ホワイト・エンゲージ   作:リファ

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第2話

(…あれ‥?)

 

 

 

自分の体が冷たくなるような錯覚、目をつぶったままで…

自分の心臓の音も、わからなくなっていた。

 

意識はあるのかわからない、生きているのか?死んでいるのか?

心臓の音は聞こえないんじゃなく‥止まっている?

 

 

(そう、か…死んだのか‥)

 

 

 

 

何も思い出せないまま、名前も、友人の顔も、両親の顔も…

無になって、何もないまま消えていくのかと思うとひどく寂しさを覚える。

 

 

 

 

 

 

 

(‥誰か…)

 

 

 

 

 

(誰か…助けてくれ‥)

 

 

 

 

 

 

寂しさから、もう誰にも会えないのだと思うとひどく悲しくなり

俺は誰かに助けを求めた、遅すぎたということは分かっている、もう‥だれも助けては

 

 

 

ポゥ

 

 

(・・?)

 

 

 

 

 

背中のあたりからだろうか?温もりを感じた

冷たい感覚になれた俺の背中がとろけるかのように、俺の背後から温かみを感じる。

やがてその温かな感覚は、体全体を包みこんでいく…まるで、なにかに抱かれているような…大きななにかに、抱かれているような…そんな

 

 

 

 

「…」

 

 

 

 

そこで、パチリと俺の両目が開く。

長いこと見ていなかったような気のする、先ほどの部屋の風景が眼前に広がっていた。

先程までの冷たい感覚はもうなくなっていて、左胸あたりからは心臓が鼓動する音も聞こえる。

頭痛も跡形もなく、治まっていた。

 

 

 

「生きてる・・?」

 

 

 

 

既に太陽の光の差し込まない部屋、時計を見れば時間は既に深夜になっている…相当気絶していたらしい。

俺はとりあえず風に当たりたくなり、部屋から出てみようと体を起こそうとする‥と

 

 

 

「あ、ストップです!もうしばらくそのままで!」

 

 

 

「うぉっ!?」

 

 

 

後ろから不意に大声を出されて、動き出してほっとしてた心臓が飛び出るかと思うくらいびっくりした。

座り込んだ体勢のまま体をひねって後ろを見てみると、そこには一人の女の人が立っていた。

 

 

 

「あ、驚かせてごめんなさい!

まだ症状が落ち着いたばかりなので、もう少しゆっくりしててくださいね」

 

 

 

笑顔を見せながらそう言った彼女の手には、大量の洗濯物が積まれている。

全く見覚えのない女性・・まあ、何も思い出せない俺にとってはそんな事関係ないな、と自分の心の中で納得させる。

 

 

 

「えっと・・?」

 

 

 

とはいえ部屋の中に急に現れた彼女に動揺を隠せず、しどろもどろになる。

緑色の髪の彼女はクスリと微笑みながら、洗濯物を一旦置いてから俺のそばで腰を下ろして同じ視点の高さになってから口を開く。

 

 

 

「わたしは研究員のファリニスといいます、あなたの名前は?」

 

 

 

「俺は、セグレト・・?」

 

 

 

とっさの自己紹介に、俺は自分の名前を言って返した。

 

 

・・・自分の、名前?

 

 

 

「・・・そうだ、俺の名前はセグレト・・!そうだよ!俺は、セグレトだ!」

 

 

今まで思い出せなかった自分の名前が、スラリと自分の口から出た。

それだけじゃない‥親の顔も名前も、友人の顔も、ここの家の住所も仕事のことも!

全部、思い出せた!日記に書いてあるすべてのことを、俺は思い出した!

 

 

 

「ふぅ・・よかった、うまくいったみたいで」

 

 

 

ホッと大きな胸をなでおろす彼女の手には、なにかの光が点っているように見えた。

その光は温かみのありそうな穏やかに淡いグリーン色で、その光に俺は見覚えがある。

 

 

 

「記憶と頭痛が戻ったのは、君のおかげ・・なのか?」

 

 

 

「はい、とても危ない状況でしたけど‥なんとか」

 

 

その後は、なにか記憶に引っかかることはありますか?体の調子、おもに頭痛とかはどうですか?と様々な質問をされたがどこにも異常はない、記憶も全て思い出せると答えると、彼女は満足気な顔を見せた。

 

 

 

「君は、研究員・・っていったっけ」

 

 

 

「正確にはまだタマゴなんですけれど…そう名乗ってます。

       あ、職業詐称なんておもっちゃだめですからね?」

 

 

 

「俺からすれば、研究員というよりも医者って感じだよ」

 

 

 

「ふふっ・・そうかもしれないですね」

 

 

 

お互いの目を見て、会話をしばらく続ける

その間に本当にどこにも異常がないのかみてたのかもしれないが、しばらく会話を続けた後、コホンと咳払いをしてからファリニスは真面目な顔をしてこちらの顔を見た。

 

 

 

「あなたの記憶喪失と偏頭痛のこと・・原因は、タダの病気ではないです。」

 

 

 

「・・・!」

 

 

 

いままで、原因不明だった偏頭痛と記憶喪失

研究員と名乗ったファリニスが原因を知っている、しかもタダの病気じゃないときた。

俺は自分の身に起きた出来事の真相を知りたい、何が起こったのか?きっかけを・・・理解したかった。

 

 

 

「…聞かせてくれ」

 

 

 

ファリニスはコクンと頷いてから、口を開きこういった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「思念の力、です」

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