「ポケモンって…なんなんだ?また新しい専門用語なのか?」
「いえ、割とメジャーな‥というわけでもないですね、科学者などの研究者の間では意外と知られている事実なのですが一般の方には内密にしていることが多いらしいですから…まずはそこからお話します」
ポケモンという単語自体、俺には聞いたことない。
ニュースなんてあんまり見ないし、新聞も取らない情報に疎い俺には尚更なのかもしれない…が、そこのところの説明をしっかりと、ファリニスはしてくれるようなので姿勢を正し、聞く体勢を取った。
「この世界には人間…と呼ばれる種族の他に、細かく分類された私たちのような<ポケモン>と呼ばれている種族がいるのです、今で言えば私たちは人間と瓜二つの姿形をしていますが…昔は違いました。」
「俺たちの種族…ということは、ファリニスと俺はまったくおんなじ種族なのか?光るワザを使えたし…」
あの技の詳しいことはなんにもわからないけれど、俺の常識の範疇を大きく超えてる。
同じように光りをだすワザを使うならもしかして…と思ったが、ファリニスは首を横に振る。
「ポケモンという広い枠の中で考えれば、セグレトさんの言うとおりですが・・細かく詳細な分類では私とは全く別のポケモンということになります。」
種族の判別方法についてはファリニスは細かく語らなかったが、嘘をつく理由もないし専門用語とか多くて解説を省いたんだろうと、それになによりもファリニスを疑う理由もないので俺はそのまま鵜呑みして信用することにした。
「それじゃあ…その、ポケモンの力を使って俺が倒した…それだけ?」
「そう…ですね、私たちの力はまだよくわからないことが多くて、謎も多くて、様々な科学者たちに調査されているところなんです。」
「昔からポケモンは存在してるのに‥謎が多い?あんまり研究されてないのか?」
昔からある謎って言えば、なんとなくもう解析されているモノが多いような気がする。
遠くの国のお話だとかならまだわからんでもないけど…でも、これは多く存在する種族の話だ、意外と近場でありふれているようなことだし、研究もはかどりそうなもんだけど・・?
「…実は、ポケモンは一度絶滅した‥と思われてたんです。」
「…えっ?」
ファリニスの話では、数百年前からポケモンは人間のそばで存在していた…が、その姿形は今の人間のような容姿とは違って種族ごとに大きな差があったという。
しかしそんな時代の最中に、ポケモンたちはその特徴的な姿を忽然と人間たちの前から消した…
「その時に突然、ポケモンたちが人間と似たような外見に変わったってこと・・か?」
「だいぶ妙な話ですよね‥急に姿形が変わったりするなんて、生物学上はまずありえないことです、何百年の歳月をかけて変化していくのが、普通ですから…」
一度絶滅したと思われていたこともあってか、研究はそんなに進んでいなかったとファリニスは言う。
要は、ポケモンはある時を境に姿が変化した…でもその原因は不明、研究してる人がいないから、そして今はポケモンたちが人間とほとんど変わらない為に人間社会に溶け込んでいる、ということらしい
「でも、今は隠れて認知されてるってことだろ?ファリニスも知ってるってことは、表の方には出てこない裏の話…みたいな?」
「一部、ごく一部の組織はポケモンの力を活用しようとしている…とかなんとか、あとポケモンについては研究者の中ではトップシークレットなのは暗黙の了解です」
「口に出しちゃいけないって‥ことか?なんで?」
「ポケモンとしての力を悪用されることを恐れて、です…周知の事実にしてしまうとそれを悪用しようとする輩が必ずいますから」
確かに、腕から出たあの巨大な爪の力は凄いものだった。
腕の感覚がぼんやりとしていてビリビリとしているような…そして思念集合体をなぎ払ったあの瞬間…俺の脳裏にはその光景が焼きついていた。
「とにかくセグレトさん、そのポケモンの力は使わないことを約束してください!その力は…強力すぎます、特にセグレトさんのものは…」
「わ、わかった…っていっても、やり方なんてよくわかんないけどな」
ブンブンと腕を振ってみても、あんな光は出ないしビリビリだかぼんやりだかの感覚はもうしない、あの時だってなんであんなことになったのかはよくわかんないし…
「ポケモン…か」
おれは自分がただの人間じゃないことに、違和感を感じて…現実感は相変わらずなかった。
まだ夢を見てるなんて思ったり…でも、彼女の腹部にあったかすかな傷跡…それは紛れもない事実であり現実
その傷跡を見ながら、俺はなんだか無性に悔しい気持ちになった
(もっと早くこの力が使えたら…ファリニスを傷つける前に、助けられたのかな)
「セグレトさん?」
「ふぁっ!?あ、いや、なんだ?ごめんぼーっとしてた…」
気がつくとファリニスの心配したような表情が目の前まで近づいて、まんまるな瞳にびっくりして俺の口から変な声が出た。
「ちょっとまた難しい話でしたからね…」
(ちょっとどころじゃなくて超難しかった…)
「そうだ!お茶でもいれますね、台所お借りします!」
そう言うとファリニスは急ぎ足で、台所へと駆けていった。