聖姫絶唱セイントシンフォギア   作:BREAKERZ

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原作では活躍する響は今回お休みです。響ファンの皆さんごめんなさい。

それとオリジナル技も出ます。


絶剣羽ばたく 聖剣猛る

デートから数日が経ち、リディアンの屋上で響と未来は翼の復帰ステージのチケットを貰った。

 

「えっ、復帰ステージ?!」

 

「アーティストフェスが10日後に開催されるのだが、そこに急遽捩じ込んで貰ったんだ」

 

「なるほど」

 

「倒れて中止になったライブの代わりと言うわけだな」

 

「!」

 

響はチケットの裏側に載ったフェスの会場を見てあっ!となる。何故ならそこは二年前に起きたツヴァイ・ウィングの最後のライブにして天羽奏が亡くなり響の運命に大きく関わった場所だ。

 

「翼さん・・・此処って・・・」

 

「立花にとっても、辛い思い出のある会場だな」

 

「ありがとうございます翼さん!」

 

少し目を伏せる翼に響は明るく言う。翼と未来は響を見る。響はチケットを真っ直ぐ見つめ。

 

「いくら辛くても過去は絶対に乗り越えて行けます!そうですよね、翼さん!」

 

自分を見つめる響から少し目をそらし二羽の鳩を見た翼は。

 

「そうありたいと私も思っている」

 

迷いない眼でそう告げた。

 

 

 

場所は変わり風鳴邸の道場でエルシドとレグルスは弦十郎に“ある事”を頼んでいた。それを聞いた弦十郎は渋い顔をし。

 

「エルシド、任務に私情を持ち込むとはお前らしくないな」

 

「自分でもそう思っている。しかしこれは俺なりの“過去へのケジメ”だ」

 

「弦十郎、俺からも頼むよ。響達や会場の人達は俺が守る。だから」

 

エルシドを援護するレグルスに弦十郎は片手をあげて制し。

 

「エルシド、お前の気持ちも分からなくもない。だが俺も司令としての責任がある。むざむざお前を「弦十郎殿」?」

 

弦十郎の言葉を遮りエルシドは。

 

「今まで“俺達”が見せてきたのが“本気”だと思っているのか?」(ゴゴゴゴゴゴゴ)

 

今までとは比較にならない静かだが圧倒的な威圧感を放つ。

 

「・・・なら見せて貰おうか?」

 

好戦的な笑みを浮かべた弦十郎が立ち上がり構える。

 

「良かろう」

 

同じように立ち上がり構えるエルシド。

 

「レグルス、審判を頼む」

 

「了~解♪」

 

これから“起こる事”にワクワクしながら見守るレグルスは両者の間に入り片手をあげて。

 

「始めッ!」

 

「覇ッッッ!!!」

 

「疾ッッッ!!!」

 

レグルスが手を振り下ろすと同時に弦十郎とエルシドはお互いに拳と手刀をぶつけた!

 

 

 

ドゴオオオオオオオォォォォォォォンンン!!!!

 

 

 

 

その日、響達が住む街で散発的な地震が相次いで発生し、地震観測所がニュースで報道したのはそれから1時間も経たない後であった。

 

 

それから更に10日が過ぎ。いよいよ翼の復帰ステージが始まろうとしていた。リハーサルを終え控え室に戻ろうとする翼とマネージャーの緒川とボディーガードのエルシド。その三人の前にスーツ姿の初老の外国人の男性が拍手をしながら近づく。

 

「緒川殿、あの御人は?」

 

「トニー・グレイザー氏、メトロミュージックのプロデューサーです。以前、翼さんの海外進出展開を持ちかけてきた」

 

グレイザー氏は悠長な日本語で話す。

 

「中々首を縦に振ってくれないので直接交渉させていただきに来ましたよ」

 

「Mr.グレイザー。その件に関しては正式に・・・」

 

緒川が話そうとするのを翼が止めた。

 

「翼さん」

 

「・・・・・・」

 

「もう少し、時間を頂けませんか?」

 

「つまり、考えが変わりつつあると?」

 

「・・・・・・」

 

にこやかに話すグレイザー氏に翼は真っ直ぐに見据える。

 

「そうですね、今の君が出す答えであれば是非聞かせていただきたい。今夜のライブ、楽しみにしていますよ」

 

「・・・・・・」

 

翼の態度は変わらなかった。

 

 

 

 

その頃響は又もや補習で遅れてしまっていた。

 

「折角、チケット貰ったのに開演に遅れそう」

 

「いたいた。おーい響!」

 

「あ、レグルス君!」

 

響の目の前にレグルスが現れた。

 

「なにしてンの?遅れるぞ。未来も待ちぼうけ食らってたし」

 

「ゴメ~ン・・・」

 

「まいいや。それじゃ急ぐぞ!」

 

レグルスは響を肩に担いで全力疾走する。そのスピードはバイク以上であった。

 

「ぎぃやああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!これなんか前にもあったような!!!」

 

響の悲鳴が夜の街に響いた。

 

 

 

 

その頃、指令本部ではノイズの出現パターンを検知し。響に連絡を取ろうとしたが弦十郎は響と翼に連絡せずエルシドとレグルスにだけ連絡を送った。

 

「指令、よろしいのですか?翼さんや響ちゃんに連絡を取らずに」

 

「今回のノイズの退治はエルシドだけに当たらせる」

 

「エルシド君だけで?!いくら最強の聖闘士でもたった一人でノイズを倒すなんて無茶ですよ!」

 

友里の言葉に弦十郎はニヤリと笑みを浮かべ。

 

「そう言えばお前らも知らなかったな。エルシドもシジフォスもレグルス君もまだ一度も“本気”を出したことがないんだよ」

 

『えッ??』

 

弦十郎の言葉に指令室の局員は何言ってるんだと言わんばかりに呆然とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

未来と合流した響は未来が持ってきた服に着替えるためにトイレに向かった。レグルスは列に並び指令本部からの連絡を聞いた。

 

「了解、こっちは響を狙ってフィーネが現れないように警護しているよ。エルシド、そっちは任せた」

 

「『あぁ、任せておけ』」

 

そう言ってエルシドは通信を切った。

 

「(さ~て、久しぶりのエルシドの“本気”が見られないのは残念だけど俺は俺の仕事をするかな)」

 

気持ちを切り替えたレグルスは視界の端から着替えた響と未来がこっちに向かってくるのを確認した。

 

 

 

レグルスとの通信を切ったエルシドは会場を去ろうとする。

 

「エルシド」

 

「緒川殿」

 

「やはり行くんですね」

 

「あぁ」

 

緒川はエルシドの心情を理解している。だからこそ見送りに来たのだ。

 

「翼さんには、エルシドは迷子になった響さん達を向かえに行ったと伝えておきます」

 

「すまない・・・」

 

「いえ、ケジメをつけてきてください」

 

「・・・当然だ」

 

そう言ってエルシドは戦場に向かう。

 

 

 

 

 

「指令、本当に良いんですか?エルシドを一人で向かわせて」

 

藤尭が弦十郎に意見する。

 

「良いわけないだろう。だが・・・」

 

弦十郎の脳裏に10日前にエルシドが言った言葉を思い出した。

 

「『俺は・・・翼達のボディーガードでありながら奏を守れなかった・・・それだけではなく盟友<シジフォス>を助けられなかった・・・あの日の悔しさは・・・憤りは・・・1日もいや一瞬たりとも忘れたことはなかった!・・・俺は・・・俺は許せんのだ・・・不甲斐ない自分自身を許せんのだ!・・・だから今度こそ・・・今度こそ守り抜いて見せる!・・・アイツの・・・翼の歌を今度こそ!!』」

 

迷いない強い“覚悟”を持った“意思”と“熱”に弦十郎は当てられてしまったのだ。

 

「今度こそ守り抜いてみせろ!エルシド!!」

 

弦十郎も強い想いを持ってエルシドに激を飛ばす。

 

 

 

 

 

現場に向かうエルシドはビルの上を跳び跳ねながら呼ぶ。己の鎧を!

 

「山羊座<カプリコーン>!!」

 

エルシドの真上に黄金の山羊が現れ、それぞれのパーツに分解しエルシドの身体に装着される!

 

“大義”を宿す“聖剣”を振るう黄金の魔羯が戦場に赴く!

 

 

そしてステージに翼が現れる。

 

ワアアアアアアアアアアアアア!!

 

トップアーティストの登場に観客のボルテージは最高潮になる!

 

「「翼さーーーーーーん!!」」

 

響と未来のボルテージも最高潮になる。

 

 

 

 

現場である埠頭ではまるで要塞のような形をした黄色のノイズや大型のノイズが暴れていた。目視で確認したエルシドは列になった大型のノイズに向かってドロップキックを放つ!

 

「『ジャンピングストーン』!!」

 

ドロップキックは大型達の身体を貫通し消滅させる!ノイズ達はエルシドに向かう!戦いの開始を告げるゴングが今鳴った!

 

 

 

エルシドがノイズを消滅させたのと同時に翼は舞台の中心に向かう!

 

「(奏、シジフォス、そしてエルシド。聴いて・・・私の歌を!!)」

 

舞台と言う名の戦場に風鳴翼は赴く!

 

 

 

 

 

戦場に赴いたのはエルシドだけではなかった。雪音クリスとデジェルもまた、戦場にいたのであった。現れたノイズ達はクリス達を始末するためにフィーネが差し向けた刺客だったのだ。だが。

 

「お兄ちゃん、アイツ一人で戦わせるのかよ?」

 

一人で戦おうとするエルシドをクリスは心配そうに見つめるがデジェルは涼しい顔をしていた。

 

「大丈夫だ。エルシドもどうやら“本気”のようだしな。良い機会だ、クリスも良く見ておくと良い。黄金聖闘士の戦いぶりをな」

 

 

 

 

そして翼は歌う!

 

「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」

 

舞台に翼の歌が響き渡る!

 

「翼さーーーん!!」

 

「カッコいいーー!」

 

「(凄いな翼、こりゃ響達がファンになるのも・・・?!)」

 

ふとレグルスは響と未来を見ると二人の身体から“ある物”が見えた。レグルスはよく目を凝らし再び二人を見ると確かにあったのだ“それが”!

 

 

 

要塞のノイズが砲撃を放つがエルシドは難なくそれを手刀で切り裂き、小型ノイズを切り捨てる。周囲から襲いかかるノイズを円状に回転し切り裂く!

 

「『円刃<えんじん>』」

 

上空から襲うノイズを手刀から放つ斬撃を細かくし一体一体切り裂いて行く!

 

「『乱斬<らんざん>』」

 

更に襲ってくるノイズを流れるような動きでノイズの間を抜ける!そしてノイズの群れから離れるとノイズはエルシドの方を振り向こうとすると次々とノイズが斬られていった!ノイズは自分達が斬られた事にすら気付いてなかったのだ!

 

「『刀剣流し』」

 

数の差など諸ともしない圧倒的な強さを見せ付ける。

 

 

 

 

 

「なんなんだよ・・・あの強さ・・・圧倒的じゃねぇか・・・」

 

クリスはエルシドの戦闘力に度肝を抜かれた。

 

「あたし、あんなのと戦おうとしてたのか?」

 

フィーネ側にいた頃黄金聖闘士を倒すと息巻いていた自分が如何に“身の程知らず”だったのかクリスはエルシドの戦いぶりを見て実感していた。

 

「悪いがクリス、あれでもエルシドは“本気の半分位”しか出していない」

 

フフっと笑いながら呟くデジェルにクリスは嘘ッ!と愕然していた。

 

 

 

同じように二課指令室ではエルシドの今まで見せたことのない圧倒的な戦闘力に愕然となっていた。

 

「あ、あれがエルシド君の・・・黄金聖闘士の本気の半分?」

 

「あれでも半分って、100%本気を出したらどうなるんですか?」

 

「さぁな。だがこれだけは確かだアイツらの強さは米国一個大隊だって相手にならないだろうな(全く驚かせてくれる。まだまだ俺も修行不足だな)」

 

気持ちとは裏腹に弦十郎の瞳はキラッと輝いていた。まるでまだ“上”がある事を喜ぶかのように。そして弦十郎は“ある事”に気づく。

 

「!おい、翼のライブ映像を出してくれ」

 

「あ、はい」

 

エルシドが戦っている映像の隣に翼のライブ映像が写された。そして弦十郎はニヤリと笑った。

 

「エルシドの奴、“踊ってやがる”」

 

『えっ?』

 

「よく見てみろ。エルシドの動き、翼の歌やダンスに合わせて動いている」

 

そう言われて良く見て見ると翼のダンスに合いの手を合わせるかのようにエルシドが動き、翼もエルシドの動きに合いの手を合わせるかのように歌い踊っている。二人の映像が綺麗に重なって見える。

 

“戦場”と“舞台”、それぞれ別の場所にいるにも関わらずまるで二人は同じ“ステージ”に立っているかのように。

 

「全く・・・何処かで通じあっているな、あの二人は・・・」

 

弦十郎は二人の姿を笑いながら見つめる。

 

 

 

 

そして翼のステージをグレイザー氏は静かに見つめていた。

 

 

 

 

そしてエルシドは最後に残った要塞ノイズに手刀を構え全小宇宙を高める!

 

「(今だけは・・・我が手刀に宿る剣よ・・・万物を切り裂く“聖剣”となれ!)研ぎ澄ませ!我が小宇宙よ!!」

 

その時!エルシドの右手の聖衣の形が一瞬変わった!

 

「聖剣抜刀<エクスカリバー>!!」

 

斬ッッッッッ!!

 

振り下ろされた手刀は要塞ノイズを切り裂き!その後ろにある海を1㎞程切り裂いた!

 

「『でえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!海を斬ったーーーーーーー!!!!』」

 

弦十郎とデジェルを除いたクリスや藤尭と友里を含むオペレーター一同が顎が外れんばかりに驚いた!

 

海はそのまま元に戻ったが要塞ノイズ真っ二つになり炭化消滅した。エルシドは要塞ノイズの背に手刀を振り払い呟く。

 

「我が手刀、未だ“聖剣”に至らず」

 

エルシド的にはまだまだ“聖剣”に至っていないと感じたのだ。

 

「「何処までもストイックな奴だ」」

 

図らずも弦十郎とデジェルは同時に呟いた。そしてエルシドは夜空を見上げフッと微笑みながら。

 

「(翼、聞こえたぞ。お前の歌・・・)」

 

別のステージに立っているが心は通じる“相棒”に想いを馳せていた。

 

 

 

 

「(エルシド、聞こえたか?私の歌・・・)」

 

翼の歌が終わり会場は熱気に包まれていた!

 

ワアアアアアアアアアアア!

 

観客に翼は答える。

 

「ありがとう皆!今日は思いっきり歌を歌えて気持ち良かった!」

 

ワアアアアアアアアアアア!

 

「「翼さーーーーーーーん!!」」

 

響と未来も熱狂し、レグルスも微笑んでいた。

 

「こんな想いは久しぶり、忘れていた。でも思い出した!私はこんなにも歌が好きだったんだ。聴いてくれる皆の前で歌うのが大好きなんだ!・・・もう知ってるかもしれないけど、海の向こうで歌ってみないかとオファーが来ている。自分が何のために歌うのか、ずっと迷ってたんだけど。今の私はもっと沢山の人に歌を聴いてもらいたいと思っている。言葉は通じなくても歌で伝えられることがあるならば、世界中の人達に私の歌を聴いてもらいたい」

 

ワアアアアアアアアアアア!!

 

翼の言葉に観客は歓声を上げ響と未来は拍手を送った。そしてレグルスは。

 

「(歌が大好きか・・・俺の大好きな物って・・・何なんだろう?それが分かれば俺は・・・)」

 

翼の言葉が迷いの若獅子に一つの道標になった。

 

「私の歌が、誰かの助けになると信じて、皆に向けて歌い続けてきた。だけどこれからは皆の中に自分を加えていきたい!だって私はこんなにも歌が好きなのだから!たった一つの我が儘だから、聴いてほしい。許してほしい」

 

顔を俯かせる翼の耳に。

 

『許すさ、当たり前だろう?』

 

翼の耳に“片翼”の・・・奏の声が聞こえた!

 

「!」

 

顔を上げた翼の目の前には自分に声援を送る観客達がいた。

 

「・・・・・・・・・」

 

翼は静かに涙を流した。そして再び顔を上げ。

 

「・・・ありがとう・・・(エルシド・・・私・・・行くよ・・・奏・・・シジフォス・・・見守っていて)」

 

その時の翼の顔は涙を流していたが毅然としていた。観客の歓声は長く続いていた。

 

 

 

グレイザー氏はステージを離れ通路を歩く。そんなグレイザー氏を緒川が呼び止める。

 

「Mr.グレイザー!」

 

「君か・・・少し早いが今夜は引き上げさせてもらうよ。これから忙しくなりそうだからね」

 

「!」

 

それが“答え”になっていた。緒川は姿勢を正して、お辞儀する。

 

「風鳴翼の夢をよろしくお願いします」

 

「ハハハハ」

 

グレイザー氏は笑いながら去っていった。

 

 

 

 

 

クリスとデジェルは路地裏を歩いていた。

 

「お兄ちゃん・・・あたし・・・」

 

「大丈夫だ。私は君の側にいる。迷っているなら一緒に考えよう。一人で抱え込むことないんだ」

 

「うん////////」

 

二人はそのまま寄り添いながら闇の中に消えた。だがクリスの心に“不安”や“恐怖”は無かった。どんな時でも自分の側には“大好きなお兄ちゃん”がいるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてレグルスはノイズ出現を響達にどう言い訳するか悩んでいたが。

 

「(ま、なるようになるだろう。それにそんな事よりもエルシドに伝えておかないとな・・・響に“子馬座<エクレウス>の守護星座”が、未来に“琴座<ライラ>の守護星座が宿っていると)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでです。

響の守護星座は聖闘士星矢セインティア翔の主人公と同じ守護星座。

未来は琴座流星群が関係しているので。

次回で物語も大詰め!私も創作意欲と言う名の小宇宙を燃やしますよ!
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