響達装者がフィーネと最終決戦をはじめてすぐ避難シェルターにいた創世、詩織、弓美のいる部屋の瓦礫を撤去して未来と弦十郎と緒川に藤尭や友里そしてアスミタがやって来た。
「小日向さん!」
「良かった。皆良かった!」
再会を喜び合う未来達を尻目に藤尭は部屋の端末を操作し外の状況を調べようとする
「この区画の電力は生きているようです!」
「他を調べて来ます!」
部屋を出る緒川を見ながら創世は未来に話しかける。
「ヒナ。この人達は?」
「うん、あのね・・・」
言い淀む未来に変わり友里に包帯を替えて貰っている弦十郎が説明する。
「我々は特別災害対策起動部。一連の事態の終息に当たっている」
「それって政府の?」
「私は違うがな」
アスミタが捕捉する。藤尭が報告する。
「モニターの再接続完了。こちらから操作できそうです!」
端末のモニターから外の状況を確認する一同。そこに映ったカ・ディンギルとフィーネと交戦する響達が映っていた。
「響!」
「「「え?!」」」
未来の言葉に創世達は驚く。お構いなしに未来は響と映っているクリスを見る。
「それに、あの時のクリスも」
「これが?」
「了子さん?」
フィーネの姿に藤尭と友里が驚く。
「どうなってるの?こんなのまるでアニメじゃない・・・」
弓美は現実に戸惑い。創世も戸惑いながら未来に話しかける。
「ヒナはビッキーの事知ってたの?」
「・・・・・・」
「前にヒナとビッキーが喧嘩したのって?そっか、これに関係する事なのね」
「ごめん・・・」
「・・・・・・・・・」
未来の謝罪に弓美は戸惑いを浮かべた。弦十郎はレグルス達がいない事に気づく。
「レグルス君達は?」
「あ奴等なら今は“眠りの中”だ」
「眠りの中?」
アスミタの言葉に弦十郎はどういう事だ?と言わんばかりに睨む。
「“神の宝具”に捕らわれたあ奴等が戻って来るかは、あ奴等と・・・・・・」
アスミタの閉ざされた瞼は戦っている装者達に向き。
「装者達次第かもしれん」
「何?」
「“歌”は人が行う神への“問い掛け”にして“祈りの言葉”。それは時に・・・・・・・・・・・・次元すら越える」
ーデジェルsideー
“少年”の姿になったデジェルは懐かしき人達の元へ向かおうとする。
「ユニティ・・・クレスト師匠・・・セラフィナ様・・・・・・」
ゆっくりと手を伸ばし歩を進めようとするデジェル。共に夢を語り夢を叶えようと誓った“友”と自分に力と知識を教えてくれた“恩師”、そして領主として民の為に奔走し明るくまるで雪国を照らす太陽のように眩しい“大切な人”と再び共にいられる。そんな誘惑がデジェルの足を動かすが。
『♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪』
突如、デジェルの耳に“歌”が聞こえた。その歌に込められた想いがデジェルの“心”に響いた。
「(この歌は?この歌声は・・・・クリス?」
ークリスsideー
月を破壊しようとするカ・ディンギルの荷電砲を防ぐ為、クリスは“絶唱”を歌う。
「♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪~♪」
腰のアーマーが展開し小さな結晶が無数にクリスの周りに展開した。赤い粒子が舞いクリスの両手に拳銃が握られていた、拳銃から走った光が結晶を乱反射してまるで“蝶”の羽根のように光輝く。そして二つの拳銃が大型レールガンに変形し一つとなりエネルギーをチャージする!
カ・ディンギルから発射された荷電砲とクリスが放ったレールガンと羽根からのエネルギー弾が一つとなりカ・ディンギルのエネルギーとぶつかる!
その光景を地上から見ている響と翼、そしてフィーネ。
「「・・・・・・」」
「一転集中?!押し止めているだと?!」
驚くフィーネ。だがクリスの方はカ・ディンギルを押し止めるのにかなりの負担をかけているのかクリスのギアに皹が入る!だがクリスの顔は安らかに微笑んでいた。
「(ずっとあたしは・・・パパとママの事が大好きだった・・・だから、二人の夢を引き継ぐんだ。パパとママの代わりに歌で平和を掴んで見せる!)」
クリスの放ったエネルギーは威力が弱まり、カ・ディンギルのエネルギーの奔流にクリスが飲み込まれた。だがクリスは優しい笑顔を浮かべ。
「(あたしの歌はその為に・・・・・・そうだよね?お兄ちゃん・・・・・・)」
両親と手を繋ぐ幼い自分の姿がクリスの脳裏に浮かんだ。
クリスが食い止めた事でカ・ディンギルの威力が弱まり月のほんの一部しか破壊されなかった。フィーネは驚き。
「し損ねた!僅かに反らされたのか!?」
そして光の粒子が尾を引きながらクリスは地上に落下するのを弦十郎や未来達、響や翼が見た。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・うわああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その光景を見た響の慟哭が夜空に響いた。
ーデジェルsideー
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたのデジェル?さぁこっちに来て」
呆然となるデジェルにセラフィナは手を伸ばすが。
「・・・・・・申し訳ありません、セラフィナ様」
「「「?」」」
「私には“守りたい人”がいます、そして約束したのです。あの子を二度と一人ぼっちにしないと」
「デジェルよ、何を言っている?お前の守る人はここに・・・」
「分かっていた。これが幻覚だと言う事は分かってはいた。だがそれでも、セラフィナ様達と再び会えた事で感傷に耽るとは私もまだまだ未熟」
“少年”の姿から“青年”に戻り黄金聖衣を纏ったデジェルは宣言する。
「もう惑わされない。あの子の“夢”をそして多くの人々の“夢”を守る為に私は戦い続ける!それが私の新たな戦い!水瓶座<アクエリアス>のデジェルの戦いだ!!」
デジェルの宣言を聞くとユニティは“海皇ポセイドン”に仕える“海闘士<マリーナ>”の最高位“海将軍<ジェネラル>”の一人、“海竜<シードラゴン>の鱗衣<スケイル>”を纏い。
クレストは老人の姿から本来の姿である若々しい“少年”の姿に変わり“水瓶座<アクエリアス>の暗黒聖衣<ブラッククロス>”を纏い。
セラフィナは“アテナ”と互角の小宇宙を持つと言われている“海皇ポセイドンの鱗衣”を纏い三叉の矛をデジェルに向ける。
「デジェルよ」
「お前をここから」
「逃がしはしない」
さっきと違い感情のない瞳でデジェルを睨み構える三人。だがデジェルは臆することなく両手を組んで天に掲げる。
「ユニティ、クレスト師匠、セラフィナ様。皆の事は忘れません。ですが私はあの子をクリスを守ると誓ったのです!あの子の両親に!そして他ならぬ!自分自身に!!」
デジェルは自らの小宇宙を最大に燃やす!セラフィナ達はデジェルに技をぶつける!
「!!」
「ダイヤモンドダスト・レイ!」
「!!」
ユニティが放つ珊瑚礁とクレストが放つ凍気とセラフィナの持つ三叉の矛からのエネルギーがデジェルを襲う!
「煌めけ!我が小宇宙よ!!」
最大に燃やした小宇宙に反応し、デジェルの両手の聖衣が“姿を変えた”!!
「受けよ!水瓶座<アクエリアス>最大の拳!絶対零度<オーロラ・エクスキューション>!!!」
振り下ろした両手から放たれた絶対零度の凍気が三人の技を打ち破りデジェルの眼前の“世界”が凍気と光に包まれた!
ー響sideー
クリスが死んだと考えた響はその“現実”に打ちのめされフィーネにクリスの行いを「無駄な事」と嘲られた事で怒りに飲まれ力に飲まれ全身が真っ黒に染まり“暴走”する響。未来達もそんな響の姿に驚くがアスミタだけは冷めた態度だった。
「(“未熟な者”が“覚悟”もなく中途半端に“力”を得て戦場に出れば“現実”の残酷さに絶望し“暴走”してしまう。今のガングニールがそれだな)」
暴走した響は野獣のような動きでフィーネに襲い掛かるが最早敵と味方の区別がつかず翼にまで襲い掛かった。
「立花ーーー!」
「ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
響の姿をモニターで見ている未来達。
「どうしたの響!元に戻って!」
「もう終わりだよ私達・・・」
弓美が顔が絶望に染まった。未来達も弓美の方に目を向ける。
「学園がめちゃくちゃになって、響もおかしくなって」
「終わりじゃない!響だって私達を守る為に「あれが私達を守る姿なの!」!?」
モニターに映る響は“守る姿”ではない、まさに“破壊衝動の権化”であった。創世も詩織も響に恐怖をいだいたが未来は。
「私は響を信じる」
未来はそれでも響を信じようとする。弓美は泣きながら呟く。
「私だって響を信じたいよ・・・うっこの状況をなんとかなるって信じたい・・・でも、でも」
弓美が膝から崩れ落ちる。創世と詩織は弓美を心配そうに見つめる。
「もう嫌だよ誰かなんとかしてよ!恐いよ!死にたくないよ!助けてよーーーー!!響ーーーーーーーー!!!」
ついに弓美の心が限界に達した。普通の人間なら恐怖に耐えられなくなっても仕方ない状況なのだから誰も何も言えなかった。だが“一人”だけこの状況をなんとかできる人間は我関せずの態度を貫いていた。
ーレグルスsideー
「ん?」
父と一緒に森を歩くレグルスはふと足を止める。
「どうしたレグルス?」
「父さん、今何か聞こえなかった?」
首を傾げるレグルスにイリアスは言う。
「レグルス、惑わされるな。それは“雑音”だ」
「“雑音”?」
「“人の世界”には良くある事だが、精霊と対話する我々には只の“雑音”以外の何物ではない」
「“雑音”・・・・・・」
「さぁ行くぞレグルス」
「う、うん」
レグルスは父と共に森の奥深くへと歩いていった。
ー翼sideー
カ・ディンギルが再びチャージを開始した。エネルギー炉心に備えられたデュランダルの力で再び月を穿つためにエネルギーをチャージし始めたのだ。翼は暴走する響を押さえつけ響の手を取る。
「これは束ねて繋ぐ力の筈だろう?」
翼は膝のパーツから小刀を取りだし響の影に刺す!『影縫い』で響を封じて離れる。その胸元には響によって負傷していた。
「立花、奏から継いだ力をそんな風に使わないでくれ」
「・・・・・・・・・」
響の目から涙が流れた。翼は決意を固めた顔になり。フィーネと向き合う。
「待たせたな」
「どこまでも剣と言うことか。だが山羊座<カプリコーン>のような“覚悟”が貴様にあるのか?」
「確かに私にエルシドのような“覚悟”はない。だが今日折れて死んでも明日に“人”として歌うために風鳴翼歌うのは戦場ばかりでないと知れ!」
翼の姿にフィーネは忌々しそうに顔を歪め。
「人の世界が剣を受け入れることなどありはしない!」
フィーネの攻撃を“歌いながら”軽やかに回避する翼、フィーネの上を取り刀を大太刀に変え『蒼ノ一閃』を放つがフィーネの鞭は斬撃を貫くがそれをかわす翼。
鞭で追撃するが翼は鞭を交わしフィーネの懐に入り込み大太刀を叩き込みフィーネをカ・ディンギルに叩きつける!追撃する翼は大太刀を刀に変え空を跳び刀を投げ大剣へと替えて大剣の柄を蹴り『天ノ逆鱗』をフィーネに叩き込む!フィーネも鞭編み物のようにしたシールドを三枚重ねにして防ごうとするが翼は新たに二本の刀を持ち刀から炎が出る!まるで“火の鳥”のように広げる技
『炎鳥極翔斬』
翼は最大の技でカ・ディンギルを破壊しようとする。
「はじめから狙いはカ・ディンギルか!!」
フィーネが鞭で翼を攻撃する。攻撃を受けた翼の意識が朦朧となる。
「(やはり私では)」
すると翼の心に片翼の声が奏の声が響く。
『何弱気な事言ってんだ?』
「!奏」
翼の目の前に奏が現れる。奏は翼に手を差し出し。
『翼、あたしとあんた。両翼揃ったツヴァイウイングならどこまでも遠くに飛んで行ける」
奏の手を翼が握った。すると翼の意識が現実に戻り。
「(そう、両翼揃ったツヴァイウイングなら!)」
再び『炎鳥極翔斬』を放ち空を舞う。
「(どんなものでも越えて見せる!)立花ーーーーーーーー!!!」
フィーネの攻撃を諸ともせず光の鳥となった翼がカ・ディンギルへと向かう。
動きを封じられた響は涙を流す。
カ・ディンギルに突っ込む翼。
ビキ!ビキ!ビキ!ビキ!ビキ!ビキ!
カ・ディンギルに亀裂が入り亀裂から光が漏れそして。
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
「うあああああああああああ!!!!」
「・・・・・・・・・」
フィーネは悲鳴を上げ、響は無言のまま爆発するカ・ディンギルの光に飲み込まれた!
ーエルシドsideー
「(翼・・・奏・・・そうか、お前達二人ならどこまでも飛んで行けるだろう)」
翼の歌が心に響きエルシドは自分に手を差し出す峰を見据える。
「エルシド?」
「俺もどうやら“甘い夢”を見るようになったようだな。夢神共と戦った経験がなければこの夢に飲み込まれていただろう」
「「・・・・・・・・・」」
フッと笑ったエルシドに峰もフェルサーも黙って見ていた。
「峰、フェルサー。こんな形でもお前達と再び顔を合わせる事ができた。フィーネに感謝する事ができたな」
“青年”の姿に戻り黄金聖衣を纏うエルシドは二人に向かって手刀を頭上に上げて構える。峰とフェルサーはそれでも黙って見ていた。
「お前達の事は忘れない。語り合った“夢”も“想い”もずっと共にいる。そして誓おう。峰よ。フェルサーよ。俺は必ず到達する。到達して見せる」
エルシドの小宇宙が最大に燃え上がる!
「“聖剣”へと!」
峰とフェルサーは笑顔を見せて頷く。
「研ぎ澄ませ!我が小宇宙よ!!」
最大に燃焼した小宇宙に反応してエルシドの右手のパーツが“その姿を変えた”!
「聖剣抜刀<エクスカリバー>!!!」
峰とフェルサーの間に聖剣を振り下ろし黄金の斬撃が“世界”を断ち切る!
すると切られた世界が光に包まれた。
ー異次元空間ー
フィーネが起こした『劣化版アナザーディメンション』で異次元空間に送られた三つの“モルペウスの門”の内二つに異変が起こった。一つは門全体が凍りつき破壊され、もう一つは真っ二つに断ち切られた。そして破壊された門からエルシドとデジェルが出てくる。
「エルシド、無事か?」
「それはこちらの台詞だデジェル」
フッと笑い合う二人。そして自分達のいる空間を見る。
「ここは異次元空間か?」
「こんな事が出来るのは双子座の黄金聖闘士だけだが?」
「以前フィーネのアジトを調べた時に『複数の完全聖遺物を共鳴させれば小さな次元の穴を作る事が出来る』とあった恐らく、“ネフシュタンの鎧”と“ソロモンの杖”を使って小規模の穴を作りそこに我々を送ったのだろう(他にもあったが今は言うべきではないだろう。それに『アレ』が、フィーネが我々黄金聖闘士を狙う“目的”なのかもしれん)」
「なるほどな。ん?」
二人は近くにあった三つ目の門を見るとレグルスが眠っていた。
「レグルスはまだ眠っているのか」
「どうするエルシド、起こすか?」
「嫌このままにしておく、俺達でも脱出できたのだ。レグルスもできるはずだ」
「手厳しいな」
「師匠であるシジフォスがいない以上、俺達がこいつの面倒を見てなくてはな」
「それもそうだな。レグルスが“幻の安らぎ”に墜ちるか“険しい現実”を受け入れるか一つの“賭け”だな」
エルシドとデジェルは異次元空間からの脱出は後回しにした。どこに繋がっているか分からない異次元空間をさ迷うことは自殺行為に等しいのだ。
ふとエルシドはデジェルを見る。デジェルもエルシドの視線に気付く。
「どうした?」
「以前のお前なら雪音を心配してがむしゃらに行動していたのに随分冷静だなと思ってな」
「八年近くも紛争地域をさ迷っていれば少しは冷静さを学ぶさ。それに夢の中で師に会えたからな。“決して冷静さを失うな”と師に教えられていたからな。こういう時こそ冷静さを持たなければならない」
だがデジェルの手はきつく握られ血が滴り落ちていた。本当は直ぐにでも行動を起こしたい所を必死に抑えているのだ。勿論エルシドは気付いているし本心はデジェルと同じだが冷静にならねばと自分を抑えていた。
「「(早く戻ってこいレグルス。こんな所で終わるお前ではないだろう!)」」
二人はレグルスが眠る門をじっと見据えていた。
お詫びを申し上げます。シンフォギア組の話をかなりいい加減に作ったことをお詫びします!後悔はしてないけどお詫びします!
それでは次回へ続く!