聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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リアルが忙しく、投稿できず申し訳ありません。


穏やかな一時

廃マンションの最上階の一室に雪音クリスとデジェルが身を寄せあって毛布にくるまっていた。周りには空のコンビニ弁当や飲み物が入ったゴミ袋が置いてあった。

 

「クリス、私が一緒だと寒いんじゃないか?」

 

「良いんだよ、お兄ちゃんとこうしてれば寒くないし////」

 

顔を赤らめながらデジェルに寄り添うクリス。デジェルも微笑みながらクリスを抱き寄せ白銀に輝く髪を優しく撫でるが。

 

グゥゥゥ~!

 

クリスのお腹から聞こえた腹の虫でムードが壊れた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「////////」

 

 

沈黙・・・・・・。

 

 

ガチャ

 

「「?!」」

 

突然扉が開く音が聞こえ毛布を脱ぎ捨て警戒する。部屋の廊下を覗こうとするクリスの目の前に。

 

「ほらよ」

 

「?!」

 

「(風鳴司令?)」

 

コンビニ袋を片手に弦十郎が部屋に入ってきた。

 

「二人っきりの時に失礼したな。だが応援は呼んでいない俺一人だ」

 

警戒心剥き出しで構えるクリスをデジェルが片手で制し。弦十郎は口を開く。

 

「君達の保護を命じられたのはもう俺一人になってしまったからな」

 

「何故ここがわかったのですか?」

 

「元公安の御用機関でね、慣れた仕事さ」

 

弦十郎は持っていたコンビニ袋を差し出した。

 

「差し入れだ」

 

グゥゥゥ~。

 

クリスの腹は空腹を訴えたがクリスは構わず警戒していた。見かねたデジェルは弦十郎に近づき。

 

「ありがたく」

 

「うむ」

 

デジェルは袋からアンパンを取りだし一口食べる。

 

「デジェル兄ッ!」

 

何か盛られているのかと警戒していたクリスだがデジェルはお構いなしに咀嚼する。

 

「大丈夫だ、毒は入っていない」

 

そう言ってデジェルはアンパンを二つに割りクリスに渡す。デジェル兄が大丈夫と言うならと考えアンパンを受け取り食べるクリス。デジェルは弦十郎から牛乳を受け取り毒味した後クリスに渡す。

 

「バイオリン奏者の雪音正典とその妻吹奏楽家のソレッド・M・雪音が難民救済のNGO活動中に戦火に巻き込まれて死亡したのが八年前。残った一人娘も行方不明になった。その後、国連軍のバルベルデ介入によって事態は急転する。現地の組織に捕らわれていた娘は発見されて保護、日本に移送されることになった」

 

「よく調べているじゃねえか。そうゆう詮索はヘドが出る!」

 

敵意満々の瞳で弦十郎を見るクリス、デジェルが間に入らなければ殴り掛かっていきそうな勢いだ。

 

「当時の俺達は“適合者”を探すために音楽界のサラブレッドに注目していてね。天涯孤独となった少女の身元引き受け先として手を上げたのさ。所が少女は帰国直後に消息不明、俺達も慌てたよ。二課からも相当数の捜査員が駆り出されたがこの件に関わった多くの者が死亡。或いは行方不明と言う最悪の結末で幕を引くことになった」

 

「(恐らく捜査員達はフィーネに始末されたのだろうな。フィーネは自分の意のままに動く“駒”としてクリスを利用しようとしたのだろう)」

 

弦十郎からの当時の話を聞きこの件にフィーネが関わっていたと推察するデジェル。

 

「何がしたいオッサン!」

 

「俺がやりたいのは君を救い出すことだ」

 

「!!」

 

「引き受けた仕事をやり遂げるのは“大人の務め”だからな」

 

確固たる決意を持った眼でクリスを見つめる弦十郎。だがクリスは嘲笑し。

 

「フン!“大人の務め”と来たか、余計な事以外はいつもなにもしてくれない大人が偉そうに!!」

 

牛乳パックを叩きつけ窓をぶち破り外に出る落下しながらイチイバルを纏いビルを飛び越えながら何処かに去るクリス。それを見つめる弦十郎にデジェルが話しかける。

 

「すまない風鳴司令」

 

「いや、彼女が大人を信じられなくなったのも無理はない・・・・・・俺達も君のように彼女を探し続けていればこんなことには・・・」

 

「ですが、捜査員の更なる犠牲が生まれていたでしょう。“何かを『守るため』には何かを『切り捨てなければ』ならない”。その“判断”や“責任”を背負うのも“大人の務め”と言えるでしょう。組織を背負う長として風鳴司令の判断は間違っていません」

 

「だがそれは“組織”の弱点と言えるがな」

 

「だからこそ“身軽”な私だからこそできることがあります」

 

「八年もの間、彼女を探してゲリラやら武器商人やらと大喧嘩してきた男が言うと説得力あるな」

 

弦十郎の言葉にデジェルはフッと笑みを浮かべクリスの後を追うとする。

 

「デジェル君、君は二課には来ないのか?」

 

「・・・・・・風鳴司令。一つ言っておきます」

 

「・・・」

 

「“獅子心中に虫あり”」

 

「?!」

 

「では」

 

そう言ってビルの上を飛び越えながら(聖衣を纏わず)クリスを追うデジェル。弦十郎はデジェルから言われた言葉を噛み締めていた。

 

 

 

 

 

 

弦十郎から離れ電柱の上に立っているクリス。

 

「(あたしは何を・・・・・・)」

 

まだ迷いの中にいるクリスをデジェルはお姫様抱っこする。

 

「?!」

 

「クリス、何があっても私は君のそばにいる。一人で苦しまなくていいんだ」

 

そう言って抱き寄せるデジェル。

 

「お兄ちゃん・・・」

 

安心した笑みを浮かべたクリスはデジェルの胸板に頭を寄せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、公園で響達を待つ翼とエルシドとレグルス。

 

「あの子達は何をやってるのよ」

 

翼は腕時計を見て憤然としていた。

 

「ん」

 

「お、来た来た♪」

 

息切れしながら響と未来がやって来た。

 

「すみません!」

 

「遅いわよ!」

 

「申し訳ありません。お察しの事とは思いますが響のいつもの寝坊が原因でして」

 

顔を上げた響と未来は翼達の服装を見た。翼は上は蒼のジャケットに白のキャミソール、下は短パンにヒールつきのサンダルに太ももまで届く靴下、手提げバックに女性用の帽子を着用。

 

エルシドは黒のインナーTシャツに茶色の革ジャンにジーンズを着用。更にサングラスも装備。

 

レグルスも脛位の丈のジーンズに無地のTシャツに白と黄色のツートンカラーのパーカーを着用。

 

余談だがエルシドとレグルスは普段のコートでは目立つので黒スーツとサングラスで出掛けようとしたが悪目立ちするので緒川に止められコーディネートされたのは割愛しておく。

 

「時間が勿体ないわ。急ぎましょ」

 

そう言って先に行く翼とエルシド。

 

「どう思う響?あの翼の格好(笑)」

 

「スッゴい楽しみにしていた人みたいだ・・・」

 

未来と一緒に呆然としていた響は思わず呟く。すると翼がピタッと止まり。

 

「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!!//////」

 

顔を赤くして怒鳴る。エルシドは表情が読めないが弱冠肩が揺れていた。

 

「翼イヤーは難とやら・・・」

 

「地獄耳だな~」

 

ショッピングモールに着いた一同はショッピング開始した。

 

可愛いキャラクターのマグカップとかが売られている店を覗いたり。

 

映画を見て涙を流す響と未来と翼、レグルスは初めて見る映画に興味津々。エルシドは涙は流していないが食い入るように鑑賞し。

 

ソフトクリーム店でレグルスが両手に全種類のアイスを持って食べて響は羨ましそうにし未来と翼は苦笑いを浮かべエルシドは呆れていた。

 

女性用洋服店で女性陣がファッションショーを繰り広げ拍手を送る男コンビ(普通男性は居心地が悪くなるのだがエルシドとレグルスは全く気にしてなかった)。

 

途中、翼の正体に気づかれそうになって隠れたり。

 

チャラい男達が近づきそうになったらエルシドが威嚇(睨んだだけ)して追い返したり。ショッピングをかなり楽しんでいた。

 

そしてゲーセンに立ち寄った一同はクレーンゲームを始め翼が所望のぬいぐるみを響が取ろうとするが全く取れずついにヤケクソになった響がクレーンゲームを壊そうとするが未来と翼に止められた。響がやってるのを見てやり方を覚えたレグルスがぬいぐるみを全部取ってしまい響から「この天才系め!」と僻まれたり(ぬいぐるみは翼と未来と響が欲しそうなやつを渡し後は店に返した)。エルシドが『太鼓の◯人』と言うゲームで連続で本日の最高得点を叩きだし『太鼓の超人』と言う称号を得た(因みに翼達は太鼓を叩くエルシドの姿が全く違和感が無いことに驚いた)。

 

 

そして一同はカラオケに行く。

 

「おおおお!!凄い!私達ってば凄い!トップアーティストと一緒にカラオケに来るなんて!」

 

響は大いにはしゃいだ。すると音楽が流れ翼が演歌を歌い始めた。

 

「渋い・・・」

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

しかもめっちゃ上手い。

 

「翼さん、カッコいい!」

 

「なぁエルシド、翼って」

 

「あいつはどちらかと言うと演歌の方が好きだからな」

 

翼の歌が終わり次は誰が歌うのかでレグルスが歌いだした。

 

「♪~♪~♪~♪~♪」

 

「レグルス君上手い!」

 

「うん何か爽やかな雰囲気の歌だね」

 

「いつの間に歌なんて覚えたんだ?」

 

「そう言えばこの間藤尭殿から色々CDを借りていたな」

 

そして次はエルシドが歌うと言い出し一同はドヨッとなって集まり。

 

「エルシドさんが歌を歌うって!?」

 

「一体何の歌を歌うんだろう?翼さんみたいな演歌系?」

 

「いやもしかするとロック系かもしれん」

 

「いや意表をついてポップ系だったりして?」

 

そして音楽が流れ。

 

「う~さぎ♪お~いし♪かのやま~♪」

 

「「「「(民謡ッッ??!!)」」」」

 

以外や以外の民謡を歌いだしたので全員笑いを必死に堪えようと相当の胆力を使った。因みにエルシドの民謡がトップアーティストの翼と並ぶ点数を叩きだして一同を驚かせたのはエルシドが歌い終わってすぐだった。

 

 

夕暮れ時、一同は街を一望できる丘へ向かったが翼は階段の途中でへばっていた。

 

「体力と精神力が鬼のエルシドとレグルスは兎も角、二人ともどうしてそんなに元気なんだ?」

 

「翼さんがへばりすぎなんですよ」

 

「今日は慣れないことばかりだったから」

 

ようやく上り終えた翼は。

 

「“防人”であるこの身は、常に戦場にあったからな」

 

公園を見回した。

 

「本当に今日は、“知らない世界”ばかりを見てきた気分だ」

 

「そんなことありません」

 

そう言った響は翼の手を取り街を一望できる場所に連れていった。

 

「!・・・・・・・・・」

 

夕暮れに染まる世界の儚くも美しい光景に翼は目を奪われた。

 

「あそこが待ち合わせした公園です。皆で一緒に遊んだ所も遊んでない所も全~部翼さんの“知ってる世界”です。昨日に翼さんが戦ってくれたから今日に皆が暮らせている“世界”です。だから“知らない”なんて言わないでください」

 

「・・・」

 

翼は奏の言葉を思い出した。

 

『戦いの“裏側”とか“その“向こう側”にはまた違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えてきたし、ソイツを見てきた』

 

「そうか、これが奏の見てきた“世界”なんだな・・・」

 

その時の翼の笑顔はとても澄みきっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまで。

因みにレグルスが歌っていた曲は、私がレグルスのCVを『宮野真守』にしたので『宮野真守』で『テンペスト』です。

次回は響はお休みにしてアイツを活躍させます。
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