モンスターハンター 人竜秘録   作:傘沙羅

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漏れだした天賦の片鱗

 

 

 

 

 アンディサイド

 

 

 危ねぇ危ねぇ、もう少しでふたりが黒焦げになるとこだった。

 しっかしアグナのアレはいつ見てもえげつねぇな。

 本人は、『本来直線状に打ち出す龍脈を変換した熱量を球体状に圧縮、解放時の熱波と衝撃波で周囲を薙ぎ払う、まぁ爆弾のようなものだ』と言っていたが、ようなじゃなくて爆弾じゃねぇか。

 俺?アイツのアレを何回も食らってるから慣れたわ。

 

「おいおい、慧香達を巻き添えにする気か?」

「あ、すまない。いつもの癖で燃やしてしまった。

 ・・・・・・・・・素材は剥ぎ取れそうにないな」

「「剥ぎ取りの方が大事なんですか!?」」

 

 ほら見ろ、慧香とローレも御立腹じゃねぇか。

 アグナには気持ちが高ぶると過剰な攻撃を仕掛ける悪い癖がある。

 しかも、人型での龍脈吸収であの威力・・・・・・そう言えば竜型の一撃は食らったことなかったな。

 

「まぁ、俺とアグナの実力といったらこんなところだ。

 他になんか調べたいことはあるか?」

「アンディさんのデータについては大体のことがわかったので、ロックラックでより正確なデータを計測してもらいます」

「俺のデータはどうだ?」

 

 するとローレはあからさまに目線をアグナから逸らした。

 

「え━━━、アグナのデータは、正直規格外なのでアンディさんとは別でロックラックで一から検査を受けてもらいます」

「で、ですよねぇ。あんな一撃見せられたら・・・・・・」

 

 さすがの慧香も苦笑いしか浮かばない。かくいう俺もアグナの相棒としては、やり過ぎだとしか言いようがない。

 

 已然としてエリア9の地面にはアグナのアレの炎が残っていたがそれも次第に小さくなってきた。

 そろそろもう一体を見つけに移動を始めた方が良さそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慧香サイド

 

 

 

「さてと、そろそろ二頭目のナルガクルガを探しに行きましょう。

 早く狩ってしまわないと、クエスト時間を過ぎてしまいますから」

 

 ローレさんがエリア7に続く坂道の向けて歩いていきます。

 もう一度龍脈を読み取ろうとしましたが、さっきの攻撃の影響でエリア全体の龍脈が活性化してしまって見つけ出すことができません。

 ローレさんの後を追おうとした時にふと、ローレさんがふた振りの剣を背に釣っているのに気がつきました。

 

「そう言えば、ローレさんの武器って片手剣じゃないんですか?」

 

 たしか、ユクモ村で初めて会った時は片手剣を持っていたように見えたんですが。

 というか、防具もジンオウシリーズからベリオUシリーズらしきものに変わっています。

 それも妙に肩あてが大きいのでオーダーメイドでしょうか?

 

「あ、気付きましたね。

 実は私、本来は片手剣二組を使うスタイルなんですよ。

 因みにこの防具もユクモ村の爺に作ってもらった『風牙一式』て言うベリオUシリーズの強化版なんですよ」

 

 そう言ってローレさんは背の剣を両腰にかけ直して、肩あての部分を外して腕に付け直しました。

 あの肩あて、片手剣の盾の方だったんですねぇ。

 そうこうしてる内にエリア4までやって来ました。

 エリア4には昔の集落跡があり、その中に小型のケルビなどが入って寝ていたりしています。

 ここにはよくファンゴがいるのですが幸い、今回はいないようです。

 

「アグナ、肉かサボテンの花ねぇか?動いたら腹減ってきた」

「自分で焼け」

 

 視界の端ではアグナさんがアンディさんに向けて生肉を投げ渡してるのが見えました。

 私もお腹がすいてきたので焼きましょうか。

 

「あ、ローレさんも一緒に焼肉焼きますか?」

「良いですね、ですが生肉がないのでちょっと魚を釣ってくからお先にどうぞ」

 

 それじゃ、お言葉に甘えて━━━━━

 

「フンフフン♪フフフ♪フンフフン♪フフフ♪

 

 フフフン♪フフフン♪フフフン♪フフフン♪

 

 フフフフフン♪♪♪」

 

 この歌はハンターなら誰でも知ってる歌でこのリズムで焼くことでしっかり火の通った肉を焼き上げれます。

 アンディさんは・・・・・・・・・遠くの方でユクモの堅木に食らいついているのが見えます。・・・・・・本当に食べてたんですねそれ。

 アグナさんはサシミウオを取り出してさっきの熱球で炙ってます。器用ですねそれ。

 ローレさんがエリア7に行ってまだ戻ってきてませんが・・・・・・ちょっと様子を見に行ってみましょうか。

 

「すいません、ちょっとローレさんの様子を見に行ってきます」

「わかった、もし途中でナルガクルガに会ったら即ペイントボールを使って教えてくれ」

「わかりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ローレさ━━━ん、探しに来ましたよ」

 

 ローレさんが言ったはずのエリア7に来てみましたが、釣りのできるポイントにローレさんの姿は見られません。

 このポイントでは釣れなかったのでしょうか?

 

「・・・・・・ん?これって」

 

 エリア6に向かう林道の入口の方に黒い破片のようなものが落ちていました。

 よく見ると、その周りには大きな生き物の足跡や断ち切られたススキがありました。

 でもおかしいですね、前来た時にはこんなものありませんでしたし、このエリアでナルガクルガと戦闘はしていないはず。

 

 

 ━━━━━ャャァァァ!!!

 

「!!??」

 

 エリア6の方から鋭い咆哮が微かに聞こえました。

 滝のあるエリア6にも釣りのできるポイントがあったはず、と思った瞬間もう体は走り出していました。

 

(もしかしたら、ローレさんひとりが!?)

 

 そして、その推測は当たっていました。

 

 

 キシャャァァァァ!!!!!

 

「こんなろ━━!!!!」

 

 エリア6の中ほどでローレさんがナルガクルガとひとりで交戦していました。

 見た所、ナルガクルガの部位はまだ破壊できていませんしローレさんの方も目立った負傷は見られません。

 背に背負うオラシオン・クロスを抜き放ち、ちょうど背を向けているナルガクルガの尻尾に向けて振り下ろします。

 

 キシャァァァァ!!!???

 

 浅かった!確かに芯は捉えれなかったけどナルガクルガを下がらせることに成功した。

 追撃の機会かもしれないけどまずはローレさんと合流を。

 

「ローレさん!大丈夫ですか!?」

「慧香ちゃん来てくれたの!?話はしたいけどまたナルガクルガが来るから気をつけて!」

「わかりました!」

 

 風を切って振られる刃翼をバックステップで回避し、続いて振られる尻尾をオラシオン・クロスの腹でいなす。

 そのまま、ナルガクルガの腹の下に入って横に薙ぐように切りつける。

 斬撃と共に電光が散り、それを煩わしく思ったナルガクルガが再び後ろに跳躍する。

 それを追おうと前に踏み出した瞬間、ローレさんが私の前に飛び込んできました。

 

「ローレさ」

 

 1拍遅れて、ローレさんが真横に吹き飛ばされた。

 何が起きたか分からずに立っていると、腹部が抉られたような衝撃と共に同じように吹き飛ばされました。

 その時になってやっとナルガクルガの刃翼によって吹き飛ばされたのだと理解しました。

 

「ぁ━━ぐ、ぅぁ!」

 

 い、痛いってもんじゃありません。体の半分の感覚がまちまちで、自分が水の中にいるような感覚しかしません。

 顔を上げてみると、ナルガクルガに向かっていくローレさんの姿がうっすらと見れる。

 私と同じ攻撃を受けたはずなのに、それでも向かって、両腕につけた盾でナルガクルガの頭部を殴打してます。

 ナルガクルガの動きに合わせて、体の下に入ったり背に乗ったりなどして攻撃を躱しつつ打撃を次々と叩きこんでいます。

 

(そっか・・・・・・私なんかが力になれるなんて安い考えだったんだ)

 

 アグナさんやアンディさん、ローレさんと比べて私が圧倒的に負けている『経験値』という差が今のこの状況を作っています。

 たった数日では埋めることの叶わないその差が生死を分ける、分かっていたはずの事が頭から抜けていました。

 

「カ、ハッ!!」

「ロ・・・・・・レ・・さん!!」

 

 ローレさんの掲げた盾をすり抜けた一撃が、たった一撃がローレさんを大きく吹き飛ばす。

 そのまま数回バウンドしたローレさんは、立ち上がろうとするが、うまく立ち上がれないようで何度の手をついては崩れ落ちる。

 そうだ、経験値があってでさえ人がこれだけ苦戦を強いられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だけど!!

 

「こんな・・・・・・ところで・・見てる・・・だけ・・・・・・なん・・・・・・て!」

 

 狩りを共にする仲間を眺めているだけなんて、それこそ敗者以外何でもない!

 

 まだ負けていない!

 

 まだ挫けてない!

 

 まだ折れてない!

 

 まだ死んでない!!

 

 

「ぁ・・・・・・ぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」

 

 立ち上がれ、まだ負けてないし倒れてもいけない。

 今出来る最低限を行う、そのために頭を使え!!

 

 

 

『ペイントボールを使え』

 

 

 とっさにアイテムポーチからペイントボールと強走薬を取り出して、立ち上がりナルガクルガの横顔に投げつける。

 パンッ!という音と共にピンクの液体と独特の匂いが辺りに広がる。

 こちらに興味を示して首を向けたナルガクルガの頭部に━━━その目元に斬撃を叩きつけるように放つ。

 

「ハァァァァアアア!!!!!」

 

 たまらず仰け反るナルガクルガを尻目にオラシオン・クロスを頭の上に掲げる。

 双剣使いの龍脈を利用した秘技『鬼神化』が発露した証の緋色の闘気が体から溢れ出す。

 ガラ空きの腹に向けて右回りに回りながら6閃、さらに反転させるように体を捻り4閃。

 いくつもの電光が散る中、慧香はまだ先を見続けた。

 

(まだ、まだいける!もっと鋭く、もっと速く!)

 

 しかしナルガクルガをただ切られていたわけではなかった。

 再び後方に飛び退き、逆立てた尾に付いている棘を放つ。

 慧香はなおも前に進み、最も早く放たれた棘が慧香の額に触れるか否かの瞬間、バチン!という音と共に弾かれた。

 次々と降り注いでくる棘の雨は慧香の体の周りに広がった赤い闘気によって弾かれる。

 

(前へ!まだ前へ!ひたすら前へ!!)

 

 いつしかその闘気はオラシオン・クロスにも絡みつき、刀身を緋色に染め上げた。

 ナルガクルガが刃翼を薙ぐ動作を完全に見切り、刃翼を削ぐようにして二振りの刃で切り裂く。

 

 キシャャァァァァ!!!!!

 

「オォラァァアア!!!」

 

 さらに切りつけてこようとしたナルガクルガの横顔にこげ茶色の鉄塊が叩き込まれ、不意の衝撃に頭をまわしふらつく。

横合いからローレがナルガクルガを殴り付けたのだ。

 

「慧香ちゃん!止めを刺して!!」

 

 二本の剣を空に向けて構え、ふらついたナルガクルガの頭部目掛けて交差するように切り下ろす。

 

「ハァァァァアア!!!!!」

 

 ギシャャァァ・・・・・・・・・・・・・

 

 深々と双剣が頭部を抉り、ナルガクルガは地に叩きつけられるようにして倒れ伏した。

 慧香の体から漏れでていた赤い闘気が徐々に消えていき

 、膝から崩れ落ちるようにして横向きに倒れた。

 

「・・・・・・・・・わ、私・・・・・・やりましたよ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







『風牙一式』

ベリオUシリーズ(女性)の肩に盾を装着するジョイントが増えた以外は特に変更点なし。
ちなみにローレの主武器はサーブルガッシュ×2


『オラシオン・クロス』

見た目に関してはレイ・グレスト(SAOのアスナのLSの装備)
属性は雷、切れ味レベルは青3割、緑5割

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