やがて我が身は剣となる。   作:烏羽 黒

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  今回の一言
 アイズに猫耳を生やしたいと思っている私である。

では、どうぞ


祝賀会、それは幸運

 

 

 アイズのレベルアップ後。黄昏の館で祝賀会を開くことになり、それに私も強制参加と言われ、更には、用意まで手伝ってくれと頼まれ、断ろうとしたが、『今日はアイズたんと一緒に居てえから!』と言われたので、従うことにした。

 だが、まだ酔いが完全に冷めてないため、少し休んでから行動しようと思っていたが、休むためにアイズが膝枕をしてくれたため、もうこのままずっと休んでいたい、と思ってしまい、現在に至る。

 

「大丈夫?」

 

「勿論、極楽です…」

 

 因みにいうと、とっくの昔に酔いは醒めている。

 

「嫌じゃない?」

 

「当たり前です。アイズに膝枕をしてもらえて、嫌と言う人は、恐らくいないでしょう」

 

「でも、ベルは逃げた…」

 

 やっぱり引きずってたか……繊細なんだよな…

 

「それは嫌だったと言う訳ではありませんよ」

 

「どういうこと?」

 

「簡単に言うと、恥ずかしかったんですよ。アイズは可愛いですし、そんな人に膝枕なんてされてたら、本来卒倒してても可笑しくないんですよ?実際、今私も卒倒しそうですし」

 

 嬉しすぎてね。だって、偶に頭とか撫でてくれたり、『カワイイ…』とか呟くからさ、マジでやばいんだよ。今意識があるのはこの瞬間を堪能したいと言う欲望が働いているお蔭かもしれない。

 

「よかった…」

 

「心配する必要はありませんよ。あ、そういえば、倒れているベルを護衛してくれて有り難うございました」

 

「ううん、気にしないで。やりたくてやっただけだから」

 

「そうですか………さて、もっと堪能していたいですが、準備がありますし、そろそろ始めないと時間的にやばいですし」

 

「わかった」

 

 アイズはそっと私の頭を持ち上げ、膝を避ける、それと同時に私も上体を起こし、立ち上がる。

 

「アイズ、また、膝枕お願いできますか?」

 

「うん、いいよ」

 

 即答言質獲得。やったね!

 

「では、また後で」

 

「うん」

 

   

   * * *

 

  余談

 

「よし、始めましょうか」

 

「クラネルさん、どうして厨房に?」

 

「祝賀会の用意を手伝えと言われたので、料理でもしようかと。参加人数は分かりませんが、とにかく大量に作っておきましょう。幸い材料はあります」

 

「はぁ、わかったわ」

 

「お手伝い願います。アキさん」

 

「勿論よ」

 

 

   * * *

 

「な、何じゃこりゃぁ…」

 

「凄いわね…」

 

「美味しそうだな~」

 

 はいっと。料理を作り終わって、今は夜の八時。

 やはり時間が掛かってしまったが、参加者は今頃になってようやく集まり始めた。

 因みに、集まったのは神ロキと【ロキ・ファミリア】幹部全員。それと準幹部数名。他は何故か集まらなかった。事情でもあるのかな?

 

「てか、何でこいつが此処に居るんだぁおい」

 

 ありゃ?説明してないの?一々全員に説明するのは面倒だよ?

 

「ベート。シオンは一応客として此処に来ているんだ。礼節を持て」

 

「リヴェリアさん。この駄犬にはまだ礼節なんて言葉は早いですよ。躾け終わってないんですから」

 

「犬じゃねぇ!!」

 

「いぬっころ?」

 

「だからちげぇ!」

 

 ちょっと煩くなってきたな……

 

「ベートその辺にしておいたら?またボコボコにされるよ?」

 

「アァ⁉」

 

「しませんって、酔わない限り」

 

「酔ったらするんだ…」

 

 いやだって、酔ったら正常な判断ができないかもしれないじゃないか。

 

「それより、ロキ。なんで僕たちは集められたのかな?それと、何だいこの大量の料理は」

 

「ふふふ、フィン。ええ質問や。みんな、耳ようかっぽじって聞きぃ」

 

 その呼びかけに、私とアイズ、リヴェリアさん以外は息を呑んだ様子を見せた。

 

「なんと!アイズたんがLv.6になったんや!!」

 

「マジか⁉」

 

「先に行かれたー!」

 

「そうね……私たちも頑張らなくちゃ」

 

「おめでとうアイズ」

 

「ようやくかのぅ」

 

「さすがです!アイズさん!」

 

 神ロキの知らせに、参加者の面々は、ショックを受けたり、ライバル心を燃やしたり、賛辞を贈ったりと十人十色の反応を見せた。

 

「と言う訳で!今回の主役はアイズたんや!」

 

 パチパチパチと拍手を送る。そして、アキさんがその間に、全員分の飲み物を用意した。行動が早いな…

 

「じゃあ、みんな!飲み物もちぃ!」

 

 指示に従い、全員が配られた飲み物を掲げる。

 

「アイズたんのレベルアップを祝して、乾杯!」

 

『乾杯!』

 

 それが合図となって、祝賀会が始まった。

 

―――――

 

「お、美味しい…」

 

「せやな…」

 

「これは何所から()()()()()んだい?」

 

「違うニャ~私が作ったのニャ~」

 

「シオン凄い……よしよし」

 

「えへへ」

 

「あぁ!ずるい!」

    

―――――

 

「お前ぇ!少しはアイズから離れやがれ!」

 

「そうですよ!さっきから羨ましすぎます!」

 

「許可ももらってるニャ。だから誰かにとやかく言われる筋合いはないニャ~」

 

「そもそも、何でお前はそんなにアイズと仲がいいんだよ!呼捨てだし!近くにいても嫌がられねぇし!何なんだよ!」

 

「そうですよ!私なんて、名前で呼んでもらえるようになるまでどれだけ苦労したと思ってるんですか!」

 

「ニャはは!そんなの私もわかんないニャ~」

 

「「ハァ⁉」」

 

「おぉ、怖い顔してるニャ~」

 

―――――

 

「シオンた~ん。自分、なんでそんな強いんや~?」

 

「私は強くはないニャ~。弱くないだけニャ~」

 

「それを強いと言うんちゃうか~?」

 

「全然違うニャ~。それを知ってて態と言わニャいで欲しいニャ」

 

「さすがシオンたんやな~」

 

 

―――――

 

 時と食事と会話が進み、作った料理も殆ど無くなり、静かになって来る終盤へと入った。

 あと少しで満月になりそうな月は、中天へと差し掛かり、雲によって隠されながらも、微量な月光を地上へと齎し、夜の賑わいを醸し出している。

 現在時刻は夜の十一時。普段なら既に寝ている時刻だ。眠気は気合で飛ばせるが。

 

「シオン、今日は泊まっていく?」

 

「大丈夫ニャんか?」

 

 その誘いは、別段悪い物でもない。アイズと一緒に居る時間が増えるし。何より、アイズからの誘いだ。本当は断りたくない

 

「駄目だよ、アイズ。僕も彼からは聞きたいことがいろいろあるけど、部外者である彼を泊めるのは問題がある。それに、泊められたとしても、聞き出せないだろうからね。ガードが固すぎる」   

 

「…わかった」

 

「そんな残念そうな顔しないニャ~また会えるニャ」

 

「うん…」

 

「それじゃあ私はもう帰るニャ」

 

「分かった、またね」

 

「またニャ~アイズ。みニャさんもまたニャ~」

 

「うん!またね~」

 

   

   * * *

 

  余談Ⅱ

 

「お帰り…シオン…」

 

「ニャ?ベル。どうかしたニャ?」

 

「リリのことで、ちょっと神様から言われてね…」

 

「あ、そうニャ。ベル、アイズが膝枕のこととっても気にしてたニャ。だから今度謝っておけニャ」

 

「へ?なんでシオンが気にしてるってわかるの?」

 

「今日、【ロキ・ファミリア】で祝賀会があってニャ~そこでいろいろ、ニャ」

 

「ず、ずるい!」

 

「楽しかったニャ~。アイズとあんなことやこんな…」

 

「うわぁぁぁ!」

 

「ベル君声でかい!」

 

「す、すいません…」

 

  

   * * *

 

  余談Ⅲ

 

「シオン君、サポーター君のことは知ってたかい?」

 

「ニャ?それがどうかしたニャ?」

 

「シオン君。わかって言うのは性質(たち)が悪いよ」

 

「ニャハ。問題ニャいニャ。明日は私が監視をしておく予定ニャし」

 

「そうかい。頼んだよ」

 

「頼まれるのは筋違いニャ」

 

 




 本来、こんなもの原作では無かったけど、シオンとの、ちゃんとした顔合わせ回が必要だったんだ!

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