「荷物はこのくらいでいいか?」
「あと、これも持っていきましょう!次の街までは長いですから」
部屋の中で、俺は大きめのリュックの中に大量の荷物を詰め込んでいた。
あれよこれよと詰め込むとすぐにパンパンになってしまって入らなくなってしまうの
で、食料も着替えも最小限に…力の限り折りたたんで、正直手が痛い。
「これくらいにしておいて…あとはフレンドリィショップで買い足そうか」
※この世界のフレンドリィショップは、旅をするにあたっての必需品を取り扱う専門店という扱いです。
携帯食料、山などの難所を越す為に必要な道具も取り扱っている。
「そうですね!あ、私が買ってきて…」
「…えっと、やっぱり一緒に、来てもらっても…いいですか?」
やや赤らめた顔で、先程の言葉を訂正してから一緒に来るようにお願いしてきた。
先程のドッグフードの件を、まだ気にしているようだ
「あ、ああ!一緒にいこうか」
そういうと、ファリニスはホッとしたような表情を一度見せてから、嬉しそうに頭の髪飾りを動かしてから歩み寄ってきた。
・・・あの髪飾り・・・髪飾りだよな?耳か?
「ささっ!いきましょう!」
「お、おう…」
気になることはあるけど、とりあえず後回しかな…ファリニスに腕を掴まれながら、俺たちは大きな鞄を持って家を出た。
部屋の鍵を秘密の隠し場所にしまって、一応家主さんに話を通して…旅行という形で話はまとまり、しばらく家を空けても大丈夫ということで荷物を背負って俺たちは部屋を後にする。
「寝袋ってこんなでっかいんだな…お、こっち安いな」
俺の家から徒歩で10分、改装工事を済ませたフレンドリィショップのなかに俺たちはいる。
寝袋や非常食品、最悪野宿もするだろうし万が一の準備は怠らないほうがいいだろう。
「生地が薄くないですか?地べたに寝るにはちょっと背中が痛くなりそう…」
「あー、たしかになぁ…じゃあ、多少高いけどこっちかな?」
思えば、こんなふうに誰かと一緒に買い物なんていつぶりだろう?
実家に住んでる時に母さんといったくらいかな?異性との交流もいったいいつぶりなんだろう…というか
おもえば女性と口をきいたのだってすごい久しぶりだ、何年‥とまではいかないけどほんとに…
むしろ…裸を見たのだって…
「セグレトさん?あの顔赤いですけど…」
「へ!?あ、いやなんでもないなんでも!」
なんだか恥ずかしくなって、顔が赤くなってみたいだ
冷静に…よくせっかちとか言われるけど、ここは冷静だ!冷静に…!と頭の中で言い聞かせながら、頬をペチペチと強めに叩いた。
「結局かばん、もうひとつ買っちゃいましたね」
フレンドリィショップから出てきた俺たちの背中には、お互いに大きめの鞄を背中に背負っていた。
俺が背負っていたのは自宅から持ってきたものがたくさん入ってる私物と非常食のたぐいが大半だ、そしてファリニスの方は寝袋などの比較的軽い荷物を入れたものを持ってもらっている。
「悪いな…お金出してもらって」
新しくカバンを買い、非常食を追加で買ったり寝袋も買って…なんていろいろ買ってたら代金がえらいことになってしまったので、すこしファリニスに出してもらったのだ。
そもそもそんなに貯金してたわけじゃなかったし、旅行の予定もなかったからなぁ…しっかり稼げばよかったと、深く反省する。
「いえいえ、気にしないでください」
にっこりと、彼女は全く気にしてないように笑った。
旅の準備は整った
覚悟もできた
あとは踏み出すだけだ
「じゃあ・・行こうか、ファリニス!」
「はい、まず目指すのは北にある街…<ルメタルシティ>へ!」