「ファリニス…」
鞄を残したまま部屋に戻ったファリニスが心配になる…奴等は普通じゃない、あの思念集合体とか言うのは…一人で叶う相手なんかじゃないんだ
でも…
俺になにができるんだ…?
守られてばかりで…
なにも、できなくて…
「…?」
ファリニスの鞄から、キラリとなにかが光る
財布や携帯など貴重品ばかりの中に、確かに反射した光が見えた。
ゴソゴソと中を調べ…奥の方にある、小さくて丸いチェーンのついたようなものを手に取る
「これは…ロケット?」
首から提げる、写真のはいったロケットのようだ
なかを開けてみると、そこには穏やかで優しそうな老人が思念論の本を持ってて、それと緑色の髪の女の子が…笑いあって仲良く写っている。
その後ろから優しく微笑む、二人の夫婦…
「………」
時間はもう10分は過ぎた
俺はロケットを握りしめ、鞄をもってその場から駆けだした。
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「このルートで間違いないハズですが…」
その時ファリニスは、裏路地から少し外れて住宅街に出ていた。
なにかを確認しつつ周りに警戒心を張り巡らせて、静かに足音を極力立てずに…慎重に歩く
(おそらく、思念集合体はセグレトさんを探るために糸のように手繰る術を持っている…セグレトさんの記憶喪失を解除してから、発見されるまで時間がかからなさすぎたし…常に観察しているにしては、遅すぎる)
次第に小雨が降り注ぐ、手ぶらのままファリニスは辺りの警戒をやめずに進んで行く。
(そして、セグレトさんのきおくの搾取方法とスピードからして、多く見ても3体ほどの思念集合体がいるはず…2体は、部屋のなかで倒してるから、あとはなんとか探しだして残り1体さえ倒してしまえば…!)
その時、ファリニスの背後から
小雨に紛れて再び金色の瞳が光る
「…っ!」
小雨に感覚を遮られてしまったのか、ファリニスの反応が少しだけ遅れてしまう。
背後から忍び寄ってきた影、それはやはり思念集合体、しかしヤツの体は先程とは違い、腕と見える部分が鋭い刃物のような形状になっていた!
「く…っ!」
ファリニスの脇腹を、鋭くなった刃物のような腕が掠め僅かに出血する。
不意打ちに驚き、ファリニスは思念集合体から目を離さずに距離をとった。
「…食事の邪魔なわたしには、手加減をしない…ということですか」
傷口は浅い、若干の出血こそあれど致命傷ではなくまだ彼女は動けそうだ。
思念集合体はそこから動かず…じっと、ファリニスが動くのを待っているようにも見える。
(様子を見てる…?なら、こちらから!)
ファリニスの左手の光が淡いグリーンに…そして紫色に再び変化する、セグレトの部屋で戦った時と同じように
思念集合体はそれを見るや否や、スピードを出してファリニスに近づく!
「一足、遅かったですね」
<……!>
思念集合体の体が、あの時と同じようにバシィッと軽い音と共に吹っ飛んでいく。
しばらくその場で悶えていた思念集合体は、雨を受けながらゆっくりと動かなくなっていった……
「はぁっ…はぁっ………やった、よね……」
ゆっくりと近づく、思念集合体が突然飛び起きることも想定し…常に警戒する。
(少しでも動けば、もう一度<ねんりき>で…)
既に彼女の片腕には紫色の光が帯びている、目の前の標的には万全の体勢を整えて……
その目の前まで来た。
そして、彼女は落胆する
(こ……れは……!?)
そこにあったのは紛れもなく、動かなくなった思念集合体
彼女が<ねんりき>で吹き飛ばした痕跡以外、変わりはない……
攻撃の痕跡が2つあったことを除いて