今回から本編に入っていきたいと思います
それではどうぞ!!
慧香サイド
「はぁ!はぁ!ふぅ・・・・・・」
・・・・・・どれくらい戦ったでしょうか。
首を飛ばしたジャギィの数なんてそろそろ二桁の後半に上ります。
しかしドスジャギィに対しては最初の一太刀以降はジャギィとジャギノスの壁に阻まれて攻撃が当たっていません。
しかもそのジャギィ達は次から次へと巣穴から出てくるので、むしろその数は遭遇時よりも膨れ上がってしまっている。
「この子もそろそろ限界だし・・・・・・」
疲労で垂れ下がる腕に掴まれた大太刀には色濃く血糊がこびり付き、砥石を使ってない刃は激しく刃こぼれしている。
見るからに切れ味の落ちているこんな得物で小型ながらも竜族を仕留めているのは彼女の素質ゆえの業である。
ハンターと言われる人々にも格付けがあり一番下がライセンス取り立ての新米などが分類される《下位》、その次がある一定の戦果を収めることによってさらに高難易度のクエストを受けることができる《上位》という風になっているのが一般的である。
そして更に《上位》の上に存在しているのが、既存のモンスターを狩るクエストでなく未知のモンスターたちを相手に開拓地を切り開く《G級》と呼ばれる部類が存在する。
ハンターとは人がモンスターや特殊な鉱石によって作られた武具を装備してなる者だが、G級のハンターはそれだけではなることは叶わない。
この世界の生命の血筋である力の奔流━━龍脈から力を汲み上げなければならない。
G級のハンター達はその動きからもはや人外と称されるだろうがそれを成し得てやっと本当の意味で竜族と同じ土俵に立つことが出来るのだ。
故に特殊な訓練や何より素質がものを言うのだが、慧香はその天賦の才能とでも言えるほどの龍脈を感じ取るセンスとそれを生かす一撃必倒の剣技によって齢15にしてハンター達のトップランカーに肩を並べる実力を備えているのだ。
だが、いくら卓越した技術を持ってしても武器が使い物にならなくちゃ十分な実力を出し切れない。
それが今の現状である。
(・・・・・・・・・そろそろ潮時かなぁ)
もう腕を上げるだけの力すら残ってない。
太刀を離さないようにして牽制することしかできません。
さっきのハンターの人達が助けを呼んでくる・・・・・・・・・訳もないし、そもそもそんな余裕はないだろう。
「まだ・・・・・・死にたくない・・・・・・・・・」
自分の発した言葉と裏腹に死への歩みは着々と進む。
家族の笑顔をもう二度と見れないなんて思うと急に悲しさと涙がこみ上げて来ます。
━━━ウォォォォォンン!!!
「・・・・・・・・・・・・あぁ・・・」
どうやらさっきのジンオウガがエリア5に入ってきたようです。
人って本当に絶望すると逆に冷静になるんですね。
膝から崩れ落ち、服の裾に海水が染み込んでくるがそんなことを気にすることははもう頭の中から抜け落ちていました。
ゆったりと、しかしこちらから目を逸らさずにジンオウガが歩み寄ってきます。
ジャギィ達はジンオウガから距離を取るようにして包囲網を広げて外から眺めています。
ジンオウガの前足が天高く上げられ、周りの雷光が走り始める。
そして人一人を軽く吹き飛ばすような一撃が私めがけて振り下ろされる。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい)
「俺の剛角はぁぁぁ、宇宙一ぃぃぃい!!!!!
しかし見開いていた瞳の前で突然ジンオウガが吹き飛ばされた。
そして目の前には、
「・・・・・・・・・・・・え、」
一人の男性が立っていた。
「『アグナ』!お前はジャギィ達をぶっ殺せ!」
「了解!そこの人、頭下げて!」
「は、ひゃい!」
慌てていたのて返事をかんでしまいましたが、指示された通り姿勢を低くします。
━━━━ザギャァァァァ!!!
「!?!?」
い、今頭の上、レーザーが薙ぎ払っていきましたよ!?
しかもジャギィ達はそれを食らって吹き飛んでますし、いったいなにごとですか!?
「大丈夫?怪我ない?」
「は、はい!平気で━━━」
突然声をかけられたので私は振り向き、声の主の顔を見て・・・・・・・・・
「━━━ほぇ?」
情けない声を出してしまいました。
なぜならその人の容姿が・・・・・・・・・私と瓜二つなのです。
腰ほどまで流れている長髪は、夕焼けの海を思わせるような緋色。
大きな丸い瞳は曇りない澄みきったレモンの様な色を宿し、身長も160cmくらいとそんなところまで瓜二つです。
でもその服装は・・・・・・・・・ちょっと恥ずかしいんですけど!
だ、だって下半身には東洋の袴のようなものを巻いて、そ・・・その上なんて・・・さ、サラシですよ!?
自分を鏡で見てるようで恥ずかしいですよぉ!
「・・・・・・・・・少し下がってて?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「聞こえてる?おーい、君!」
「あひゃい!わ、分かりました」
ま、また変声出しちゃいました・・・。
て、あの人身一つでジャギィ達を相手する気ですか!?
「あ、危ないですって!」
「あぁ、大丈夫、大丈夫。そんなに強くないし」
顔だけ振り向いてこっちを見ながら笑いかけてきてますけど、前、前!
「あ━━━━━━」
「それに・・・・・・・・・
こんな雑魚じゃ肩慣らしにもならないよ」
振り向きざまに左足で一閃すると飛びかかってきていたジャギィが空高く舞い上がる。
そこからはもう圧巻の一言でした。
群がるジャギィ達に向けて先ほどのレーザーを当てつつ接近し、ジャギノスの頭を蹴り上げる。
そのまま浮かび上がったジャギノスの腹を蹴り飛ばし正面にいたジャギィ達を薙ぎ払う。
次々とジャギィ達が空を舞い、水平に吹き飛び息絶えていく。
ガァァァァァァ!!!!
ついにドスジャギィの懐までたどり着くと尾による薙ぎ払いが飛んでくる。
すかさず屈伸で回避し続く二撃目を前方宙返りしながら躱す。
「沈めぇ!!」
その背中に踵落としを打ちつけるとドスジャギィの体がくの時に折れる。
蹴りの反動によってもう一度宙返りをしてドスジャギィの眼前に降り立つ。
ドスジャギィは声を上げることも出来ずに横向きに倒れる。
そして先ほどと同じように私の方に歩み寄って、手を差し出して言った。
「大丈夫って言ったろ?」
━━━トクン━━━
その言葉を聞いた私の胸に小さな高鳴りが生まれました。
タンジアの港によく遊びに来る親友曰く、
『恋ってものはね!幼馴染みみたいに時間をかけつつゆっくりと仲を深めていくって言うけど、実際はそんなシチュはほとんどないから・・・・・・私は別として
ともかく恋ってのは一目見た瞬間に頭に『ビビッ!』と来るかもしくは、心に『トクン』て来るかのどっちかが一番王道なのよ!』
あぁ、そうなんですね・・・・・・これが・・・・・・
《初恋》ってものなんでしょうか・・・・・・