聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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調と切歌の、ウェルとの戦闘描写を書いていたら時間がかかりました。
この世界二人がウェルを庇う理由は有りませんからね。おもいっきりやらせます。


道化再び

デジェルとクリス、マニゴルドと切歌、カルディアと調がアスプロス達と交戦しているのと同じ頃。

 

竜宮のある牢屋では、壁や床に数式や図形を殴り書きされており、無機質な白髪に白衣を着用し、異形の左腕を持つ男性、ドクターウェルは小皺にあみれた顔に不気味な笑みを浮かべていた。

 

「・・・・花火が上がった、騒乱は近いならば・・・・求められるのは、英雄だ! そして、遂に来たのだ! 復讐の時がぁっ!!!」

 

そしてクリス達の戦闘の影響によって牢屋が破壊され、牢屋から脱出したウェルは、左腕にクリスの放ったイチイバルのミサイルを吸収し、装者達の前に立ちはだかったのだが・・・・。

 

現在ーーーー。

 

「こ、このガキ共ォオオオオオオッッ!!」

 

劇的に登場しようとしてすぐに、調のヨーヨーのアームドギアと、切歌が投げた牢屋の瓦礫の破片を顔面に叩きつけられ、起き上がり、調と切歌に向けて醜悪に顔を歪めて睨んだ。

 

「・・・・こんなところに収容されていただなんて」

 

「『フロンティア事変』の主犯が、聖遺物の物置のような場所に置かれたんデスな?」

 

冷めた態度の調と切歌に、ウェルは嘲弄するように舌をダランと出して喚く。

 

「へっへ〜ん! 旧世代のリンカーぶっ込んで、騙し騙しのギア運用と言う訳ね。優しさで出来たLiNKERは、僕が作ったものだけぇ!!そんなので戦わせてるなんてぇ!! 不憫過ぎて笑いが止まゴベエッ!!!」

 

ウェルが金切り声をあげる途中、今度は調が瓦礫の破片をウェルの口に向けて投げつけた。

 

「ひたが(舌が)! ほくのひた(僕の舌)がぁぁぁぁっ!!!」

 

それにウェルは出していた舌を噛んだのか、汚ならしい悲鳴をあげながら、痛みによって後ろに倒れてゴロゴロと悶える。

 

「不憫と無様の一等賞が何を言ってるデスか?」

 

「アタシの一発を止めてくれたな・・・・」

 

ゴミでも見るように冷めた目付きの切歌がそんなことを言っていると、不意にクリスが忌々しそうに小さく呟き、それを聞いた調と切歌が不思議そうに彼女を見て首を傾げる。

 

「クリス、待て!」

 

その様子にはデジェルは落ち着かせようと声をかけるが、クリスは調と切歌の視線やデジェルの声も聞き入れず、ウェル達を睨み付ける。

 

「(後輩の前でかかされた恥は、100万倍にして返してくれる!!)」

 

クリスはアームドギアを構えて攻撃の態勢に入ろうとするが、それをすぐに切歌と調が止めに入る。

 

「待つデスよ!!」

 

「ドクターをぶちのめすのは・・・・!」

 

「「私達がやる(デェス)!!」」

 

「はぁ?」

 

冷徹にウェルを睨む二人に、クリスは唖然と呟いた。

 

 

 

ーマリアsideー

 

風鳴邸にて、ファラと復活してきたガリィの『風のエレメントアームズ』と『水のエレメントアームズ』による合わせ技、『氷河期<アイスエイジ>』によって風鳴邸は氷雪の暴風に包まれた。

暴風が止むと、庭は雪と氷に埋め尽くされ、風によって舞い上がる雪煙がファラとガリィの視界に広がった。

 

「あらあら、これじゃ全員凍死しちゃったかしら?」

 

「ざ~んねん。あのハズレ装者のシンフォギアを砕きたかったのに」

 

台詞とは裏腹に、その顔はしてやったりの喜色を浮かべるガリィ。

しかしーーーー。

 

フォオオオオオオオオオオオオ・・・・。

 

突如、雪煙に覆われていた風鳴邸の庭で、小さな竜巻が静かに巻き起こった。

 

「これは・・・・」

 

「どうやらガリィ、あなたのもう一人の獲物が来たみたいよ」

 

竜巻に混じった“黒い薔薇”を見て、ガリィとファラは何が起こったか察した。

竜巻が収まると、翼とマリア、緒川と八紘を庇うように立っていたエルシドの前に、さらにもう一人立っていた。

ウェーブがかかった水色の長髪が風に靡き、芸術品がそのまま動いたかのような、暴力的に美しすぎる顔立ちをした、マリアと同い年くらいの男性。

 

「ア、アルバフィカ・・・・!」

 

マリアが感極まったように声を出し、瞳から一筋の涙を流してその男性を見る。

 

「久しぶりだな。マリア」

 

その名を、魚座<ピスケス>のアルバフィカ。

 

「もう、いつまで、待たせる、つもりだったのよ・・・・!」

 

アルバフィカの顔を見たマリアは、涙を堪えるように呟いた。

そしてエルシドは、アルバフィカが担いでいる物に目を向けた。

 

「アルバフィカ、それは?」

 

「ああ、八紘殿から許可を貰ってな。持ってきたのだ」

 

担いでいる物を見た瞬間、翼とマリアは驚き、エルシドは小さく口角を上げた。

 

 

ーマニゴルドsideー

 

マニゴルドは目の前で口を切って身悶えているウェルをまったく興味無しな態度で、調にさっきデジェルから“貰った紙”を渡してその場を離れ、キャロルを抱えたままのアスプロスとオートスコアラー・レイアと交戦を再開しているカルディアに合流し、アスプロスに告げる。

 

「どうするよアスプロス? お前らの目的であった『ヤントラ・サルヴァスパ』は、ウチのデカ乳ちゃん<クリス>が破壊しちまったぜ?」

 

「ふっ。あれは“保険”として用意しておこうと思っていた“予備”に過ぎん。『チフォージュ・シャトー』はすでに俺の意のまま動く。それにこの『深淵の竜宮』に来た目的は、他にもあるしな」

 

既に『チフォージュ・シャトー』はアスプロスが完全に掌握し、あくまで『ヤントラ・サルヴァスパ』は、アスプロスが聖闘士との戦闘で手一杯の状況になったとき、キャロルに『チフォージュ・シャトー』を任せる為に用意しようとしていた“保険”だったので、それほど損害に感じていなかったようだ。

 

「ああそうかよ。所でさ、俺もそろそろ暇だし、カルディアと交代して相手してくれねえか?」

 

「アレ<ウェル>は良いのか?」

 

「あんなのの相手なんてな、切歌と調だけで十分だ」

 

「確かにな。俺達がわざわざ相手をする程の獲物じゃねえしな」

 

マニゴルドにしろ、カルディアにしろ、クリス達の側にいるデジェルにしろ、ウェルの事はまるで眼中に無かった。

アスプロスも同意するように頷く。

 

「そうか。しかし俺はキャロルを守らなければならんからな。マニゴルドよ、お前の相手は、コイツがしてくれる」

 

「タリホーーーーーーーーー!!」

 

アスプロスの後方の景色がガラスが割れたかのように砕けると、オートスコアラー・ミカが飛び出し、圧縮カーボンをマニゴルドの頭目掛けて振り下ろした。

 

「うおっと!?」

 

しかしマニゴルドは寸前で避け、チリッと、髪の毛をかすった。

 

「久しぶりだゾ! 蟹座<キャンサー>!」

 

赤を基調とし、ゴスロリ服に赤い髪を大きな縦ロールに巻いた、両手には大きなかぎ爪を装備したオートスコアラー。先日切歌と調に身体を斬られた傷を修復された。ミカ・ジャウカーンだ。

 

「なんだよテメエかよっ!」

 

マニゴルドはそのまま、ミカと交戦を始めた。

するとレイアが、デジェルに向かって、コインが弾丸のようなスピードで迫り来る!・・・・が、デジェルは片手で余裕にキャッチした。

 

「水瓶座<アクエリアス>、私の相手を派手にしてもらおう」

 

「流石にしつこいな・・・・」

 

「デジェル兄ぃ・・・・」

 

クリスがデジェルを一瞥するが、デジェルは安心しなさいと言わんばかりにクリスの頭を撫でると、レイアに相対した。

 

「っ!」

 

レイアは次々とコインを弾き飛ばすが、デジェルは凍技でコインを凍てつかせながら、レイアと交戦する。

 

「さてと、アスプロスよ? その抱えている錬金術師なんて置いて、俺と戦ろうぜ?」

 

「アスプロス・・・・」

 

「安心しろキャロル。丁度良いハンデになる」

 

「・・・・そうかよ!」

 

キャロルを抱えたまま戦おうとするアスプロスに、カルディアは少し腹を立てるが、爪から赤い衝撃波を放つも、アスプロスは難なく回避した。

 

 

 

ー切歌sideー

 

「僕を、ぶちのめす?・・・・プッ! プヒヒッ! ヒャァアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!! ぶぅわぁかめっ! お前らみたいな出来損ない共が、この真実の英雄であるこの僕を倒せるとでも?! お前らなんか僕の相手にならねえんだよっ! 僕が倒すべき相手は、ヤツらだぁあっ!!!!!」

 

ウェルは怨恨に満ち満ちた眼で、キャロル一派と交戦している黄金聖闘士達を睨んで指差した。

 

「・・・・カルディア達?」

 

「アンタは、まだ聖闘士の人達を殺すだなんて言っているデスか? あんな見事にボロ負けしたくせにデス?」

 

調と切歌は、『フロンティア事変』で黄金聖闘士達に完膚無く敗北したにも関わらず、まだ聖闘士達を殺す気でいるウェルに呆れた眼差しになるが・・・・。

 

「ん、ん、んん♪ 全く低脳はこれだから・・・・。一体誰が『負けた』と言うのかねぇ~」

 

ウェルはそんな二人の目線を侮蔑の眼で一瞥すると、小馬鹿にしたようにふざけた態度になり、それに調と切歌の後ろにいたクリスが前に出る。

 

「テメェの脳ミソこそ、薄暗い牢獄の中でさらにカビが生えたんじゃねえのか? あんなに盛大にボロ負けしたことを忘れてのかよ?」

 

「はあぁ~、これだから低脳は本当に困るよ。あの時僕が負けたんじゃない。あの『ぺてん師』が負けたんだよ。あの『アタバク』って名前の口先野郎がなっ!」

 

ウェルは今まで溜めていた恨み言を吐き出した。

 

「あの時! 僕は本来なら勝っていた筈だったんだ! 僕の作り出した最高のLiNKERの力で、移植したネフェリムの力によって! 僕は冥衣<サープリス>を完全に使いこなせていた筈だった! それを! あのアタバクって名前の、『冥界で最も神に近い冥闘士<スペクター>』と嘯いている大ウソつきのぺてん師野郎って異物がいたお陰で! 僕は冥衣を完全に使うことができなかった! あの最後の瞬間<アルバフィカに殴られる時>! 本来なら僕の“秘めたる力”が発現して! 僕は! あそこにいる! 『旧世界の異物』! 『別世界の異分子』共に無様を晒す事は無かった!! そう! 負けたのは僕じゃない! 負けたとすれば、僕の冥衣を奪ったアタバクの方だっ!!!!」

 

つまり自分が負けたのは、“アタバクが冥衣の力を引き出すのを邪魔したから”、と喚くが、クリスも切歌も調も、半眼になって呆れた。

 

「なんだよ、この見苦しいまでの負け惜しみ?」

 

「アタバクがアイツの邪魔をしていたデスか?」

 

「逆にアタバクが冥衣を使えるようにしてくれたんだから、むしろドクターは感謝するべきだと思う・・・・」

 

アスミタと最後の決戦をし、お互いの奥義を放ちあった時、装者達どころか、同じ黄金聖闘士達も割り込めない戦いを繰り広げ、危うく地球の半分を消滅しかけ、『神に近い闘士』と呼ばれるのを納得するほどの圧倒的な力と、威圧感、存在感を示したアタバクの姿は、今でも装者達の記憶に刻まれていた。

ウェルは『ぺてん師』だとか『大嘘つき』と罵り、「冥衣は自分の物だ」と叫ぶが、本来なら『完全聖遺物・アタバクの冥衣』は、魔星に選ばれた存在であるアタバクの鎧であり、ウェルはネフェリムの細胞の力で、冥衣の上澄みの力だけを引き出していただけで、冥衣の真の力の一編も引き出せていなかった。

しかしウェルは自分の落ち度を認めようとしなかった。まさに盗人猛々しい理論だ。

 

「そう! 僕は負けてなどいない! 負けたのはアタバクなのだ! そして! 僕は辛酸を舐めた牢獄の中で気づいたのだ! 黄金聖闘士と言う金メッキで作られたロートルヒーロー達を倒す事で! この世界の真実にして絶対の英雄! ドクターウェルが世界に降臨するとなあ! 散々散々この最大最高の英雄であるこの僕に陥れてきたゴミ共よ! この英雄が戻って来たぞおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

ウェルは黄金聖闘士達への、逆怨みとも言える憎悪を剥き出しにして睨み喚きながら、聖闘士を指差すが・・・・。

 

「うるせえっ!! さっきから耳障りなんだよっ!!」

 

「テメエなんざお呼びじゃねえんだっ!!」

 

「今こちらは忙しい。邪魔はやめて貰おう」

 

当の聖闘士達は、まるで相手にしていない。むしろアスプロス&キャロル、レイアとミカの相手をしているから邪魔だ、と言わんばかりで、ウェルの事などまるで眼中に無かった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ウェルは聖闘士達を指差した姿勢のまま、硬直していた。

 

「ダセえ・・・・」

 

「相手にされてないデスね」

 

「・・・・プッ、カッコ悪い」

 

クリスと切歌と調も、そんな滑稽なウェルに、プッ!と、吹き出す。

そして、自尊心だけは常人より高いウェルに取っては、屈辱以外の何物ではなく。

聖闘士達を視線だけで呪い殺しそうな怨嗟と憎悪に満ち血走った眼で睨んだ。

 

「テ、テテテテテテ、テメエらぁぁああああああああああああああああああっ!!!」

 

雄叫びをあげるウェルに、切歌と調が同時に飛び出した。

 

「あああああああああっ!! 本当に腹立つっ!! この僕を無視しやがってぇええええええ!! いいさ! いいさぁ!! 先ずは出来損ないの小娘コンビをっ!!」

 

ウェルが向かって来る二人を見せしめに潰そうと狙うが、二人は直ぐに左右に別れ、挟み撃ちするように向かった!

 

「デェスッ!」

 

「ふっ・・・・!」

 

切歌が『切・呪リeッTぉ』を放ち、調が『α式 百輪廻』をワンテンポ遅れて放つ。

 

「ヒヒヒヒヒヒヒヒ! この僕のネフェリムに! そんな攻撃が通じるものかぁっ!!!」

 

ウェルが緑色の刃をネフェリムの左腕で吸収した。『暴食』を冠する巨人、『完全聖遺物・ネフェリム』の細胞のほんの一部を自身の作成したLiNKERと共に左腕に注入し、異形の腕へとなった。

ネフェリムは聖遺物を操作、吸収する能力を有しており、聖遺物・シンフォギアで戦う装者の天敵とも言える。

しかし、あくまで“聖遺物にだけ有効”なので、この世界で人類最強の風鳴弦十郎と同格か弦十郎以上のレグルス達黄金聖闘士には通じない。

 

「ウェッヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘっ!!!」

 

ウェルは今度は反対方向から迫る桃色の丸鋸を吸収する。すると、調がヨーヨーを構えてウェルに迫った!

 

「この僕がお前らごときにあぎゃっ!!??」

 

嘲笑しながら調はネフェリムの左腕で殴ろうと構えるが、後頭部を殴られ悲鳴を上げた。

 

「な、な・・・・!」

 

振り向くと、切歌が大鎌のアームドギアの柄で、ウェルの後頭部を殴ったかのような姿勢を取ってほくそ笑む。

 

「だらしないデスなぁ? 英雄さん?」

 

「こ、このガキボグッ!!」

 

今度は、調の投げた2つのヨーヨーが、両頬にヒットし、悲鳴を上げた。

 

「切ちゃん!」

 

「デェス!」

 

切歌と調は再びウェルから距離を取ると、左右から攻め立てた!

 

「な、なんだよこれっ!? 何でこんなぁっ!!」

 

ウェルはほぼ混乱状態で左腕を振り回すが・・・・。

 

「デェスっ!」

 

「ふっ・・・・!」

 

しかし調と切歌は、ウェルの攻撃を見切っているかのように左腕を回避し、調が攻めに転じてウェルが応戦しようとすれば、切歌が死角から攻撃を当て、逆に切歌が行けば調がヨーヨーを使った多角的な攻撃でウェルを攻め立てた!

 

「ち、ちくしょう! ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょうちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 

黄金聖闘士だけでなく、旧世代LiNKERを使っている(と、思い込んでいる)小娘二人に良いようにやられている現状に、ウェルは錯乱状態となり、遮二無二に左腕を振り回すが、切歌と調はもはやウェルの動きを完全に見切ったように左腕を避けて、さらに攻め立てた!

 

「何でだよっ!!? 何なんだよこれはっ!!」

 

「分からないデスか?」

 

「なにぃっ!?」

 

ウェルは切歌の言葉に反応した。

 

「いくらネフェリムの細胞を注入していると言っても、あなたの“攻撃方法は左腕だけ”、それにさえ気を付けていれば・・・・」

 

「戦闘経験0で、戦いはいつもノイズとかアタシ達に任せてコソコソしていただけのド素人なんて、怖くもなんともないデェス!」

 

ネフェリムが如何に『聖遺物の天敵』とは言え、使っているのは戦士ではないウェル。

言うなれば、一般人に武器をあげただけ、その武器の使い方や武器を生かした戦術なんてまるで理解していないから、マニゴルドとカルディアによる訓練(と言う名のイジメ)を積んできた調と切歌にとって、ウェルの動きを見切るだなんて造作もなかった。

 

「ちきしょうちきしょおおおお! 分かっているのかっ!? 僕に何かあったら、LiNKERは永遠に失われてしまうぞ!! そんな旧世代LiNKERしかないんだからなっ!!!」

 

ウェルの言葉に、調と切歌は冷めた態度で答えた。

 

「別にいいデスよ」

 

「あなたの作ったLiNKERよりも、“デジェルさんが作ってくれたLiNKER”の方がずっと優れているしね」

 

「な、なんだとぉっ!?」

 

調は、さっき“マニゴルドに渡された紙”、『深淵の竜宮』に来るまでにデジェルがプリントアウトした『LiNKERの成分表』をウェルに投げ渡した。

ウェルはその紙を見ると、手をワナワナと震わせ、歯をガチガチ鳴らし、目をさらに見開いて血走らせる。

 

「な、ななななな、う、ううぅう嘘だ! 嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だああああああああああああああああっ!!!」

 

完全に錯乱したウェルは、成分表の紙を乱暴に引き裂くと、両手で地面をダンダンっと、叩き続けた。

 

「僕だけだ! 僕だけだ! 僕だけなんだ! 僕以外に! 僕より優れたLiNKERを生成できる人間なんて! いるわけ無いんだあああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!」

 

両手で頭を抑えてブンブン振りまりながら錯乱しまくったウェルを調と切歌が冷徹に見据えた。

 

「(後輩達は、もうあんなに戦えている・・・・それなのに、アタシは・・・・!)」

 

そして、後輩達の成長を見たクリスの心には、暗雲が立ち込めていた。

 

 




ウェルって、自分以外が自分よりも優れたLiNKERを作るのを許さないタイプだと思ってこうしました。
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