聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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今回はあまりストーリーが進みません。ごめんなさい。


『生命』への……

学校に登校した響は弦十郎からの連絡を聞いていた。今日の未明にノイズのと『イチイバル』の反応があったのだ。

 

「てことは師匠。クリスちゃんがノイズと戦ったって事でしょうか?」

 

『そうだろうな』

 

「・・・・・・」

 

『どうした?』

 

「あの子、『戻るところ』ないんじゃないかって」

 

『・・・そうかもな、だが彼女に味方している黄金聖闘士がいるんだ、『一人ぼっち』と言うことはないだろう』

 

「水瓶座のデジェルさんですね」

 

『あぁ、この件についてははこちらで捜査を引き続き行う、響君は指示があるまで待機していてほしい』

 

「はい、分かりました」

 

電話を切った響は教室に入り、自分の席を見るがそこに自分より早く寮を出た筈の未来の姿がなかった。

 

創世と詩織と弓美も未来の不在を心配する。創世は響達の不仲を茶化した責任を感じ、弓美はアニメだったらどうすればとずれた考えを詩織がツッコム。響は友人達の姿に笑うが直ぐに顔を俯かせ。

 

「(未来、このままなんて、私嫌だよ・・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその未来は、先程助けたクリスを『お好み焼き店 フラワー』に運び、布団で寝込んだクリスの介抱をしていた。苦しそうに呻くクリスの額に置かれたタオルを取り冷や水で冷やす。

 

「・・・・・・はっ?!」(ガバ!)

 

目を覚ましたクリスが起き上がる。

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ(お兄ちゃん、お兄ちゃん何処?)」

 

知らない部屋と周りの状況がいまいち掴めないクリスはデジェルを求めて辺りをキョロキョロする。その姿に未来は微笑み。

 

「良かった、目が覚めたのね。びしょ濡れだったから着替えさせてもらったわ」

 

クリスの身体には未来の体操着を着せられていた。サイズは大丈夫だったようだが胸囲に差があるのか胸元の『小日向』と張られた部分がパッツパッツとなっていた。

 

「か、勝手なことを!」

 

「/////!?」

 

立ち上がったクリスだが『下』は着てなかった。

 

「!?何でだ?!」

 

「流石に下着の替えまでは持ってなかったから・・・」

 

思わず目を閉じて顔をそらす未来。クリスは掛け布団でくるまった。

 

「未来ちゃん!どう、お友達の具合は?」

 

洗濯篭を持った店主のおばちゃんがきた。

 

「目か覚めたところです。ありがとうおばちゃん、布団まで貸して貰っちゃって」

 

「気にしないでいいんだよ。おばちゃんもこんなに良い男とお近づきになれたんだから♪」

 

「いえいえご店主殿、お世話になっているのですから当然の事をしたまでです」

 

おばちゃんの後ろからデジェルがにこやかに現れた。

 

「お兄!じゃなくて、デジェルにぃ!なにしてんだよ?!」

 

「あぁクリス、良かった目が覚めたのだな。いやお世話になっているから掃除や重い荷物運びとかをしているんだ」

 

「デジェル君は頼りになるね。あたしも十年若かったらほっとかなかったよ、こんな良い男」

 

「それは少し残念でした。若かりしご店主殿はきっと素敵な女性だったでしょうね」

 

「あらお上手だね、でもあんまりそう言うこと言うと、ほらあの子が焼き餅妬いてるよ」

 

「・・・・・・・・・(む~~~~!)」

 

「(うわ~)」

 

くるまったクリスが涙目でむくれ。「お兄ちゃん!何にこやかに話なんてしてんだよ!あたしってもんがありながら!この浮気者!!」と言わんばかりに睨み未来は苦笑いを浮かべていた。

 

「アハハ・・・」

 

「あ、お洋服。洗濯しておいたから♪」

 

「えっ?」

 

「私、手伝います」

 

「あら、ありがとう」

 

「いえ」

 

「・・・・・・」

 

「不思議だろ、見ず知らずの相手にあんな風に接するなんてな」

 

「・・・デジェルにぃ」

 

「疲れが出たのだろう?もう少し休んでいなさい。ノイズが現れたら私が始末しておく」

 

「うん・・・・・・」

 

頭を撫でてくるデジェルの胸元に頭を刷り寄せるクリス。

 

クリスの汗まみれの身体を拭く未来。デジェルは部屋の外に立っていた。そんなデジェルにアスミタが近づいた。

 

「あの少女が奏者と呼ばれるこの世界の守護者か?」

 

「嫌、クリスは確かに奏者だが守護者ではない」

 

「フム、成る程。『戦う理由』を見失い自分はこれからどうすべきかわからず迷走しているところか?」

 

「そんなところだ」

 

「デジェルよ、君はどうなのだ?」

 

「私は、クリスの生きる『未来』をクリスが生きる『世界』を守りたい。それが私の『戦う理由』、そしてあの子のご両親の墓前で誓ったのだ」

 

「・・・・・・デジェルよ。変わったな。良い意味で」

 

「ん、そうか?ところでアスミタ、頼みがあるのだ」

 

「?」

 

部屋の中ではクリスが未来に話しをしていた。

 

「あ、ありがとう」

 

「うん」

 

クリスの白い背中には痣が無数にあった。

 

「何にも聞かないんだな・・・」

 

「・・・・・・うん」

 

二人の空気が少し重くなった。

 

「私は、『そうゆうの』苦手みたい。今までの関係を壊したくなくて、なのに一番大切なモノを壊してしまった」

 

「それって、誰かと喧嘩したってことなのか?」

 

「うん・・・」

 

未来の脳裏に『親友』の顔が浮かんだ。

 

 

 

 

場所は変わり屋上で響は未来の事を思っていた。

 

「未来・・・無断欠席するなんて一度もなかったのに・・・あっ!」

 

屋上の扉に目を向けると松葉杖で歩く翼が現れた。

 

「翼さん、無事だったんですね!私てっきりエルシドさんに殺されてるんじゃないかと」

 

「心配をかけてすまない立花。何度か走馬灯を飛び越えて前世まで見えたがこの通り無事だ」

 

「いや、それ全然大丈夫じゃなかったんじゃ。てか前世が見えたって前世何だったんですか?!」

 

なんて馬鹿話はあったが屋上のベンチに座る二人。

 

「私、自分なりに『覚悟』を決めたつもりだったんです。『守りたいモノ』を守るため、シンフォギアの戦士になるんだって。でもダメですね。小さな事で気持ちが乱されて、なにも手につけません。私、もっと強くならなきゃいけないのに。変わりたいのに」

 

自分のダメな所を翼に吐露する響。だが翼は。

 

「その『小さなモノ』が立花の本当に『守りたいモノ』だとしたら、今のままでも良いんじゃないかな?立花はきっと立花のまま強くなれる」

 

「翼さん・・・」

 

「私はエルシドやレグルスの様に強くないし、奏の様に人を元気づけるのは難しいな」

 

「いえ、そんなことありません。前にもここで同じような言葉で親友に励まされたんです!それでも私はまた落ち込んじゃいました。ダメですよねー」

 

そう言って、空を眺める響の顔は晴れやかだった。それを見て翼も笑う。

 

響は『絶唱』を使った翼の身体を心配する。翼は『絶唱』を使い本来なら死んでても可笑しくなかった負荷がこの程度で済んだことを話し、『絶唱』を『滅びの歌』と称した。だがそれは『自分の歌』をも『滅びの歌』と称するも同然だった。だが響は。

 

「『絶唱』、『滅びの歌』。でも!でもですね翼さん!二年前、私が辛いリハビリを乗り越えられたのは、翼さんの『歌』に励まされたからです!翼さんの『歌』が『滅びの歌』だけじゃないってことを聞く人に『元気』をくれる事を私は知っています!」

 

「立花・・・」

 

「だから早く元気になってください!私、翼さんの歌、大好きです!」

 

「・・・・・・フッ、私が励まされたようだな」

 

「えっ?あれ?」

 

翼と響は初めて『仲間』らしい行動を取った。

 

 

 

その頃未来は、服も乾き着替え始めたクリスに喧嘩の事を話す。

 

「喧嘩か・・・あたしにはよく分からない事だな」

 

「友達と喧嘩、もしくはあのお兄さんと喧嘩したことないの?」

 

「・・・友達いないんだ、デジェルにぃともこの間再会したばかりだし」

 

「え?」

 

クリスは淡々と話す。

 

「『地球の裏側』でパパとママを殺されたあたしはずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃなかった」

 

「そんな・・・」

 

「理解してくれると思った人もあたしを『道具』の様に扱うばかりだった。誰もまともに相手してくれなかったのさ。大人はどいつもこいつもグズ揃いだ。痛いと言っても聞いてくれなかった、やめてと言っても聞いてくれなかった、私の話なんてこれぽっちも聞いてくれなかった」

 

そう言うクリスの瞳には怒りに揺れていた。

 

「ごめんなさい・・・・・・」

 

辛い過去を話させた未来は謝罪する。

 

「なぁ、お前その喧嘩の相手ぶっ飛ばしちまいな」

 

「えっ?」

 

「どっちが強えのかハッキリさせればそれで終了。とっとと仲直り、そうだろ?」

 

「できないよ、そんなこと」

 

「ふん、わっかんねぇな」

 

「でも、ありがとう」

 

「ん?私は何にもしてないぞ」

 

「ううん、ホントにありがとう、気遣ってくれて、えっと・・・」

 

「クリス、雪音クリスだ」

 

「優しいんだねクリスは」

 

「・・・そうか?」

 

「私は小日向未来。もしもクリスが良いのなら私はクリスの友達になりたい」

 

クリスの手をとる未来。だがクリスはその手を振り払い。

 

「私はお前達に酷いことをしたんだぞ・・・」

 

「自身の行った事を悔い改めようとしているならまだマシな方だ」

 

「?!デジェルにぃ・・・」

 

「アスミタさん・・・」

 

デジェルに連れられたアスミタがクリスの前で結跏趺坐<座禅>をとる。

 

「デジェルにぃ、誰こいつ?」

 

「アスミタ、ここで居候させてもらっている僧つまりお坊さんだ」

 

「んだよ、坊さんがあたしにありがたーいお説教でもしようって言うのかよ」

 

「クリスやめて、アスミタさんは『目が見えない』の」

 

「えっ?」

 

アスミタはクリスに向けて目を少し開く。その目には光が宿ってない事をクリスは理解した。

 

「あぁその・・・」

 

「気にするな、この目は生来目が見えぬが人間とは不思議な生き物だ。五感の内の一つが無くなればそれを補うために他の感覚が発達するのだ。私の場合は『人の感情』が私の意思とは関係なく私の中に伝わってしまうのだ」

 

「『人の感情』が?」

 

「さよう。先程の小日向未来はまるで『泣いていた』が今はどうやら大丈夫のようだ」

 

「(私の感情がアスミタさんに?)」

 

「そして君は・・・成る程、一人暗い夜道を歩いて迷子になっている所か・・・」

 

「?!」

 

「だが、デジェルがいるゆえに一人ぼっちではない分マシな方か、しかも君はデジェルの事を・・・」

 

「や、やめろ!そこはまだデリケートな所だ!//////」

 

顔を赤くしたクリスがアスミタを止める。

 

「んで、その『人の感情』が入っちまう坊さんがあたしに何の用だよ」

 

「何、デジェルに頼まれてな。この世は『不条理』で『理不尽』で『諸行無常』な世の中だ。そんな『無常』の世で死した人達を、君のご両親を弔おうと思ってな」

 

「?!何だよそれ・・・同情かよ・・・坊さんが経を読んだくらいで救われるって言いたいのかよ!」

 

なにも知らないアスミタが自身の両親を勝手に供養しようとしている。それがクリスには我慢ならなかった。

 

「確かに、坊主の経で誰かが救われることは無いかもしれぬ。私は『神』でもなければ『聖人』でもない。だがせめて、理不尽に命を奪われた人達が少しでも心穏やかに逝けるよう、弔ってやりたいのだ」

 

どこか穏やかなアスミタの言葉をクリスと未来は何も言えなかった。

 

「クリス、せめて経をあげて弔ってあげたいんだ。君のご両親をあの日に死んだ皆を」

 

「デジェルにぃ・・・わかったよ」

 

「小日向未来君、君も聞いておいても良いだろう」

 

「えっ?あ・・・はい」

 

デジェルとクリスと未来は座り、アスミタの経を聞く。

 

「では、『死した者達』と『生きる者達』に・・・・・・」

 

そして、アスミタは唄う。

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

静寂に包まれアスミタの声だけしかない場で、クリスが、未来は泣いた。いつの間にか二人の頬に涙が流れていた。

 

クリスの脳裏に優しい父と母が自分に向けて愛しそうに微笑み。

 

未来の脳裏に響との宝石よりも輝く思い出が次々とフラッシュバックした。

 

そしてデジェルもまた、今は亡き恩師を友を愛した人の姿が脳裏に甦る。

 

一点の曇りもない清んだ声、心に染みる読経の声、死した生命に対する『慈愛』と『慈しみ』と『悼め』に満ちた声。まるで『歌』のような声を三人は一言一句聞き漏らさぬよう聞いた。やがて経が終わるがクリスと未来は涙が溢れ出て止まらなかった。

 

 

「うっ・・・うぅっ・・・」

 

「ひっく・・あぁ・・・」

 

「ありがとう。アスミタ」

 

「礼を言われる事はしたつもりはない」

 

アスミタは立ち上がり、部屋から出ようとする。

 

「ま、待って!」

 

「・・・・・・」

 

思わずクリスはアスミタを呼び止める。

 

「・・・・・・」

 

「あ、ありがとう・・・・ありがとう・・・」

 

止めどなく流れる涙を拭き取り嗚咽を漏らしながらクリスはアスミタに感謝の言葉を送る。それしか浮かばなかったからだ。両親の姿が目の前に現れた。両親を悼めてくれた。その事にクリスの心は感謝で一杯になった。

 

「アスミタ、良くクリスを救ってくれる気になってくれた。感謝する」

 

「その少女が似ていたからかもな。口が悪く、態度も悪い、あの『跳ねっ返りのペガサス』にな」

 

デジェルの脳裏に自分たちのいた世界で起きた『聖戦』で誰よりも傷つき、辛い思いをした『ペガサスの少年』が浮かんだ。

 

「フッそうだな・・・」

 

ウーウーウーウー!

 

『!!??』

 

突然鳴り響いたサイレンが四人を現実へ引き戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

因みにデジェルの私服は聖闘士星矢Ωの狼座のハルトが着ていた服をイメージしてください。
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