聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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先輩として、後輩として

ーレグルスsideー

 

レグルス達は、情報が漏れていると考える。

 

「俺達の追跡を的確にかわすこの現状と管理区域である『深淵の竜宮』の特定・・・・」

 

「まさか、こちらの情報を出歯亀して・・・・!」

 

「それが仕込まれた毒、内通者の手引きだとしたら・・・・」

 

レグルスと弦十郎の言葉を聞いた藤尭が、ふとそんな事を呟くと、エルフナインはハッとなり、この状況で疑わしいのが自分である事を、聡い彼女は即座に理解した。

 

「ち、違います! 僕は何も・・・・僕じゃありません!!」

 

『いいや、お前だよ、エルフナイン』

 

すぐにエルフナインは自分は違うと否定するのだが。

その時、どこからかキャロルの声が司令室に響くと、エルフナインの身体から投影されたように、立体映像のキャロルの姿が、司令室に現れた。

 

「「「っ!!?」」」

 

「キャロル・・・・!」

 

『一別以来だな、獅子座のレグルスよ・・・・』

 

「これは、一体・・・・!?」

 

「な、何で・・・・!?」

 

それに一同は驚愕し、レグルスはキャロルを睨み、キャロルはレグルスにだけ笑みを浮かべる。

 

「キャロル・・・・! そんな・・・・僕が、毒?」

 

 

ーマリアsideー

 

屋根の上からマリア達を見下ろすファラとガリィは、余裕綽々の笑みを浮かべながら声を発する。

 

「マスターが世界を分解する為には、どうしても必要なものが幾つかありましたの」

 

「その一つが、『魔剣ダインスレイブ』の欠片が奏でる『呪われた旋律』。それを奏者に歌わせ、身体に刻んで収拾する事が、ガリィ達オートスコアラーの使命だったのよ♪」

 

「では、イグナイトモジュールが・・・・!」

 

「バカな! エルフナインを疑える物かッ!!」

 

翼とマリアが、エルフナインの無実を訴える。

 

 

ーレグルスsideー

 

「一体、どういう事だ?」

 

レグルスがキャロルを睨み付けながら尋ねると彼女は不敵な笑みを浮かべ声を発する。

 

『とはいえ、エルフナイン自身は自分が仕込まれた毒であるとは知る由もない。俺が此奴の目を、耳を、感覚器官の全てを一方的にジャックして来たのだからな』

 

「僕の感覚器官が、勝手に・・・・!!」

 

事実を聞いたエルフナインは驚愕して、彼女は両手で目を覆い隠してしまう。

 

『同じ素体から作られたホムンクルス躯体だからこそできることだ。第一不審に思わなかったのか? アスプロスがわざわざエルフナインをお前達の所に逃がし、『ダインスレイブの欠片』を渡るようにしたのも、自らの存在を教えるだけではない。仕込まれた毒である事を隠して、能天気なお前らの懐に入り込みやすくするためだったのだ』

 

 

ー翼sideー

 

「シャトーは既にアスプロス様の思い通りに動く、でも稼働する為にはエネルギーが不足していたのよねぇ~☆」

 

「だから最初にマスターが、『呪われた旋律』を身に受ける事で譜面が作成されますの。後は貴女達装者にイグナイトモジュールを使わせば良い簡単なお仕事・・・・」

 

「全てが最初から仕組まれていたのかっ!?」

 

「「フフフフフ・・・・」」

 

翼の言葉に、ファラとガリィは笑みを浮かべた。

 

 

ーエルフナインsideー

 

「お願いです!! 僕を拘束してください!! 誰も接触できないよう独房にでも閉じ込めて!! いいえ、キャロルの企みを知らしめるという僕の目的は果たされています・・・・だからいっそ!!」

 

すべてはキャロルとアスプロスの思惑通りだった。

それを理解し、エルフナインは顔を青ざめさせ、目尻に涙を浮かべながら自分を拘束するように弦十郎達に必死に懇願した。

 

 

ーエルシドsideー 

 

「エルフナインが逃げられたのも、奴らの思惑だった・・・・!」

 

「くっ!」 

 

エルシドとアルバフィカも、苦虫を噛んだように渋面を作る。

 

「それではこの辺で・・・・」

 

「バイバ~イ☆」

 

ファラは周囲に粉塵のようなものを撒き散らして目眩ましをし、ガリィが懐から瓶を取り出し足元に叩きつけ、魔法陣が展開されて二人は転移した。

 

「『呪われた旋律』を手に入れれば、装者を生かす通りが無くなったと言うのっ!? だから、こちらの気を引くことをなめらかに・・・・!」

 

マリアは悔しそうに唇を噛み締める。

 

「イグナイトモジュールを使えば、奴らの思惑通りになるぞ」

 

「っ! 緒川さん本部に連絡を! イグナイトモジュールの使用を控えさせなければ!!」

 

アルバフィカに言われ、すぐに翼が緒川に本部に連絡を入れるように頼むが、通信機にノイズが走って、連絡が取れなかった。

 

「ダメです! 恐らくこの粉塵が・・・・!!」

 

「付近一体の通信を撹乱させたか。用意周到なことだ・・・・!」

 

エルシドが未だ氷が張っている地面を殴り、悪態をつく。

 

 

ーエルフナインsideー

 

場所は戻り、S.O.N.G.司令室では。

 

「だから、だから・・・・いっそ僕を・・・・!!」

 

泣きじゃくりながら、エルフナインは自分を拘束して欲しいと、弦十郎達に訴えるが・・・・。

 

「・・・・・・・・」 

 

弦十郎はそんなエルフナインの頭に、優しくソッと手を置いた。

 

「なら良かった! エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて・・・・」

 

「敵に利用されただけだもんな」

 

友里や藤尭はそう言いながら微笑み、エルフナインに向けて優しい言葉をかけ、弦十郎はエルフナインの頭をくしゃくしゃと撫でる。

 

「君の目的は、『キャロルの企み』を止めること。そいつを最後まで見届けること・・・・だからここにいろ」

 

同じように、レグルスもまたエルフナインに優しく微笑み、エルフナインに声をかける。

 

「誰に覗き見されようと構うものか!」

 

「は、はい・・・・!」

 

それを受け、エルフナインもまた笑みを浮かべ、レグルスはキャロルを見据える。

 

「残念だったなキャロル」

 

『チッ。使われるだけの分際で・・・・!』

 

そんな光景を見て、キャロルはつまらんと言いたげに舌打ちするが、キャロルはレグルスの方を見る。

 

『獅子座よ? このような甘い奴らと徒党を組んで、貴様は守れると思うのか? 止められると思うのか? 俺を? 俺達を?』

 

「・・・・確かに装者の皆も、S.O.N.G.も甘いって言えば甘いと思う事はあるよ。でも、エルフナインは仲間だ。仲間を信じられないような組織だなんて、それこそ何も成す事はできない烏合の衆だ!」

 

『そうか、あくまでもお前はそちら側に立つか?』

 

「ああ、止めるよ。キャロルも、アスプロスも、例え、“どんな結果”になっても、ね」

 

『フン』

 

迷い無い目で宣言するレグルスを見据え、投影されていたキャロルはそのまま消え去ってしまうのだった。

 

 

ーキャロルsideー

 

「獅子座よ。お前は私を理解してくれると思ったのだがな・・・・」

 

ボソッと呟くキャロルの頭を、アスプロスがソッと優しく手を置いた、するとキャロルの顔が年相応の笑みを浮かべて、アスプロスに寄り添う。

 

「気にするなキャロル。奴らがエルフナインを受け入れようが拘束しようが、こちらの優位は変わらんさ」

 

「うん、そうだね」

 

するとそこへ、キャロルが弦十郎達と話している間に、クリス達がなんとかキャロル達の元へと追いついた。

 

「ここまでよ、キャロル! 双子座のアスプロス!」

 

「さっきみたいには行くもんかデス!!」

 

調と切歌が、キャロル達を睨み付けながらそう言い放つのだが・・・・・・。

 

「だが既に、シャトー完成の『最後のパーツの代わり』は入手している」

 

「代わりと言うのは、『ネフェリムの細胞』をもつドクターウェルの事か?」

 

デジェルの問いかけにキャロルは答えず、代わりにアルカノイズを何十体も召喚した。

 

「ドクターは何処にいるデスかっ!?」

 

「アヤツならば、今シャトーで『新しい玩具』を作っているが。そんなに会いたかったのか? 存外人望が有ったようだな?」

 

「そんなん欠片も無いデェス! アイツが野放しになったら、また何の罪もない人達を、自分の身勝手な英雄願望の為に踏みにじるに決まっているデェス!!」

 

「あの人の自由になんてさせない・・・・! あの人の好き勝手にさせない・・・・! それが、あんな人に『フロンティア計画』を任せてしまった、私達の取るべき責任だから・・・・!」

 

アスプロスの言葉に切歌と調がそう返した。

『フロンティア事変』の際、ウェルのやり方で世界を救うしかないと考え、それに増長したウェルの暴走を止める事を出来なかった。

その結果、育ての親であるナスターシャ教授を死なせ、切歌と調はお互いに殺し合うような最悪の事態になってしまった。

切歌と調は同じ事を繰り返させない為にも、ウェルを野放しにしてはいけないと考えた。ここにはいないマリアも、同じ考えであろう。

 

「「「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」」」

 

装者達はシンフォギアクリスタルを手に取り、聖詠を歌い、シンフォギアを身に纏い、アルカノイズと交戦を始た。

一瞬でアスプロスに近づいたデジェルとマニゴルドが拳を、カルディアが蹴りを放つが、アスプロスは腕で拳を、足で蹴りを防ぎ、交戦を始めた。

 

「さすがに、黄金聖闘士3人と戦うには、分が悪いな」

 

アスプロスの頭上の空間が割れると、『双子座の黄金聖衣』が現れ、分割されてアスプロスの身に纏った。

 

「「「っっ!」」」

 

デジェル達3人も、気を引き締めた。

 

 

ーレグルスsideー

 

モニターに映る一同の戦い、その中で、アスプロスが聖衣を纏ったのを見て、レグルスも自分が行かねばと思ったその瞬間ーーー。

 

ビキビキビキビキ!

 

「っ!」

 

レグルスの真後ろの空間がレグルスの等身大の大きさに砕けるとそこから現れた手に首根っこを掴まれ、レグルスは引き込まれた。

 

「レグルスくん!」

 

「レグルスさんっ!」

 

弦十郎とエルフナインが叫ぶか、レグルスを引き込んだ空間は瞬時に元通りになった。

 

 

ークリスsideー

 

最大火力を使えない為、小型銃のアームドギアでアルカノイズを撃ち抜くが、クリスの前に『土の自然闘衣<エレメントローブ>』を纏うレイアが立ち塞がる。

 

「水瓶座の代わりに相手になってもらう」

 

「ちょせぇんだよっ!!」

 

レイアはコインを重ねて作り宝石のような鉱物に包まれたトンファーのような武器に、両手に持って使い、クリスに向かって殴りかかる。

それをクリスは銃で右手の銃で受け流し、左手の銃で銃弾を撃ち込むのだが、レイアはそれを身体を捻るようにして回避し、再びトンファーを振るう。

 

「くっ・・・・!」

 

「・・・・・・・・」

 

それをクリスはなんとか後退して回避し、銃弾を何発も浴びせようとするが、レイアはダンスのような動きで銃弾を全て回避し、巨大な岩石のような鉱物を床から生やし、飛びかかってきたクリスを突き飛ばした。

 

「後は私とアスプロス様、それと間も無く到着する妹で対処します」

 

「オートスコアラーの務めを・・・・」 

 

レイアはキャロルの元へと駆け寄ってそれだけを言うとキャロルもそれだけ言い、レイアは頷く。

 

「派手に果たしてみせましょう」

 

そのままキャロルが瓶を床に投げつけると足下に巨大な紋章が現れ、キャロルは転移して消え去ってしまう。 

 

「待ちやがれ!!」

 

クリスはキャロルを引き止めようとするのだが、レイアが立ち塞がり、トンファーでクリスの顔を殴りつけ、殴り飛ばす。

 

「ぐあああっ!」

 

「マズいデス! 大火力が使えないからって飛び出すのは!!」

 

「ダメ! 流れが淀む・・・・!」

 

「っ、クリス!!」

 

デジェルがクリスの元へと駆け寄ろうとするが、一瞬でアスプロスがソッとデジェルの腹部に手を当てるとーーー。

 

「ぐぉああああああああああっ!!!」

 

その箇所が光り出し、デジェルの身体が吹き飛び、天井に叩きつけられ、床に落下した。

 

「デジェルっ!」

 

「野郎っ!!」

 

マニゴルドとカルディアがアスプロスに向かうが、アスプロスは二人の攻撃を余裕で防いでいった。

レイアはコインと宝石の弾丸を機関銃のように撃ちだして、切歌と調を攻撃する。

 

「うぅっ!」

 

「あああっ!」

 

「フッ!!」

 

「「え? あぁあああっ!!」」

 

レイアは巨大化したコインを放ち、そのコインで二人を挟み込んだ!

 

「切歌っ!!」

 

「調っ!!」

 

「女子供に気をそらしてしまうとはな、マニゴルド、カルディア?」

 

「「がっはぁ!!」」

 

切歌と調に気をそらした二人の頭を掴んだアスプロスが二人を床に叩きつけた!

 

「うっ、くっ・・・・! あっ・・・・!!」

 

そこで意識が朦朧としている中、倒れ込んでいたクリスがなんとか起き上がり顔を上げるとそこには、コインに挟み込まれてボロボロの状態で倒れている切歌と調の姿があり、クリスは目を見開く。

 

「っ・・・・! 一人ぼっちが、仲間とか友達とか先輩とか後輩なんて、求めちゃいけないんだ・・・・! でないと、でないと・・・・残酷な世界が皆を殺しちまって、本当の一人ぼっちになってしまう! なんで・・・・。世界はこんなにも残酷なのに・・・・。パパとママは歌で救おうとしたんだ・・・・。何でお兄ちゃんは守ろうとするんだ・・・・!」

 

クリスはこの惨状を見て、自分がこの二人に対して無理に先輩として振る舞おうとした結果なのかと、衝撃を受け、瞳から涙が零れ落ちる。クリスはその場に座り込みながら泣きじゃくる。

そんな彼女にレイアは容赦なくトンファーを振るい襲いかかって来る。

 

「滂沱と暇があれば、歌え! っ!?」

 

レイアが容赦なくトンファーを振るい襲いかかろうとするが、身体を“氷の鎖”が拘束した。

 

「氷の鎖、『フリージングチェーン』。少し大人しくしてもらう。マニゴルド、カルディア、任せるが・・・・!」

 

「・・・・行ってこいや、デジェル」

 

「あのじゃじゃ馬には、お前が必要だ・・・・!」

 

マニゴルドとカルディアが、自分達の頭を掴んだアスプロスの手首を掴んで起き上がる。

 

「ほぉ、相変わらずしぶといな?」

 

「へっ! 聖衣を纏っているからって、勝った気になるなよな・・・・!」

 

「聖闘士の戦いは・・・・!」

 

「「小宇宙<コスモ>で決まるんだよっ!!」」

 

二人が小宇宙を高めて、アスプロスと交戦を再開した。デジェルはクリスの方へと向かうと、クリスの身体を優しく抱き締める。

 

「お兄ちゃん・・・・ダメだよ私・・・・! お兄ちゃんみたいに自分の力で後輩達を守れなくて、私じゃ・・・・!!」

 

「・・・・クリス、あの子達はそんな風には思ってなどいない」

 

デジェルが視線をレイアに向けると、氷の鎖を宝石の弾丸で砕き、トンファーを振りかぶって襲い掛かるが。

切歌と調は、ボロボロの状態にながらも立ち上がり、レイアの繰り出す攻撃をアームドギアで防ぐ。

 

「一人じゃないデスよ!」

 

「未熟者で、半人前の私達だけど・・・・傍にいれば、誰かを一人ぼっちにさせないくらいは・・・・!!」

 

切歌と調はクリスに自分達の伝えたい言葉を伝える。

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ・・・・」

 

「私達は・・・・先輩が先輩でいてくれること、頼りにしてるのに・・・・!」

 

フラつきながらも切歌と調は自分達の想いをクリスに伝え、デジェルも話しかける。

 

「クリス。君は無理に後輩達に、先輩として接する必要なんてない・・・・!そのままの君で良い。少し素直じゃなくて、ちょっと不器用で、しかし歌が愛し、とても優しい心を持ったそんな雪音クリスが、いつものクリスが、私は、私達は大好きだ」

 

「っ、そっか・・・・私みたいなのでも先輩やれるとするならば、アイツらみたいな後輩がいてくれるから、なんだよね・・・・お兄ちゃん?」

 

クリスの言葉にデジェルは頷いて立ち上がり、涙を拭い去ったクリスも立ち上がる。

 

「もう怖くない! イグナイトモジュール! 抜剣!!」

 

クリスは胸部に装着されたクリスタルに手をかけ、それを取り外して空中へと投げるとそれが杭のような剣の形となり、それは彼女の胸部に突き刺さった。

 

「がぁあああああ!!! (アイツ等が! 私をギリギリ先輩にしてくれる!!そいつに応えられないなんて! 他の誰かが許しても、私様が許せねえってんだぁ!!)

 

そして、彼女の纏うイチイバルは黒く染まり、軽装な姿の『イグナイトモジュール』となった。

 

 

 

ーアスプロスsideー

 

マニゴルドとカルディアを壁に叩きつけたアスプロスは、見事成長したクリスに笑みを浮かべる。がーーー。

 

「ほぉ、イチイバルも成長したか、これならば天羽々斬も成長したのやも・・・・っっ!」

 

「ハァアアアアッ!!」

 

その頭上から、レグルスを拳を振りかぶって来るが、アスプロスは寸前で回避し、レグルスの拳が床を砕く。

 

「レグルス・・・・!」

 

「アスプロス・・・・!」

 

レグルスはキッとアスプロスを睨むと、光速の拳を突き出し、アスプロスはその拳を受け止めようとした。

 

 

ークリスsideー

 

「レグルス? どうやってここに?」

 

「お兄ちゃん。アタシは大丈夫だよ。だから向こうを・・・・」

 

「ああ、分かった。クリス」

 

「?」

 

「聴かせてくれよ」

 

「うん。聴いてて! ♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

歌を口ずさみ、クロスボウのアームドギアからクリスは矢をレイアに向かって放つが、レイアはトンファーを回転させて防ぎ後ろに飛ぶ。

クリスはクロスボウから拳銃に変形させ、トンファーを持ってクリスに向かって来るレイアの振りかざすトンファーは避けながら、アームドギアの弾丸を撃ち込むも、レイアも見事にかわしていく。

 

「(失うことの怖さから、折角掴んだ強さも暖かさも全部・・・・。手放そうとしていた私を止めてくれたのは・・・・!!)」

 

クリスは一瞬、切歌と調の姿を見つめる。

 

「(そして、お兄ちゃんが・・・・!)」

 

一瞬、クリスはレグルスが離れ、アスプロスと交戦するデジェルの方に視線を向けると、それに気づいたデジェルはアスプロスに『ダイヤモンドダスト』を放ちながら、一瞬クリスに笑みを見せる。

 

「っ♪~♪~♪~♪~♪~♪!!」

 

「ライフルで?」

 

笑みで返したクリスは後方に大きく跳び、アームドギアをライフルに変形させた『RED HOT BLAZE』を発動させ、レイアは撃つと考えたが・・・・。

 

「殴るんだよっ!!」

 

「なっ!?」

 

ライフルを打撃武器として使い、レイアの頭を思いっきりクリスは殴ったのだ。

 

「(先輩と後輩、この絆は世界がくれたもの! 世界は大切なものを奪うけれど、大切なものをくれたりもする! そうか、パパとママは・・・・少しでも貰えるものを多くするため・・・・歌で平和を・・・・! そんな世界を守る為に、お兄ちゃん達は戦うんだ・・・・!)」

 

クリスは空かさず背部に形成した固定式射出器に大型ミサイルを左右に各1基、計2基を連装して生成し、射出する『MEGA DETH FUGA』をレイアに向かってミサイル1発目を発射した。

その一瞬、クリスはデジェルと目が合った。

 

「くっ!」

 

レイアは後退しながらレイアはなんとかトンファーでミサイルを破壊する。

 

 

ーデジェルsideー

 

「っ! レグルス!!」

 

「ぃよし!」

 

クリスの意図を察したデジェルはレグルスの隣り合わせになり、小宇宙を高め、アスプロスに向けて拳を突き出す!

 

「『ライトニングプラズマ』!!」

 

「『ダイヤモンドダスト』!!」

 

放たれた雷光と氷雪は混じり合い、1つとなって、アスプロスを捉えた。

 

「くっ、ぬぉおおおおっ!!」

 

さすがのアスプロスも、二人の連携技に吹き飛ばされ、レグルスとデジェルは瞬時にマニゴルドとカルディアをそれぞれ担いでその場を離れた。

 

 

ークリスsideー

 

「諸共に巻き込むつもりか・・・・!?」

 

しかし、クリスは2発目のミサイルを発射し、ミサイルの上に乗ってレイアに向かって行く!

 

「デェェェェェス!!」

 

切歌のギアからワイヤーを射出し、クリスの身体に巻き付ける。

レイアはニヤリと笑みを浮かべると、ミサイルに直撃し、爆発した。

 

「スイッチの位置は覚えてる!!」

 

調はアームドギアから小さな鋸を射出し、隔壁のスイッチを押し、隔壁を閉じる寸前、クリスと聖闘士達が入り込み、切歌と調の近くに着地すると、隔壁の向こうで爆発音が響いた。

 

「やったデス!」

 

「即興のコンビネーションで、全くもってムチャクチャ・・・・・・」

 

「その無茶は、頼もしい後輩がいてくれてこそだ」

 

クリスは笑みを浮かべてそう言いながら、切歌と調の手を握りしめる。

 

「ありがとな」

 

それに切歌と調も嬉しくなり、二人の顔に笑みが浮かぶ。

 

「いやぁ良かった良かった」

 

「レグルス、お前は何故ここにいるんだ?」

 

「あぁ実はね・・・・」

 

と、レグルスが説明しようとした瞬間、建物が揺れ始めた。

 

《『深淵の竜宮』の被害拡大! 皆のいる位置付近より、圧壊しつつあります!》

 

《この海域に急速接近する巨大な物体を確認! これはっ!》

 

《いつかの人型兵器かっ!?》

 

「どうやら、急いで脱出した方が良いな」

 

デジェルの言葉にクリス達も頷き、一同は竜宮からの脱出しようとするが。レグルスが通信機で弦十郎に向けて声を発する。

 

「弦十郎、すぐに本部を浮上させて」

 

《なにっ!?》

 

「こっちは何とかなるから! 急いで!!」

 

レグルスが弦十郎にそう言った瞬間、全員のいる区画の景色、イヤ、空間が砕け、すぐに景色が元通りになるとそこは、本部の司令室だった。

 

『なっ!!?』

 

レグルスを除く一同が驚くが。

浮上した本部に巨大人型、レイアの姿を歪にし、包帯まみれにした『レイアの妹』が、本部の船体にその巨大な腕を振り下ろして叩き潰した!

本部の指令部をパージして離れるが、その衝撃で指令室は大きく揺れ、非常電源が照らす。

 

『うわぁああああああ!!!』

 

天井の設られた設備が剥がれ落ち、友里に向かって落下する!

 

「危ないっ!!」

 

エルフナインが友里に向かうと、金色のオーラがエルフナインを包む。

 

 

ー???sideー

 

『・・・・・・・・』

 

『レイアの妹』が、本部を追撃しようとしたが、突如目の前の空間が人間1人分の大きさに割れると、そこに1人の男性が現れた。

 

「・・・・・・・・」

 

男性は静かに『レイアの妹』を見据えると、両手を交差させて叫ぶ。

 

「『ギャラクシアンエクスプロージョン』!!!」

 

男性の背後の景色が宇宙空間になり、“銀河の星々が爆裂した背景”が展開されると、『レイアの妹』もまた、星々のように砕け散った!

 

 

ーアスプロスsideー

 

クリスの放ったミサイルの爆炎が晴れるとそこには、双子座のアスプロスと、『土の自然闘衣<エレメントローブ>』を纏ったレイアが悠然と立っていた。

 

「レイア。どうだ?」

 

「損害軽微、『自然闘衣<エレメントローブ>』の防御力には感嘆します」

 

「フフフ、防御力も問題無しか、お陰で“エネルギーだけ”が手に入り、こちらの戦力はダメージ無し・・・・ん?」

 

崩れる『深淵の竜宮』の天井を見上げるアスプロス。

 

「アスプロス様?」

 

「・・・・レイア、戻るぞ」

 

「了解」

 

レイアは懐から瓶を取り出し、足元に叩きつけて割ると、転移魔法陣が展開され、二人はゆっくりと沈んでいく。

アスプロスは天井を見上げ、愉快そうに笑みを浮かべて呟く。

 

「運命とはまさに数奇。そしてこの世界もまた、つくづく残酷だな? そう思うだろう?・・・・・・・・『デフテロス』よ??」

 

そう呟き、二人の姿は『深淵の竜宮』から消えた。

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