『太陽が現れた』
立花響はそう感じた。時間はもう黄昏時、太陽は海の向こうへ沈み夜の闇が広がる世界で自身の目の前に太陽が現れたのだ。いや正確には太陽ではない、太陽のように輝く黄金の背中だ。
「俺はレグルス、黄金聖闘士<ゴールドセイント> 獅子座<レオ>のレグルスだ!」
先程自分達と一緒にいた少年が突然黄金の鎧を纏って現れた。
「黄金聖闘士<ゴールドセイント>?」
「お兄ちゃん、キレイ」
一緒にいた少女もその姿に見惚れていた。
そんな自分達を余所にノイズ達が襲い掛かってきた!だがノイズは響と少女よりもレグルスに向かっていった。ノイズに思考能力があるか分からないがノイズは感じたのかもしれない。“この少年は危険!”と。
「危ない!レグルス君!」
叫ぶ響だがレグルスはまったく慌てた様子がなく、むしろこの状況を楽しむように“笑った”。
「大丈夫だよ響、すぐ終わらせるから」
レグルスは構えた。そして響は“感じた”いや“視えた”と言って良い。レグルスを中心に“宇宙”が広がっていくのを!
(何これ?“星”?“宇宙”?いやもうこれって“銀河”!?)
「さぁ見せてやる、聖闘士<セイント>の戦いを!」
そう言ってレグルスは右手を突き出し、必殺の拳を放つ!
「闇を切り裂け!光の牙!ライトニング・プラズマ!!!」
響と少女の目の前で一筋の光が走った!いや光は一つではなく二つ、三つ四つ五つと次々と光が走り、自分達の視界が光に覆われた!ノイズ達は光に切り裂かれたように炭化消滅していき遂には自分達の周りを包囲していたノイズが“全滅”した。
「「え?ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!??」」
先程までいたノイズが“一瞬で全滅”した現状に響達は驚きの声を上げた。だが一体だけ隠れていたノイズが響の後ろから襲い掛かる!
「!?響!」
「え?うわぁ!?」
ビュンっ!ドシュっ!
なんと思わず拳をノイズに突き刺したがノイズは炭化消滅した。
「あ?あれ?私が倒したの?」
「やるなぁ響」
響の行動を称賛するレグルス。だが再びノイズが大量に現れ、さらに自分達より数倍の巨体をした緑色の大型ノイズまで現れた。
「ええ!まだ来るの!?」
「しつこいなぁコイツら、もう一度ライトニング・プラズマで(キーン)!?」
キーン、キーン、キーン、キーン・・・
突然レグルスの纏っていた鎧から音が鳴った。
「どうしたの?」
「黄金聖衣<ゴールドクロス>が共鳴している?っ!?この“少宇宙<コスモ>”は」
「小宇宙<コスモ>?」
困惑するレグルスと首を傾げる響達だがノイズの後ろ側からバイク音が鳴り響き、ノイズ達を蹴散らしながらバイクに乗った蒼い髪をした少女が来た!
「誰?」
「あっ!」
少女は響達を横切りバイクから上空へ跳び、大型ノイズの足元にバイクをぶつける!空高く跳んだ少女は切りもみしながら歌を唄った、“戦いの歌”を。
「♪~♪~♪」
女の子は響達の近くに着地する。
「呆けない、死ぬわよ」
「え?」
「見事な着地だな~」
「え?そこ?レグルス君感心するトコそこ?」
「!?レグルス?」
少女は振り向きレグルスを上から下へ値踏みするように見る。
「(黄金の鎧 黄金聖衣<ゴールドクロス>、それになるほど“シジフォス”の甥か、“弟”と言われても納得できそうな程似ている)貴方達はここでその子<女の子>を守ってなさい、後は“私達”がやるわ」
「翼さん?」
「え響知り合い?てか“私達”?」
「そう“私達”、レグルス君貴方にも関係ある人よ」
「え?」
翼と呼ばれた少女はそのままノイズに向かって走る!
「♪~♪~♪~♪」
歌い始めた翼の身体は蒼色に輝いた!光が収まると響と同じだが細部が異なる蒼と白の鎧を纏いその手には刀が握られていた!刀はそのまま大剣に変わり翼が振ると蒼い斬撃を放つ!
『蒼ノ一閃』
放たれた斬撃はノイズ達を蹴散らし飛び上がった翼の周囲に蒼い剣が現れ雨のように降りノイズ達を貫く!
『千ノ落涙』
だが翼の後ろからノイズが襲い掛かる!
「翼さん!」
「まずい!」
助けにいこうとするレグルスだが、後ろから放たれた斬撃が翼の後ろのノイズを切り裂いた!翼は振り向きもせず言う。
「フッ遅いぞ!“エルシド”!」
「え?“エルシド”!?」
レグルスは驚き後ろを振り向こうとするが突然光が溢れ黄金の山羊のオブジェがそこにいた!
「山羊座<カプリコーン>!」
オブジェの後ろからレグルス達を飛び越えた黒髪を逆立たせた男を追ってオブジェはひとりでに分解しその男の身体に鎧のように装着される。空中で装着した男は着地した翼と隣り合わせになりながら並ぶ!
「翼、またバイクをオシャカにしたか・・・これで何台目だ?」
「し、仕方なかったんだ!大事の前の小事だ!」
「毎回報告書を書く緒川殿の苦労を少しは考えろ」
「うぅ、そそれよりも!エルシド彼が?」
「あぁレグルスだ。だが俺の知っているレグルスと“見た目が変わっていない”所を見るとアイツはまだ“こっち”に来て日が浅いんだろう」
「そうか、そして・・・ガングニール」
翼は響の方を険しい目で見る。
「翼、ガングニールとレグルスの事は後回しだ。今は“防人”としての使命を果たせ」
「・・・・・・分かっている、行くぞ!」
二人はノイズ達に向かう!
「ハアアァァァァァ!」
ザン!ザン!ザン!
「フン!」
ズバン!!
翼は速さとしなやかさを武器に舞うようにノイズを切り、エルシドは質実剛健な佇まいから手刀(!?)を繰り出しノイズを切り捨てる!その二人の姿はまさに剣の演舞!
「凄い・・・やっぱり翼さんは・・・」
「間違いない、エルシドだ・・・でもどうして?エルシドは・・・」
響は二人の戦いに唖然とし、レグルスは“死んだ筈”の盟友の戦いに呆然としていた。
「あっ!お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
「「ッ!?」」
二人は少女の視線を追って後ろを振り向くとそこには、二体の大型ノイズが三人に襲い掛かろうとしていた!
「!?」
「しまった!?」
だが突然空が光ると大型ノイズと同じ大きさの巨大な剣がノイズの腹を突き刺し、もう一体のノイズが頭の天辺から幹竹割りされた!
「「ッ!?」」
驚く二人余所に巨大剣の柄の部分に翼が立ち、ノイズの足元にエルシドが手刀を振り落とした姿勢を取っていた。二体のノイズはそのまま炭化消滅し戦いは終わった。
翼と見つめ会う響、エルシドと視線を交わすレグルス、少女達は出会い、少年達は再会した。
しばらくし『特異災害対策機動部一課』が現れ現場を封鎖し、救急車やノイズの残骸を回収する人達で現場は溢れていた。女の子は保護されホットココアを飲んでいた。そんな少女を見つて微笑む響と見たことない乗り物<車やヘリコプター>に目を光らせるレグルス、因みに聖衣<クロス>は脱いでいたがエルシドが着ていた上着を羽織っていた。
余談だが聖衣<クロス>を脱いだ時上半身裸を見て響は顔を真っ赤にし両手で顔を覆った、翼も顔を赤くし顔を背けた。
「あの、温かいものをどうぞ」
「あ、温かいものどうも」
「ありがとう」
一課の女性からホットココアをもらう響とレグルス、ふー、ふー、と冷ます響を真似しレグルスもふー、ふー、と冷ます、そしてココアを飲みプハー×2と人心地着いた二人。だが突然響の身体が光り。パァッ!と元の服装に戻り反動で後ろに倒れそうになるが翼が支えた。因みにレグルスは響が落としたカップをキャッチした(中身も無事)。
「あぁありがとうございます、あっ!ありがとうございます!」
支えてくれたのが翼だと分かると更に声をあげて礼を言う響、だが翼は響に無言で後ろを向けて去ろうとするエルシドは翼と共に去ろうとするが響は翼に話しかける。
「実は翼さんに助けられるのはこれで二回目なんです!」
翼は響に振り向き「二回目?」と呟く。笑う響と首を傾げるレグルスだが「ママ!」と女の子の声を聞きそちらに顔を向けると母親と再会して抱きしめ合っていた。すると親子の近くにいた女性が機密事項を並べていたが親子は唖然とし響とレグルスも苦笑いを浮かべいた。
「じゃあ私もそろそろ」
「あ、そういえば俺これからどうしよ?寝る場所ないし」
が翼とエルシドと並んで黒服にサングラスした男達に包囲されていた。翼は顔をうつむかせて言う。
「貴方達をこのまま帰すわけにはいきません」
「何でですか!?」
「ありゃまあ」
「特異災害対策機動部2課まで同行していただきます」
「レグルス、現状確認の為にも俺達と一緒に来い。寝床と食事もこっちで何とかする」
ガッチャン!×2
ゴツい手錠をかけられる響とレグルス。
「え?」
「ふ~ん、コレが手枷か~」
同じ黒服の茶髪の人当たりが良さそうな男性がにこやかに言う。
「すみません、あなた方の身柄を拘束させていただきます」
二人は車に押し込まれ。
「(ま、いざとなったらこの手枷を壊せば良いしまぁいっか♪それにしてもこれって馬もいないのに何で走ってるんだ!)」
初めて乗る車に内心おおはしゃぎのレグルスそして響は。
「なあぁぁぁぁぁぁぁぁんでえぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!!!!????」
響の悲鳴は夜に響いた。
エルシドの服は外伝でエルシドが着ていた服です。