。チートとか言ってた割には」
「実際そうですよ。『紅蓮』なんて私の魔法を少し合わせれば、無限に使える魔剣のような物ですから」
「なんだよ、シオン魔法が使えたのかよ。詮索はしないが」
「はい、使えますよ。効果は教えませんが、『紅蓮』と相性抜群とだけ言っておきます」
「全くわかんねーよ。いいけどな。呪いに呑み込まれても無いようだし」
呑み込まれてたらここまで来れなくね?知らんけど。呑み込まれる?…あっ
「草薙さん…今、凄い試してみたいことができたのですが…」
「その試してみたいことが奇想天外で凄く危険なことの予感がするのは俺だけか?」
「危険にならないように草薙さんが居るんじゃありませんか~」
「シオン…何する気なんだよ…」
「まぁ、付いて来てください。道中で説明しますから」
ふふふ、これは中々の名案だと思うな~
明日、投稿できなかったら、明後日二話投稿します。すみません…