ローレサイド
いや、これはすごいもの見ちゃいましたね。
まさか慧香ちゃんにここまでの才能が眠っていたなんて。
ナルガクルガの刃翼が打ちつけられた箇所にまだ痛みがありますが、回復薬を飲めば大丈夫でしょう。
「おーい、慧香ちゃん。生きてる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ま、まるで屍のようだ・・・・・・とは言いませんが、完全にグロッキー状態ですね。
ナルガクルガの剥ぎ取りの先にこちらの世話をしなければいけなさそう・・・・・・。
「だ、大丈夫です・・・。あともう少しで動けますから」
「なら良かった。一応回復薬飲ませるね」
さてと、そんじゃレポート用のメモでも書いておきますか。
『▼慧香・ユースティア、女性
・太刀、双剣をメインとして使用し、双剣使用時はサポートを念頭に置いた遊撃戦術を得意とする。
太刀の場合は後日調査予定。
・龍脈を感じ取るセンスに長けており、モンスターの場所及び活動状態なども察知できるのこと。
・竜化の操作技術に関しては・・・・・・・・・』
「正直、天賦の才能ってレベルですよね、あれは」
双剣の鬼神化まではできると思っていましたが、龍脈を体に纏って防御するなんて事できる人がいたんですね・・・。
この世界に来て5年くらい経ちましたけど、あんな技術を持っていた人は見た事もありません・・・聞いたことはありますけど。
どうやら鬼神化により取り入れた龍脈を放出、それによって向上した運動能力を維持させる。
さらにその放出されるはずの龍脈を体に沿うようにして集約し、龍脈による
古龍種の起こすステージ改変や天候操作は古龍種の放出する莫大な龍脈量によってもたらされているそうです。
・・・・・・まぁ、古龍種のチートっぷりは前世でもわかってましたけど・・・・・・この世界ではもっと恐ろしいですしね。
四年前に参加したジエン・モーランの撃退戦では本当に度肝を抜かれましたよ。
・・・・・・・・・
まぁ、慧香ちゃんのアレはモンハンでいうところの当たり判定を操作するというところでしょうね。
お?どうやら慧香ちゃんが動けるぐらいまでに回復したようです。
「すいません、迷惑をお掛けしました」
「いやいや、迷惑かけたのはむしろこっちの方。ナルガクルガと戦ってたのも私の不注意だったから」
「でも良かったです、ローレさんが無事で本当に」
おぉ、なんと言う純粋さでしょうか。本当に真っ直ぐ、それでいて煌めいていますね。
いやーほんとに若さっていいですね。
あ、ちなみに私はこんな形ですが先月二十歳になりました。
特典でこの体を頼んでからは背が伸びないんですよねぇ。
「おーい!慧香ぁ!ローレぇ!何処だぁー?」
アンディさんの声はどこにいても聞こえてきますね。
方角からしてエリア2からですね。
・・・・・・・・・・・・・・・ペイントボール付け忘れてたなんてハンター失格だなぁ。
アグナサイド
どうやら残り一体のナルガクルガは慧香とローレで倒してしまったらしい。
慧香の強さはこの前のクエストで見たがローレの方が見れなかったのは少し残念だな。
「おーい!二人共大丈夫か!?」
「おふた方遅いですよ~、もう慧香ちゃんと一緒に狩っちゃいましたよ~。
慧香ちゃんも凛々しくてかっこよかったですよ~♪」
「キァッ!?ちょ、ちょっとローレさん!急に抱きつかないでくださいよ!」
「フヒヒヒヒ~♪やっぱり戦闘の後は女の子に抱きつくのが一番ですねぇ♪」
ローレの本性と意外な性癖が垣間見えたのはさておき、これで今回のクエストは終了だな。
しかし、慧香とローレはドロドロだな・・・・・・よし。
「慧香、ローレと一緒に装備の泥を落としてきた方がいいと思うぞ。
幸いこのエリア6には大きな滝と滝つぼがあるからそこを使ってくるといい。
見張りなら俺とアンディがしておく」
「お!いいですね、確かに女子としてはこんな泥だらけの格好でロックラックに直行するわけにはいきませんからねぇ。
お言葉に甘えて、ちょっと一風呂浴びてきますね。
慧香ちゃんも行こうよ」
「分かりました、それでは行ってきますね」
「覗きなんかに行かないから気楽にな~」
「のぞっ!━━━アンディさん!!」
慧香がペイントボールに向けて投げつけるが、アンディはそれをキャッチしてさらに投げ返す。
それは慧香の頭の上を通り越し、ローレの頭に当たった。
ペイントの実の独特の塗料がローレの赤い髪をピンクに染めた。
「あ、悪い、わざどじゃn「死に晒せ!!」なんでだ!?」
「「いやいや、自業自得だ(ですよ)」」
ローレの蹴りがアンディの腹に突き刺さる。
悶絶して転げ回るアンディを無視してローレは慧香を連れて滝の方へと歩いていった。
「━━━━━━━やっぱ、幸運Eは伊達じゃないね」
ローレの微かに聞き取れたがその意味はよくわからなかった。
~~~~~ワールドマップ移動中~~~~~
「ありがとうございました♪またのお越しを♪」
ハンターズギルドの看板娘の声を聞きながら出てきた俺達をユクモ村よりも強い日差しが襲う。
ハンターズギルドでは身分証明書を持っていれば報酬金と報酬素材がもらえる。
「報酬金額は16000zか、やっぱりG級は額が桁違いだな」
「それじゃ、みんなで4000zずつですね」
今俺達は新大陸の内陸部にある大都市『ロックラック』に来ている。
ロックラックはタンジアとは別ベクトルで交易の主流地で、大砂漠の上に島のように点在する故に貿易が盛んに行われている。
「さてと、それじゃ対転生個体特別処理局に行きましょうか」
「つうか、そんなものこの街にあったか?前来た時にはそんなもの見なかったぜ」
「まぁ、来てみてからのお楽しみです」
そう言ってローレはロックラックの人ごみの中を歩いていった。
その後をついていくようにして追うと、少ししたところでふと疑問を持った。
「ん?この先って湖だよな。どんどん街から離れていってるぞ?」
「まあまあ、ちょっとついてきてください」
ローレは足を止めることなく何かを目印にしているかの如くしっかりとした足取りでロックラックの観光名所である巨大な湖の辺に向かっていく。
するといきなり地面に向けて話しかけ始めた。
「もしもーし、ローレ・バァンテスです。虚竜及び転生者、並びに黒い龍についての件で伺いに来ました」
『・・・・・・・・・・・・あー!ローちゃん!?ちょっと待っててね~今リンくんを向かわせるから♪』
すると妙に気の抜けた声と共に一人の男性が突然目の前に現れた。
「お初にお目にかかります。
対転生個体特別処理局実働部隊三番隊隊長のケリウス・リーセントです。
輝夜副局長より話は聞いています」
「んー、名乗った通りローレ・バァンテスです。
さっそくですけど局に案内して貰えますか?」
「分かりました。皆さんも近くに集まってください」
・・・・・・なんだかわからないがとりあえず近くに行った方がいいだろう。
「慧香、アンディ、二人とも行くぞ」
「は、はい!分かりました!」
「それではみなさんしっかりと集まってください。
というかローレさんに触れていてください」
「ほい」
その言葉を聞いてアンディがローレの頭に手を乗せた。
ローレは特に気にせず慧香の手を握った・・・・・・が、少しその行為が強引だったのはなぜだろうか。
「━━アグナさん」
「あぁ、悪い」
慧香に急かされて空いている方の手を握った。
「それでは皆さん行きます。『
その瞬間、ガラスを割るような音と共に世界が切り替わった。
特に何も無い湖の湖畔から━━━━黒い天蓋に向かいそびえ立つ巨大な建物の群衆へと。
「「「っ!?」」」
「いつ見てもすごいねここは。それで、輝夜は?」
「少々距離がありますが、こちらでございます」
・・・・・・・・・・・・俺達はただただ、二人の後をついていくことしか出来なかった。