エセ関西弁ってこんな感じかな?
では、どうぞ
どうも~。あの後三時間ほど本気で説教して、ベルをガチ泣きさせた所為で、ヘスティア様から神威付きの説教で報復されたが、良いトレーニングになったとしか思っていない私だ。
いや~、あれは中々辛かった。全身から力が抜けそうになるし、耐え抜こうとして、そっちに気力を回した所為で、呪いが身体に入ってきたし。危うく吸血鬼になるところだった。
それで、今は豊饒の女主人の中。
と言うことで、謝りに来ている。何故か私まで、ね。
「ベルさん…」
シルさんが、申し訳ないと言わんばかりの視線をベルに送る。故意に渡して申し訳なく思うってかなり変だからね?それとも自覚ないのかな?
そんな中、ボンッと、何か重い物が落ちる音が聞こえた。音の方向にはゴミ箱、その中には白紙で厚く重いだけの本。
「忘れな」
「はい?」
「読んじまったもんは仕方ない。置いてったやつが悪いんだ。気にすんじゃないよ」
「で、でも…」
「ベル、女将さんが言ってることは一応正しいですよ。もしかすると、自分が使えなくて、態と、置いていったのかもしれないのですから。まぁ、こんな高価な物なら、普通の
あえて人を強調してみたが、反応したのは数名か……ここは【フレイヤ・ファミリア】に関わりのある人が多いのかな?
「……わかった。納得いかないけどわかった」
「よろしい。では、帰りましょうか。この後は【ミアハ・ファミリア】ですよね」
「うん、けど、ホームに装備を取りに行ってからね」
* * *
「あ、ベル、シオン。久しぶり」
只今、【ミアハ・ファミリア】ホーム。【青の薬舗】。私は付き添いと、遅くなったが、ミアハ様へのお礼を言いに来ている。
ついでに紹介しよう。カウンター席に座っている人は、ナァーザ・エリス。
「ナァーザさん。お久しぶりです。今日は
「もしかしてベル、魔法が使えるようになったの?」
「はい!」
「よかったね。じゃあ用意するから少し待って」
「わかりました」
「ナァーザさん。ミアハ様は、何処に?」
「今日は私用で夕方まで帰ってこない。今日は私一人だけ…」
じゃあ今日はお礼言えないのか…残念だ。
「ナァーザさん。ミアハ様が戻られたら、『薬、有り難うございました』と伝えていただけませんか?」
「うん。わかった。はい、用意できたよ。全部で8700ヴァリス」
その額を聞くと、ベルは一歩距離を取る。拒否を体現したのだろう。
それに対し、ナァーザさんはイヌミミを垂らすことで、残念さを表現した。無意識的だろうけど。そして、カウンター下の棚から、二本の試験官を取り出す。
「これを8700ヴァリスで引き取ってくれたら、この二つの
おっと?それは詐欺じゃないか?取り出した
「じゃ、じゃぁ…」
「ナァーザさん。少し、
「……どうして?」
「いえいえ、別に品質を疑っているわけではありませんよ。ただ、この
「……いいよ。はい」
そう言って渡されたのは一本の純度の高そうな
まぁ、その作戦に乗ってやる必要も無いので、あえて、カウンターの上から取ったが、ナァーザさん。女性が舌打ちするものではありませんよ?
取った試験官の蓋を外し、まずはにおいを嗅ぐ。別段臭いわけでは無く、どちらかと言えばいい匂いだ。溶液は、色が薄い。純度が低いのだ。これでは効果が著しく低下する。
値段をつけるなら、頑張っても200ヴァリス。それくらいが正当な価格か。
「ベル、
「ぐぬぬ………わかった。追加二本で8500ヴァリス」
「可笑しいですね~そんな高いわけがないんですがね~4000ヴァリス」
「これとこれを入れ替えて、8000ヴァリス」
「あ、少しは良くなりましたね。5500ヴァリス」
「………8600ヴァリス。これ以上は無理」
「おや?こんなところに純度の低そうな
「うぅぅぅぅ………わかった……」
大幅値引き完了。詐欺されずに済んだ~
「ありがとうございます。ベル、お金はありますね?」
「う、うん。でもさ、ちょっとやり過ぎじゃない?流石に引いたよ?」
あれ?普通にやっただけなんだが…あ、価値観のズレと言うやつか。
「いいんですよ、相手方も納得したんですから。してなかったらお店を変えるだけですけど」
「かなり残酷なことするね…」
* * *
あの後、ベルはダンジョンへ向かうため、私とは別行動となった。
ベルは、まだリリとの契約期間が続いているため、一緒にダンジョンに潜っている。多分、リリに警告したから問題ないと思うが、明日辺りにでもこっそり様子を窺いにストーキングしますか。
……ストーキングを然も当たり前かのように言う私ってどうなんだろ…
まぁそんな私の人間性などどうでも良いのだ。
それより今は、何か面白いネタが欲しいのだ。
事件が起こったり、【猛者】が襲ってきたリ、誰かとばったり会ったり…
とにかく、何でもいいから、暇をつぶせるようなことが起きてほしいのだ。
なんか、こういうことを言ってると、そこらの娯楽大好きな神共と変わらん気がするのだが……気にしないことにしよう。
ぶらぶら町を散策。オラリオは、豊富な店舗数と屋台によって、歩くだけでも、気づいたら色々な物に目が行って、時間を十分に潰せるのだ。まぁ、基本屋根の上を歩いている所為で、店の中とかは、見えにくいが。
だが、屋根の上はいい。誰かにぶつかることもないし、通行人事態がいないため、気を使う必要もない。あと、道と比べて涼しい。人口密度の理由もあるだろうが、此方は風がよく当たるのだ。
と、何やら珍しい顔ぶれがあるな。
【ロキ・ファミリア】主神、神ロキ。
【
ギルド職員兼冒険者アドバイザー、エイナ・チュール。
なんか面白そうだな。話しかけてみるか?いや、そうなると神ロキが邪魔だな……別にいいか。
ひょいっと、屋根から飛び降りて、お三方の進行方向を塞ぐ形で着地する。
「な、なんや!」
「慌てなくていいですよ。こんにちは、皆さん」
「ん?君は確か、シオン・クラネルだったか」
「シオン君?どうしてここに?と言うより今どうやって来たの?」
「普通に屋根の上から跳んできただけですよ」
「それって普通じゃないよね…」
マジで?いや、極当たり前のように今までやってたんだけど…。
「それで、何をしに来たんだ?ただ用も無くそこに立っているわけではないだろう」
「はい。まぁ、面白そうだったので話しかけてみただけですが」
「君は神と同じような考え方を有しているのだな…」
いや、ほとんど否定できないけど、神と同じはなんか嫌だな…
「なんや、シオンたんか、あ、せやせや。シオンたん、うちのファミリア入らんか?」
たんってなんだよたんって。愛称か?気持ち悪いな…
「魅力的な提案ですが、前向きに検討すると言う形で現状維持させていただきます」
「お、これは中々いい返事、期待できそうやな~」
だって、暗黙のルールとして、同じファミリア同士じゃないと結婚でき無いし。
「んで、面白そうなことなんてないんやけど、どうする?リヴェリア」
「そうだな、このまま客人としてシオンも黄昏の館に招待するか?」
「せやな、シオンたんにはいろいろ聞きたいことがあるしな~」
ありゃ?なんか話が勝手に進んでるぞ?
「シオンたん、暇なんやろ?ついてきぃや。うちらのホームに招待したるわ。エイナちゃんと一緒にな」
なんかわからんが、どうやらホームに招待されたらしい。
アイズに会えるかな…
* * *
黄昏の館門前。ビリッと体に電気が走るような感覚を覚える。どうやらアイズはいるようだ。
―――ひそかにガッツポーズ。
門に居たのは、先日と同じでアキさんと男性のヒューマン。
アキさんと知り合いのことにリヴェリアさん――本人からそう呼べと言われ、神ロキからは、ママとかお母さんと呼ぶといいと言われた――達が驚いた様子を見せたが、何も言ってはこなかった。
正門を通り、ホームの扉を神ロキが開けようとすると、同時に内側から扉が開けられ、ゴツンッと鈍い音を鳴らす。それをしたのは、小首傾げる美少女。アイズだった。
「アイズたんひどいで~」
「ごめん、ロキ。シオン、こんにちは。おかえりなさい、リヴェリア」
「ああ、ただいま、アイズ」
「こんにちはアイズ、やっぱり気づいたんですね」
その問いに首肯でアイズは答えた。他の面々の頭の上に、クエスチョンマークが浮かんでいるのは仕方のないことだろう。
「シオン、その人は…誰?」
そう言いながら指し示したのはエイナさん。あれ?知り合いじゃなかったんだ。
「あ……わ。私はっ」
「この人は、エイナ・チュール。ギルド職員兼冒険者アドバイザーであり、ベルの担当職員でもあります」
『ベル』と言った瞬間、落ち込んだ表情を見せたアイズ。やっぱり膝枕のこと落ち込んでるのか…あとでベルに説教追加だな。
「初めまして、アイズ・ヴァレンシュタインです」
「は、初めましてっ。エイナ・チュールですっ、以後お見知りおきを…」
その後は何故かアイズに案内され、応接間らしき場所に着いた。
紅茶などもアイズが用意しようとしていたが、リヴェリアさんに止められ、渋々ながらも引き下がっていた。その時の頬を膨らました顔は、絶対忘れない。カワイカッタ…
「さて、なんか聞きたいことがあるんやなかったか?」
と、着いて早々、
「はい。【ソーマ・ファミリア】についてです、神ロキ」
あれ?エイナさん【ソーマ・ファミリア】について聞きたかったの?なんで?
…あれか、リリだな。心配性だね~相変わらず。
「なんや、ソーマか。いいで、どんなこと聞きたい?」
「そうですね……では、【ソーマ・ファミリア】を取り巻く異常性について、なぜそうなったか教えて頂けますか?」
「おっけー。んじゃ、話す前に、これ飲んでみぃ」
エイナさんに差し出されたのは、芳醇な香りを放つ、
少し躊躇した様子を見せたが、普通に飲んだ。エルフの人でもお酒って普通に飲むんだ…あ、エイナさんはハーフエルフか。
でも、美味しそうだな~。ちょっと飲んでみたいかも…
「何や、シオンたんも飲みたそうな顔しとるな。ええで、飲みぃ」
どうやら、私の心情を読まれたらしく、
「美味しニャ~」
口の中に広がるのは、香りと味が見事に混ざった、今まで感じたことのない味。これは一杯で出来上がるレベル。本物も飲んでみたいな…
「それを飲んで美味いって言える人、久しぶりに見たわ。てか、ニャってなんや?」
おっと、また出てしまった。酔うと何故か口調が変わっちゃうんだよ…
「お気にニャさらず~」
「かわいい…」
そんな小声がアイズから聞こえた。アイズ、嬉しいけど男にかわいいとか言っちゃだめだよ?傷つく人だっているんだけらね?
「いや、気になるから。まぁええけど、で、エイナちゃんはどや?」
「……………」
「エイナちゃ~ん」
「……はッ。……申し訳ございません。心ここにあらずの状態になってました…」
え?確かに美味しいけどそれほどじゃないよね?
「やっぱりこれが普通の反応やな」
え?これが普通なの?やばいな
「続けるで。これが面白いとこなんやけど、今飲んだ
「え……と言うことは、完成品があると…」
「せやで、シオンたんが全く驚かないのがつまらんけど」
いやだって知ってたし。後、面白味を私に求めないでね?
「【ソーマ・ファミリア】の異常性。ありゃ完成品の
「……それは、どういう…」
「エイナちゃんが言う異常性って、例えば金に執着してる、とかやろ?」
「はい。その通りです」
「なんでそんなに執着するかっちゅうと、
説明不足じゃないか?もう少し詳しく言ってやれよ。
「【ソーマ・ファミリア】では、調達資金の成績上位者に、
「それが、どうして…」
「【ソーマ・ファミリア】では、入団の儀として、完成品の
まぁ、もう一つの理由もあるんだけどね。エイナさんが知りたいのは
「つまり、あそこの子が崇拝してるのは、
「…………」
流石に、エイナさんは理解できないかな?誠実だから、仕方がないか。
「まだ聞きたいことはあるか?」
「いえ、もう大丈夫です。本当にありがとうございました」
「気にせんでええ。うちも美人で可愛いエイナちゃんと話せてよかったわ」
話が終わり、のっそりと立ち上がる神ロキ。そして、ゆったりとした足取りで、此方に向かってきたかと思えば、目的は隣に座っているアイズだった。
「ほれ、アイズたん。気分転換に【ステイタス】更新でもしよか」
「わかりました…」
「シオンたんもついて来るか?アイズたんの裸が…やっぱダメや」
チッ、見たかったのに…ケチだなこの神。
「いこか、アイズたん。あ、手元が狂って体触っちゃうかもしれへんが許してな~」
「変なことしたら斬りますよ」
「まじでぇ⁉」
「またね、シオン」
「またニャ~」
と、そんな会話をしながら、応接間を後にする二人。残念ながら私はついて行ってはいけないらしい。
「シオン君。ヴァレンシュタイン氏と仲いいんだね」
そして、応接間の扉が閉まると同時に、エイナさんがそんなことを聞いて来た。
「少し縁があるだけニャ~」
「縁?シオン君ってヴァレンシュタイン氏の姉弟か何かだったの?」
「違うぞエイナ。シオンは昔、アイズに助けられているんだ」
ありゃ?知ってたんだ。
「え?でもシオン君はオラリオの外から…」
「オラリオの外に出たときに、偶々な。昔とは随分印象が変わっているがな」
昔との。印象?
「ちょっと待つニャ。ニャんで昔の…」
「アイズたんLv.6キタァァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァ!!」
私の質問を遮ったのは、とても良い知らせを叫ぶ声だった。
……あとエイナさん。口の中に入れた物を噴き出さないでください。
途中で区切れず長くなってしまった…
あと、念のために警告タグ追加しました。