ホワイト・エンゲージ   作:リファ

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注意!こちらはポケモンの擬人化小説です
擬人化やそれに付随するオリジナル設定に抵抗を持っている方は、閲覧をお控えください。



同名個人サイトで掲載している小説となります、スマホで見やすくを特に考えて執筆したものになりますのでPC画面では見にくく見えるかもしれませんが、ご了承くださいませ。




第1話

この世界にある、どこかの街────

 

日を重ねるごとにその街は暑くなり、人々は外に出たがらなくなる。

しかしそれでは生活もできない、仕事をするものにとっては外に出ることが自身の生活の基盤てあると知っているから。

 

暑い日差しの中で体から汗を流し、交差点を何十ものひとびとが行き交う。

 

 

その中に、彼がいた

 

 

 

 

 

 

気温が35を越える中で長袖のパーカーを着用し、黒いスラッとしたジーパンを履いた男性はこの真夏の太陽が照らす中でフードを被りうつ向きながら歩いていた。

白髪にメッシュのような赤い色が前髪の一部に混じった髪が、じりじりと太陽の光に照らされ熱を帯びる。

 

 

 

「……」

 

 

フゥ、と大きく交差点の真ん中でため息をひとつ…不意にそこで立ち止まり彼は天を仰ぐように、空を見上げた。

 

 

「今日…は、暑いな」

 

長袖を肘の位置までまくり、額や目の回りについた汗を腕で荒々しく拭き取る。

その時、彼は前を見てはいなかった。

 

ドンッ

 

「うわっ」

 

「ってぇな…クソが」

 

白髪の彼にぶつかったヤンキーのような青年が、暴言をボソリと吐き睨み付けるようにこちらを見る。

フードで顔を隠したままの彼は、そのまま立ち去ろうとした。

 

「おいこら兄ちゃんよ…ぶつかっておいて、ごめんなさいも無しか?オラ…」

 

食って掛かり、胸ぐらをグイッと掴み白髪の彼を交差点のど真ん中で挑発する。

フードがバサリと頭から取れて、彼の顔が光の下に露となる。

 

「…」

 

「んだぁ?なんか言えやコラァッ!!」

 

ヤンキーの風貌をした輩はその場で突き飛ばし、白髪の彼は抵抗もせずに流れるようにして倒れた。

 

 

ピシッ

 

「…!」

 

その直後、白髪の彼が頭を抱え始め…激痛に悶えるようにその場で体を激しく動かし始める。

倒れた際に頭をぶつけたにしては…過剰な反応だ。

 

「おいおい、しょーもねぇ演技はやめろや…」

 

ヤンキー風貌の彼か近寄ろうとしたとき、今度は白髪の彼が強い力でドンッと突き飛ばす。

本気、全力で突き飛ばしたからかヤンキー風貌の彼は交差点のど真ん中から歩道近くまでぶっ飛ぶ。

 

 

 

「ひ……うぁ……」

 

 

 

そのまま、ヤンキーのような青年が起き上がるのを待たずに白髪の彼は走ってその場から立ち去った……

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は・・・誰だ?

 

気がついたとき、俺はとある部屋のベッドで横になっていた。

ジーンズもシャツも、何日着たままになっているのかわからない…皺だらけの服を脱ぎ捨て、近くのタンスから新しい服を漁る。

蒸し暑い部屋の中で探したが、残念ながら半袖の服はもうないようだった。

 

よくあたりを見てみれば洗濯物が山積みになっている、俺自身がズボラなのか、それとも別の理由があるのか

 

それさえも思い出せない、二日酔いとかそういう類のものじゃなく完全に自分のことがすっぽりと抜け落ちている・・今までにない感覚。

 

名前すらも思い出せない

 

 

俺は誰だ?

 

 

ここはどこだ?

 

 

 

 

「…外に出れば、なにか…わかるだろ」

 

自分にそう言い聞かせる、自信のない言葉を頭の中で反芻させて一縷の希望に自分の記憶の回復を託して・・・

俺は玄関のドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ…う・・ぁ・・!」

 

 

昼をとうに過ぎてから、俺はあの交差点から帰宅した。

あのヤンキーのような男は追ってきてはいない、めちゃくちゃな息継ぎをしながら俺は念の為に玄関口の鍵を閉める。

 

ガチャリと無機質で冷たい音が響く。

その音に合わせるかのように、頭の中でズキンと痛みが襲う。

 

 

「ぐ‥ぁ・・っ!?」

 

正確にはズキンといった表現は違うかも知れない、まるで頭を鈍器でぶっ叩かれたようなひどい痛みが継続して2回3回と痛みがはじけて、気を強く持っていないと意識が飛びそうになった。

痛みを気にしていたために、俺は足元の洗濯物に足を取られて転倒する。

 

「っ!」

 

咄嗟に腕を床につけて、どこも打ち付けなかった。

しかしその際に部屋のテーブルの下に、ぐしゃぐしゃになっている大学ノートを見つける。

ノートをまるごとぐしゃぐしゃにしているのが気になり、俺は痛みをこらえながらそのノートに手を伸ばした。

 

 

「俺の字・・か?」

 

表紙には何も書かれていない、俺はしゃがむ体勢をとってボロボロなノートをパラパラとめくってみた。

中は日記のようだが、ただの日記ではなく・・俺が記憶を失い始めてからのもののようだった。

 

 

 

 

 

気になる点だけ、読んでみた。

 

 

某月某日 天候晴れ

 

最近、物忘れがひどくなってきた。

自分が何をしに部屋に来たとか、何をとりたくて冷蔵庫やら茶棚を開けたのかわからなくなる。

まだ物忘れの激しくなる年でもないと思いつつ、心配なので今日から日記をつけることにした、ひどくならないうちに手を打つのが一番だろうから。

 

 

某月某日 天候曇り

 

日記をつけ始めてもうだいぶ経つ…しかし、予防になるかと思いきや状態は悪化していく。

たまに友人の顔や名前が思い出せなくなり、何度も携帯のアドレス帳や写真を見直したのかわからない…俺はいったいどうなってしまったんだろうか?

あと、少し前から偏頭痛がする・・こんど病院に見てもらおうかな。

 

某月某日 

 

わからない

自分が、今まで何してた?この日記を見て初めて知ったことばかりで

友人の名前は、顔は・・わからない、自分のことなんて名前しか思い出せない…助けて

頭痛もひどい、まるで自分の死期が近いみたいに日に日に大きくなってる気がする。

これ以上強くなったら俺はもう

 

 

 

日記はここで途切れている…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよこれ・・・」

 

 

自分が日記をつけていたことも、俺は全然記憶になかった。

カレンダーと日記の最後に日付を見るに最後のページが書かれたのは既に1週間以上前になっている、日記をつけ始めてから考えればもうひと月も前だ。

 

 

「おれ、こんな日記・・を・・・」

 

 

その時、視界がぐらりと歪む

歪みを認識したかわからないうちに、落ち着いていた頭痛が再び激しくなる。

 

 

「ぁがっ‥!?」

 

今度の痛みはもう先ほどとは比べ物にならない激痛、鈍器で殴られているというよりも中からコワサレテいるような、もう、考えがまとまらなくなる。

日記に書いていた偏頭痛はどうやらもう、おれのからだを壊すつもりのようだ。

 

「・・・・!!」

 

痛みが苦しすぎて、声がデナイ

それよりも痛い、イタイ、イタイ

 

クルシイ

 

タスケテ

 

何も動かせない、体はもう、痛みで、止まって、動かせなくて

 

 

「ハッ・・・ぁ・・・」

 

死ぬのか

 

俺は

 

 

もう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして

 

 

 

わけがわからないうちに

 

 

 

 

 

 

 

俺の意識は闇にとけていった。

 

 

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